Interview

「私が演じる!」。山田孝之が絶賛する女優・清原果耶が映画『デイアンドナイト』に感じたシンパシー

「私が演じる!」。山田孝之が絶賛する女優・清原果耶が映画『デイアンドナイト』に感じたシンパシー

まだ16歳という若さながら、『3月のライオン』『ちはやふる -結び-』といった話題作に次々に出演し、大きな注目を集めている清原果耶。俳優・山田孝之の初プロデュース作品として話題の映画『デイアンドナイト』では、主人公の明石と心を通わせる、児童養護施設で暮らす少女・奈々を演じている。愛する家族の命を奪われた者、家族を守るために罪を犯す男…。立場は違えど自身の「正義」を貫く人々の姿を通して「人間の善悪」を問いかける同作において、唯一の光となる孤独な少女を見事に演じ切った彼女に、作品について話を聞いた。

取材・文 / 井口啓子 撮影 / 増永彩子

「初めて役を掴めず葛藤する一方で“大野奈々”という役に無意識に惹かれていた」

プロデューサーの山田孝之さんは本作のオーディションで清原さんが魅せた圧倒的表現に惚れ込んで、奈々役を決められたそうですが、ご自身ではどのような状態でのぞまれたのでしょう?

自分なりに台本を読み込んでみたんですが、これまでで初めてというぐらい奈々という役がまったく掴めなくて…。でも一方で、どこかシンパシーを感じる部分もあったので、どうしたらいいんだろう? と悩みながらも奈々を演じたい! という想いでオーディションに臨みました。撮影に入ってからも、いまいち正解を掴めないまま演じていたんですが、撮影の中盤を過ぎたくらいに、山田さんと対談する機会をいただいて。そこで山田さんの口から「清原さん自身が奈々に見える」というお言葉をいただいて、そこで初めて、何も考えずに私の感じるままにお芝居させてもらおうって振り切ることができました。

奈々という少女は切ない運命を背負っていて、同時に本作で唯一の希望にもなる難しい役ですが、清原さんは奈々のどういった部分がご自身と重なったのでしょうか?

自分でもうまく言えないんですが、オーディションの前にいただいた一番最初の台本を最近見返したら、大野奈々って役名のところに「私が演じる」ってものすごい勢いの字で書いてあって(笑)。たぶん無意識に惹かれるものがあったんだと思います。撮影当時、私もたぶん思春期なりのあれこれを抱えて、ゆらゆらしている心もありましたし、役がつかめなくて自分のことでいっぱいいっぱいで、現場でもずっと気を張りながら過ごしていたので、そういう状況と奈々が自然にリンクしたのかもしれません。

奈々は高校生ですが自分よりずっと年上の明石(阿部進之介)と対等な形で心を通わせてゆきます。それは何故だと思われました?

そうですね、最初はもちろん、明石が自分の親がいる「東京から来た」というワードに食いついたのと、あとはお父さんの代わりに施設に来た明石がどういう人物なのか探るような、好奇心と警戒心が入り混じった気持ちがあったんだと思います。その一方で、奈々は小さい頃からずっと施設で育ってきたので、他所から来た人にしかすがれない状況もあって。進学したいとか絵を描きたいとかいう自分の本音を隠して生きてきた一面もあったところに、それを話さずとも汲み取って、受け止めてくれる明石という存在が現れたのは大きかったと思います。そして、明石もたまたま奈々にしか言えないことを隠し持っていた。だから、お互いの孤独が共鳴しあったような、すごく微妙な関係ではあると思いますね。

山田プロデューサーや藤井監督、本作の企画・原案者でもある明石役の阿部さんから特にアドバイスを受けたことはありましたか?

山田さんは私がお芝居してみて、ちょっとはまらなかったな…と感じているとき、その雰囲気を察して来てくださって、「こうしてみるのもいいんじゃない?」って提案ぐらいの感じで声を掛けいただくことはあったんですが、どちらかというと現場でキャストやスタッフがやりやすいような環境作りをして下さってた印象の方が強いです。率先して雪かきをしたり、現地の方々と積極的に交流されてたり。藤井監督にも、お芝居について直接的な指導のような何か言われた記憶はあまりなくて。私も時には投げやりに見えるんじゃないかってぐらい日々現場で奮闘していたので、それをお二人は思いっきりやっても大丈夫だよって見守って下さっていた気がします。阿部さんも優しく大きく、私の芝居を受け止めて下さって、本当に皆さんには感謝しかないです。

「答えのないことを流さずに考えることができる自分でありたい」

「善と悪はどこからやってくるのか?」というテーマについては、清原さんご自身はどう感じられましたか?

難しいですよね…。答えのない作品なので、私自身、どこに焦点を合わせて考えたらいいのかわからないぐらい悩まされたし、なにが“善”で、なにが“悪”か、その時々の立場とか感情で左右される部分もあるだろうし、気持ちも枝別れしてゆくものだと思うので、今の私の経験値じゃ何も言えない。この作品を見た後は正直、言葉が出てきませんでした。私は基本、自分が信じていることとか自分自身の中から湧き上がってくるものを信じていたいですが、それが間違ってるよという意見はちゃんと汲み取りたいし…、どうなんですかね…。小さい頃から両親に自分がされて嫌なことはしちゃダメだよとは言われていたので、人への態度とか気をつけてはいると思うんですけど、自分の正義が誰かを傷つけているかもしれないとか、無意識だから怖いですよね。

この映画に出てくる人たちも、みんな自分の中の正義を信じて、必死に生きてますが、その結果、ぶつかりあってしまうわけですものね…。

それが北村さん(安藤政信)のように法律に触れてしまうようなことだったら、やっぱり良くはないと思うんですけど、自分がもし北村さんの立場だったとしたら、わからないですよね…。本当に答えがない、難しいことですが、こういうことを流さずに考えることができる自分ではありたいなと思います。

RADWIMPS・野田洋次郎が主題歌「気まぐれ雲」の歌詞に込めた想い。

今回、清原さんは演じた大野奈々名義で主題歌「気まぐれ雲」も歌われていますが、どういった経緯で実現したのでしょう? 

映画の撮影が終わって、しばらくして「主題歌を歌うかもしれません」って言われて。最初はびっくりしましたが、もともと音楽も歌うことも好きなので、単純にすごく嬉しかったです。自分なりにボイストレーニングに通ったりはしていたんですが、いざレコーディングに行くと、びっくりするぐらい声が出なくて。思ったように歌えないし、自分の無力さを痛感しました。ただ、今回曲を書いて下さった RADWIMPSの野田洋次郎さんが、この歌詞は奈々の未来がこうであるようにと思って作ったとおっしゃっていたので、それを伝えられるようにと…。プロデューサーの山田さんたちも駆け付けて、あたたかく見守って下さって、なんとか無事歌うことができました。本当にこんな経験をさせてもらえるなんて思ってもみなかったし、とにかく感謝しかありません。

撮影前や撮影中には役に合う曲を探して聞いていると伺いました。音楽は趣味に近い感じですか?

そうですね、撮影前はいつも演じる役に寄り添う曲を聞いて役づくりしています。今回は宇野悠人さんの『低迷を送る』という曲をずっと聴いていました。たまたま何かで聴いて、歌詞すごく良いなぁと思って。趣味はお散歩したり、ギターを弾いたり…。やっぱり音楽は大好きですね! ミュージシャンでいうとcoccoさんやamazarashiさんが好きです。

なるほど。最後に、今回の作品で得たものは? 

どうでしょう。いつもすぐにはわからないんです。でも、得たものは絶対あると思うし、常に得たものを感じながら次に進んでいきたいと思っています。

スタイリスト / 井阪 恵(dynamic)
ヘアメイク / 面下伸一(FACCIA)

清原果耶

2002年、大阪府生まれ。2015年にNHK連続テレビ小説『あさが来た』で女優デビュー。その後、TVドラマ『セトウツミ』(17/TX)や、映画『3月のライオン』(17)『ユリゴコロ』(17)『ちはやふる -結び-』(18)、TVドラマ『透明なゆりかご』(18/NHK)などの話題作に出演。現在、映画『愛唄 -約束のナクヒト-』が公開中。

オフィシャルサイト
http://artist.amuse.co.jp/artist/kiyohara_kaya/

オフィシャルブログ
https://lineblog.me/kaya_kiyohara/

オフィシャルInstagram
@kaya0130_official

フォトギャラリー

映画『デイアンドナイト』

1月19日(土)秋田県先行公開
1月26日(土)全国公開

【STORY】
善と悪はどこからやってくるのか。
父が自殺をし、明石幸次(阿部進之介)は実家に帰ってきた。父は大手企業の不正を内部告発したことで死に追いやられ、家族もまた、崩壊の危機に陥っていた。そんな明石に児童養護施設のオーナーを務める男、北村(安藤政信)が手を差し伸べる。孤児を父親同然に養う傍ら、「子供たちを生かすためなら犯罪をも厭わない。」という道徳観を持ち、正義と犯罪を共存させる北村に魅せられていく明石と、そんな明石を案じる児童養護施設で生活する少女・奈々(清原果耶)。しかし明石は次第に復讐心に駆られ、善悪の境を見失っていく——。

出演:阿部進之介 安藤政信 清原果耶 小西真奈美 佐津川愛美 深水元基 藤本 涼 笠松 将 池端レイナ 山中 崇 淵上泰史 渡辺裕之 室井 滋 田中哲司
企画・原案:阿部進之介
プロデューサー:山田孝之 伊藤主税
監督:藤井道人
脚本:小寺和久 藤井道人 山田孝之
主題歌:大野奈々 “気まぐれ雲”(作詞・作曲・プロデュース:野田洋次郎)
配給:日活
©「デイアンドナイト」製作委員会

オフィシャルサイト
https://day-and-night-movie.com/