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ミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズン。青学(せいがく)の前に立ちはだかる、笑いの新風、四天宝寺。彼らの熱戦をレポート

ミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズン。青学(せいがく)の前に立ちはだかる、笑いの新風、四天宝寺。彼らの熱戦をレポート

ミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズン 青学(せいがく)vs四天宝寺が、12月20日(木)より開幕した。強豪・氷帝を撃破し、全国大会もいよいよセミファイナルへ。が、しかし、そんな青学(せいがく)の前に立ちはだかった四天宝寺はひと味もふた味も違うクセモノ揃い。ひと筋縄ではいかない難敵を相手に越前リョーマたちはどう戦うのか。笑いと白熱のゲネプロをレポートする。

取材・文・撮影 / 横川良明

笑いが命! 異色の実力校が青学(せいがく)と激突!

こんな『テニミュ』見たことない……! それが、幕が下りての一番の感想だった。

ミュージカル『テニスの王子様』と言えば、テニスにかける中学生たちの超人的な技と技のぶつかり合いが見どころ。予想を上回る相手の必殺技に時に翻弄され、時に圧倒されながらも、試合の中で成長し、勝利を掴んでいく、その姿に何度も胸を熱くさせられてきた。

が、この「3rdシーズン 青学(せいがく)vs四天宝寺」公演はいつもの『テニミュ』と雰囲気が違う。その理由は、今回のライバル校・四天宝寺の存在。大阪代表らしく、完全にノリが大阪人。前年度全国大会ベスト4という実力校ながら、そこかしこで貪欲に笑いをとってくる。その明るさと自由奔放さが、全国大会セミファイナルという緊張感張り詰める場に、また違う風を吹かせてくれた。

とにかくオープニングの登場から四天宝寺は絶好調。ラテンのリズムに乗って腰を振ったり膝でリズムをとったり、ダンスもコミカルでユニークだ。

最も象徴的なのは、ダブルス2。桃城 武(大久保 樹)&海堂 薫(中島拓人)ペアvs金色小春(森田力斗)&一氏ユウジ(谷津 翼)ペアによる一戦は新感覚。試合中にいきなり千手観音ポーズをとったり、金色&一色ペアは点をとることより笑いをとることに命懸け。

そんな奇襲に、すっかり自分のペースを崩される桃城&海堂。「不器用っスから」と意地を張る姿もふたりらしくて、手に汗握るいつもの『テニミュ』と違い、どこかほのぼのとした気持ちで観戦できる。

原作にも登場した「シンクロ」など随所にギャグが散りばめられ、お笑いテニスの破壊力は抜群。それでいて、データマン・乾 貞治(竹ノ内大輔)を超える情報量を宿した金色の頭脳プレイなど、プレイヤーとしての実力は本物。こんな個性派ペアに桃城&海堂はどう対抗するのか。ふたりの意地と戦略に注目だ。

天才の本気と、凡人の意地。そのどちらも描かれるから『テニミュ』は面白い

もちろん『テニミュ』らしい熱戦も満載だ。初戦を飾る不二周助(皆木一舞)vs白石蔵ノ介(増子敦貴)のシングルス3は、天才vs聖書(バイブル)の戦い。いつも穏やかで淡々としている不二が、コート上で倒れ込むまで追い詰められる様は、天才・不二をよく知る者にとっては衝撃の光景。だが、一筋も光明が見えない絶望の底から逆転を信じて這い上がる姿こそが、『テニミュ』に通底するスピリット。自分の力でチームを全国優勝へ導こうと、がむしゃらになって食らいつく本気の不二に、『テニミュ』の本質を改めて感じさせられた。

対する白石も「絶頂(エクスタシー)」の口癖と共に、艶やかに躍動。演じる増子が、指先から腰の振り方までいかに色っぽく見せるかをしっかり研究しており、観客の視線を惹きつける。そのセクシーな歌とダンスにも注目して欲しい。

手塚国光(青木 瞭)vs千歳千里(江本光輝)による変則ダブルス(事実上のシングルス)も見応えがあった。百錬自得の極みvs才気煥発の極みという究極奥義の対決は、もはや規格外のスケール。中でも、どんな強敵が現れようと決して崩されることのない手塚の盤石の強さに、「これこそが手塚」と感嘆させられてしまう。青木の歌声は前作以上に力強さと伸びやかさが増し、部長の風格十分。公演を重ねるごとに、一層磨きがかかることだろう。

越前リョーマ(阿久津仁愛)の今回の対戦相手は、遠山金太郎(平松來馬)。前回の全国氷帝公演における跡部景吾(三浦宏規)との試合が人智を超えた一戦なら、今回の金太郎との戦いはテニスの楽しさという原点に立ち返るような戦いだ。伯仲する才能同士がぶつかり合ったとき、生まれる感情はきっと嫉妬でも優越感でもなく、勝利への純粋な欲求と、ただコイツとボールを打ち合っているのが楽しいというシンプルな喜び。

天真爛漫な金太郎を、平松が全身を使った弾力的な動きで表現し、「コシマエ~」と呼ぶ高い声が妙に耳に残って愛らしい。そんな金太郎に呼応するように、リョーマもいつものポーカーフェイスと違い、どこか少年らしい楽しげな顔つきでラケットを振っている。阿久津仁愛(にちか)の堂の入った演技に、一朝一夕では得られない、歳月と共に熟してきた確かなものがにじみ出ている。

そして何より個人的に最も感動させられたのが、河村 隆(岩田知樹)vs石田 銀(森 一平)によるシングルス2だ。屈強なパワープレイヤー・石田に立ち向かえるのは河村しかいない。そんな期待を背負って立った勝負のコート。しかし、桁違いの石田のショットに河村は文字どおり血まみれとなる。

「青学(せいがく)のお荷物」──自分がそう揶揄されていることなど知っている。手塚や不二といった天才たちに囲まれて3年間を送ってきたのだ。自分が凡人であることぐらい誰に言われなくてもわかっている。それでも、ここで負けるわけにはいかない。卒業したら家業を継ぐ予定の河村にとって、これが最後のテニス。ボロボロになりながらも決して最後まで諦めない河村の反撃に、一番瞼を熱くさせられた。

振り返ってみると、普段より笑い成分濃いめでありながら、『テニミュ』らしい感動も十分味わえる165分(休憩15分含む)。新曲も計11曲と新鮮なラインナップになっていて、1stシーズンや2ndシーズンを知る人にとってもまた新しい四天宝寺公演と言えそうだ。

100人くらいに見える熱量で頑張りたい

囲み会見には、越前リョーマ 役の阿久津仁愛(にちか)、手塚国光 役の青木 瞭、白石蔵ノ介 役の増子敦貴、遠山金太郎 役の平松來馬が登壇。

意気込みを問われた阿久津仁愛(にちか)は「四天宝寺公演は総勢24名で、いつもの公演より少し少ないですけど、その分、100人くらいに見えたらいいなって思うぐらいの熱量で頑張っていきたいと思います」と気合い満点。

本公演2作目の出演となった青木 瞭は、初登場の四天宝寺に対し「1公演分多いので、先輩の部分であったり、成長できた青学(せいがく)の姿をまず皆さんにお見せできれば」と先輩の余裕を見せた。

増子敦貴は「四天宝寺はお笑いをモットーにする学校なんですけど、手塚役の青木さんが笑っちゃうぐらいまで大爆笑を狙いに行きたい」と、クールな手塚に宣戦布告。

平松來馬は「最初の公演だから青学(せいがく)より動き悪いんだなって思われないように。青学(せいがく)より動きいいじゃんって思われるぐらい、一公演一公演、気を抜かずに全力でやりたい」と貪欲な一面をうかがわせた。

ミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズン 青学(せいがく)vs四天宝寺は日本青年館ホールにて12月25日(火)まで上演。その後、大阪、岐阜、宮城を巡演し、2019年2月7日(木)から17日(日)までの間、TOKYO DOME CITY HALLにて東京凱旋公演を上演する。また、大千秋楽の2月17日(日)には、日本全国、香港、台湾にてライブビューイングも決定している。異色の実力校との激突が巻き起こす笑いと感動のセミファイナルをたっぷり堪能して欲しい。

ミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズン 青学(せいがく)vs四天宝寺

東京公演:2018年12月20日(木)~12月25日(火)日本青年館ホール
大阪公演:2018年12月29日(土)~2019年1月13日(日)大阪メルパルクホール
岐阜公演:2019年1月26日(土)~1月27日(日)バロー文化ホール(多治見市文化会館)大ホール
宮城公演:2019年2月2日(土)~2月3日(日)多賀城市民会館 大ホール
東京凱旋公演:2019年2月7日(木)~2月17日(日)TOKYO DOME CITY HALL

ライブビューイング:2月17日(日)17:30開演回
会場等詳細はこちら

原作:許斐 剛『テニスの王子様』(集英社 ジャンプ コミックス刊)

出演:
〈青学(せいがく)〉
越前リョーマ 役:阿久津仁愛
手塚国光 役:青木 瞭
大石秀一郎 役:江副貴紀
不二周助 役:皆木一舞
菊丸英二 役:田口 司
乾 貞治 役:竹ノ内大輔
河村 隆 役:岩田知樹
桃城 武 役:大久保 樹
海堂 薫 役:中島拓人
堀尾聡史 役:琉翔
加藤勝郎 役:中三川歳輝
水野カツオ 役:奥田夢叶

〈四天宝寺〉
白石蔵ノ介 役:増子敦貴
小石川健二郎 役:安東秀大郎
千歳千里 役:江本光輝
金色小春 役:森田力斗
一氏ユウジ 役:谷津 翼
忍足謙也 役:千田京平
石田 銀 役:森 一平
財前 光 役:廣野凌大
遠山金太郎 役:平松來馬
渡邊オサム 役:碕理人

〈不動峰〉
橘 桔平 役:青木空夢

〈山吹〉
亜久津 仁 役:川上将大

オフィシャルサイト
テニミュ・モバイル

©許斐 剛/集英社・NAS・新テニスの王子様プロジェクト
©許斐 剛/集英社・テニミュ製作委員会