TVアニメ『SSSS.GRIDMAN』特集  vol. 2

Interview

『SSSS.GRIDMAN』プロデューサーたちに聞く制作の舞台裏。“特撮とアニメの架け橋”をつくるために注ぎ込まれた努力とアイデア

『SSSS.GRIDMAN』プロデューサーたちに聞く制作の舞台裏。“特撮とアニメの架け橋”をつくるために注ぎ込まれた努力とアイデア

円谷プロダクション制作による1993年放送の特撮作品『電光超人グリッドマン』を原作に、アニメ制作スタジオのTRIGGERが完全新作アニメーションとしてリメイク。『SSSS.GRIDMAN』は、2018年秋クールにもっとも話題となったTVアニメといっても過言ではないだろう。

ここでは『SSSS.GRIDMAN』に関する映像・音楽ソフト周りの制作を手がけるポニーキャニオンより、作品プロデューサー兼OPテーマ(OxT「UNION」)制作を担当した伊藤裕史、内田真礼のEDテーマ「youthful beautiful」および鷺巣詩郎による劇伴制作を担当した音楽プロデューサーの鎗水善史というふたりに、本作にかけたこだわりや魅力を伺った。

取材・文 / 北野 創(リスアニ!)


「ひとりじゃないんだよ」ということが作品全体のテーマに

『ウルトラマン』シリーズを筆頭に日本の特撮を代表する作品を数多く世に送り出し、今年で創立55周年を迎えた映像制作会社、円谷プロダクション。同社が創立30周年記念作品として1993年に制作し、今なお特撮ファンから根強い支持を集めているのが『電光超人グリッドマン』(以下、『グリッドマン』)だ。本作は当時まだ一般家庭には浸透していなかったパソコン通信(インターネット)などを題材に取り上げ、中学生の主人公がヒーローであるグリッドマンと合体し、コンピューターの世界で怪獣と戦う、という独創的な作品世界で注目を集めた。

ある種、特撮よりもアニメ向きとも思えるそれらの設定や世界観を叩き台に、幻の続編企画『電撃超人グリッドマンF』などのお蔵入りになっていた設定も引用する形で制作されたのが、今回のTVアニメ『SSSS.GRIDMAN』。監督の雨宮哲は、2015年にスタジオカラーとドワンゴの短編映像企画「日本アニメ(ーター)見本市」で、『グリッドマン』を題材にしたショートアニメ『電光超人グリッドマン boys invent great hero』を発表し、そこで原作に対する愛情と敬意を示していたが、『SSSS.GRIDMAN』はそれら原作へのリスペクトのみに留まらず、「特撮作品をアニメ化することの意味」を考えた上で本作の制作に取り組んだようだ。

伊藤プロデューサー 今回の『SSSS.GRIDMAN』に関しては、雨宮監督もいろんなところで「特撮とアニメの架け橋になるような作品にしたい」と仰ってますけど、僕たちとしても、アニメと特撮のユーザー層が似て非なるエリアにあってなかなか融合できてない中で、そこにチャレンジしようという大前提がありました。なので、監督は通常の特撮作品でヒーローがパワーアップしておもちゃが発売されるような流れを意識してアニメを制作していました。ただ、おそらく監督は決してロボットものやアクションだけをやりたかったわけではなくて、裕太、内海、六花、アカネの4人の青春劇を描きたかったのだと思います。

鎗水プロデューサー 本作には「独りじゃない。いつの日も。どこまでも。」というキャッチコピーがありますけど、作品全体のテーマとしては「ひとりじゃないんだよ」ということですよね。アカネは観てる側からすると最初は敵に見えると思いますけど、制作サイドとしては決して彼女は敵ではない、ということをずっと意識してましたから。最終話まで観終わって思うのは、やはりこの作品は青春群像劇だということで、それぞれのキャラクターにいろんな関係性がありますし、その互いの距離感を楽しむことができるんですよね。

『ウルトラマンR/B(ルーブ)』主題歌とはある共通点が……

そういった『SSSS.GRIDMAN』の作品性を考慮した上で、その物語にしっかりと寄り添うように制作されたのが、OPおよびED主題歌の2曲だ。まず、オーイシマサヨシとTom-H@ckによる音楽ユニットのOxTによるOPテーマ「UNION」は、ボーカルも担当する大石が作詞・作曲を、Tom-H@ckが編曲を担当。頭サビの〈目を醒ませ 僕らの世界が何者かに侵略されてるぞ〉という鮮烈なリリックで聴き手の目を覚まさせると、清らかなピアノの旋律を伴いながらダイナミックにドライヴするバンドサウンドが日常の平凡な景色を次々と胸躍るものに塗り替えていき、1番サビラストで〈君を“退屈”から救いに来たんだ!〉と爽やかに背中を押してくれる、ヒロイックかつ『SSSS.GRIDMAN』の世界観にもバッチリとハマる楽曲と言えるだろう。

伊藤 この曲はいわゆる特撮ソングみたいなものではなくて、「ポップで今っぽい、2018年を代表するような曲にしてほしい」とお願いして制作してもらいました。歌詞は大石さんがシナリオを全部読んだ上で書いたのですけど、完成するまでに何度か歌詞のやりとりがTRIGGERさんとの間でありました。

鎗水 監督の中には歌詞の具体的なイメージが明確にテキストとしてあったみたいなんです。今回アカネのキャラソンを監督に作詞していただいたんですけど(『SSSS.GRIDMAN CHARACTER SONG.2』収録の「もっと君を知りたい」)、もう初稿からプロの作詞家レベルのものを上げてくださったので、びっくりしたんですよ。作品に入り込んでる人じゃないと入れないだろうという言葉が入ってたり、キャラの名前を小洒落た感じで入れてたりされてて。

なお、伊藤プロデューサーは特撮作品『ウルトラマンR/B(ルーブ)』の音楽プロデューサーも担当。そして同番組のOPテーマ「Hands」を歌っているのは奇しくもオーイシマサヨシその人だ。同時期に放送された円谷プロダクション関連の特撮とアニメの2作品で、両方のOPテーマを歌うという快挙を達成しているわけだが、特撮とアニメの架け橋となるその縁には、こんな裏話とさらなる広がりがあったという。

伊藤 これは『SSSS.GRIDMAN』でOxTがOPテーマを歌う話が決まった後に、偶然にも『ウルトラマンR/B』のお話もいただいたので、自分から円谷プロさんに提案させていただきました。大石さんはヒーローソングを歌うことが夢だったらしくて、僕もその話を何回か聞いたことがありました。

それで、もし同じアーティストが両方のテーマ曲を歌うことになれば、例えばオーイシマサヨシの歌をきっかけにウルトラマンファンの方が『SSSS.GRIDMAN』に興味を持ったり、その逆もありえると思います。両作品を盛り上げていくためにはいいストーリーを描けると思いました。「オーイシマサヨシ」というアーティストを架け橋として両方のタイトルを盛り上げましょうという提案をして円谷さんにも許諾いただきました。『ウルトラマンR/B』のEDテーマ(三森すずこ「夢飛行」)も鎗水が担当しています。

鎗水 「夢飛行」は『SSSS.GRIDMAN』の第4話と第8話で劇中歌として使用してるんですけど、あれは実はダビング作業をしてた時に「店内BGMをどうしましょう?」という話になって、普通ならフリー音源とかをハメるところなんですけど、TRIGGERのラインPが三森さんのファンということもあって、せっかくなので三森さんの曲を使うことになったんです。8話ではEDアニメのクレジットで内田真礼の曲と三森すずこの曲が一緒に並んでクレジットされたので、両方を担当してる僕としてはすごく嬉しかったです。

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