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さらに深みを増したステージングを見せる感動作。ミュージカル『刀剣乱舞』 ~三百年(みほとせ)の子守唄~開幕レポート

さらに深みを増したステージングを見せる感動作。ミュージカル『刀剣乱舞』 ~三百年(みほとせ)の子守唄~開幕レポート

1月20日(日)天王洲 銀河劇場にて、ミュージカル『刀剣乱舞』 ~三百年(みほとせ)の子守唄~が開幕した。昨年末、「第69回NHK紅白歌合戦」には19振りが出場して、大きな話題となった“刀ミュ”。
「三百年の子守唄」は2017年春に上演された作品。刀剣男士たちが歴史の流れを元に戻すため、戦いや育児(!?)に奔走する。1部ミュージカルの物語をそのままに磨きをかけ、2部ライブは新たな楽曲、新たな衣裳、新たなステージングでパワーアップさせている。
石切丸 役の崎山つばさ、にっかり青江 役の荒木宏文、千子村正 役の太田基裕、蜻蛉切 役のspi、物吉貞宗 役の横田龍儀、大倶利伽羅 役の牧島 輝、刀剣男士を演じる6名と演出の茅野イサムが登壇した囲み取材の模様とゲネプロを写真と共にレポートする。

取材・文・撮影 / 片桐ユウ

2019年はミュージカル『刀剣乱舞』第二章の始まり

名だたる刀剣が戦士の姿となった“刀剣男士”を収集・育成するシミュレーションゲーム「刀剣乱舞-ONLINE-」(DMM GAMES/Nitroplus)を原案として、2015年より続くミュージカル作品シリーズ。

刀ミュシリーズ3作目として2017年春に上演され、好評を博した「三百年の子守唄」は、“歴史修正主義者”によって変えられてしまった歴史の流れを元に戻すために、刀剣男士たちが徳川家康の一生に寄り添いながら戦う物語。大きな歴史の中で、人の生涯に寄り添った刀剣男士たちの悲哀が染み通るように伝わってくる感動作だ。

ゲネプロ前に行われた囲み取材には、石切丸 役の崎山つばさ、にっかり青江 役の荒木宏文、千子村正 役の太田基裕、蜻蛉切 役のspi、物吉貞宗 役の横田龍儀、大倶利伽羅 役の牧島 輝、そして演出の茅野イサムが登壇した。

まず崎山つばさが「いよいよ初日の幕が上がります。年末は『NHK紅白歌合戦』への出陣もあり、激動の稽古期間だったのですが、そのぶんいろいろな経験をさせていただきまして、注目度が高まるなか、こうして幕を開けられることを本当に嬉しく思います。キャスト・スタッフ一丸となって、最高の作品がお届けできるように励みたいと思いますので、よろしくお願いします」と意気込み。

荒木宏文は「年末年始にかけてたくさんの方にミュージカル『刀剣乱舞』を知っていただく機会をいただき、本作がそこから一発目の作品ということで、とても大きなプレッシャーは感じているのですが、自信を持ってお届けできるものを準備してきました。このミュージカル『刀剣乱舞』を、よりたくさんの方に知っていただけると嬉しいです」と、年末年始で数々のメディアに露出した“刀ミュ”の活動を振り返りながら、一層の広がりに期待を寄せる。

太田基裕は「初演から2年、その間もこの千子村正と向き合う機会が頻繁にあったのですが、そのなかでいろいろ自分の中で膨れ上がったものをあえてなるべく削ぎ落として、いい緊張感のなか、この役とまた向き合いたいなと思っております。素敵な初日になることを祈りながら頑張りたいと思います。よろしくお願いします」と、初心に戻って再び作品に臨んだことを告白。

spiも「再演ということで前回より確実に深まったことがたくさんあります。みんなでたくさんいろんな経験もしましたけれども、初めて出会った頃の緊張感を大事にしながら、観に来るお客様ひとりひとりの背中を押せるような素敵な作品にできたらと思っています」とコメントした。

横田龍儀は初演のときが初の2.5次元ミュージカル出演。「初演から2年経って、自分がどれだけ成長できたのかなと思いながら毎日稽古してきました。主(あるじ)様たちにどれだけ自分が物吉貞宗として成長できたかというのを見てもらえたら嬉しいなと思っています。今日の初日をすごく楽しみにしています。頑張ります!」と自信を覗かせる。

牧島 輝は新キャスト。「たくさんの人の期待をとても感じています、それに応えられるように頑張りたいと思っています。再演ということではありますが、僕自身にとっては初めての出陣となりますので、初演だという心持ち、新鮮な気持ちで頑張りたいなと思います」と気合十分。
大倶利伽羅らしくキリッとした表情を崩さずにコメントしていたが、最後に隣りにいたspiから「緊張してる?」と聞かれて「……はい」と、照れくさそうに微笑みを浮かべて、会場の空気を和らげていた。

演出の茅野イサムは「この『三百年の子守唄』は間違いなく、我々のミュージカル『刀剣乱舞』のレベルをぐっと押し上げてくれた作品だと思っています。それはここにいる出演者個々の舞台俳優としての経験の深さやスキルの高さが大きかったと思います。また「阿津賀志山異聞」「幕末天狼傳」を経てのスタッフの技術の向上という点も大変大きかったと思います。これからは、これを超えていかなくちゃいけないという高いハードルを設定してくれたことが、その後の作品に繋がっていると思います」と、作品のクオリティに言及。
そして「昨年末、『NHK紅白歌合戦』への初出場を果たしまして、この2019年はミュージカル『刀剣乱舞』第二章の始まりだなと思っています。その開幕を飾る作品が『三百年の子守唄』ということは、演出家として大変嬉しく思っています。また必ず、彼らはさらにこの作品のハードルをぐっと上げてくれると思います。ストーリーとしては変わっていませんが演出は大きく変わっていますし、当然出演者も役をより深めています。観に来てくださる方は本当に楽しみにしていただきたいと思います」と、観客にメッセージを送った。

歴史モノであると共に人情味が強く感じられる作品

この後は、ゲネプロの模様をレポートする。

ことの起こりは、天文11年12月、三河・岡崎城付近。
遠征から戻る道中だった、にっかり青江と大倶利伽羅は、予期せぬ時間遡行軍の襲撃に遭遇。急ぎ向かった先の城内では松平勢と時間遡行軍との乱戦が繰り広げられており、瀕死の状態にある松平広忠からひとりの赤子を託される。

審神者の命によって駆けつけた石切丸、千子村正、蜻蛉切、物吉貞宗の4振りも参戦するが、すでに松平勢の重臣たちは討ち死にしたあと。ひとり遺された赤子が、竹千代……後の徳川家康であることを知った石切丸たちは、それぞれ討ち死にした家臣の代わりを務め、成長を見守っていくことになる……。

徳川家康の生涯を追う、壮大な物語だ。

家康(竹千代)は赤子から少年へと育ち、青年になり元服。そしてその息子である信康もまた赤子から少年、青年へと成長していく。時の流れを楽曲『かざぐるま』に乗せて展開。荘厳なメロディは、涙が零れそうになるほど美しい。

家康が参戦する主要な戦のシーンでは、それぞれの刀剣男士ならではの立ち回りが繰り広げられる。大太刀である石切丸は余裕たっぷりに登場し、脇差の物吉貞宗やにっかり青江はスピーディーな殺陣で相手を斬り倒す。千子村正は妖しく誘うような動きで相手を翻弄。それぞれの迫力に息を呑む。

ストーリーの流れ、舞台装置などは初演と大きく変わりはないが、家康やその息子・信康、農民出の吾兵らと刀剣男士たちとの交流がより手厚く描かれ、信康が家康に命じられて切腹するという史実や、戦の重みと哀しみが増した。

また刀剣男士を演じるキャストそれぞれの歌唱力、芝居力が一段と上がっており、場面ごとの心の揺れ動きが一層伝わるものとなったことも嬉しい変化だ。

石切丸を演じる崎山つばさは、主から直接命を受けた隊長として、すべてを抱え込もうとする使命感の強さと脆さを表現。にっかり青江を演じる荒木宏文の演技には、そんな石切丸を思いやる優しさが滲み出ていた。
大倶利伽羅 役の牧島 輝は、なれ合いを嫌う一匹狼の物腰と“青さ”、その後に人との触れ合いを通して“深み”を増していく変化をまっすぐに演じた。

徳川に仇なす妖刀とされる千子村正 役の太田基裕は、徳川家に重んじられてきた刀剣とは別の視点を持つものとしてのスタンスを守りつつ、コミカルな演技で周りの空気を和らげる。
蜻蛉切 役のspiは、豪快な立ち回りと抜群の歌唱力で包容力を見せ、家康に愛用された物吉貞宗 役を演じる横田龍儀は、柔らかな笑顔と共に家康に寄り添い続ける芯の強さを感じさせた。

歴史を守る立場であるということは、終わりなき歴史の中で生きる人々の命を見届けていくということ。
石切丸の回想で始まるこの物語は、刀剣男士たちが長い月日の中で人間たちと触れ合い、その中で戸惑い、喜び、葛藤や苦しみを感じ取っていく様が丁寧に描き出されており、歴史モノであると共に人情味が強く感じられる作品である。

刀剣男士という“刀剣”であったモノたちが、人間の儚さや煌めきに影響を受けて揺れ動く。彼らが“ヒューマンドラマ”を体現していく、ミュージカル『刀剣乱舞』ならではの妙が光る、感動作だ。

2部のライブは新衣裳、新楽曲での新たなパフォーマンス。こちらのほうは大いにペンライトや声援を送って盛り上がりたい。

東京公演は、1月20日(日)~2月3日(日)天王洲 銀河劇場にて。その後、大阪公演が2月8日(金)~2月11日(月・祝)サンケイホールブリーゼにて、京都公演が2月17日(日)~3月3日(日)京都劇場にて、東京凱旋公演が3月15日(金)~3月24日(日) TOKYO DOME CITY HALLにて上演される。3月24日(日)の大千穐楽は、全国の映画館でのライブビューイング、LIVE配信が決定している。

ミュージカル『刀剣乱舞』 〜三百年(みほとせ)の子守唄〜

東京公演:2019年1月20日(日)〜2月3日(日)天王洲 銀河劇場
大阪公演:2019年2月8日(金)〜2月11日(月・祝)サンケイホールブリーゼ
京都公演:2019年2月17日(日)〜3月3日(日)京都劇場
東京凱旋公演:2019年3月15日(金)〜3月24日(日)TOKYO DOME CITY HALL

ライブビューイング:3月24日(日)18:30〜開演
ライブビューイングの詳細はこちら

原案:「刀剣乱舞-ONLINE-」より (DMM GAMES/Nitroplus)
演出:茅野イサム
脚本:御笠ノ忠次
振付・ステージング:本山新之助

出演:
石切丸 役:崎山つばさ
にっかり青江 役:荒木宏文
千子村正 役:太田基裕
蜻蛉切 役:spi
物吉貞宗 役:横田龍儀
大倶利伽羅 役:牧島 輝

徳川家康 役:鷲尾 昇
松平信康 役:大野瑞生
竹千代 役:中村琉葦(Wキャスト)
竹千代 役:川尻拓弥(Wキャスト)
吾兵 役:高根正樹

ほか

主催:ミュージカル『刀剣乱舞』製作委員会
(ネルケプランニング ニトロプラス DMM GAMES ユークリッド・エージェンシー)

オフィシャルサイト
オフィシャルTwitter(@musical_touken)

©ミュージカル『刀剣乱舞』製作委員会