『映画刀剣乱舞』特集  vol. 4

Interview

鈴木拡樹と三日月宗近。「『刀剣乱舞』でなければ描けない歴史物語」の新たな幕開け。『映画刀剣乱舞』いざ公開!!

鈴木拡樹と三日月宗近。「『刀剣乱舞』でなければ描けない歴史物語」の新たな幕開け。『映画刀剣乱舞』いざ公開!!

1月18日(金)の公開に向け、ますます注目が加熱する『映画刀剣乱舞』。今回インタビューに登場するのは、三日月宗近 役の鈴木拡樹。三日月宗近の神秘性は映画でも健在。謎めく三日月宗近を鈴木拡樹が絶対的存在感で体現している。多くの当たり役を持つ鈴木拡樹の目に、この三日月宗近という役はどう映っているのだろうか。

取材・文 / 横川良明 撮影 / 冨田望


『刀剣乱舞』の世界観じゃないと謎が解けないシステムになっている

まずは小林靖子さんの書き下ろしたシナリオを読んで、どんな感想を抱きましたか?

お話そのものが、『刀剣乱舞』の世界観じゃないと謎が解けないシステムになっていることに、まず驚かされました。「本能寺の変」にはあらゆる説があって。今回採用された説も諸説あるうちのひとつ。だけど、事実として決定付けるものが今まで何もなかった。それを、「刀剣が見ていたからこそ裏付けられた」としたところに、さすがだなと唸らされました。今回のストーリーは、『刀剣乱舞』でなければ描けない歴史物語。歴史のいろんな説って現代のように監視カメラのない時代だからなし得る話だし、目撃者がいないからこそ、いろんな“たられば”が生まれる。刀剣が人の姿となって顕現するということは、見方を変えると、ある種、監視カメラのような役割を果たすのだなと思いました。

舞台版に続き三日月宗近を演じましたが、映画版と舞台版ではいろんな違いがありました。

刀剣としての歴史は舞台版も映画版も同じで。ただ、顕現してからの体験や記憶が舞台やミュージカル、映画でそれぞれ違うんですね。舞台版では三日月宗近と山姥切国広の関係がひとつ焦点になっていましたが、映画はまた別物。そういう意味では撮影中、カットがかかった瞬間に「そういえば、あまり山姥切国広のことを見ていなかったな」と違和感を覚えることは多々ありました。やっぱり年月をかけてやっているぶん、舞台版の三日月宗近というものが自分の中に自然と染み込んでいて。お芝居の間はその世界観に入り込んでいるので、違いにまで意識は及ばないんですけど、カットがかかって素の自分に戻ったときに「そういえば、舞台だったらこうしているのにな」と気づくことがあって。すごく不思議な感じがしましたね。

他のキャストの方々も舞台と映画の違いを意識されていましたか?

特に最初のうちは、舞台版キャストの中に「舞台とはまったく別物にしよう」という意気込みはあったかもしれません。そこをうまく繋いでくださったのが、耶雲(哉治)監督だったのかなと。監督が「舞台版で培ってきたものや世界観を映画でも反映してくれ」とおっしゃって。そのひと言が、映画だからと変に肩に力が入っていた僕たちの構えをほどいてくれました。おかげで撮影に入る頃には、全員の間でちゃんと「舞台でやってきたものを乗せていこう」という共通のテーマができていて。みんなの方向性がひとつに固まった気がしますし、実際に出来上がりを見ても、今までやってきたことがしっかりと感じられる作品になったと思います。

三日月宗近と話すことができたら、絶対に腹の探り合いになると思う(笑)

今回映画に入るにあたって改めて何か準備をしたことってありますか?

そういえば、ゲームの設定資料集を久しぶりに引っ張り出しましたね。たぶんそのときは新しいものに関わるという気持ちが強くて、意識的にそうしたと思うんですけど。

設定資料集を読み返してみて何か発見はありましたか?

そこが今回の三日月宗近の役づくりに繋がるところでもあるんですけど。監督とも今回の三日月宗近のポイントは「今まで演じてきた三日月宗近の中で最も感情を露わにすることだね」って話をしていたんです。三日月宗近と言えば、あまり感情を表に出さないキャラクターとして描かれてきました。その中で一番胸の内の揺れが前面に出たのが、今回の三日月宗近。特に終盤は、感情豊かな抑揚が付いたりする瞬間も結構あって。原作と比べても気持ちが乗っている場面が多いなというのは、資料集を読みながら再確認しましたね。とは言いつつ、それでも完全に気持ちが表に出るわけでもなくて。そこが三日月宗近の魅力なんだと改めて感じたりもしました。

特に、信長との対峙は大きな見せ場です。

人ならざるものだからかもしれないですけど、感情表現が普通の人間に比べてあまり多くないキャラクターが多いのが、刀剣男士の特徴で。生身の人間の激しい感情をぶつけられることで、改めてその不自由さが浮き彫りになると言いますか。特に今回、信長と接している場面で、激情的な信長と淡々としている三日月宗近の対比がよく出ていて、演じながら難しさと面白さを感じました。あと、一番新鮮だったのは、主とのシーン。今作では審神者との絆が描かれていて、そこが舞台版とはまったく違うところだと思います。おかげで僕も今までとは違う感情を味わうことができました。

観ている側としても三日月宗近は思惑の察しづらいキャラクターのように見えました。演じる側からすれば相当難役ではないかなと思うのですが。

難しいという考え方が合っているのか、時間を要したという言い方が合っているのかわからないですが、たしかに役を自分のものにするのに時間はかかりましたね。ただ、三日月宗近の最大の魅力は、最後まで何を考えているのかわからないところ。その謎めいた部分を説明的にやりたいと思うのは役者のエゴだと思っているので、なるべくそのエゴを抑えて演じるということはつねに心がけていました。

そんなひと筋縄ではいかない三日月宗近と、もし鈴木さん自身が会って話ができるとしたら、どうなりそうですか?

絶対に腹の探り合いになるでしょうね(笑)。たぶん僕の腹の内なんて見透かされてしまうだろうし、こっちも長く演じてきて、それなりの付き合いがありますから、三日月宗近の言葉の裏にある意図を読み取ろうとする。表面上は穏やかな会話に見えるけど、中身は抜き差しならない駆け引きの応酬になると思います(笑)。

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