佐野元春 REVIEWS Original Album 1980-2013  vol. 2

Review

佐野元春 REVIEWS Original Album vol.2

佐野元春 REVIEWS Original Album vol.2
pct3

3rd 「SOMEDAY」
1982年5月21日発表

Epic Records Japan
① Sugartime
② Happy Man
③ DOWN TOWN BOY
④ 二人のバースディ
⑤ 麗しのドンナ・アンナ
⑥ SOMEDAY
⑦ I’m in blue
⑧ 真夜中に清めて
⑨ Vanity Factory
⑩ Rock & Roll Night
⑪ サンチャイルドは僕の友達

名実ともにロック・スターとなった金字塔的傑作

2作のアルバムがなかなかセールスに結びつかない佐野にとって、杉真理とともに参加した大滝詠一のプロジェクトのアルバム『NIAGARA TRIANGLE Vol.2』は、ブレイクとなったきっかけのひとつと言えるだろう。

その直後に発表したこの3rdアルバムは、徐々にセールスがアップしていき、オリコンチャートの4位にまで上昇する結果となった。

この勝因にはカラフルなジャケットや、全体的にポップになった楽曲などの要素もあるだろうが、なんと言っても表題曲「SOMEDAY」の存在に尽きるだろう。

フィル・スペクターのウォール・オブ・サウンドを取り入れたスケールの大きなアレンジもさることながら、雑踏や車のノイズから“街の唄が聴こえてきて”と始まる導入部で情景描写の巧みさに圧倒され、そのままキャッチーなサビへとなだれ込む。まさに屈指の名曲と言える。

また、他の楽曲にも華やかさのようなものが感じられる。こみ上げるようなメロディの構築が見事な「Sugartime」や、シティ・ポップス風のメロウ・グルーヴに仕立てた「二人のバースデイ」、沢田研二に提供したミディアム・ロック「I’m in blue」なども秀逸。

そして、「SOMEDAY」と対をなす9分近い大作「Rock & RollNight」の壮大な世界も忘れがたい。名実ともにロック・スターとしての地位を築いた金字塔だ。

栗本斉


pct4

4th 「VISITORS」
1984年5月21日発表

Epic Records Japan
① COMPLICATION SHAKEDOWN
② TONIGHT
③ WILD ON THE STREET
④ SUNDAY MORNING BLUE
⑤ VISITIORS
⑥ SHAME – 君を汚したのは誰
⑦ COME SHINING
⑧ NEW AGE

賛否両論渦巻いた衝撃的なニューヨーク録音作

『SOMEDAY』で大ブレイクした佐野だったが、新たな道を歩むために日本での成功を捨てて単身ニューヨークへと渡る。

そして、2年後に突如届けられたのがこの問題作である。現地で吸収したヒップホップやファンクといったストリート・カルチャーを消化して肉体化し、独自のフィルターを通して吐き出した言葉と音は、ファンだけでなく日本の音楽シーンに大きな衝撃を与えた。

その理由は、冒頭の「COMPLICATION SHAKEDOWN」を聴けばよくわかるだろう。強烈なデジタル・ビートとマシンガンのように繰り出されるライムのコンビネーションは、それまでアンダーグランドだったラップというスタイルを一般化させるきっかけとなった。

ホーン・セクションやパーカッションなどがソリッドに絡む「WILD ON THE STREET」やクールなファンクをベースにした「COME SHINING」なども、新境地といえる意外な作風だった。

一方で、比較的メロディアスな「TONIGHT」や「NEW AGE」なども収録されているが、それまでのどこかレイドバックした雰囲気は微塵もなく、最先端を進んでいく印象が強い。

言い換えれば、憧れだった幻想のニューヨークから、リアルな現実のニューヨークへと転換された記録でもある。

賛否両論渦巻いた本作は見事にオリコンチャートの1位を獲得し、ジャンルを超越した名盤となったのだ。

栗本斉

→ 続きは vol.3で! 8/24 更新予定


佐野元春 & THE COYOTE BAND
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Track List

01. 境界線
02. 紅い月
03. 本当の彼女
04. バイ・ザ・シー
05. 優しい闇
06. 新世界の夜
07. 私の太陽
08. いつかの君
09. 誰かの神
10. キャビアとキャピタリズム
11. 空港待合室
12. 東京スカイライン

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