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「封神演義」「ガンダム00」……2019年はコレが熱い! ライター・横川良明がオススメする期待の公演5選

「封神演義」「ガンダム00」……2019年はコレが熱い! ライター・横川良明がオススメする期待の公演5選

2019年も2.5次元シーンは百花繚乱。特に上半期はこれからのシーンを切り開いていくであろう大型新作が続々発表されています。そこで、見逃せない期待の新作をピックアップ。「何を観よう…」と悩んでいるあなた、ぜひ参考にしてください。

文 / 横川良明

『ミュージカル封神演義-目覚めの刻-』

『封神演義』といえば、数々のヒット作を世に生み出した90年代ジャンプの後期を代表する人気作。約3000年前の古代中国・殷の王朝時代を舞台に、暴政の限りを尽くす皇后・妲己(石田安奈)に対抗すべく、道士・太公望(橋本祥平)は仲間を集め、妲己を人間界から追放する「封神計画」を進めていきます。

面白いのは、主人公・太公望のキャラクター。少年ジャンプの定番と言える勇気と正義の熱血キャラというわけではなく、飄々としてどこか掴み所がない策士です。ズルや悪巧みもいとわない、当時のジャンプとしては掟破りの主人公である反面、根底には正義感と思いやりに溢れ、人間的魅力もたっぷり。そんな太公望を橋本祥平がどう演じるのか注目の高まるところです。

また、宝貝(パオペエ)を扱うことで繰り出される技の数々や、霊獣・四不象(スープーシャン)など漫画ならではの描写が、舞台でどう再現されるかも気になります。

脚本は、劇団鹿殺しの丸尾丸一郎。『家庭教師ヒットマンREBORN!』the STAGE(脚本・演出)や19年夏の話題作である舞台「銀牙 -流れ星 銀-」~絆編~(脚本・担当)など、近年は2.5次元舞台に欠かせない存在として活躍しており、原作のエッセンスを凝縮したストーリーが期待できるでしょう。演出の吉谷光太郎もミュージカル「スタミュ」(演出)や「王室教師ハイネ -THE MUSICAL-」(演出)など2.5次元ミュージカルの実績は随一。手堅い布陣が揃っているだけに、安心して楽しめる1本になりそうです。

『ミュージカル封神演義-目覚めの刻-』

2019年1月13日(日)~1月20日(日)EX THEATER ROPPONGI
原作:藤崎竜(集英社文庫コミック版) 安能務訳「封神演義」より
脚本:丸尾丸一郎
演出:吉谷光太郎
音楽:tak
振付:MAMORU
出演:橋本祥平、安里勇哉、輝山 立、陳内 将、宮本弘佑、高松 潤、荒木健太朗、石田安奈、瀬戸祐介、青木一馬、武藤賢人、大平峻也、畠中洋

オフィシャルサイト

©安能務・藤崎竜/集英社 ©「ミュージカル封神演義-目覚めの刻-」製作委員会

舞台『機動戦士ガンダム00 -破壊による再生-Re:Build』

これまで数々のビッグタイトルが舞台化されてきましたが、ついにあのガンダムも2.5次元シーンに参戦。今回原作となるのは、07年に放映されたアニメ『機動戦士ガンダム00』です。こちらも主演は、橋本祥平。橋本は2ヶ月連続で大作舞台の主演を務めることとなりました。

ガンダムが舞台化と聞いて誰もが思うこと。それは、「ガンダムは舞台に出てくるのか否か」でしょう。当たり前ですが、実寸大のガンダムが舞台上に登場することは絶対にあり得ないわけで。では、あのガンダムの宇宙スケールの壮絶バトルをどう見せるのか。映像なのか。それとももっと別の手法なのか。現時点ではまだ公表されている情報が少なく、きっと幕が上がるまで全貌はお楽しみといったところでしょう。

脚本・演出の松崎史也がTwitterで「制限の中での無限を追求する」と呟いていた通り、アナログな演劇ならではの想像力を刺激する演出の数々が仕掛けられているのではと期待しています。

すでにチケットは入手困難状態とのことですが、ライブビューイングが実施されるということなので、気になる人はぜひチェックを。2.5次元シーンに刻まれるであろう挑戦作をぜひ見届けてほしいです。

©創通・サンライズ

舞台『機動戦士ガンダム00 -破壊による再生-Re:Build』

東京公演:2019年2月15日(金)~18日(月)日本青年館ホール
大阪公演:2019年2月23日(土)・24日(日)森ノ宮ピロティホール

原作:「機動戦士ガンダム00」(「機動戦士ガンダム」シリーズより)
脚本・演出:松崎史也
監修:水島精二
出演:橋本祥平、伊万里 有、鮎川太陽、永田聖一朗、前山剛久、一内 侑、立道梨緒奈、松村芽久未、澤田拓郎、阿瀬川健太、小林未往、加藤靖久、希代 彩、平湯樹里、瀬戸祐介、窪寺 昭

オフィシャルサイト

©創通・サンライズ

舞台『文豪とアルケミスト 余計者ノ挽歌』

ひそかに起きている文豪ブームの一翼を担うのが、このブラウザゲーム「文豪とアルケミスト」です。舞台は、どこかの時点で違う歴史を歩みはじめた日本。その世界では、「本の中の世界を破壊する侵蝕者」により、文学書が人々の記憶から消えようとしていました。この災禍に対処すべく、特殊能力者“アルケミスト”が、文学の力を知る「文豪」を転生させて敵を討伐する、というのがメインストーリー。

魅力は、実在する文豪をモデルにしたキャラクターの数々です。ナルシストの太宰治(平野良)を筆頭に、陽気な大阪人・織田作之助(陳内将)、破天荒で豪快な坂口安吾(小坂涼太郎)、そしてドライだけれど天然なところもある芥川龍之介(久保田秀敏)など見た目も性格も個性的。眉目秀麗なのは当然として、キャラクターもそれぞれにクセがあるので、必ずひとりはハマる文豪を見つけられるはず。

文学書を守るために侵蝕者と戦うという明快なメインプロットに加えて、文豪同士のやりとりにもそれぞれ見どころがあるので、そのあたりをどうキャストたちが演じてくれるかも楽しみなところです。

個人的には、こうしたど真ん中の2.5次元舞台で、平野良が主演を務めるのも気になるところ。もちろんミュージカル『ふしぎ遊戯』など今も2.5次元舞台には定期的に出演しているものの、本人も「煌びやかな2.5次元作品を実はあまり経験していなくて」とインタビューで答えていた通り、意外とこうしたタイプの舞台の出演は少ないそう。

が、そこは屈指の実力を誇る平野良のこと。きっと観客を虜にする太宰を演じてくれそうです。その他のキャストたちの好演にも大いに期待しています。

舞台『文豪とアルケミスト 余計者ノ挽歌』

東京公演:2019年2月21日(木)~28日(木)シアター1010
京都公演:2019年3月9日(土)・10日(日)京都劇場

原作:「文豪とアルケミスト」(DMM GAMES)
監修:DMM GAMES
世界観監修:イシイジロウ
脚本:なるせゆうせい
演出:吉谷光太郎
音楽:坂本英城(ノイジークローク)、tak
振付:MAMORU
出演:平野 良、陳内 将、小坂涼太郎、小南光司、深澤大河、谷 佳樹、杉江大志、和合真一、久保田秀敏

オフィシャルサイト

©舞台「文豪とアルケミスト」製作委員会

舞台『どろろ』

舞台『刀剣乱舞』を除けば、近年は『髑髏城の七人 Season月 下弦の月』や『No.9 -不滅の旋律-』など2.5次元以外の舞台への出演が続いていた鈴木拡樹が、久々に2.5次元のセンターに帰ってきます。原作は、手塚治虫のダークファンタジー「どろろ」。しかも今回は舞台版で主役・百鬼丸を演じるだけでなく、アニメのCVも務めるということで、まさに鈴木拡樹が手塚治虫の「どろろ」のイメージを新たに塗り替えることになりそう。

この「どろろ」は、天下欲しさに子を生贄に捧げた父のせいで、目や耳、手足など身体のあちこちを欠損した状態で生まれた主人公・百鬼丸と、幼くして両親を失い、孤児として育った子どもの盗賊・どろろ(北原里英)のふたりによる物語。失った身体の部位を取り戻すために妖怪討伐の旅を続ける百鬼丸は、道中でどろろと出会い、互いの孤独に共鳴し合うように絆を深めていきます。

手塚漫画らしい奇想天外な設定に、世の中の不条理、人間の欲深さや愚かさが混在したストーリーは、発表から半世紀が経った今もなお決して色褪せることはありません。時代や人間に対する強烈な風刺も含まれており、妖怪活劇という枠を超えたヒューマンドラマとしての面白さ満点。

仕込み刀をはじめとした百鬼丸の身体の表現を舞台でどう成立させるかという注目ポイントもありますが、最大の焦点は鈴木拡樹。冒険譚という一言ではおさめきれない複雑な物語性をどのように演じ上げるのか。鈴木拡樹の俳優としての真価が問われる作品になると思います。どの舞台でも全身全霊で役を生きてきた鈴木拡樹だからこそ見せられる百鬼丸の孤独と優しさを、ぜひ多くの観客の心に届けてほしいです。

舞台『どろろ』

大阪公演:2019年3月2日(土)・3日(日)梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
東京公演:2019年3月7日(木)~17日(日)サンシャイン劇場
福岡公演:2019年3月20日(水)ももちパレス
三重公演:2019年3月23日(土)三重県文化会館 大ホール

原作:手塚治虫
脚本・演出:西田大輔
脚本監修:小林靖子
出演:鈴木拡樹 / 北原里英 / 有澤樟太郎 / 健人、影山達也、田村升吾、赤塚篤紀、児島功一 / 唐橋充、大湖せしる

オフィシャルサイト

©手塚プロダクション/舞台「どろろ」製作委員会

『僕のヒーローアカデミア』The “Ultra” Stage

かねてからファンの間でいずれ舞台化になるのではと予測されていた『ヒロアカ』。多くの人が待ち望んだ夢の日がついにやってきました。

舞台は、世界総人口の約8割が超常能力“個性”を持つ超人社会。その“個性”を発揮して敵を倒すヒーローは、子どもたちの憧れです。主人公・緑谷出久(田村心)もいつかヒーローになりたいと夢見る少年のひとりでした。けれど、彼は超常能力が発現しない“無個性”。“個性”を持たない出久がヒーローになることなど不可能だと、そう誰もが思っていました。ですが、ヒーローに対する強い憧れと、No.1ヒーロー・オールマイト(岩永洋昭)との出会いが、出久の運命を変えていくのです。

少年ジャンプの魂がつまった胸躍る王道ストーリーと、これまでの常識を覆すユニークな“個性”の数々が本作の魅力。特別な能力は何も持たなかった出久が、ヒーローになりたいという強い意志だけで前へ突き進んでいく姿には、年をとるごとに忘れてしまうピュアな爽快感があります。

そんな純粋な出久と対照的なのが、幼なじみの爆豪勝己(小林亮太)です。強力な“個性”に恵まれ、抜群の戦闘センスを誇る一方で、プライドが高く暴虐的な爆豪は、事あるごとに出久に敵対心を燃やし、衝突を起こします。そんな攻撃的な爆豪の態度に最初は言われるままだった出久ですが、成長と共にその関係性にも変化が生まれ……。

このふたりを軸にしつつ、ヒーロー一家に生まれ、有名なヒーローである兄に対して憧れを持つ飯田天哉(猪野広樹)や、強力無比な“個性”を持ちながらも、父親に対して憎しみを抱く轟焦凍(北村諒)など、魅力あふれる仲間たちのサイドストーリーも細かく描き込まれており、どの登場人物の視点から見ても素直に感情移入ができます。

原作が大人気作品だけに、今後のシリーズ化も期待される本作。その記念すべき初演の幕がこの春上がります。客席でその瞬間を共有できた人たちは、きっと伝説の目撃者になるはず。

『僕のヒーローアカデミア』The “Ultra” Stage

東京公演:2019年4月12日(金)~4月21日(日)天王洲 銀河劇場
大阪公演:2019年4月26日(金)~4月29日(月・祝)サンケイホールブリーゼ

原作:堀越耕平「僕のヒーローアカデミア」(集英社「週刊少年ジャンプ」連載)
演出:元吉庸泰
脚本:西森英行
音楽:和田俊輔
振付:梅棒
出演:田村 心/小林亮太 竹内 夢 猪野広樹 北村 諒/野口真緒 田中尚輝 佐藤祐吾 橋本真一 山﨑紗彩  奥井那我人 松原 凛 馬場莉乃 松川大祐/
雷太/瀬戸祐介 岡本悠紀 上田悠介/林 剛史 岩永洋昭 ほか

オフィシャルサイト

©堀越耕平/集英社・「僕のヒーローアカデミア」The “Ultra” Stage製作委員会


原作の人気、物語のスケール、キャスト・スタッフの充実度。どれをとってもトップクラスと言えるのが、今回紹介した5作品です。千秋楽が近づいてから「やっぱり観れば良かった!」と後悔しても時すでに遅し。興味が湧いた人は今すぐチケットの手配を。きっと「あのときチケットを予約した私、グッジョブ!」と言える納得のエンタメ体験ができるはずです。