LIVE SHUTTLE  vol. 38

Report

EGOIST Greeting Tour 2016@Zepp Tokyo 2016.6.18

EGOIST Greeting Tour 2016@Zepp Tokyo 2016.6.18

取材・文 / 西原史顕


EGOISTのライブと言えば、最新の映像技術を駆使した3DCGエンターテイメント。スクリーンに映し出される楪いのりというキャラクターの姿に、ファンは吸い寄せられているのだと思っていた。
しかし活動開始から約5年が経とうとしている今、EGOISTを取り巻く環境は確実に変わっている。そう強く感じたのが、今回の“EGOIST Greeting Tour 2016 : side-A「UNVEIL of KABANERI」”と、“EGOIST Greeting Tour 2016 : side-B「UNVEILed of KABANERI」”の両ツアーだった。  本稿では“side-B”6月18日公演(@Zepp Tokyo)を軸に、EGOISTの現在地を少しでも紐解ければと思う。

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さて、ステージ上には3つの巨大なスクリーン。客席の一部には高々とプロジェクターが積み上げられ、異彩な存在感を放っている。そんな巨大な装置が囲む空間のなか、約2,000人のオーディエンスが開演を今か今かと待ち構えていた。
やがて暗転。弦楽器のチューニング音が流れる演出ののち、ダンサブルなデジタルナンバー「Extra terrestrial Biological Entities」で本ライブは幕を明けた。中央のスクリーンに楪いのりが現れると、オーディエンスが最初の歓声を上げる。続く「好きと言われた日」も4つ打ちのキックが冴える1曲だ。そして壮大なバラード「Door」が流れると、フロアのペンライトが一斉に青に染められた。

EGOISTのライブには、まだ未体験や初体験の人々に対し、ひとつだけ“説明”が必要な点がある。それは楪いのりとchellyというふたりのボーカリストの関係だ。ステージのスクリーンに映し出される3DCGキャラクターの楪いのり。一方のchellyはそのスクリーンの裏に立ち、実際の歌声を届ける役割を担っている。chellyの身体にはモーションセンサーが取り付けられており、彼女の動きがリアルタイムで楪いのりと直結し、スクリーン上を躍動するという仕組みだ。
しかし、近年のEGOISTを観ていると、chellyの立ち位置が明らかに変わってきた。表に立たず顔を見せない点は変わらず。だがSNSやラジオ、各種文字メディアでは、楪いのりとしてではなくchellyとしての立ち振舞いが当たり前になった。そしてライブにおけるMCも、当初はこの特殊な間柄を意識してか恐る恐る自己を表現していたが、今や堂々と自らのプライベートを話すまでになっている。今回のツアータイトルに“Greeting”とあるのも、そんなchellyの「もっと自分を出していこう」という意志の現れだ。

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4曲目も珠玉のバラード「Departures 〜あなたにおくるアイの歌〜」がフロアに優しく響く。続く「Ghost of a smile」も美しいピアノ曲。あれは人の魂なのだろうか、粉雪ように漂う小さな球体が辺りを包み込む映像演出が素晴らしい。そしてアンビエントなエレクトロニカ「カナデナル」のあとに、激烈なヘヴィナンバー「Fallen」。さらに「リローデッド」で加速がかかると、フロアは最初のピークを迎える。

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と、ここでTVアニメ『甲鉄城のカバネリ』のOPテーマで最新シングル「KABANERI OF THE IRON FORTRESS」にちなんだ特別コーナーが始まった。ツアー前半の“side-A”では同じくEDテーマ「ninelie」を歌うAimerとのコラボレーションを果たしたが、“side-B”の今回は、なんとキャストの畠中 祐(生駒 役)と千本木彩花(無名 役)が登場。ラジオ公開収録とフリートークのサプライズが用意されていた。さすが現在放送中(ライブ開催時)の人気アニメ作品だ。フロアはライブ時とは異なる異様な盛り上がりを見せる。

畠中 祐

畠中 祐

千本木彩花

千本木彩花

コーナーの後半では、chellyが劇中のお気に入りシーンをいくつかピックアップし、キャストのふたりに生アテレコをリクエストするサービス企画も実施。迫真の演技を前にchellyもひとりのアニメファンに立ち戻り、感激しっぱなしの様子を隠さない。そして最後は、特殊セリフが加えられた「KABANERI OF THE IRON FORTRESS (TV Edit)」のイントロを生再現。

「貴様、人かカバネか」(chelly)
「どちらでもない」(千本木)
「俺はカバネリだ!」(畠中)

三者の叫びと同時に楽曲がスタートし、本ライブは後半戦へと突入した。

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「It’s all about you」からの4曲は、EGOIST独特の小悪魔的ガールズ・ロック&EDMタイムだ。「手遅れ」と「1.4.2」では盛大なコール&レスポンスが巻き起こり、「elbadaernU」ではダイナミックな縦ノリでフロアが揺れ動く。そして、代表曲「名前のない怪物」と「The Everlasting Guilty Crown」によるクライマックス。オーディエンスの一体感はMAXとなり、chellyも「(声の出し方が)完璧ですねっ」と弾んだ声を出す。
そしてこの日の本編は、「All Alone With You」で締めくくられた。スクリーン上の楪いのりが光に包まれると、紺碧のドレスを纏った姿へと変貌。その美しさにフロアからため息が漏れる。

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改めてになるが、EGOISTはTVアニメ『ギルティクラウン』(2011年)における架空のアーティストとして誕生したアーティストだ。楪いのりはそのボーカリストであり、同時に『ギルティクラウン』の主要登場人物でもある。chellyは、楪いのりが劇中で歌うときの歌唱役として、オーディションで抜擢されたに過ぎなかった。
しかしEGOISTは『ギルティクラウン』完結後も単独で存続し、他アニメ作品の主題歌まで担当するようになった。同時にchellyも無感情なキャラである楪いのりの設定を飛び越えて、情熱的な歌唱を見せていくようになる。
EGOISTはリリースを重ねるごとに、chellyの個性を中心とするアーティストへと変わり続けている。ただ、chelly本人は楪いのりに取って代わろうとしているのではない。MCで「みんなとの距離をまた縮められたかなと思います」と述べているように、EGOISTにおける自身の存在意義を、模索し続けているのである。そしてファンもまたその想いを理解し、生身のシンガーであるchellyと偶像としての楪いのりの間に、心地よい着地点を見つけ出そうとしている。

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アンコールはキュートなナンバーが続き、フィナーレには定番となった「キミソラキセキ」が流れ出す。ゆったりと心地よく響きわたるメロディのなか、オーディエンスは静かに目を閉じ思い思いの空想に耽っているようだった。そしてラストのフレーズ“キミを愛してる”。

「今日はほんとにありがとうございました!」

 繰り返し礼を述べてステージを去るchellyの声が、少し湿ってると感じたのは気のせいではあるまい。次はどんなステージを見せてくれるのだろう? そして、楪いのりとchellyが行きつく理想郷はどこにあるのだろう? EGOISTへの興味は尽きず、アーティストとしての新しい在り方を見せられている事実にますます胸を踊らせながら、筆者もまた家路に着いたのだった。

©SonyMusicRecords

リリース情報

2016年5月25日発売
フジテレビ “ノイタミナ”「甲鉄城のカバネリ」オープニング・テーマ

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KABANERI OF THE IRON FORTRESS【初回生産限定盤CD+DVD】

SRCL-9068~69 ¥1,574+税
「甲鉄城のカバネリ」描きおろしイラストワイドキャップステッカー付き

<DISC-1>CD
1.KABANERI OF THE IRON FORTRESS
2.It’s all about you
3.KABANERI OF THE IRON FORTRESS (TV Edit)
4.KABANERI OF THE IRON FORTRESS -Instrumental-

<DISC-2>DVD
1.「KABANERI OF THE IRON FORTRESS」オリジナルムービー
2.「KABANERI OF THE IRON FORTRESS」まらしぃ Piano ver.
3.「甲鉄城のカバネリ」Opening ノンクレジットムービー
4.「甲鉄城のカバネリ 序章」Opening ノンクレジットムービー

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KABANERI OF THE IRON FORTRESS【通常盤】

SRCL-9070 ¥1,204+税

<DISC-1>CD
1. KABANERI OF THE IRON FORTRESS
2. It’s all about you
3. KABANERI OF THE IRON FORTRESS (TV Edit)
4. KABANERI OF THE IRON FORTRESS -Instrumental-

プロフィール

EGOIST


アニメ「ギルティクラウン」生まれの、ryo(supercell)がプロデュースを手掛ける架空のアーティスト。
EGOISTのヴォーカルchelly(チェリー)は2千人を超える応募者の中から、選ばれた歌姫。実際に存在しており、生ライブはもちろん、ラジオ出演や、インタビュー取材も受けることができる。
これまでにリリースしたCDはいずれも、オリコンウィークリーチャートTOP10入りを果たし話題に。最初はアニメの中の存在だったが、現在はそのアニメから飛び出し、人気アニメ「サイコパス」や、アニメ映画「屍者の帝国」、「虐殺器官」、「ハーモニー」(Project Itoh)の主題歌を務めていることが特徴であり、他アーティストに類を見ない存在となっている。
またライブ活動を精力的に行っていることが最大の特徴であり、2014年には東・名・阪の、Zepp TOURを敢行。2015年にはさらに規模を拡大し、東・名・阪・札・福の五大都市を回るZepp TOURを敢行。また海外にも進出し、香港、シンガポール、上海でのワンマン公演も実施するなど、その勢いは止まらない。
2016年5月25日に、7枚目のシングルとなる「KABANERI OF THE IRON FORTRESS」をリリース。

公式サイト:http://www.egoist-inori.jp/
フジテレビ “ノイタミナ”「甲鉄城のカバネリ」公式サイト:
http://kabaneri.com/

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