LIVE SHUTTLE  vol. 43

Report

Do As Infinity 「Acoustic Tour 2016 -2 of Us-」@昭和女子大学 人見記念講堂 2016.6.19

Do As Infinity 「Acoustic Tour 2016 -2 of Us-」@昭和女子大学 人見記念講堂  2016.6.19

取材・文/藤井美保


「ホント、よく続いています。亮くんの口癖があるんですよ。“あの人たち、まだやってるんだ! って言われるくらいがちょうどいいんだ”っていう(笑)」
「そう。目立たなくても、しぶとく続いてるというのが一番いいんです」

 伴都美子と大渡亮のこんな会話に、クスッとさせらながらも、たしかにそうだな、そこが強みなんだな、と、思う。Do As Infinity、デビュー17年目。思えば、途中「解散」の中抜けもあった。でも、それを越えたからこそ、メンバーふたりに心地いい距離感が生まれ、それをまた理解しようとするファンとの絆も強まったと言える。ライブを行えば、今でも常に大盛況。最近では、アニソンで大人気の藍井エイルが、ドゥアズに影響を受けたことを公言し、最新作で「深い森」のカバーを収録したりもしている。いい楽曲をいい音で届けるという愚直とも言える歩みは、音楽に希望を見出す若い世代にも受け継がれつつあるようだ。

伴の結婚、出産といった女性としての人生の歩みも、ドゥアズの活動を今まで以上に豊かにしていると言える。昨年は、春のツアーの最中に、第2子を授かったことを発表。案外ドンと肝の据わった伴らしく、妊娠8ヶ月で16周年を祝う日比谷野音での公演もやり遂げた。が、制作はできるだけ負担のないスタイルにシフト。それが、これまでの全シングル28曲を、大渡のギターと伴のボーカルのみで再録するというプロジェクト「2 of Us」だった。

ふたりだけで制作に臨むのは、もちろん初で、それ自体に大きな意味があるのだが、それにも増してこの試みで大きかったのは、アコギに徹した大渡と、その音に反応する伴の、それぞれの力量の奥行きが見られたことだ。プロジェクトは、16週連続配信というカタチを経て、今年2月に2枚のアルバム『2 of Us[RED]-14RE:SINGLES-』、『2 of Us[BLUE]-14RE:SINGLES-』としてリリースされた。今回の『Do As Infinity Acoustic Tour 2016-2 of Us-』は、その流れの締めとして行われたものだ。

伴 都美子(Vo.)

伴 都美子(Vo.)

6月19日@昭和女子大学 人見記念講堂。開演前のBGMは心地いいジャズ・ナンバー。客電が落ちると、赤い幕の後ろでピアノのAが鳴り、ギター・チューニングの音が響いた。いつしか、訥々と言葉を交わすように音世界が広がっていった。細く開いた幕に、バックライトに照らされた伴が佇む。幻想的で美しいオープニング。始まったのは「We are」だった。グランド・ピアノ、カホン、アコギ2本による爽快なサウンド。哀愁をひと雫落とした伴の伸びやかな歌声に誘われて、手拍子が起こった。続く「冒険者たち」では、原曲のギターの印象的なフレーズを、大渡がボトルネックを使ったアコギのスライドで表現。サスティンの少ないアコギでは、それに見合った弾き方が要求されるが、そこはさすがと言えるアプローチだったのである。
アコースティック・ライブと謳っていても、ギターはエレキであることが多いなか、この日の大渡は、アコギのみを貫徹。ゆるさに逃げることなく、ドゥアズの初期のライブを支えた林部直樹(元米米CLUB)との2本のアコギで、ビシッと極上のアンサンブルを届けてくれた。リズムの変化づけも素晴らしく、特に途中セカンドラインを入れ込んだ「WEEK!」では、個人的に「イエ〜イ!」となった。

大渡 亮(Gt.&Vo.)

大渡 亮(Gt.&Vo.)

当初、「再録企画」である「2 of Us」に乗り気じゃなかったという大渡。「でも今は、しみじみきちゃう。45歳になってこのグループでこうやってギター弾けてるって、奇跡を超えてるなと」と、企画完遂しての予想外の充実感を語った。そんな大渡の「仕事」を、「エーッ、こんなカタチにしちゃうんだ! 新しいね、と、思った曲がたくさんありました」と称える伴。特に驚いたのが、レゲエ・バージョンになった「Mysterious Magic」だったという。

と、わざわざ紹介したその曲の歌い出しを、なぜかつまずいた伴は、「ごめーん。もう一回やっていい?」と、大きなアクションで懇願。その意外なお茶目さに、会場もメンバーも一拍おいて大爆笑となった。おかげで、ガットギターでラテン風味を加えた「under the sun」、ふたりのデュエットと呼んでいい「アザヤカナハナ」と続いた南国風コーナーは、ほどよいカジュアル・ムードで楽しむことができたのである。

「2 of Us」プロジェクトの完結編として、ふたりだけで制作した新曲「ハレルヤ」も披露。「歌詞のことで、まぁさんざん言われましたよ。でも、得るものがたくさんあった。ありがとうございます」と、伴から感謝を伝えられると、「よかった! ホッとしたよ」と大渡。その素直すぎるリアクションもまた、会場をなごませた。冒頭に書いたふたりの会話は、この流れのなかで交わされたものだ。

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誤解を恐れずに言えば、Do As Infinityは、いわゆる作られたバンドだった。当初メンバーは3人。デビューからしばらくは、会話も成立しないほど、お互いの立ち位置を模索しまくっている、というふうに外からは見えた。いつしかメンバーはふたりとなり、新たに課せられたお互いの立ち位置の模索は、遂に「解散」という限界点にまで達した。そんなふたりが、再びバンド仲間となることを選び、気づけばすでに「解散」以前より多くの時間を一緒に過ごしていることになる。

「陽のあたる坂道」から始まった後半の一連のディープなナンバーや、やっぱりライブのラストスパートはコレだよねという「One or Eight」、「本日ハ晴天ナリ」を聴きながら、人生ってわからないものだなぁとつくずく。おそらくこれまで、伴にも大渡にも、ドゥアズは聴き手の求めるものを最高のカタチにする制作チームであり、自分たちはその伝達者としてフロントに立っている、という意識と責任感が強くあったと思う。プロとしてある意味黒子に徹する覚悟でいたはずだ。でも、そのドゥアズというパブリック・イメージ、制約があったからこそ、翻って自分独自の個性とは何かを問い続けることができ、それが積もりつもってそれぞれの「らしさ」を育てたのかもしれない。

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今回の「2 of Us」プロジェクトは、そんな遅咲きのふたりが、真正面から向き合い、心のおもむくままに音楽を奏でた最初のポイントと言っていい。伴の妊娠を慮って生まれた企画が、偶然の素晴らしい産物を生んだ。そんなところもまた、ふたりの人間くささを表していていい。
年明けにこのツアーの話が出たとき、伴は正直迷ったという。「でも、やってよかった。ありがとうございました」と、最後は本当に晴ればれとした笑顔になった。去り際のBGMはビートルズの「Two Of Us」。「You and I have memories」というなんでもない歌詞に、ドゥアズの歩みを重ねてちょっとジンとしながら、ふたりの姿を見送った。

“Acoustic Tour 2016 -2 of Us-”@昭和女子大学 人見記念講堂2016.6.19 セットリスト

01.We are.
02.冒険者たち
03.BE FREE
04.rumble fish
05.Week!
06.魔法の言葉~Would you marry me?~
07.Mysterious Magic
08.under the sun
09.アザヤカナハナ
10.ハレルヤ
11.陽のあたる坂道
12.翼の計画
13.深い森
14.Yesterday & Today
15.空想旅団
16.君がいない未来
17.アリアドネの糸
18.One or Eight
19.本日ハ晴天ナリEN1.エレジー
EN2.遠くまで
EN3.Welcome!

リリース情報

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2 of Us [RED] -14 Re:SINGLES-(CD+BD)

AVCD-93334/B ¥4,200+税

【収録曲】
Disc-1 CD
01.冒険者たち [2 of Us]
02.君がいない未来 [2 of Us]
03.Desire [2 of Us]
04.真実の詩 [2 of Us]
05.Week! [2 of Us]
06.under the sun [2 of Us]
07.rumble fish [2 of Us]
08.楽園 [2 of Us]
09.Oasis [2 of Us]
10.誓い [2 of Us]
11.TAO [2 of Us]
12.黄昏 [2 of Us]
13.Tangerine Dream [2 of Us]
14.本日ハ晴天ナリ [2 of Us]
全14曲収録

Disc-2 Blu-ray
01.冒険者たち
02.君がいない未来
03.Desire
04.真実の詩
05.Week!
06.under the sun
07.rumble fish
08.楽園
09.Oasis
10.誓い
11.TAO
12.黄昏
13.Tangerine Dream
14.本日ハ晴天ナリ
全14曲収録
※全曲オリジナル楽曲のMUSIC VIDEO&本人たちによるオーディオコメンタリー(副音声)収録

doas_2ofus_blue

2 of Us [BLUE] -14 Re:SINGLES-(CD+BD)

AVCD-93331/B ¥4,200+税

【収録曲】
Disc-1 CD
01.We are. [2 of Us]
02.遠くまで [2 of Us]
03.柊 [2 of Us]
04.アリアドネの糸 [2 of Us]
05.1/100 [2 of Us]
06.Heart [2 of Us]
07.Mysterious Magic [2 of Us]
08.For the future [2 of Us]
09.魔法の言葉~Would you marry me?~ [2 of Us]
10.深い森 [2 of Us]
11.under the moon [2 of Us]
12.陽のあたる坂道 [2 of Us]
13.生まれゆくものたちへ [2 of Us]
14.Yesterday & Today [2 of Us]
全14曲収録

Disc-2 Blu-ray
01.We are.
02.遠くまで
03.柊
04.アリアドネの糸
05.1/100
06.Heart
07.Mysterious Magic
08.For the future
09.魔法の言葉~Would you marry me?~
10.深い森
11.under the moon
12.陽のあたる坂道
13.生まれゆくものたちへ
14.Yesterday & Today
全14曲収録
※全曲オリジナル楽曲のMUSIC VIDEO&本人たちによるオーディオコメンタリー(副音声)収録


プロフィール

Do As Infinity


伴 都美子(Vo.)、大渡 亮(Gt.&Vo.)からなるロックバンド。

99年結成。デビュー前から渋谷ハチ公前を中心に100回以上、路上ライブを行う。同年9月29日、シングル「Tangerine Dream」でavex traxよりデビュー。
デビュー後はCDリリース、ライブ活動を精力的に行い、アルバム作品ではオリコンチャート1位を多く獲得し、ベストアルバムはミリオンセラーを達成するなど活動を続ける。
05年11月25日に日本武道館でラストライブをもって6年間の活動を終了。

3年後の08年8月、野外イベントa-nationにてシークレットとして1曲のみ演奏し再結成を発表。同年9月29日を再結成となる。
2009年11月29日には日本武道館にてデビュー10周年記念公演を開催。
2009年から2014年までに1枚のベストアルバム・4枚のアルバム・7枚のシングルをリリース。精力的なライブ活動を行う。
2015年2月25日には11枚目となるオリジナルアルバム「BRAND NEW DAYS」をリリース。同年4月から全国ツアーをまわり、10月12日に日比谷野外音楽堂にて16周年記念ライブ「Do As Infinity 16th Anniversary~October’s Garden~」を開催。
10月21日からは、これまでリリースしたシングル作品の中から厳選した16曲を2人だけで再録音した「2 of Us」プロジェクトを立ち上げ、16週連続で楽曲を配信していく。
公式サイト:http://d-a-i.com/

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