Interview

栗原 類、井上ひさし作 舞台『どうぶつ会議』で俳優としての新たなステップを踏む

栗原 類、井上ひさし作 舞台『どうぶつ会議』で俳優としての新たなステップを踏む

2019年1月24日(木)から新国立劇場 小劇場 THE PITにて、舞台『どうぶつ会議』が上演される。原作はドイツの作家であるエーリッヒ・ケストナーの『動物会議』という絵本で、第二次世界大戦後の荒涼とした世界に、人間に代わって動物たちがユーモアを交えながら警鐘を鳴らすストーリー。こまつ座での上演は、約半世紀前ぶりとなり、故・井上ひさしの作品に演出助手として携わった田中麻衣子が演出を手がける。
今回は、初めてのこまつ座への出演、初座長になる、栗原 類に話を聞いた。稀代の劇作家・井上ひさしへの想いなど、演劇が好きな役者・栗原 類の一面が垣間見えるインタビューとなった。

取材・文 / 竹下力 撮影 / 冨田望


井上ひさしは人間の業の深さを表現しているのが魅力

原作のエーリッヒ・ケストナーの『どうぶつ会議』は、第二次世界大戦が終わっても、なかなか世界平和が訪れない国際社会に対して、動物たちが決起して人間たちに平和の大切さを訴えるという児童文学ですが、原作を読まれた感想を聞かせてください。

原作である絵本を知ったのは、実は稽古場に入ってからでした。そこから絵本を読んだのですが、文字だけの上演台本とは印象が違って、可愛らしい絵と文章で、ケストナーがどういうことを描きたかったのかわかりやすく理解できて、より一層この舞台の面白さの可能性が広がったような気がしました。

そこから井上ひさしさんの上演台本をお読みになられていかがですか。

原作と大きく変わってはいないのですが、絵本に登場する動物たちの日常の描き方が素敵ですし、台詞のやりとりも真面目にくだらないことをするので面白いです(笑)。約半世紀ぶりにこまつ座で上演される舞台ですが、井上さんの上演台本は現代でもまったく古く感じませんでしたね。

こまつ座の主宰でもあり、有名な劇作家でもある故・井上ひさしさんの魅力はどこにあると思いますか。

井上さんは、日本人を骨太に描いていると思います。同時に井上さんの平和に対する想いがどの作品にも貫かれていますね。今作も、井上さんなりにケストナーを解釈されて、世界平和を訴えたり、人類をあえて茶化して人間の業の深さを表現されているのが魅力だと思いました。

本作は、人間が動物を演じる寓話的な舞台ですが、演じるに当たって気をつけようと思っていることはありますか。

今作ではライオンを演じます。動物を演じるのは2度目で、最初に演じたのは馬でしたね(笑)。今回は本格的に動物に近い芝居を要求されると思うので、パントマイムが得意な知り合いの役者に、ライオンの呼吸の仕方といった具体的なことを聞いて、お芝居のベースを考えています。せっかくライオンを演じるのであれば、思いっきり、深いところまでライオンになりきりたいですね。

舞台を観るだけではもったいないほど音楽が大切

さらに、井上さんの舞台に欠かせないのが音楽になりますね。無類の音楽好きでも知られる栗原さんは、どのように音楽と向き合っていきますか。

今作は音楽劇であり、誰でも覚えやすいメロディーの曲があります。音楽の国広和毅さんの楽曲がとても可愛らしいんですよ。映画の劇中歌や、ロックバンドのアルバムの一曲にしろ、世の中の重要なことを連想させる曲はとても意味がありますよね。国広さんの音楽も、舞台設定となるサーカスやアフリカの野生を想像させる曲が多いので、今作の魅力になっています。だから、舞台を観るだけではもったいないほど音楽が大切な作品なので、劇中のサントラとして楽しんで欲しいですし、僕らも演奏して音楽に関わるので、そこにも注目してください。

とにかく真面目に、皆さんと一緒にいい舞台をつくる

これまでの稽古の感想を聞かせてください。

演出の田中麻衣子さんの舞台を初めて観たのが、ジョー・カラルコ脚色の「『Shakespeare’s R&J』~シェイクスピアのロミオとジュリエット~」(18)でした。矢崎 広さん、柳下 大さん、小川ゲンさん、佐野 岳さんの男性4人が『ロミオとジュリエット』を演じる舞台ですが、とてもシンプルでありながら、芸術的であり、現代的な要素も入っていて、感動しましたね。こまつ座の作品に関わるのは今作が初めてですが、とにかく、どのシーンも試行錯誤しながら田中さんとつくっています。

ここまで稽古をされて、主宰の井上ひさしさんが亡くなられても、多くの人に愛されているこまつ座の魅力を感じられたりしましたか。

少なくとも今作の稽古場は自由ですね。田中さんは役者が提示したことを真面目に聞いてくださいますし、1シーンごとにどうするのかワークショップをしながら進めていく稽古をしています。たとえばあるシーンを、役者たちはどう思いついたのか、紙とペンを使って解釈し合うんです。プレ稽古(本稽古の前の基礎的な稽古)の経験はあるのですが、稽古中にワークショップをするのは初めてなので新鮮ですね。こういう柔軟なことができるカンパニーだからこそ愛されているのだと思います。

栗原さんは今作が初座長ですね。どのように振る舞っていこうと思いますか。

実はどんなふうに振る舞おうと決めてなくて(苦笑)。何かしら決めつけて気を張ると空回りしてしまうタイプなので、スタンスとしては、今まで出演してきた舞台とほとんど変わらないと思います。僕自身はリーダーシップを積極的にとっていくタイプではないので、とにかく真面目に、皆さんと一緒にいい舞台をつくることを今作のモットーにしています。

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