LIVE SHUTTLE  vol. 317

Report

SPYAIR 世界23都市を回ったワールド・ツアー・ファイナル。さらなる成長と変化を遂げた4人の姿を報告する。

SPYAIR 世界23都市を回ったワールド・ツアー・ファイナル。さらなる成長と変化を遂げた4人の姿を報告する。

SPYAIR WORLD TOUR 2018
2018年12月22日 TOKYO DOME CITY HALL

ついにワールド・ツアーのファイナルだ。9月にアメリカのアトランタから始まった“SPYAIR WORLD TOUR 2018”は、メキシコ、チリ、ブラジル、ポーランド、イギリス、フランスなど、欧米を周り、11月にはアジアに戻って、中国、韓国、台湾、シンガポールなどを歴訪。20都市でのライブを敢行した後、日本で大阪と名古屋で凱旋公演を行なった。そのラストが、TOKYO DOME CITY HALLとなる。クリスマス・イルミネーションの輝く街を抜けて会場に着くと、満員のオーディエンスが「お帰り~!!」と言うためにSPYAIRを待ち受けていた。

オールスタンディングのアリーナの周囲を、バルコニー席が3層に連なるTOKYO DOME CITY HALLは、天井が高くて独特の雰囲気がある。照明が落とされると、アリーナのオーディエンスが一斉に前に詰めかけて少しヒヤっとさせられるが、すぐに落ち着いた。ステージにIKE(vo)、UZ(g&pro)、MOMIKEN(b)、KENTA(dr) の4人のメンバーがゾロリと登場。気負った様子はない。さまざまな国でのライブを経験して、これまでとは異なる自信がメンバーに芽生えたのかもしれない。そう、今日は今回の“ワールド・ツアー後”のSPYAIRを、ホームの東京で確認する日でもある。UZがスタッフからギターを受け取って、肩に掛ける。そんななんでもない仕草からも、ワールドワイドの自信が感じられて、ライブへの期待が膨らんだ。

IKEが「楽しんじゃいますか? 楽しんじゃいますか!」とマイクを握って叫ぶ。「Are you ready?」とアオる。その声とオーディエンスの歓声が重なったとき、「現状ディストラクション」からドカーンとライブが始まった。

オーディエンスが拳を振り上げて「Oi.Oi.Oi」と叫ぶ。それぞれの拳のリズムの合い方がハンパなく、アリーナにエキサイティングな景色が広がっている。IKEはその光景を見て、ニッコリと笑う。歌い出すと、会場は火の出るような騒ぎになった。いきなりの一体感に、圧倒される。すぐにUZのギター・ソロが始まる。MOMIKENのベースもKENTAのドラムも大暴れだ。

ステージの上には4人しかいない。サポートメンバーは無し、だ。「この4人で世界を周ってきた!」と言わんばかりのパフォーマンスに胸が熱くなる。オーディエンスも同じように感じたらしく、エンディングのコーラスを一緒に歌う。それに応えるようにIKEが「オッケー! どうも、ありがと」と短くお礼を言ったのだった。

「ようこそ、SPYAIRのライブへ!」とIKEが挨拶すると、KENTAがジャジャーンとシンバルを鳴らし、そのまま次の「ファイアスターター」のイントロに突入。UZがギターでイントロを掻き鳴らす中、MOMIKENと張り合うようにIKEはマイクスタンドをガシリと握って、低い姿勢で足を踏ん張る。完全に攻撃モードだ。IKEの歌にハモを付けていたUZがラップを開始する。それをオーディエンスがコーラスでサポートする。息がピッタリ合っていて、まるでオーディエンスがメンバーのようだ。

3曲目の「WENDY~It’s You~」が始まって、オーディエンスが♪Oh Oh♪と歌うと、IKEが「そんなんじゃ聴こえね~ぞ! もっとみんなの声が聴きたい!!」とリクエストする。するとオーディエンスの声がどんどん大きくなっていく。♪下を向いて歩いてちゃ 星空は見えない♪と歌い出すこの名曲を、ライブで聴くのは久しぶりだ。メロディと歌詞がどんどん身体の中に流れ込んでくる。途中、MOMIKENのベースをフィーチャーするシーンでは、IKEがシェイカーを振って寄り添い、UZが背後を守るように立つ。エンディングではオーディエンスが♪ドキドキしようぜ ウェンディ♪と叫んで、自分たち自身に拍手を贈った。

「改めまして、SPYAIRです。久しぶりだね。ただいま!」とIKE。会場から「お帰り!!」と大声が上がる。「ひとまずは難しいこと抜きにして、遊んじゃいましょ! ぶち上げていくぜ!!『アイム・ア・ビリーバー』」。

MOMIKENが前に出てアオりにアオる。オーディエンスもまだまだイク気で、♪So What?♪(だから、どうした?)と歌い続ける。UZが気持ちの入ったギターで「アイム・ア・ビリーバー」を終わらせると、そのままきれいなアルペジオを弾き出した。IKEが「サクラミツツキ」と次の曲を告げる。歓声が上がる。ロックなダンスナンバーもいいが、じっくり聴かせる曲もSPYAIRの大きな魅力だ。それを待っていたオーディエンスも多いだろう。欠けた月の半分を探すこの歌が、朗々と響く。以前と比べて、IKEの歌声が太くなったように僕には感じられた。

「TOKYO、どうもありがと。みんな、楽しんでる? 世界中で素敵な景色を見てきました。みんなが支えてくれたお陰で周れました。曲や歌は時代によって少しずつ変わっていくんだけど、僕たちも変われた。この曲を聴いてもらいたいと思います。できたら一緒に歌ってください」と「BEAUTIFUL DAYS」。プラスの変化を前向きに描くこの歌を、IKEは真っ直ぐに歌う。太くなった声が、IKEの歌に新たな説得力を与えたようだ。

「このへんでメンバー紹介をしていいですか? メンバーも今回のワールドツアーで変わってるかもしれない」とIKE。まずKENTAが、「ハロー、ガイズ!」とワールド仕様で呼びかける。MOMIKENは「オラ、コモエスタ、グラシアス・・・」と各国語で挨拶する。UZは「俺は何語で行こうかな。サランヘヨ!(笑)。メキシコでお土産に“ライオンの笛”を買ったんだけど、最初は使いどころがわかんなかった。だけどついにわかったから、それを吹きます。MOMIKENは“鳥の笛”を買ったから、二人で吹くと、ここがジャングルになる(笑)」と、ツアーのお土産の楽器の音色を披露。場内から笑い混じりの歓声が上がると、IKEが「みんな、ジャングルを感じましたか?(笑)」とフォローしてメンバー紹介が終了した。

ライブは後半に入って、ハードなサウンドの「JUST ONE LIFE」、UZがワイルドなギター・ソロを取る「ROCKIN’ OUT」とガンガン飛ばす。

「まだイケる? 各国で演奏していて、言葉がわからなくても、みんな、歌ってくれた。ここは日本だから、言葉、わかるだろ?! だったら負けるわけにはいかねえだろ」とIKEがプッシュする。

「ここは世界一、楽しいよ! 楽しい場所はいっぱいあったけど、お前ら、やっぱスゲーよ。激しいヤツ、やろう!」とIKE。「RAGE OF DUST」でUZとMOMIKENが、目いっぱいヘッド・バンギングする。「サムライハート(Some Like It Hot!!)」では、会場の全員が激しくタオルを回す。

「ラストになっちゃいました。楽しかったね。一緒にライブを作ってくれて、ありがとう。ライブは俺たちだけじゃ作れない。一緒にライブを作ってくれるファンが、世界中にいました。このステージは幸せな空間です。ずっと立ちたいと思ってます。じゃあ、最後の曲を歌います」とIKEが最後のMCをする。始まった「I Wanna Be…」は2018年の夏にリリースされた最新シングルで、SPYAIRと縁の深いアニメ『銀魂』のオープニング・ナンバーだ。♪何ひとつ変わらない街で 変わる俺たちは♪と歌うこの曲では、IKEのボーカルがとても澄んでいて、言葉を的確に伝えていたのが印象的だった。どうやらこのツアーのテーマは“変化”ということにあるのだろう。終わるとすぐにアンコールを求めて、オーディエンスが「SINGING」を歌い始めたのだった。

急に暗転になったステージに、真っ赤なライトがいくつも回り出す。さっきSPYAIRとの別れを味わったオーディエンスは、このスリリングな演出に、すっかり気分をリセットされてしまい、IKEの走り込んできたタイミングで始まった「OVERLOAD」で、再び熱く盛り上がる。それを受けてIKEは、ステージ下手のスピーカーの上によじ登って歌う。バンドも会場も、もう一度ピークに上り詰めていく。

「やっぱり音楽はいいですね。終わってしまうのが、とても惜しいです。ワールドツアーのいちばん最後に、一緒に歌ってくれますか。世界中でいちばんデカい声を聴かせてくれますか」。

最後の曲は、さっきオーディエンスが歌っていた「SINGING」だった。もちろん会場は曲の最初から、SPYAIRと一緒に歌う。それを聴いていて、SPYAIRの作った「SINGING」が、完全にファンのものになったのだと思った。そして世界中のファンも、SPYAIRと一緒に「SINGING」を歌ったのかどうか、知りたくなった。その答は、きっとSPYAIRの次の作品に反映されるのだろう。

文 / 平山雄一 撮影 / 小林 弘輔

SPYAIR WORLD TOUR 2018
2018年12月22日 TOKYO DOME CITY HALL

セットリスト

01. 現状ディストラクション
02. ファイアスターター
03. WENDY ~ It’s You ~
04. Last Moment
05. アイム・ア・ビリーバー
06. サクラミツツキ
07. BEAUTIFUL DAYS
08. My Friend
09. JUST ONE LIFE
10. ROCKIN’ OUT
11. イマジネーション
12. RAGE OF DUST
13. サムライハート(Some Like It Hot!!)
14. I Wanna Be…

EN1. OVERLOAD
EN2. SINGING

ライブ情報

『COUNTDOWN JAPAN 18/19』

2018月12月29日(土) 幕張メッセ国際展示場1~11ホール(千葉県)

『銀魂 銀祭り2019 (仮)』

2019年3月3日(日) 両国国技館(東京都)

SPYAIR

IKE(Vocal)/ UZ(Guitar & Programming)/ MOMIKEN(Bass)/ KENTA(Drums)の4人から成る愛知県出身4人組ロックバンド。2005年結成。バンド名の由来は、どこかで見かけた「SPYWARE」(コンピューターウイルス)という言葉の響きに惹かれ、検索して一発で出てくるように少し変えて「SPYAIR」となった。
これまでに22枚のシングル、5枚のオリジナルアルバムを発表。東京ドームをバンドの目標に掲げ、ネクストステージに邁進中のSPYAIR。2016年末から2017年にかけて開催したSPYAIR史上最大規模のアリーナツアー『真冬の大サーカス』は5万人を動員。2017年10月には2年ぶりとなる5thアルバム『KINGDOM』をリリース。この作品を携えて、2018年1月より2年ぶりとなる全国ホールツアー『SPYAIR TOUR 2018 –KINGDOM–』を開催(全国21都市23公演)。今夏で富士急ハイランド・コニファーフォレストで4度目の開催となった単独野外ライブ『JUST LIKE THIS 2018』は、豪雨の中前年をはるかに超える圧巻のパフォーマンスで15,000人のオーディエンスを魅了した。
海外ではアジア・南北米オセアニア・ヨーロッパ地域でのリリースはもちろんこれまでに韓国、中国、台湾、パリ、フィリピンでの単独公演を開催。
そして9月23日からスタートした『SPYAIR WORLD TOUR 2018』も、12月22日、TOKYO DOME CITY HALLにて、無事ファイナルを迎えた。

オフィシャルサイト
http://www.spyair.net

vol.316
vol.317
vol.318