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深澤大河&滝川広大&三浦海里&小坂涼太郎&大西桃香らが舞台劇『からくりサーカス』で歌った“人間讃歌”

深澤大河&滝川広大&三浦海里&小坂涼太郎&大西桃香らが舞台劇『からくりサーカス』で歌った“人間讃歌”

深澤大河らが出演する舞台劇『からくりサーカス』が、1月10日より、新宿FACEにて上演中だ。原作は、藤田和日郎の大ヒットの同名漫画。莫大な遺産を相続して、様々な人間から命を狙われることになった11歳の少年・才賀 勝が、彼を守る加藤鳴海たち仲間とともに数奇な運命に立ち向かう物語となっている。そんな舞台の初日前にゲネプロが行われ、初日前挨拶も行われた。

※ゲネプロではしろがね・フランシーヌ 役は大西桃香(AKB48)

取材・文・撮影 / 竹下力

“ザ・演劇”を見せてもらった愉悦

すべての始まりはチェコ共和国のプラハだった。中国出身の人形遣いの白銀(三浦海里)とその弟の白金(小坂涼太郎)は、りんご売りのフランシーヌ(大西桃香[AKB48])と街で偶然に出会う。笑顔が素敵な女性だった。白(バイ)兄弟は思わず惹かれてしまう。そうして“恋”は唐突に訪れる。あるいは不幸も。

時代は流れ約200年後。シーンは風雲急を告げている。父親が死に180億円の財産を相続した才賀 勝(深澤大河)がとある“オートマータ”(自動人形)の入ったトランクを持って、財産を狙う人々から逃げていた。そこに中国拳法の達人でありながら、人を笑わせなければ死んでしまう“ゾナハ病”を患った加藤鳴海(滝川広大)と、ギイ・クリストフ・レッシュ(越智友己)に伴われ人形遣いとなったしろがね(大西桃香[AKB48])の手助けでピンチを脱する。

円形劇場でのアクションシーンは迫力満載で、ゴシック風の衣装も見ものだし、シーンはスピーディーに目まぐるしく変わり、飽きさせることのない展開となっている。原作のように、事件に次ぐ、事件の応酬による、“ハラハラ”感を与え続けてくれる。過去と現在が入り乱れ、“出会いと別れ”、“愛と憎しみ”、喜び、悲しみ、笑い、人間に渦巻くポジティブとネガティブな感情が怒涛のように押し寄せる。

この舞台の面白さは、やはり明確な二項対立によるスリリングさにあるだろう。錬金術で精製した“柔らかい石”から産まれた“生命の水=アクア・ウイタエ”を飲んで特殊な人間となった“しろがね”と“オートマータ”を生み出したバイ兄弟。彼ら兄弟間の憎しみによって、“しろがね”の人間VS“オートマータ”の自動人形という構造が生まれる。そこでの抜き差しならないバトルが、この舞台の基調となっているからだ。

原作の藤田和日郎のあの太くて荒くれた特徴的な線描の人間描写を、凄まじいまでの色とりどりの照明の明滅で役者に強烈なコントラストをつけて再現。照明の斉藤喜和(Dort)/大波多秀起(デイライト)の手腕が際立つ。また舞台美術の角田知穂は、サーカスのテントの中のようなけばけばしいイメージをモチーフに、相撲の土俵のような素舞台に、天井にゼンマイ仕掛けのオブジェをちりばめたシンプルで印象的なセットを作っていた。

脚本の川尻恵太は、“しろがね”とゾナハ病の病原体を撒き散らす真夜中のサーカスという“オートマータ”集団との抗争劇を描く原作に忠実でありながら、“ここぞ”というところを的確に抽出し、ドラマチックに演劇ならではの物語に仕立てあげた。

演出の村井 雄は、原作に流れる、優しさ、やさぐれた感情、慈愛、業、不幸、自己承認欲求といったテーゼを、キャストたちの感情に幾度となくぶつけスパークさせる。そこから人間という存在の輪郭を荒々しく浮き立たせる。新宿FACEという円形劇場を意識してだろう、いくつかの出入り口から、数多くのキャストが出入りし、劇場をサーカス小屋のように、時にいかがわしく、時に賑やかに表現していた。“舞台劇”と銘打っているので、極めて演劇的で、役者の肉体の表現が中心となり、役者の生の息遣い、この劇場でしか生まれない一回性の芝居が如実に露わになっている。すなわち、役者の行為、台詞そのものが、この舞台のためだけに用意されたものであると感じさせてくれる。刹那的でありながら普遍的な“かけがえのない何か”が心に刻まれる演劇ならではの面白さを発見できる演出となっている。

才賀 勝の深澤大河は、原作の実存主義的なテーマを一心に体現している。「自分とは何か? 自分の存在意義とは?」を探し続けて、次第に仲間とともに成長する少年を闊達に演じた。時には悩み、苦しみながらも、今日を必死に生きようとする子供の姿がとてつもなくリアルで、深澤の演技の懐の深さをまざまざと感じた。

加藤鳴海の滝川広大は、怒りに任せてド派手なアクションをこなし、凄まじい形相になったりする。インタビューで語っていた通り「懸命に演じることで彼と同じように僕自身も成長できる」と役者人生をかけて鳴海を演じている鬼気迫るものを感じた。

白銀の三浦海里は、コンサバティブで勤勉な性格だが、その性格ゆえか、フランシーヌへの感情をうまく表現できないもどかしさを惚れ惚れするぐらいの台詞回しと表情の変化で見せてくれた。そして二度と手に入れられない“愛”を求めてさまよい続ける絶望感に満ちた演技は圧巻だった。

白金の小坂涼太郎は、兄思いの優しい性格だったのに、フランシーヌと白銀の間で苦悩に取り憑かれていく演技を客席に見せつける。身長が高くほっそりした体躯を十分に活かして、「お芝居で“ガチ”に勝負していきたい」と語ったように、まさに“ガチ”で狂気に満ちていく演技が劇場を覆い尽くす。

しろがね・フランシーヌの大西桃香(AKB48)は、転換ごとに早替えをしたり、時代を行き来して演技を使い分けたりと八面六臂の活躍。彼女は信心深い聖女であり、男性から見ると男を狂わせてしまう悪女になって、対立した佇まいを丁寧に使い分けながら、感情を極端にフラットにしたり、時には失った心を取り戻して爆発させる、まさに“烈女”を演じきったと思う。

見所は尽きない。あえて一つ挙げるとすれば、白銀と白金が、人形を操り、フランシーヌを笑わせる場面だろうか。この舞台の中では唯一、牧歌的でふんわりした幸せな雰囲気が漂っていたが、ここにこの舞台のすべてのエッセンスが注ぎ込まれている気がした。白銀がマリオネットとなった鳴海、白金が勝を操りダンスをさせることで、彼女を笑わせる。白銀(三浦海里)=加藤鳴海(滝川広大)、白金(小坂涼太郎)=才賀 勝(深澤大河)という切ってもきれない関係を客席に見せることで、運命のいたずら、人間という存在自体が持つ悲しみ、“ゾナハ病”や“オートマータ”、“しろがね”や“アクア・ウイタエ”が生まれる予感、それ以上にあらゆる生命の記憶は時代を超えて繋がっているとさえ感じさせる情感が溢れるシーンとなっていた。まさに演劇ならではの仕掛けといえるだろう。その中心にいるのが、しろがね・フランシーヌという女性というところに、原作に漂っていたフェミニンな感触もありありと伝わってくる。

この舞台は歴史が紡ぐ運命に翻弄された人々(自動人形さえも)が歌う、おかしくも悲しく、それでいて愛に満ち溢れた“人間賛歌”と感じたのは大袈裟だろうか。この舞台に宿っている“魂”は熱くて煮えたぎっている。そんな舞台だからこそ肌身に焼けつくほど感じる“生きる”という意味。しかし“舞台劇”となっている以上、答えは観客に投げ出されている。すなわち、正解はどこにもなく、答えは観客の数だけある。まさに“ザ・演劇”を見せてもらった愉悦を味わえる。こんな演劇が存在してくれるのだから、2019年になっても舞台にはたまらない魅惑が満ちている。

舞台劇だからこそ見せられる『からくりサーカス』を

このゲネプロ前に、初日前挨拶が行われ、深澤大河、滝川広大、大西桃香(AKB48)と飯田里穂、三浦海里、小坂涼太郎が登壇した。

深澤大河

まず、才賀 勝 役の深澤は「本当に多くの方に愛されている作品です。僕たちは、“舞台劇”だからこその『からくりサーカス』をお見せしたいです。骨身を削る思いで作ったので、お楽しみください」と意気込むと、加藤鳴海 役の滝川は「“初日がやっと来た”、という嬉しい気持ちでいっぱいです。演出の村井さんを筆頭に、みんなで意見を出し合いながら、本当に素敵な世界を作り上げてきました。お客様に笑って帰っていただけたら嬉しいです」と語った。

滝川広大

しろがね・フランシーヌ 役の大西は「この舞台に出られることが光栄です。舞台経験が少なく、スキルの足らない部分はあるかもしれませんが、スタッフ・キャスト、お客様と一緒に舞台を作り上げたいと思います」と述べ、Wキャストの飯田は「初挑戦の役柄だったので、いろいろ考えながら稽古をしてきました。ステージも360度で戸惑ったこともありましたが、初日の幕はもう開くので、しろがね・フランシーヌとして一生懸命生きたいです」と抱負を語った。

大西桃香(AKB48)

白銀 役の三浦は「演出の村井さんが、白金(バイジン)と白銀(バイイン)という役名を正しくおっしゃらずに、“金”と“銀”と呼ばれて稽古をしてきました(笑)。最初から120パーセントの熱量を出します。まるでサーカスに来たように思っていただけたら」と述べ、白金 役の小坂は「とてもお客様と近いので、今までで一番、緊張しています。ですが、みんなで話し合って稽古を進めてきたので、良い緊張感に変えて楽しみたいです」と意気込んだ。

飯田里穂

小学5年生の役を演じることについて深澤は「24歳の僕が11歳の子供を演じますが、衣装の力を借りながら、違和感なく演じられるように頑張りたいです。広大くんと一緒にいる時間が多くて、すごく落ち着くし、彼は天然で小ボケが顔を出して楽しい(笑)。こういう人がパートナーだといいな、と思いながら稽古をしました」と語り、早替えも多いという滝川は「どんな衣装でも加藤鳴海として生きたいですね。みんな仲がよくて、とにかく仲間なんです。誰か1人だけ端にいるようなこともなくて、全員を巻き込みながら作った座組みです」

三浦海里

同じく10回以上も着替えるという大西は「裏ではあたふたしていますが、とても可愛い衣装を着るので、その変化に注目してください。私はWキャストの飯田さんと仲が良くなることができたので、この舞台で彼女に出会えたことを感謝しています」と述べると、飯田は「私が着ているボディスーツは見た目より着心地がいいですね。私は“ZOZOスーツ”と呼んでいます(笑)。クリスマスと年越しはみんなと一緒だったので、私にとって特別な舞台になりました。大西さんとは一緒にパーティーをしてお泊まりもしましたよ」と舞台裏を語ってくれた。

小坂涼太郎

三浦は「この6人はいつも一緒で、芝居の話をしたり、たわいもない話をしたり仲良く過ごしました。特に(小坂)涼太郎とは付き合いが長いですが、今作では一緒にいる時間が長かったので良い思い出になりました」と語り、小坂は「海里とは家が近いし、今回は2人で絡むシーンがたくさんあるのでより仲が深まって、芝居の話もたくさんしましたね」と振り返り、盛況の内に会見は終了した。

公演は、1月10日(木)~1月20日(日)まで新宿FACEにて上演される。また、11日から18日までアフタートークがあり、12日と17日のソワレの上演前には、ビジュアル系バンド・アルルカンのミニライブが行われる予定だ。イベントの詳しい詳細は公式ホームページをチェックしよう。

舞台劇『からくりサーカス』

2019年1月10日(木)~1月20日(日) 新宿FACE

原作:藤田和日郎
脚本:川尻恵太
演出:村井 雄
出演
才賀 勝 役:深澤大河
加藤鳴海 役:滝川広大
しろがね・フランシーヌ 役:大西桃香(AKB48)/飯田里穂(Wキャスト)
白銀 役:三浦海里
白金 役:小坂涼太郎
阿紫花英良 役:健人
ジョージ・ラローシュ 役:横井翔二郎
ギイ・クリストフ・レッシュ 役:越智友己
ルシール・ベルヌイユ 役:田中良子
あるるかん 役:三枝奈都紀
ファティマ 役:遠藤沙季
フェイスレス 役:村田洋二郎
パンタローネ 役:唐橋 充
アルレッキーノ 役:松本寛也
コロンビーヌ 役:大湖せしる
ドットーレ 役:和泉宗兵

オフィシャルサイト
オフィシャルTwitter

©藤田和日郎・小学館 / 舞台劇「からくりサーカス」製作委員会