Review

「読書の喜びって“乱読”なんじゃないかな」と、思ってしまうおススメ書籍3選!

「読書の喜びって“乱読”なんじゃないかな」と、思ってしまうおススメ書籍3選!

僕はSNSというのを一応やってはいるけれど、アレをやることで実際の自分より“社交的”になってしまうのもキモチ悪いので、月に何度かの、「私は生存してますよ」くらいのリアクションに留めている。フリーランスなんだし、もっと自分をアピールしたほうが、仕事の足しにもなるんだろうけど。

Google、Apple、Facebook、Amazon――GAFA

そんな人間が『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』を手にして、まっさきに食いついたのは第4章のフェイスブックのところ。そしたら目次に“フェイスブックは「気持ち悪い」”、“150回の「いいね」で、あなたは丸裸になる”なんていう、SNSとは距離を置きたい人間こそが「いいね」したくなる、そんな項目が目に入ってきたのだった(距離を置きたいのに「いいね」しちゃダメだけど)。

『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』
スコット・ギャロウェイ(著), 渡会圭子(訳) / 東洋経済新報社

著者のスコット・ギャロウェイは、大学でマーケティングを教えている先生だが、起業家としても経験豊富で、成功のみならず、痛い目にもあってきたらしい。実はこの本、ビジネス書でありつつも、ところどころにキャロウェイ氏の個人的な感情が入り交じる(「ニューヨーク・タイムズ」の役員だった頃のグーグルとのすったもんだなど、当事者ならではのリアリティだ)。そこが人間臭くてイイし、たびたび横道に逸れて披露される蘊蓄も、有り難く頂戴したくなる良質なものが多かった。
GAFAに関して詳しいヒトには常識的な記述も多いのかもしれない。僕はそうじゃないので、ほぼ総てが新鮮だった。アマゾンがマジで“空飛ぶ倉庫”を構想していることや、何でも答えてくれる“グーグル先生”の、公の場ではみせない性癖についてなど、実に興味深かった(この本では、グーグルを神に準えているので、読んではいけないものを読んだ気分だった)。

SNSの恩恵や弊害が絡み…好奇心を掻き立てる作品

次は本谷有希子の『静かに、ねぇ、静かに』。「本当の旅」、「奥さん、犬は大丈夫だよね?」、「でぶのハッピーバースデー」という、みっつの短編が収められている。本の総タイトルや各短編のタイトルは、どこか“不穏”であり、だからこそ、好奇心をかき立てられる。この著者を読むのは4冊目くらいだが、エッジの効いた心理描写が冴えつつも、文章のスピードが衰えないあたりが好きだ。

『静かに、ねぇ、静かに』
本谷有希子(著) / 講談社

さて今回。どの物語にもSNSの恩恵や弊害が絡んでくるのだが、“旅”、“キャンピングカー”、“夫婦”という、形は違えど空間的・精神的密閉状態を描くあたりは共通している。だからこそ、外界との繋がりとしてのSNSが際立つが、けしてそれが、“急場の縄ばしご”のように機能するわけではない。いちばん後味が微妙な「でぶのハッピーバースデー」が、いちばん最後に収録され、不整脈のような余韻を残す。なので本の順番通りに読むことを薦めたい。最初のは旅がテーマだったので、『グ、ア、ム』も連想したが、ぜんぜん違ってた。

とにかく面白い推理小説

最後は『カササギ殺人事件』。あ~、面白かった! 絶対にオススメ! 以上。推理小説なので、色々書くとネタバレになるし、ともかくこれは、何の予備知識、何の先入観もないほうが楽しめるから、これだけ書いて立ち去りたい気分だが、そうもいかないので、すこし書く(ちなみにこの小説は、SNSとは関係ない。電波を頼らず、足で稼ぐ)。

『カササギ殺人事件 上』
アンソニー・ホロヴィッツ(著), 山田蘭(訳) / 創元推理文庫 / 東京創元社
『カササギ殺人事件 下』
アンソニー・ホロヴィッツ(著), 山田蘭(訳) / 創元推理文庫 / 東京創元社

上・下卷で長いんだけど、ロックンロールを観に行ったら途中で20分間の休憩があり、後半が始まるとリズム・アンド・ブルースに変わってたというくらいドラスティックな展開をするので、けして長くは感じない。


というわけで、ふと思いついた3冊でした。みっつともSNS絡みだと良かったんだけど、最後がカササギだけに、トリとめなくて失礼しました。

文 / 小貫信昭