LIVE SHUTTLE  vol. 40

Report

寺岡呼人 presents Golden Circle 第20回記念スペシャル ~僕と桜井和寿のメロディー~ @日本武道館 2016.7.5

寺岡呼人 presents Golden Circle 第20回記念スペシャル ~僕と桜井和寿のメロディー~ @日本武道館 2016.7.5

取材・文 / 小貫信昭 撮影 / ほりたよしか


2001年夏の初回から、今回で20回目を迎えた“Golden Circle”。7月5日。武道館での公演を観てきた。途中のMCで寺岡呼人はこう言った。「やるだけなら簡単だけど、続けるのは難しい」。まさに心からの、ウソのない言葉だったのだろう。でも続いた。そのことだけでも感動だ。
しかも初回から、自分が“触媒”というか“鎹(かすがい)”というか、そんな役割を果たし、上の世代のミュージシャンと下の世代のミュージシャンが一堂に会す居心地の良い場所を作ったことには頭が下がる。人を呼べるから彼の名は“呼人”なのだという、このJ-POP伝説を、改めて噛みしめた。

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今日、1曲目に演奏された「ミュージック」からして、それを象徴させる名曲である。ユーミンや桜井和寿、ゆずとの共作だからだ。「寺岡呼人presents Golden Circle 第20回記念スペシャル~僕と桜井和寿のメロディー~」は、そんな風に始まっていった。いや始まる前に、協賛スポンサーさんから豪華旅行券の抽選もあった(当選したのは僕がいた場所より上のスタンド席のヒト。おめでとう)。
基本、ボーカルを取るのは寺岡呼人と桜井和寿。まずはツイン・ボーカルでのパフォーマンスが続き、寺岡が自身の新作『COLOR』から数曲を披露するコーナーへ。
客席は360度開放されて超満員。ステージ真後ろへも行けるようスロープが設けられ、それを伝って寺岡がぐるりとまわり、直接ファンとふれ合う場面も。
「もったいない」は、Mr.Childrenの「あんまり覚えてないや」のアンサー・ソングとして作ったそうだが、それを度外視して聴いても、ある年齢に差し掛かった男性(呼人自身?)の心理を、リアルに描いたものとして味わい深い。
さらに同アルバムから、この日のイベントならではのこととして、桜井をフィーチャーし、バラードの「蜜蜂」を。“バラード唄い”としても定評ある桜井の歌声が、広い会場に染み渡る。

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ここでバンドを紹介しておこう。林久悦(ドラム)と林由恭(ベース)は双子の兄弟。タイトかつ時にしなやかな最高のリズム隊だ。そしてギターの佐藤健治に、キーボードの松本圭司という布陣である。
さらにもうひとりのキーボードがシンガー・ソング・ライターのKで、次は彼が歌うコーナーへ。韓国の出身だが、日本語のMCが実に秀逸。透明感ある真面目な青年のようでいて、ギャグ・センスも併せ持つ。桜井も大好きという「dear…」で、場の空気を一瞬にして変えてみせた。

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ステージの照明がちょっとモヤモヤちっくな色彩になって披露されたのが「妄想満月」だ。改めて基本的なことを書くが、今回のコンサート・タイトルの“~僕と桜井和寿のメロディー~”とは、ふたりの共作曲を指し、この作品もそのひとつ。さらに思いがけない他のア-ティストの意外なカバ-などもあり、「Golden Circle」のシバリのない自由さというのは、20回目とはいえ、初回からずっと変わらぬものであることを思い知った。
実はこのイベントが始まる前、パンフレットの取材でふたりの対談をやらせてもらった。具体的にはぜひパンフをみて欲しいが、手にすることはない人のためにちょっとだけ、その時の内容から…。

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桜井は寺岡と共作することで、様々なことを得たと、そう話していた。例えば「これが僕の愉快なヒュ-マンライフ」という曲だったら、この曲の詞を書くことで“自分のスタイルが見えた”、と。寺岡自身はその後、歌い続けることでその時々の自分の年齢なりの意味をこの歌に見いだせるんだと話してくれた。このように共作は、両者に程良い刺激を与え、今日まで続いてきたのだ。
最後のほうのMCで、寺岡はこんなことを言った。桜井と出会って四半世紀…。「25年後、また二人でメロディを奏でることが出来ることを幸せに思っている」。資料を探してやっとみつけた、出会った当時の記録であるVHSからのライヴ映像が、そういえばオ-プニングのスクリ-ンに流れていた。それは探して探してやっと見つかったものだったそうだ。
当時は「Golden Circle」ではなく、“寺岡呼人&フレンズ”という名のツア-での共演だった。自らのオリジナルに拘ることなく、音楽を楽しむことを最優先し、カバ-曲もじゃんじゃん演奏したあのツア-…。桜井はその時の楽しさを胸に留め、それはのちに始まった「ap bank fes」の土台のアイデアにもなった。

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本編最後に歌われたのは、寺岡が「Golden Circle」の「テ-マのような曲」と紹介した「バトン」。そもそも歌詞が素晴らしい。歴史はバトンを受け継ぐ者が、再びそれを未来へ渡すことで続いていくという、まずは大前提を歌いつつ、時に怒りや哀しみも受け継ぐと現実から目を背けず、でも“それすら優しさに変えていけば”と負の連鎖を断ち切る決意を込めている。そこが素晴らしい。
やはりこの曲をやらないことには今回は成立しません、という、「星になれたら」もモチロン演奏された。イントロが鳴ったときの場内の盛り上がりが凄かった。サビのとこの会えなくなるけどさびしくなんかないという、この繰り返しをずっと聞いてると、ふと逆に、さびしさが忍び寄りそうな瞬間もあり、それでも星を、虹を目指していく主人公の姿についホロリな曲である。
見終わって家に戻り、自分のFBにこんな短文をアップした。

あの日、みつけた星の輝きは、「音楽が好き」、
「歌が好き」という、この想いさえ消えなければ、
さらに光量を増し、お互いを照らし続けることでしょう。
九段下の坂の途中で、ふと、そう想ったのでした。

 そう…。まさにそう想ったのでした。

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【Bandメンバー】 Dr:林久悦 / Ba:林由恭 / Gt:佐藤健治 / Key:松本圭司 / Guest Key:K

リリース情報

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寺岡呼人
COLOR

(CD)PECF-3169 ¥3,056+税
2016年8月3日発売

【収録曲】
01.キャッチボール
02.COLOR
03.秘密戦隊☆ゴジュウレンジャー
04.もったいない
05.蜜蜂
06.カンフーボーイ
07.最初の男
08.檸檬
09.ブランコ
10.ライフイズビューティフル
11.バトン feat.桜井和寿 (Bonus Track)

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