LIVE SHUTTLE  vol. 44

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back number tour 2016 「ミラーボールとシャンデリア」 @日本武道館 2016.7.14

back number tour 2016 「ミラーボールとシャンデリア」 @日本武道館 2016.7.14

取材・文 / 小貫信昭 写真 / 半田安政(Showcase)


よく「ブレイクを果たす」なんて言うけど、誰かに強引に肩を押された結果だと、そのあとバランス取れずにオットットットってすぐ失速しちゃったりもする。でも彼らは違う。たしかな作品性で一人一人を説得し、その結果、人気バンドとなったのだから。ライヴに集まるファンの人達の佇まいを見ればわかる。楽しむところはとことん楽しみ、でも“聴き入る”ところはみんなそうしてる。

さて武道館。ちょっと前なら巨大なコンサート会場だったけど、アリーナでやるのが普通の今、この八角形の建物のステージに立つ人間が強調するのは客席との“近さ”である。冒頭、ボーカルの清水依与吏の口から漏れたのも、そんな言葉…。でも空間的な距離もそうだけど、彼らの作品は多くの共感を糧に聴き手の“近く”で鳴るものばかりであり、それがこの日の会場を、さらに“近く”に感じさせた。

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ツアー・タイトルにもひっかけて、ステージ上で大きなミラーボールがゆっくり回転するオープニング。ちょっとレトロな雰囲気だ。そして清水が自らハンド・クラップの手本を示しつつ、「Liar」でスタートし、観客の脈拍上昇が小休止しないよう間髪入れずに「泡と羊」へと続く。1番の歌詞に“平均27点”とあるこの歌を、最後は満点の演奏へと仕上げていく。

清水 依与吏(Vo.G.)

清水 依与吏(Vo.G.)

いきなりマックスの盛り上がりとなったのは「青い春」で、会場全体が“踊りながら 必死で生きている”のサビに呼応し、飛び跳ね踊る光景は圧巻だ。会場全体で踊るのは珍しくないし、そう“指導”するのが上手いアーティストも多い。でもこの場合、一人一人が胸の中に“踊る意味”を見出してそうしてるんじゃないかと思うくらい、実に自然な光景に思えた。

小島 和也(Ba.Cho.)

小島 和也(Ba.Cho.)

「SISTER」が終わると背景のスクリーンに雲が浮かぶ青空が現われ、やがて陽が落ちお祭りの屋台の風景となり、観客は次の曲目に気づく。そう、「わたがし」。実にいい演出。ドラムの栗原寿の奥行きあるタイム感の演奏から始まるロッカバラード調の「いつか忘れてしまっても」では、清水にベースの小島和也のボーカルも重なり、もう切なさも二乗に膨らんでいった。

栗原 寿(Dr.)

栗原 寿(Dr.)

サポート・キーボードの村田昭の吹くピアニカから、歌の切なさを象徴するかのような「君がドアを閉めた後」は、言わずと知れた感涙の名曲だが、清水の歌声は完全に“泣いて”はいない。心の涙がこぼれる寸前、それが表面張力でぎりぎり留まってるかのようであり、だから伝わる。そしてこの歌が終わるやMCで、“悲しい(歌の)ブロック、よく堪えてくれた”と客席に。さっきは飛び跳ねていたのにこの振り幅が素晴らしい。

「ミラーボールとシンデレラ」でオープニングを思わせるミラーボールの演出。さらに重低音も豊かに届いたラウドな演奏が客席にいて皮膚をも震わせる「MOTTO」。誰にも共感できる感情を、技ありの歌詞表現で描いた「半透明人間」。さらに…。

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「十代の人がいたら右手を挙げて」と呼び掛け、「左手も,そして耳を塞いで…」と“R指定”を行ってから演奏したのが「助演女優症2」。こういうことされるとつい歌詞を今まで以上につぶさに聴こうとしてしまうけど、でも確かに……、“ひととき指輪を外す恋”。

スクリーンに粉雪が舞い「ヒロイン」、さらに「クリスマスソング」と、季節は真逆だけど名作を続けて披露。その季節の歌を楽しむのもアリだけど、違う季節に“想いを馳せる”というのも素敵なこと。実はこの日は大気が不安定で突然の雷雨に見舞われたりと、夏を絵に描いたような天候だったのだけど。

「僕の名前を」を歌い、「あと残り3曲です」と宣言しつつ、でも既に発表した楽曲は83におよび、予定の新曲「黒い猫の歌」で84作品に達するゆえ、セットリストを考えるのも一苦労だと話し、残念ながら「花束」はやらないといいつつ、でも弾き語りで歌ってくれるという“じらし作戦”もイキな演出であった。小島と栗原もメンバー紹介兼ねてMCする場面では、清水に突っ込まれて“くっそぉー”と爽やかに悔しがる小島の顔のアップが実に印象的だった。

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「高嶺の花子さん」と「スーパースターになったら」は会場も大合唱。イヤモニを外してみんなの歌声を直に聴いて笑顔の清水の印象的な表情。“踊る”、“聴き入る”、そして“歌う”と、とっても充実したこの日のライブもそろそろ終了。みんなの歌声はちゃんと届いているよと、両手で大きな丸印のサインを示す清水だった。

アンコールは「アップルパイ」でスタートしたが、歌の出だしから、まさにこのメロディはこの言葉を、この言葉はこのメロディを欲していたんだと納得する完成度で、清水自身も書いた時、手応えのあった曲だったというが、そういう曲をみんなが好きでいてくれるのは本当に嬉しいと言っていた。

さらにMCで印象に残ったことを最後に書かせて頂くと、自分達はこれからも「自分達が本当に思っていることだけを歌っていく」ので、「全員をハッピーにするような歌」はこれからも書かないだろう、ということ。でもこれは、全員をハッピーにするとなると表面的な浮ついた言葉に陥らざるを得ないし、それは避けたいという自戒の念あってのことだろう。

現実は映画のエンディングのようにはいかない。教会から花嫁を奪って逃げるなんてこと、実際にはあり得ない。「そのドレスちょっと待った」を聴きながら、back number にはこれからも、人々の心の中に眠る、なかなか“日の目を見ない感情”こそを取り出し、歌にしていって欲しいと願う。

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back number tour 2016 “ミラーボールとシャンデリア” @日本武道館 2016.7.14 セットリスト

01.Liar
02.泡と羊
03.青い春
04.SISTER
05.わたがし
06.僕は君の事が好きだけど君は僕を別に好きじゃないみたい
07.いつか忘れてしまっても
08.思い出せなくなるその日まで
09.君がドアを閉めた後
10.サイレン
11.ミラーボールとシンデレラ
12.MOTTO
13.半透明人間
14.助演女優症2
15.東京の夕焼け
16.ヒロイン
17.クリスマスソング
18.僕の名前を
19.黒い猫の歌
20.花束
21.Hey!Brother!
22.高嶺の花子さん
23.スーパースターになったら

EN1.アップルパイ
EN2.手紙
EN3.そのドレスちょっと待った

リリース情報

★8月公開予定の映画「ルドルフとイッパイアッテナ」の主題歌「黒い猫の歌」がデジタルシングルとして8月1日にリリースすることが決定!★

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new digital single
『黒い猫の歌』
2016.8.1 配信!!!

【収録曲】
01.黒い猫の歌 (映画「ルドルフとイッパイアッテナ」主題歌)
02.黒い猫の歌 (instrumental)

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New Album
『シャンデリア』

(CD)UMCK-1528 ¥3,000+税

【収録曲】
01. SISTER
02.サイレン
03.ヒロイン
04.僕は君の事が好きだけど君は僕を別に好きじゃないみたい
05.泡と羊
06.ミラーボールとシンデレラ
07.クリスマスソング
08.助演女優症2
09.東京の夕焼け
10. Liar
11.アップルパイ
12.手紙

プロフィール

back number


Vocal & Guitar : 清水 依与吏(シミズイヨリ)
Bass : 小島 和也(コジマカズヤ)
Drums : 栗原 寿(クリハラヒサシ)

2004年、群馬にて清水依与吏を中心に結成。幾度かのメンバーチェンジを経て、2007年現在のメンバーとなる。
2009年2月18日に1stミニアルバム『逃した魚』をリリース。TOWER RECORDS一押しアイテム「タワレコメン」、HMV一押しアイテム「HOT PICKS」に史上初めて同時に選ばれ、全国の店頭にて異例の大展開。2010年6月、待望の1stフルアルバム『あとのまつり』をリリース。他とは一線を画す切なすぎる歌詞と美しすぎるメロディでその地位を確立。
デビュー直前にiTunesが選ぶ2011年最もブレイクが期待できる新人アーティスト“Japan Sound of 2011”に選出。
4月6日にメジャーデビューシングル「はなびら」を発売して以降、活躍が目覚ましく、2015年1月に発売されたシングル「ヒロイン」はJR SKISKIのCMソングに、5月に発売された「SISTER」は大塚製薬 ポカリスエット イオンウォーターCMソング、8月に発売された「手紙」はNTTドコモ CMソング、11月に発売された「クリスマスソング」はフジテレビ系月曜9時ドラマ「5→9~私に恋したお坊さん〜」主題歌に起用され大ヒットを記録、その後5枚目のオリジナルアルバム「シャンデリア」はオリコンウィークリーチャート2週連続1位を獲得した。
2016年1月にスタートした26ヶ所27公演のホールツアー、さらに6月から追加を含めて6ヶ所12公演のアリーナツアーは全ヶ所即日ソールドアウト。
5月に発売されたシングル「僕の名前を」も映画「オオカミ少女と黒王子」主題歌として話題を集めた。今、最も注目されているバンド。
公式サイト:http://www.backnumber.info

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