LIVE SHUTTLE  vol. 328

Report

古川雄大アーティストデビュー10周年記念ライブを開催!「大切な想いを歌に込めて……」

古川雄大アーティストデビュー10周年記念ライブを開催!「大切な想いを歌に込めて……」

2008年10月にミニ・アルバム『PASTEL GRAFFiTi』でアーティストデビューを飾った古川雄大の、デビュー10周年記念ライブが2018年12月25日に東京・中野サンプラザで開催された。“ミュージカル界の新プリンス”として注目を集め、ドラマ『下町ロケット』での熱演も記憶に新しい彼が、俳優活動と同じく大切に思っているのが音楽活動。多忙なスケジュールの合間を縫い、信頼する仲間と共に心の琴線に触れる曲を作り、コンスタントにライブを行ってきた。ファンへの感謝と音楽への想いが凝縮されたプレミアムなライブの模様をレポート!

取材・文 / 近藤明子

5年後も10年後もその先も……大好きな歌と共に僕は生きていく

クリスマスソングが流れるなか、ゆっくりと場内の照明が落ち、ステージにかかる紗幕に映像が映し出される。2018年から時間を遡っていくなかで、だんだん幼くなっていくMVの表情に懐かしさがこみ上げてくる。2008年の表示と同時に幕が落ち、ステージ中央には古川雄大の姿が!

「今日は楽しんでいきましょう。メリークリスマス!」の声で、観客は弾けるように椅子から立ち上がりペンライトを振る。

オープニングの「Starting Days」は、デビューミニアルバムの1曲目に収録されているナンバーで、まさに「ここからアーティスト古川雄大がスタートした」という一曲。

続いて1stシングル「SUNDAY」が始まり、巻き戻された時間がゆっくりと“今”に向かって時を刻み始めるのを感じた。

ステージを左右に移動し観客をあおる古川だが、曲終わりのトークで「ちょっと走ったら、これだけ息切れするくらい歳を重ねてしまいました(苦笑)」と自虐的な挨拶を。これには観客から大きな笑いが起こった。

水分を補給し、息を整えたあとにギターを抱えて歌い始めたのは「日日草」。ミディアムテンポのゆったりしたリズムに合わせて1階フロアで揺れるペンライトの光が、2階からは風にそよぐ無数の花のように見え、幻想的な光景が一面に広がる。

4曲目の「end roll」は発表時とはアレンジが変わり、また違った印象の曲に変貌を遂げているように聴こえ、改めて曲は“生きて”いるのだなと実感。古川の歌声も、デビュー当時は繊細で儚げな印象だったが、ミュージカルの大舞台に出演するようになってからは力強さと色気がプラス。ミュージカル俳優としての成長と共に、ボーカリストとしても実力をつけているのを頼もしく思うのだった。

「せっかく椅子があるので座りましょうか」笑顔で着席を促し「改めまして、今日はようこそお越しくださいました。2018年10月29日で無事アーティストデビュー10周年を迎えることができました。オープニングの映像はいかがでしたか? 途中から古川雄大を知った方は“私、ここから(知った)!”と気づけたのではないかと思います。今日のセットリストは最新曲に向かっていくように並べたので、今までの軌跡を一緒に振り返れたらと思います」と、言葉を続ける古川。

それにしても彼の楽曲を時系列で聴くと、いい意味でジャンルへのこだわりのなさを感じる。直球のポップス、エレクトリックな流行りの音色を取り入れた“飛び道具的”な楽曲、抒情的なロッカバラード、時にはインタビュー時の穏やかな語り口の彼からは想像もつかないようなアッパーチューンなど、興味が赴くままに楽曲に取り入れていく貪欲さには毎回驚かされる。

さらに今までのライブでは観客のリクエストを盛り込んだ即興ソングやミュージカルナンバーを披露するなど、自身の俳優活動とリンクさせた演出も。

今回のセットリストでは、昨年念願のヴォルフガング役(※山崎育三郎とのW主演)を務めた『モーツァルト!』から「僕こそ音楽」「影を逃れて」の2曲と、2月から再演される『ロミオ&ジュリエット』より「世界の王」の、合計3曲を披露した。

特に「世界の王」は、「サビの部分を皆さんと一緒に歌いたい!」と曲に入る前に練習タイムを設け、最初のうちは恥ずかしがっていた観客も、マイクを向けられ口ずさむうちにだんだん声が大きくなって「朝から夜まで~♪」を何度もリピートし、これには古川も「完璧だね!」と満足気な表情でニンマリ。

その後のトークでは、古川自身の口から6月から開幕するミュージカル『エリザベート』で“黄泉の帝王”トート役を演じることが報告され、場内には割れんばかりの拍手と歓声が響いた。

「ミュージカルに出演するようになって最終目標にしていたトート役を、今このタイミングで演じることができるのはなんて幸せなことなんだろうと……。とてつもなく大きな挑戦ですが頑張りたいと思います」と、引き締まった表情で語っていたのが印象的だった。

僕の中にある大切な想い、忘れてはいけないことを歌詞に込めて届けたい

そろそろライブも後半戦に突入! 「Catch Me」「Don’t look back」と躍動感溢れるナンバーを続けざまに披露したあとは「Love me」で“愛”を高らかに歌い上げた。

熱気が高まる場内の空気のなか、本編ラストを飾る「アイヲステテ」のイントロがスタート! ジャジーなサウンドが印象的なこの曲は、ファルセットと地声を行き来するボーカリストとしての技量が試される難曲だが、その危ういギリギリ感も魅力に変えて聴かせることができるのは、さすがのひと言。

本編は全14曲。「あの曲も聴きたかった」「久しぶりにこの曲を歌ったら、今ならどう歌うんだろう」という興味は尽きないが、それだけ琴線に触れる良曲が多いということ。ある意味“古川雄大ダイジェスト”とも言える選曲で、10年の軌跡を振り返ったのだった。

アンコールでは、満天の星が輝く。そこで、2004年にリリースされたBoAの「メリクリ」をカバー。女性ボーカルのラブソングがこんなにはまる男性ボーカリストは珍しいなと常々思っていたが、少女漫画に出てくる王子様然とした彼の甘いルックスがそう思わせるのか……。とはいえ、聴く者を歌の世界観に引き込む表現力は、間違いなく唯一無二。

また、今回の10周年ライブのために作った新曲「signal」もこの日初披露され、サプライズのクリスマスプレゼントに観客は沸き立った。抒情的なサウンドと、新たな一歩を踏み出す“君”の背中を押すような言葉たちに勇気をもらえるような一曲。「これからも忘れてはいけないことを自分なりに書いてみました」と語ったように、デビュー当初から彼の中に変わらずある“想い”がストレートに伝わってくる歌詞にキュン♡となった。

アンコールを求める手拍子で再度ステージに登場した古川とバンドメンバー。三角帽子を被った古川、サンタ帽、トナカイ、シャンパン(!?)、フライドチキン(???)の被り物姿のバンドメンバーが声を合わせて「メリークリスマス!」と挨拶すると、場内は爆笑の渦に包まれた!

「この姿に皆さんどんな反応をするのか心配でしたが、ステキな反応ありがとうございます(笑)。記念撮影をさせてもらっていいですか?」とカメラマンをステージに呼び、客席をバックに「はい、チーズ!」と笑顔でポーズを決めた。

ライブの最後を飾ったのは、「I’m a dreamer」。「最後はバシッと締めたい! もっと先を目指していこうという想いを込めて歌います!」。明るくなった客席にハート形のヒコーキがフワフワと舞い降りるなかを、フロアの後方や隅々まで視線を送り、声援に手を振り応えながら歌声を届ける古川。

「本日は素敵な時間をありがとうございました!」

この先、5年、10年……20年後も“アーティスト古川雄大の夢の軌跡”を共に歩んでいきたいと思わずにいられない、心温まるライブだった。

Yuta Furukawa 10th Anniversary Live
2018.12.25@中野サンプラザ SET LIST

M01.Starting Days
M02.SUNDAY
M03.日日草
M04.end roll
M05.monochrome
M06.形のないモノ
M07.アナタノトリコ
M08.僕こそ音楽(『モーツァルト!』)
M09.影を逃れて(『モーツァルト!』)
M10.世界の王 (『ロミオ&ジュリエット』)
M11.Catch Me
M12.Don’t look back
M13.Love me
M14.アイヲステテ
ENCORE
M15.メリクリ(cover)
M16.signal
M17.I’m a dreamer

古川雄大(ふるかわ・ゆうた)

1987年7月9日生まれ、長野県出身。主な出演ミュージカル・舞台は『エリザベート』、『レディ・ベス』、『1789-バスティーユの恋人たち-』、『ロミオ&ジュリエット』、『黒執事-Tango on the Campania-』、『モーツァルト!』、『マリー・アントワネット』など多数。俳優のみならず、ミュージシャンとしても活動を広げており、2018年12月25日には中野サンプラザにて『Yuta Furukawa 10th Anniversary Live [ 2008-2018 ]』を開催し大成功を収める。また今年2月にはミュージカル『ロミオ&ジュリエット』、6月にはミュージカル『エリザベート』の出演を控えている。

オフィシャルサイト
オフィシャルTwitter(@furukawa_staff)
オフィシャルInstagram(@yuta_furukawa_official)

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