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『Dead by Daylight』心の読みあいがもたらす恐怖と興奮の鬼ごっこ

『Dead by Daylight』心の読みあいがもたらす恐怖と興奮の鬼ごっこ

世界中で猟奇的な鬼ごっこに夢中のプレイヤーが続出する現象を生み出した、オンライン専用の非対称対戦型マルチプレイヤーゲーム、『Dead by Daylight』。カナダのデベロッパーBehaviour Interactiveが開発し、2016年にPC版の配信が開始されるとたちまち大ヒットとなりました。翌年には家庭用ゲーム機に移植され、2018年4月には日本でも『Dead by Daylight : スペシャルエディション』としてPlayStation®4でダウンロード配信がスタート。11月29日にはパッケージ版『Dead by Daylight』が登場し、現在も本作の快進撃は止まりません。ひとりプレイ用のモードは一切なくオンライン対戦のみが用意され、個々のキャラクターに関してもバックストーリーはあるものの、ストーリーの描写はゲーム中にまったくないという潔い仕様です。ただひたすらに追い追われる恐怖の鬼ごっこの魅力とは何なのでしょうか。前回の記事では、2018年11月に発売されたPlayStation®4のパッケージ版『Dead by Daylight』で“サバイバー(生存者)”側での手に汗握る脱出プレイを楽しんでみましたが、今回はサバイバーを追い詰め血祭りにあげる“キラー(殺人鬼)”側のプレイを体験してみます。

文 / 内藤ハサミ


キラー稼業も楽じゃない

前回は、「味方がいるのだから、ひとりで戦わねばならないキラーよりはいくらか安心な気がする」という、かなり消極的な理由でサバイバーでのプレイを楽しんだ筆者でしたが、プレイを進めるうちに、キラー側からの視点や戦略を確認しないとサバイバーとしても成長できないのではないだろうかと気づきました。というわけで、今回は筆者の殺人鬼デビュー戦です。……殺人鬼デビューって、たぶん本作をプレイしなければ一生使うことのない言葉ですね。さて、設定として殺人鬼が崇める大いなる存在、エンティティに人間の命を捧げまくっていきましょうか!

▲今回のイケニエはこの4人か、フッフッフ……。このマッチング画面を見ながら、世界中のキラーが舌なめずりをしていることでしょう

マッチングは、ランクと居住地の近いプレイヤー同士が優先的に組まれます。現在はP2P(ピア・ツー・ピア)型通信でマッチングが行われていますが、今夏にはより環境の安定を考慮した専用サーバー通信に移行予定とのことです。

さて、どのキラーもそれぞれに怖くて魅力的ですが、今回は比較的扱いが易しいとされる“トラッパ-”を選択しました。 トラバサミの罠を仕掛けることができるというトラッパー特有のスキルで、サバイバーたちをいやらしく追い詰める予定です! サバイバーが最大4人いるのに対して、キラーはたったひとり。マップに点在する発電機を起動させ、逃走経路を確保し脱出を計るサバイバーたちは、ライトスタンという懐中電灯を使った数秒の目くらまし、道に落ちているパレットでキラーの進路を数秒塞ぐなどの対策ができるのみで、キラーへの攻撃手段を全く持たず倒すこともできません。そんな丸腰の相手に対してキラーは攻撃をすることができます。さらに透明化したり罠を使ったさまざまな特技で襲い掛かることもできるので、一見有利にプレイを進められそうな気がします。しかし、これが大きな思い違いだったということに、筆者はすぐ気づくことになるのです……。

▲がらーん。歩いても歩いても、人っこひとり見つからない。「私ったら、来る殺戮場を間違えちゃった?」と思うくらいです

エンティティ先生、開始直後にあたりをうろうろしてみたんですが、全然サバイバーが見つかりません! それも当たり前、筆者がサバイバーでプレイしていたときは、いかにキラーの目に入らないようにするかを考えて行動していたのですから、今回の相手だって当然そうしているだけのことなのです。むむむ。それに広い範囲の三人称視点で見渡せるサバイバーと違って、キラーは一人称視点なので、やや視界は狭くて……。相手の立場になってみないと、わからないことって多いんですね。その後も周辺をぐるぐると巡回していると、サバイバーが数秒まえに訪れた証拠である赤い擦り傷のような跡を見つけました。そこを辿って行くも、サバイバーのほうが一枚上手だったようでうまくかく乱されてしまいます。サバイバーの上手な動き、自分がプレイするときの参考になるなぁ(涙)

▲少し見にくいのですが、サバイバーが途中まで修理した発電機を蹴って破壊し、修理の進行状況を後退させているところです。こういう地味な妨害をしておくと、あとで効いてくる……はずです

▲フヒヒヒ、見つけたぞ~、エンティティへのイケニエを!

▲楽しいチェイスの時間ですよ~。どこまでも追いかけますからね

▲攻撃を命中させ、相手を負傷状態にしました。左下にあるサバイバーの状態を表すアイコンが、血を流し歩く姿に変わりましたよ

せっかく一発食らわせたというのに、筆者の操るトラッパーときたら余韻に浸っているのか立ち止まり、武器についた血をぬぐっているではありませんか。「2発攻撃を当てないとサバイバーは倒れないのに、悠長に硬直してる場合か~!」と自分のキャラクターに文句を言いながらあたりを見回すと、すでにサバイバーは逃げたあと。周囲の施設につけられた擦ったような赤い傷と血痕をたどりましたが、途中で見失ってしまいました。

▲よし! ようやくひとりめをフックに吊るすことができました

ひとりをフックに吊り下げ大満足のトラッパーこと筆者でしたが、モタモタしている間に他のサバイバーが発電機を修理してしまいました。出口を開けられてしまったらアウトです。だけど、この場所を離れたらサバイバーがこのイケニエを救出しにくるかも。いや、もしかしたらこのイケニエを捨てて、他の3人が逃げる算段だったりして……? サバイバーは何を考えているのか、経験不足の筆者には読み切れません。どちらにしても、これは非常にいかん状況ですね。「どうすれば……?」と迷いつつ一瞬その場を離れたのが失敗でした。その隙にまんまと救出されてしまいました。そして、誰も捕まえられないまま全員に脱出されゲームセット。いいところがない、悔しい!

▲リザルト画面では、エンティティが赤字で不機嫌をアピールしています。ゴメンよ……

いやー、キラーのプレイはサバイバー以上に難度が高いです。4人のサバイバーを監視し動きを予想することが大事、と頭ではわかっているつもりでしたがうまくいかず、今回は完敗です。サバイバー側が何枚も上手でした。その後何度もプレイしてみて体感したことですが、どうも開始直後のキラーとサバイバーはお互いに離れて配置されるようです。というわけで、ゲームを開始したら、自分から遠い発電機を積極的にチェックしに行くようにしました。また、自分がサバイバーだとしたらまずどうするか、改めてサバイバー側でのプレイをしてみてシミュレーションもしました。相手の行動を読んで先回りすることがキラーのプレイにおいては特に重要なテクニックなんですね。こうして戦略を考え行動していると、次第にサバイバーを絶命させ、エンティティに送ることができるようになってきました。すぐに完封試合ができるようになるわけでは決してない高難度ながらも、サバイバーを発見してチェイスする、フックに吊るす、などの行動ひとつひとつが、サバイバーより多めのブラッドポイント取得という形で評価されるので、しっかり努力ぶんの成果が体感できて気分がいいです。

▲ロード画面に表示される、キラーのプレイ指南画像。わかりやすいですね。左から、“斬って弱らせ、担いで持ち運び、フックに吊るす”。非常にシンプルに見えるのですが……

あれしてこれして、最初はここを見に行って……と、キラーのプレイはサバイバーとは違った視点ながらあれこれ考えることが多く、“殺人衝動に任せて暴れまくる狂気のキラー”という初見の印象とはまったく違いました。冷静で状況に流されない視点と、しっかりとした管理能力が重要なのです。現状のキラーはサバイバーよりも難度が高い印象ですが、サバイバーよりもキラーのほうがブラッドポイントを稼ぎやすいのも確かなので、高難度にめげそうになっても、報酬のおいしさでモチベーションを保てるのがうまいところですね。

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