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「愛してる」の言霊にファンが酔いしれる。崎山つばさ、クリスマスの初ワンマンライブ

「愛してる」の言霊にファンが酔いしれる。崎山つばさ、クリスマスの初ワンマンライブ

2018年12月25日、ミュージカル『刀剣乱舞』に石切丸 役として出演するなどいま注目の役者であり、アーティストの崎山つばさ初ワンマンライブ「崎山つばさ Premium Christmas Night 〜UTOPIA〜」がZepp DiverCity(TOKYO)にて行われた。2017年11月1日の「崎山つばさ with 桜men」のデビューイベントから約1年と少し、様々な経験を経て、アーティストとして成長した姿が垣間見えるライブとなった。また、ライブ前の忙しい中でもコメントを届けてくれた、そちらもお伝えしよう。

取材・文 / 竹下力 

みなさんを夢のような“ユートピア”に連れて行きます

2017年11月1日、「崎山つばさ with 桜men」のデビューシングル「月花夜」の初リリースイベントのことを今でもはっきりと覚えている。その後、セカンドシングル「螺旋」をドロップ、全国各地でリリースイベントを精力的にこなし、“a-nation 2018”といった大型フェスに参加するほど人気と実力をモノにしていった。そして崎山つばさ名義でサードシングル「Crescent Moon」をリリースした際にインタビューをした。その時、舞台で演じている彼からは想像もつかない、スマートで優しい声が耳から離れない。アーティストとしての崎山のデビューイベントから、ひとつの到達点であるZepp DiverCity(TOKYO)での初のワンマンライブに立ち会えることに、取材という形でしかないが、様々な感慨が蘇って胸が熱くなる。

ステージには紗幕がかかっている。そしてSEが流れて暗転する。歓声とともに紗幕が開くと、舞台の中央でスポットライトに当たりながら、マイクスタンドをがっしりとつかんで俯いている男がいる。それが“崎山つばさ”だ。歓声がマックスに達したとき、小気味好いアコギのカッティングからライブがキックオフする。アルバムの表題曲の「UTOPIA」だ。会場のテンションは一瞬で最高潮になる。

曲が終わって「UTOPIA」の余韻に浸る間もなく、激しいシンセの音が響き渡る。崎山が「行くぞー、お台場!」とのかけ声から始まる「Crescent Moon」。人気女性向け恋愛ゲーム『イケメンヴァンパイア◆偉人たちと恋の誘惑』1周年記念テーマソングだ。「思わず“禁断の恋愛”をしたくなる曲を作りたかった」とインタビューで語ってくれたけれど、“白い首筋”、“爪立てたなら”、“濡れた唇”といったパワーワードが飛び交う崎山流のデンジャラス&セクシーなナンバーで、彼は客席を「オイ! オイ! 騒げ、お台場!」と煽るとそれに「オイ! オイ!」とレスポンスをしていく観客。たった2曲で客席と崎山に今夜だけの“絆”が生まれる。バンドは、ギター、ベース、ドラム、シンセ、とシンプルな編成。しかし手練れたちが揃っているので、一音一音タイトでまったくブレない。

そして矢継ぎ早に「叫べ!」と客席を縦ノリにしてしまう「Re:quest」に繋がる。これは崎山が初めて作詞を手がけた曲だ。また、来年3月に公開される初主演映画『クロガラス』2部作の主題歌となっている。それ以上に、「存在価値を決めるのは自分自身でしかない」といった、意味深なワードがちりばめられていて、まるで役者・崎山つばさという存在を我々に叩きつけるようなハードなロック。そこから『この「薄情」天空に投げて』とメタリックとさえ形容していい曲群で会場を圧倒していく。

4曲を一気に歌い終わると崎山は「ありがとうございます! みなさんのおかげでこの場に立てることを嬉しく思います。僕らはみなさんから夢のような時間をもらっています。だから、僕らも今夜、みなさんを夢のような“ユートピア”に連れて行きます」と宣言し、客席から歓声が飛び交うと、「次の曲は僕の父親が作詞・作曲をした曲です。しかも両親が来てまーす(笑)。まさか父親の曲を歌うことになるなんて……そんな親子コラボ曲!」と始まったのは、80年代ギターロック風なナンバー「IN THE HIGHWAY」。舞台の中央にはお立ち台が設置され、そこから落ちそうなぐらい前のめりになって崎山は客席にマイクを差し出してサビを観客と一緒に歌おうとする。客席もマイクを掴んでサビを歌い上げる。まるで親子のように一体感が半端ない。歌い終わっての「サンキュー」の挨拶も最高にキマっている。そのまま崎山作詞の「スノーギフト」になだれ込む。彼の心情を吐露したような曲で、“愛”があれば大丈夫だと訴えてくれる。

曲が終わると崎山は「ワンマンライブに向けて完成したアルバムですが、ロックあり、バラードあり、和楽器あり、お父さんの曲あり(笑)、本当にヴァラエティ豊かなものになりました。ファーストワンマンライブというのは1人に1回しかないものです。だから特別な思い出にしたいんです。ここからはしっとりしたナンバーをお届けします。みなさんの心にある“故郷を思う曲”」とスタートしたのが「ふるさと」で、柔らかいピアノが印象的な曲だ。作詞・作曲は、舞台『クジラの子らは砂上に歌う』(18)で音楽を手がけ、その時にも出演していた崎山が絶大な信頼を寄せているvagueのYuだ。そして同じく作詞・作曲Yuによる「キンモクセイ」と続く。「リスナーにそっと寄り添った優しい歌になった」と語ってくれた理想の家族の風景を描いた曲。観客はサイリウムを振りながら、彼の優しい歌声に酔いしれている。

“和”と“洋”のケミストリーが独特なグルーヴを生み出す2幕

ここで紗幕が閉じて崎山は早替えをする。ライブというより舞台の転換のイメージに近い。彼のライブには舞台の要素もしっかり息づいている気がして不思議と安心してしまう。ここからは第2幕といった風情で、バンドメンバー、人気ファッションブランドgoukによる着流しのコーディネートの崎山以外に、中村仁樹(尺八)、古里祐一郎(太鼓)、KIJU(津軽三味線)、大川義秋(箏)と和楽器界では知る人ぞ知るイケメン和楽器集団“桜men”の4人も登場して、“崎山つばさ with 桜men”が再び集結する。

最初に披露されたのがファーストシングル「月花夜」。この曲は、2017年、2万人を動員した大ヒット舞台『煉獄に笑う』の劇中歌に採用されている。崎山も主人公の芭恋 役で出演して、その時の彼の演技は筆舌にしがたいものがあったし、劇中歌も素晴らしくて、舞台は和のテイストが普段に盛り込まれていたけれど、ライブで聴くとさらに強烈なインパクトを残してくれる。バンドメンバーもいたから、“和”と“洋”のケミストリーが聴いたことのない独特なグルーヴを生み出すからだろうか。続いてセカンドシングル「螺旋」のカップリングの「上弦の月」でしっとりと聴かせる。

崎山は客席に広がる一面のピンク色のサイリウムを見て「桜色になってますねー」と今日の景色を忘れないという想いを隠さない。「このメンバーが揃うのは半年ぶりぐらいですね」と崎山がしんみり語ると、古里が「寂しかったに決まっているだろ!」と客席から笑いを誘う。リーダーの中村は「寂しかったから新曲書いちゃったよ。“螺旋”がつばさくんの目をイメージして作ったのですが、次はつばさくんから“鼻”のイメージでと要求されて(笑)」。さらに崎山は悪ノリをして「じゃあ、次は僕のエラで」と掛け合う。彼らのやりとりを見ていると本当の家族みたいだ。そして「薫ル恋ノ夢」の“桜men”バージョンが披露される。尺八のメロディーが異なる次元にぶっ飛ばしてくれるダンサブルな曲調に崎山がラップっぽい歌詞を乗せていくのが新鮮だ。続いて崎山が「それでは久々に行きます!」と始まった「螺旋」へ。オーディエンスのレスポンスが凄まじい。それでいて崎山の憂いのある“瞳”が客席に注がれる。

盛り上がる客席を笑顔で見つめながら「早いもので次が最後ですが、悔いが残らないように声を出していけますか!」とシャウトすると、箏の音のイントロから凄まじいカオティックな“和ロック”へ突き進むファーストシングルのカップリング「君の隣へ」。崎山が「タオルを回せ」と叫べば、客席からグッズの赤いタオルが振り回される。舞台が茜色に染まって行く。会場がひとつになっていく。尺八の音色が乱れとび、太鼓が怒涛の連打を見せる。歌い終わると崎山は「いやー、出し切ったね」と感慨深げに語って袖にはけた。

みんな愛してる!

もちろん、これで終わるはずがないし、終わるわけもない。こんなアゲアゲな気分にしておいて「さよなら」では済まされない。客席から叫びにも似た「アンコール」。それに応えるようにメンバーが登場し、最後にクリスマスの衣装をまとった“つばサンタ(崎山)”が登場! プレゼントと称してカラフルなゴムボールを29個(彼の年齢)客席に投げ入れるのだけど、さすが元・野球少年、投げ方もかっこいい。
崎山は感慨深げに最後の挨拶として「今年1年、みなさんと色々な景色を見てきました。みなさんの応援が言霊となって今の時間に繋がっています。17年の11月にデビューして、アーティストとしても活動することになったけれど、こうやって応援してくれる人がいるからここに立つことができました。僕はこの光景を忘れたくないし、来年、再来年、10年後、20年後と未来へ繋いでいく時間にしたい。そんなありったけの想いを伝えたくてYuさんがこの日のために新曲を作ってくださいました」と美しいピアノの旋律が曲を先導していく「frost flower」へ。コーダの部分は演奏を止めて「ラーラーラー」というコーラスを感極まった観客と一緒になって歌う。祝祭感溢れる感動的なコール&レスポンスが永遠に続く……かと思いきや。

突然ドラムのキックが高らかに鳴り会場を震わせ、崎山が「みなさんこの1年の鬱憤を晴らしてください!」と待ってましたと言わんばかりの「ダンシング☆サムライ」へ! 2008年に発表されたかにみそPの作詞・作曲の人気ボカロ曲のカバー。振付をDA PUMPのTOMO、KENZOが手掛け、殺陣とダンスを融合させた“カブキダンス”に挑戦したMVが公開されて話題になっているが、ライブでは4人のダンサーと一緒に、殺陣を披露しながら、MVの“ダサかっこいい”ダンスを踊っていく。もちろん崎山だから“ダサい”わけないのだけれど……客席もノリノリで、「この日、この時間、この瞬間」だけを生きているような躍動感に満ちていた。アンコールを入れて計15曲。これはデビュー曲から最新曲まですべて披露したことになる。

最後にすべてのメンバーと手を取り合って丁寧に挨拶をしているのだが、それが舞台のカーテンコールのように見えて、改めて彼はやっぱり役者であることも実感させてくれる。彼は崎山つばさという“役者”であり、“アーティスト”でもあり、類な稀な才能に満ちた“崎山つばさ”そのものである。そして最後に彼は「みんな愛してる!」とリップサービスでなく心の底から言ってくれた。このライブには“慈愛”が常に満ちていた。10年後、いや、2019年でもいい、自称“マイペース男”の崎山は次にどんな新しい姿を我々に見せてくれるのだろう。答えは見つからない。けれど、彼は約束してくれたはずだ。「またいつか必ずどこかで会おう」と。

来年は紅白歌合戦に白組として出られるように

このライブの本番前に崎山つばさから簡単なコメントを奪取することができた。初のワンマンライブの心境を尋ねられた崎山は「ワクワク半分、ドキドキ半分です。リハーサルを終えて、お客様が会場に入って、どういうライブになるのか楽しみです。緊張すると思いますが、自分が楽しめば、みなさんにも楽しんでもらえると思います」と真剣な面持ちで語った。

そして2018年を振り返って崎山は「ワンマンライブは夢でしたし、紅白歌合戦にミュージカル『刀剣乱舞』の刀剣男士の一振りとして出演できるので嬉しいですが、まだ夢見心地ですね。今年はいろいろな経験をさせていただいて、初主演映画も撮らせていただき、充実した1年になりました。来年は紅白歌合戦に白組として出られるように頑張りたいと思います(笑)。今年1年、ファンのみなさんに支えられて1年を過ごすことができました。来年も応援よろしくお願いいたします」とファンに向けて心からの挨拶をした。

崎山つばさ Premium Christmas Night 〜UTOPIA〜

2018年12月25日 Zepp DiverCity(TOKYO)

セットリスト
01.UTOPIA
02.Crescent Moon
03.Re:quest
04.この「薄情」天空に投げて
05.IN THE HIGHWAY
06.スノーギフト
07.ふるさと
08.キンモクセイ
09.月花夜 with 桜men
10.上弦の月with 桜men
11.薫ル恋ノ夢 with 桜men
12.螺旋 with 桜men
13.君の隣へ with 桜men
EN01.frost flower
EN02.ダンシング☆サムライ

崎山つばさ1st Album『UTOPIA』

写真集盤※初回生産限定盤
CD+40P写真集
三方背ブックケース/豪華40Pブックレット/トレカ5種類中1種ランダム封入
¥3,850(税抜)

MUSIC VIDEO盤
CD+DVD
¥3,850(税抜)
初回特典:トレカ5種類中1種ランダム封入

スペシャル映像盤
CD+DVD
¥3,850(税抜)
初回特典:トレカ5種類中1種ランダム封入

CDのみ盤
CD※本形態のみボーナストラック1曲収録
¥3,000(税抜)
初回特典:トレカ5種類中1種ランダム封入

映画『クロガラス1』

2019年3月9日(土)より1週間限定レイトショー
映画『クロガラス2』
2019年3月31日(土)より1週間限定レイトショー

出演
エピソード1
崎山つばさ、植田圭輔、最上もが、西川俊介、出口亜梨沙、南 圭介/菅田 俊
エピソード2
崎山つばさ、植田圭輔、最上もが、浅川梨奈、栗林藍希、松林慎司/菅田 俊
監督:小南敏也
主題歌:崎山つばさ「Re:quest」
©エイベックス・ピクチャーズ株式会社

崎山つばさ(さきやま・つばさ)

1989年11月3日生まれ、千葉県出身。ミュージカル『刀剣乱舞』石切丸役で注目を集め、2017年は同シリーズの「三百年(みほとせ)の子守唄」に出演。おもな出演作として【舞台】『CHaCK-UP』シリーズ、ミュージカル『Dance with Devils』、『ROCK MUSICAL BLEACH』~もうひとつの地上~、『錆色のアーマ』、『孤島の鬼』、『煉獄に笑う』、『クジラの子らは砂上に歌う』、『ROCK MUSICAL BLEACH』~もうひとつの地上~、『御茶ノ水ロック』、ミュージカル『刀剣乱舞』 ~阿津賀志山異聞 2018 巴里~など【ドラマ】『アルジャーノンに花束を』、『お茶の水ロック』など【音楽】“崎山つばさ with 桜men”名義でシングル「月花夜」「螺旋」をリリースしている。崎山つばさ名義でシングル「Crescent Moon」をリリース後、1stアルバム『UTOPIA』を発売。役者として1月にはミュージカル『刀剣乱舞』~三百年の子守唄~に出演予定。また、3月には映画『クロガラス1』と『クロガラス2』で初主演を務める。

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