Tリーグ丸かじり  vol. 7

Column

「Tリーグで0-10まで行った選手は僕だけ」。発言も個性的な吉村和弘が2019年の主役になる!

「Tリーグで0-10まで行った選手は僕だけ」。発言も個性的な吉村和弘が2019年の主役になる!

岡山リベッツ(以下、岡山RV)の吉村和弘がまたやった。昨年12月27日の木下マイスター東京(以下、KM東京)戦の5番のビクトリーマッチで、破竹の勢いの15歳の怪物、張本智和を破ったのだ。11月25日の同じくビクトリーマッチに続いての勝利だ。吉村はこれで張本に対しては2戦2勝となった。

Tリーグ男子は全42試合中、26試合が終わった現在、KM東京が9勝4敗で、2位の岡山RVとT.T彩たま(以下、TT彩たま)の6勝7敗を大きく離している。その原動力となっているのが世界ランキングが全選手中最高の3位を誇る張本智和だ。張本は開幕以来、シングルスで17回試合をして4回だけ負けている。その4回の敗戦のうち、2回が吉村和弘との試合なのだ。

12月27日、岡山RVの吉村和弘は再び怪物、張本智和を撃破。11月25日の勝利がフロックではないことを証明した

吉村和弘は茨城県出身、愛知工業大学在学中の22歳だ。6歳から父の指導で本格的に卓球を始めた。小学生時代には全国優勝はないが、名門・野田学園高校(山口)在学中の高校2年生のときに全日本選手権ジュニアの部で優勝、愛知工業大学2年のときには一般の部で準優勝を果たした遅咲きの大器だ。

吉村の武器は、身長175センチの体を大きく使った粗削りともいえる攻撃だ。特に右利きのバック側に曲がって逃げていくフォアハンドのドライブは絶品で、当たり出すと張本も水谷隼(KM東京)も手がつけられない。台上の短いボールをドライブで攻撃するチキータも張本と遜色ないレベルだ。今回のビクトリーマッチでも、グランドファイナルで優勝したばかりの張本を遠慮なく攻め立てた。

12月27日のKM東京戦、吉村は4番にも出場して松平健太と対戦したが、第1ゲームにいきなり0-10とリードされて落とす一幕があった。そこから3ゲームを連取して3-1で勝利したわけだが、こういうムラ、よく言えば豪快さも吉村のプレーの魅力だ。

12月27日のKM東京戦、4番で出場した吉村和弘は松平健太と対戦。第1ゲームを大敗も3ゲームを連取

豪快なのはプレーだけではなく発言にも見られる。試合後のインタビューでは「Tリーグで0-10まで行った選手は僕だけだと思うんで(笑)、逆にみんなに0-10ってこういうもんだぞっていうのを見せれたなって思います」と語った。昨年12月19・20日に仙台で行われた2019年世界選手権の1次選考会で9勝1敗で1位となったときも、直後のインタビューで「全勝を狙っていたので1敗してしまったことは反省している」と語った。しかし、11月25日のビクトリーマッチで張本を破ったことについては「張本選手は緊張していたんだと思います。あの勝利によって自信になったとかはなくて、チームが勝ってよかったと思うだけです」とあくまで冷静に語った。

豪快かつ冷静。サービス精神満点の実兄、吉村真晴(TT彩たま)とはまた違った魅力を持つこのスーパーファイターこそ、KM東京の独走にストップをかけるキーマンだ。

さて2019年。1月14日から20日まで、日本卓球界最大のイベント、全日本選手権が大阪で開催される。Tリーグの男子後半戦はその後、2月2日から2月24日まで行われるが、全日本選手権の結果がどう影響するか。そして3月のファイナルに進むことができる上位2チームがどこになるか、とりわけ、ほぼ横一線に並んでいる岡山RV、TT彩たま、琉球アスティーダの2位争いに目が離せない。

取材・文 / 伊藤条太 写真提供 / T.LEAGUE

T.LEAGUE(Tリーグ)オフィシャルサイト
https://tleague.jp/

著者プロフィール:伊藤条太

卓球コラムニスト。1964年岩手県生まれ。中学1年から卓球を始める。東北大学工学部を経てソニー株式会社にて商品設計に従事。日本一と自負する卓球本収集がきっかけで在職中の2004年から『月刊卓球王国』でコラムの執筆を開始。世界選手権での現地WEBレポート、全日本選手権ダイジェストDVD『ザ・ファイナル』シリーズの監督も務める。NHK『視点・論点』『ごごナマ』、日本テレビ『シューイチ』、TBSラジオ『日曜天国』などメディア出演多数。著書『ようこそ卓球地獄へ』『卓球天国の扉』など。2018年よりフリーとなり、近所の中学生の卓球指導をしながら執筆活動に励む。仙台市在住。

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