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「女の幸せって…」多様化する女性の生き方を肯定してくれるマンガ3選

「女の幸せって…」多様化する女性の生き方を肯定してくれるマンガ3選

結婚するしない、子供を産む産まない、仕事を続ける続けないetc…、女性の人生にはさまざまな分岐点がある。どれを選べば正解というものでもないし、そもそも誰もが自由にそれを選べるわけでもない。のだけれど、まだまだ「女性の幸せは結婚して子供を持つこと」「母親なら自分のことより育児や家事を優先すべき」といった固定観念は根強く、その一方で「これからは女性も仕事を続けて社会で活躍すべき」なんて勝手な理想像を押し付けられて。そんなのムリ!と悲鳴を上げている女性はきっと少なくないはず。
そんな男性からは可視化されにくい女性の生き辛さにそっと寄り添ってくれるマンガが支持を集めた2018年。

働く女性たちの日常とその胸の内は…

『Aさんの恋路。』は、とある会社で働く女性たちの日常とその胸の内を描いた群像マンガ。コンプレックスの裏返しで恋愛やお洒落とは無縁のまま、真面目に淡々と生きてきて、いまや悟りの境地にある30代の「Aさん」、20代後半で恋愛にも仕事にも迷いや焦りが出てきた「あのこ」、悟り世代ならではの割り切りと人当たりの良さで何でもソツなくこなす「新人ちゃん」。

『Aさんの恋路。』
やまもとりえ(著) / 祥伝社

誰もがそれぞれの悩みや葛藤を抱えていて、自分以外の人が幸せに見えて焦って…。微妙なマウンティングを重ねた末に、三人が本音をぶつけ合い、心を交わせてゆく姿はリアルでホッコリさせられる。

女性ならば共感&涙せずにいられない作品

『生理ちゃん』はタイトルのまんま、女性の生理をテーマにしたマンガ。不意にピンポーンとチャイムを鳴らして「来ちゃった」と言うなり、家主の下腹部に「生理パンチ」をお見舞い。謎の薬で眠気を誘い、注射器でピューッと血を抜く“生理ちゃん”は、ゆるキャラのようなルックスもあいまり、ブラックコメディ?と思いきや、妊活中の女性を訪問した際には「ごめんね」と謝りながら彼女の苦悩に寄り添い、「なんだよ、生理でイライラしてんのか?」としょせん他人事の旦那には「どんだけしんどいかわからいでか!」と生理パンチ。

『生理ちゃん』
小山健(著者) / KADOKAWA / エンターブレイン

「女性は生理があるから大変だよね」と理解を示す男性にも「大変なのを生理のせいにできないから大変なんですよ」と女性のフクザツな心理を代弁してくれる。そんな生理ちゃんには、女性ならば共感&涙せずにいられない!

センセーショナルなタイトルで話題の作品

『夫のちんぽが入らない』は2017年に刊行されるやいなや、そのセンセーショナルなタイトル&内容で話題を巻き起こした文芸作品のコミカライズ。

『夫のちんぽが入らない(1)』
こだま(原作), ゴトウユキコ(漫画) / ヤングマガジン / 講談社

生まれ育った環境、家族、性格、恋愛、夫婦の在り方etc…。あらゆる点で「普通」という呪いに苦しみながら生きてきた女性が格闘の果てにたどり着いた場所は、世間のいう「幸福」からはほど遠いからこそ、多くの女性に勇気を与えてくれる。原作は淡々とした語り口が魅力だが、コミック版は生々しく匂い立つようなリアリティがあるのもいい。

結局、よその芝生は綺麗に見えるし、自分と誰かと較べ続けている限りは幸せにはなれない。やりきれない事は日々いろいろあるけれど、実体のない「普通」に惑わされず、自分が心地よく思えるものを大切に生きていけばいい…と背中を押してくれる一冊だ。

文 / 井口啓子