Interview

柴犬×おっさん。“妙に癒やされる”ドラマ『柴公園』は「妙に深い人生哲学」。渋川清彦(実は猫派!)がその魅力について語る

柴犬×おっさん。“妙に癒やされる”ドラマ『柴公園』は「妙に深い人生哲学」。渋川清彦(実は猫派!)がその魅力について語る

人懐っこく飄々とした中にも、危険な雰囲気を漂わせるアウトローを演じさせたらピカイチ。と思いきや、いかにも朴訥とした人情味あふれる兄ちゃん役もこれまた見事にハマってしまう。そんな唯一無比の個性を放つ俳優、渋川清彦。名前を聞いてピンと来なくても、顔を見れば誰もが「ああ、この人…!」と膝を打つ、神出鬼没の名バイプレイヤーとして今や揺るぎないポジションを確立している彼の初の連続ドラマ主演作が『柴公園』。何が起こるわけでもない。ただ犬の飼い主である中年男3人が公園でくっちゃべるだけのドラマなのだが、その脱力感が妙に可笑しくてツボにはまる。そんな前代未聞のマッタリ・コメディ『柴公園』についてたっぷりと語ってもらった。

取材・文 / 井口啓子 撮影 / 増永彩子

アドリブも満載。「台本通りに行かないのは当たり前。そこは程度の差はあれど人間と一緒かなって。」

『柴公園』は渋川さんにとって連ドラ初主演作になるわけですが、依頼が来たときの率直な思いを教えていただけますか?

いや、よく初主演でどうですか? と聞かれるんですが、自分では特に主演という意識はなくて。今回のドラマの監督である綾部真弥さんとは昨年『ゼニガタ』という映画でご一緒して、その直後に本人から「次こういうのやろうと思ってるんですけど、どうですか?」って声を掛けてもらったときも、「よし主演きた!」みたいな気持ちはなくて。今までと同じように取り組むつもりでしたし、気負いみたいなのは一切なかったですね。

犬を散歩させながらのおっさん三人の日常劇ということもありますが、このマッタリ感は衝撃的ですらあります(笑)。お芝居としては会話が中心で動きも少ないですが…。

だからこそ難しかったですね。会話が中心で台詞も多いし、動きも少ないので芝居としては難しくて、なにげない会話からキャラクターとか背景が見えたらいいなと思うんですけど、自分の芝居がどう見えてるかってあんまりわからないし。

渋川さん演じる「あたるパパ」は飄々とユーモラスでありながらも一癖ある人物で、渋川さんらしいキャラクタだなーと感じました。

実は今回の企画者で脚本も書いてる永森裕二さんは、あらかじめ僕をイメージして脚本を書いて下さったらしいので、他人から見た自分のある面は確かに役に出てるんでしょうね。

「じっちゃんパパ」役の大西信満さん、「さちこパパ」役のドロンズ石本さんとの呼吸も絶妙で。

大西とは同じ事務所で、彼の人となりもよく知ってて、作品もけっこう一緒にやってるし、石本さんとは初めてだったんですけど本当に壁のない、役のまんまの明るい方なのですごくやりやすかったですね。

犬との共演はいかがでした?

やっぱり可愛いですよね、はい(笑)。僕自身はどちらかというと猫派なんですけど、犬はちゃんと躾をすればちゃんと言うことをきいてくれるし、全然違うんだなって。もちろん猫も犬もいろんな性格があるんですが、僕の飼ってるあたるは男の子ということもあって、やんちゃで好奇心旺盛なところがかわいかったですね。

動物との撮影は大変だと言いますがいかがでした?

そこは大変なのは当たり前なので、それを前提としてどう動いていくかですよね。今回、じっちゃん役の犬が初めての撮影だったらしくて、最初はびくびくして動かなかったんで、大西さんが抱っこして動いたり。僕も最初の方のシーンだったかな、あたるを撫でたら「触るな」みたいな感じで「ワンッ!」って吠えたんで、「お、どうした?」ってアドリブというか、普通の反応をしただけで。台本通りに行かないのは当たり前で、どう犬にあわせて芝居をしていくか。そこは程度の差はあれど人間と一緒なのかなって。

犬を通して親密に会話をするんだけど互いのプライベートには踏み込まない、この三人の絶妙な関係性もいいですよね。本当になんでもない会話なんだけど、妙にマニアックな言い回しがあって、思わずクスッと笑わせられる。

そうそう、だから脚本がいいんですよね。都会の公園ならではの人間模様というか。うちの田舎の方だったら近所の人全員、どこに住んでて何してるとか知ってるじゃないですか? だから、やっぱり東京ならではですよね。自分はどうしても「何やってるんですか?」とか聞きたくなるタイプなんですけど(笑)。

確かに。こういう犬が出てくるドラマって、犬が主役で映像的にも犬のアップが異様に多かったりしますが、このドラマはそういう感じでもなく、あくまで主役は人間なのがおもしろい。

そこもやっぱり脚本の永森さんが犬を美化しては描いてないからで。このドラマって元々、永森さん自身の実体験をベースにしていて、永森さんもタワーマンションに住んでて、柴犬を飼ってて、実際に近所を散歩してると名前も知らない人たちと話をすることがあって…っていう。それがベースにあるので妙なリアリティがあるんだろうなって思うし、犬がセットの人間関係っておもしろいですよね。ママ友とかもある種、近いものはあるのかもしれないけど。

渋川清彦にとって“東京”“俳優”とは? 「ちゃんと腹を括れてないだけなのかも」

都会に住む現代人ならではのコミュニケーション、ですね。毎回冒頭に入るナレーションもいいですよね。

そうそう、妙に深い人生哲学みたいな。あれもけっこういいこと言ってるんですよ。

第一話の「人間には居場所探し」というナレーションにちなんで質問してみたいのですが…。自分の居場所みたいなのって考えたりします?

うーん、居場所か。いろいろ考えはしますけど難しいですね…。なんか東京でこういう仕事をかれこれ20年以上やってきて、でも、どこかで地元に戻りたいみたいな気持ちがずっとあるんですよね。僕の場合、地元の友達ともしょっちゅう会ってて、毎年年末には必ず帰るんです。たとえば、こっちでの仕事の忘年会か地元の友達との忘年会か、どっちを選ぶか? 誰と遊ぶかみたいなのもひとつの居場所な気がして。自分は俳優の友達もあんまりいないし、仕事以外ですごく頻繁に会う人もいないんで、ここが居場所みたいなのは東京にはない気がして…。18歳で東京に出てきたんで人生の半分以上は東京にいるわけですけど、まだここが居場所って気はしませんよね。

渋川さんは元々モデルで、インディペンデントで洋服ブランドを手掛けてたり、バンドをされてたり、「俳優」という枠だけにキレイには収まらない感じが俳優としての味になっているのかなとも感じるのですが、逆になにか一個所に限定されたくないという気持ちはあります?

どうなんでしょうね。限定されたくないという意識的なものかどうかはわからないけど、結果的に限定できない感じはずっとあって…、ちゃんと腹を括れてないだけなのかも知れませんけどね。でも仕事にしているのは「俳優」だけですが。

昨年はドラマ『モンテ・クリスト伯 ―華麗なる復讐―』にレギュラー出演されたり、今年も稲垣吾郎さんが主演された映画『半世界』の公開が控えていたり、これまで以上にメジャーな場でのご活躍が増えてきた気もしますが…。

そうですねえ。『モンテクリスト伯』とかも何度もやってる監督さんが誘ってくれたからやろうという感じで、変化はあるといえばあるけど、自分がしてることは何も変わってないと思いますね。

渋川さんが感じられる、俳優の仕事のいちばんの醍醐味は何でしょう?

まだわかんないんですよねえ…。お芝居というよりも、そこでそれをやってる人たちがおもしろいというか。この業界…特に映画に携わっている人たちは職人だし、熱い人たちが多いですし。だから芝居がおもしろいかどうかはいまだにわかんないですが、ただ現場が好きで。好きな人たちとそこにいたいって気持ちでずっとやってる感じですね。今回の現場もおもしろかったですよ。現場の雰囲気ってやっぱり監督が作るものだと思うんですけど、綾部くんの現場はいい現場でした。

『柴公園』は6月には映画版も公開予定ということで、このマッタリ感がどう転がっていくのか楽しみです。

映画の方はまたドラマとは違った展開もあって、自分の職業とかプライベートも出てくるし、恋も絡んできます(笑)。

それは期待が膨らみます。まずはドラマ版の行方を楽しみにしています!


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渋川清彦

1974年、群馬県渋川市生まれ。1998年『ポルノスター』(豊田利晃監督)で映画デビュー。2018年は、『いぬやしき』『パンク侍、斬られて候』『菊とギロチン』『泣き虫しょったんの奇跡』など、14本の映画作品に出演。2019年も『半世界』(2月15日公開予定)などすでに5作品への出演が決まっている。

オフィシャルサイト

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TVドラマ『柴公園』(全10話)

テレビ神奈川ほか全国12局以上で放送中
テレビ神奈川、仙台放送、とちぎテレビ、群馬テレビ、テレ玉、チバテレ、TOKYO MX、KBS京都、サンテレビ、BS12 トゥエルビほか

映画『柴公園』

6月14日(金)より全国のイオンシネマ・シネマート新宿ほか公開

出演:渋川清彦 大西信満 ドロンズ石本 桜井ユキ 水野 勝 松本若菜(映画のみ) 蕨野友也(ドラマのみ) 小倉一郎(ドラマのみ) 螢雪次朗(ドラマのみ) 山下真司 寺田 農(映画のみ)佐藤二朗
製作総指揮:吉田尚剛 
ドラマ版監督:綾部真弥/田口 桂 
映画版監督:綾部真弥 
企画・脚本:永森裕二
動物トレーナー:ZOO動物プロ 
制作プロダクション:メディアンド 
配給:AMG エンタテインメント 
配給協力:イオンエンターテイメント

©2019「柴公園」製作委員会

『柴公園』オフィシャルサイト
http://shiba-park.com/