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『くにおくん ザ・ワールド』国内外で大暴れした伝説の不良がカムバック!

『くにおくん ザ・ワールド』国内外で大暴れした伝説の不良がカムバック!

不良少年たちがヤンキーではなく“ツッパリ”と呼ばれていた1980年代。免許証風ブロマイドの“なめ猫”が大流行し、横浜銀蝿や嶋大輔がリーゼントを揺らしながらブラウン管テレビの向こう側で歌い、恋と喧嘩に明け暮れる日常を描いた漫画『ビー・バップ・ハイスクール』が人気を博したツッパリブームの真っ只中で、ビデオゲームに不良の世界と雰囲気を持ち込んだアクションゲーム『熱血硬派くにおくん』がアーケード用にリリースされた。
それから時が経ち、元号が昭和から平成に移り変わってからは、『熱血高校ドッジボール部』、『ダウンタウン熱血行進曲 それゆけ大運動会』といった対戦プレイ形式のスポーツゲームや、アクションRPGの『ダウンタウン熱血物語』、『くにおくんの時代劇だよ全員集合!』、そしてパズルゲームの『くにおのおでん』など、アクションゲームの枠に収まらない『くにおくんシリーズ』は、アクション、スポーツ、パズルの3ジャンルでバラエティに富んだ発展を遂げていった。そんな『くにおくん』シリーズから、ファミリーコンピュータで発売された代表的なタイトルの国内・海外版を含めた計18作品を1本にまとめた『くにおくん ザ・ワールドクラシックスコレクション』(以下、『くにおくん ザ・ワールド』)が2018年12月20日にリリースされた。本稿では、長く愛されたシリーズを見直し、贅沢すぎる今作の魅力をお伝えしていこう。

文 / クドータクヤ


『くにおくん ザ・ワールド』って?

本作には、アクションRPGの『ダウンタウン熱血物語』と江戸時代を舞台にした『ダウンタウンスペシャル くにおくんの時代劇だよ全員集合!』のほか、ハンマー投げゴルフやビル越え棒幅跳びといった競技に挑戦する『びっくり熱血新記録!はるかなる金メダル』も収録。さらに、ファミリーコンピュータの海外版であるNintendo Entertainment System(NES)でリリースされた『RENEGADE(※『熱血硬派くにおくん』)』や『Super Dodge Ball(※『熱血高校ドッジボール部』)』以外にも、冷峰学園のりゅういち・りゅうじが“ダブルドラゴン兄弟”と呼ばれていることに関連してか、『くにおくん』シリーズの兄弟作とも呼べるアクションゲーム『ダブルドラゴン』シリーズも1作目から3作目までラインアップされている。
『くにおくん』シリーズは2016年の『ダウンタウン乱闘行進曲 かちぬきかくとうSP』(PlayStation®4/Steam®)、そして『ダブルドラゴン』シリーズは2017年に『ダブルドラゴンIV』(Steam®、PlayStation®4、Nintendo Switch™)がそれぞれ新作としてリリースされたことから、『くにおくん ザ・ワールド』のラインアップは両シリーズの歩みを振り返るための選定だったのではないだろうか? 

本作は単なる移植タイトルを集めたオムニバスではなく、画面のチラつきや処理落ちを改善した”クオリティアップ“が施されていることや、中断セーブ・ロードの搭載、そして見ず知らずの人とも気軽に対戦プレイが楽しめるオンラインプレイが可能なことから、懐かしさと現代的な遊びやすさを両立したユーザーフレンドリーな一作になっている。計18タイトルに及ぶ収録作のなかから、当記事では第1作目の『熱血硬派くにおくん』、スポーツゲームとして展開するきっかけとなった『熱血高校ドッジボール部』、そして最も知名度が高い多人数対戦ゲーム『ダウンタウン熱血行進曲 それゆけ大運動会』の3タイトルをメインでピックアップし、『くにおくん』シリーズが築いた面白さと魅力を確認する。

ワルのオールスター総出演『熱血硬派くにおくん』

テクノスジャパンの代表作である『ダブルドラゴン』と併せて”ベルトスクロールアクションの始祖“と呼ばれ、『くにおくん』シリーズの記念すべき第1作目となった『熱血硬派くにおくん』。プレイヤーは熱血高校に通う正義の不良・くにおを操作し、誘拐された親友のひろしを救うべく、別高校の番長やスケバン、さらには暴力団に立ち向かっていくというストーリーになっている。
なお、『くにおくん ザ・ワールド』に収録されているのはアーケード版ではなくファミリーコンピュータ版となっているが、バイクに乗って不良たちを蹴散らすチェイスシーン、最終ボスである暴力団の若頭・さぶにたどり着くまでのルート分岐などのアレンジが付け足されている。

▲1面のボスとして登場するのは、のちに良きライバルであり親友となる“りき”。顔面に強烈なマッハパンチを仕掛けてくるので、真正面に立つと危険。画面設定ではブラウン管テレビの映りを再現したスキャンラインの濃度設定を変えることができる

▲巨体のスケバン“みすず”は3面のボスで待ち構えている。こちらの襟首をぐいと掴んで繰り出してくる往復ビンタに、くにおもたじたじな様子

メリケンサックや竹刀といった武器を使わず、ステゴロで不良たちをボコボコと成敗していく痛快さが気持ちよく、難しすぎないゲームバランスと相まって、ステージをクリアするたびに確かな満足感と清々しさをプレイヤーに与えてくれる。反面、敵に囲まれて羽交い締めにされた際は悔しさのあまり、移動操作用のスティックを無意識のうちにガチャガチャと動かしてしまうこともあるが、飾り気のないシンプルな作りだからこそ、プレイヤーの感情移入を誘いやすいのだろう。

▲くにおに向かって突進してくる暴走族は、タイミングを合わせてジャンプキックをお見舞いすることでバイクもろとも転倒。思わず「ざまあみろ!」と言いたくなってしまいそう?

▲ファミリーコンピュータへの移植で追加されたバイクのチェイスシーンがこちら。手前側の通りにはガードレールがついていないため、敵を蹴ることばかりに集中していると操作を誤って自分が事故を起こしてしまうことも……

クリアまでの所要時間は約10分で、なかには短いと感じる人もいると思うが、『くにおくん ザ・ワールド』の収録作を遊び尽くすことを考慮すると、短時間でもサクッと楽しめるちょうどいい塩梅ではないだろうか? 今回のレビューにあたって十数年ぶりにプレイしたところ、最終面の正規ルートをすっかりと忘れてしまい、りきやみすずと何度も戦うハメになってしまった……。プレイ途中のセーブ・ロード機能のお世話になりっぱなしだったことを記しておこう。

『熱血高校ドッジボール部』から展開するスポーツシリーズ

『熱血硬派くにおくん』に次ぐ『くにおくん』シリーズ2作目は、ツッパリの世界設定を必要以上に出すことを抑えた『熱血高校ドッジボール部』というスポーツゲームとしてリリースされた。アクションゲームではなかったという期待感をいい意味で裏切り、結果として『くにおくん』シリーズがスポーツゲームとしても派生作品を展開していくきっかけになっていく。とはいえ、くにおであるだけに彼がふつうにスポーツを楽しむスケールに収まるはずがない。
本来のドッジボールはコート内で相手からボールを当てられると外野に移るのがルールとなっているが、この『熱血高校ドッジボール部』ではコート内にいる互いの選手の体力がなくなるまでボールを当て合うという変則ルールになっており、いわば“球技を用いた喧嘩”といえるだろう。相手のコートに殴り込むということはできないあたりはスポーツマンシップに則っているが……。

▲体力が減少すると、一時的にキャラクターが操作できなくなる息切れ状態になってしまう。しゃがんで避けたり、甘いシュートボールをうまくキャッチすれば体力が減らずに済むので、攻撃のチャンスを待とう

▲原作のファミリーコンピュータ版では画面のチラつきや処理落ちが激しかったが、クオリティアップ版はまるで別ゲームを遊んでいるかのようだ

メインモードである対CPU戦の“遠征試合”は、熱血高校のドッジボール部で主将を務めるくにおをはじめ、所属する6人の部員を操作しながら、りき率いる花園高校、中国やアメリカといった世界各国のチームと勝負し、世界一のドッジボールチームを目指すという壮大な物語になっている。
対アフリカ戦は沼地で足がとられ、対アイスランド戦では氷面で滑りやすくなるなど、国によってコートに特殊効果がかかるというユニークな仕掛けが用意されており、思いどおりの操作ができずにイライラさせられることも。なかでも特徴的なのは、キャラクターごとに異なる“必殺シュート”の存在だ。ボールがウネウネと蛇行したり、強烈なカーブでグイッと曲がってきたりと、見切りがつきにくいものもあるため、かつて兄弟や友人と対戦したときに「それ打たれるとキツイわ!」と言い合った人も少なくないだろう。ぜひオンラインプレイで追体験してみてほしい。

▲この作品を機に『いけいけ!熱血ホッケー部』、『くにおくんの熱血サッカーリーグ』といった『くにおくん』シリーズのスポーツゲームが続々とリリースされていく

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