Interview

go!go!vanillasが突き進む! 己のロックンロールを信じ、困難を笑顔に変える。そんな彼らが力強く放つ「No.999」

go!go!vanillasが突き進む! 己のロックンロールを信じ、困難を笑顔に変える。そんな彼らが力強く放つ「No.999」

公式発表されているように、交通事故に遭ったベースの長谷川プリティ敬祐が怪我の療養で一時離脱中のgo!go!vanillas。バンドを襲った予想外のアクシデントを乗り越えるべく、強い意志をもって活動を続けている彼らのニューシングル「No.999」がリリースされた。アニメ「ゲゲゲの鬼太郎」エンディング主題歌に起用されたタイトル曲、LOVE PSYCHEDELICOのNAOKIに初めてプロデュースを依頼したカップリング曲「触れたら」という2曲を収録したこの作品は、渦巻くエネルギーが最大のピンチを最高のチャンスに変える会心作だ。この2曲に込めた強い思いとバンドの未来を照らす新たな音楽的アイデアについて、フロントマンの牧 達弥(vocal, guitar)に話を訊いた。

取材・文 / 小野田雄 撮影 / 関信行

プリティが戻ってくるまでに僕たちがどこまで強くなれるか

まず、昨年12月に長谷川プリティ敬祐くんが交通事故に遭い、幸い命に別状はなかったものの怪我の療養のために、現在バンドを一時離脱中ですが、牧くんはgo!go!vanillasが現在置かれている状況をどう捉えていらっしゃいますか?

プリティの事故以前は、普通のこととしてライヴやレコーディングをしてきて、それが当たり前になってしまっていたことにまず気づかされました。年末のライヴはプリティ不在のなか3人のベーシストのサポートを受けてステージに立たせてもらって、周りの人に支えられていることも改めて実感しましたし、彼らの素晴らしいプレイのおかげでいいライヴができたんですけど、そのプレイはプリティと違うわけで、バンドというのは誰ひとり欠けてもいけないし、そこがバンドの脆さであり、魅力でもあるんだなっていうことに気づきました。事故が起きたことを知ったときは正直、「ああ、終わった……」と思いましたし、今まで築き上げてきたものがゼロになるような、そんな感覚に襲われもしたんですけど、バンドとして進むことを決めてからは後ろ向きなことはまったく考えなくなりましたし、先日、プリティに面会して「絶対に帰ってくるな」と確信できたので、プリティが戻ってくるまでに僕たちがどこまで強くなり、成長していけるかなと今は考えています。

そんな大変な状況で、2019年最初の作品であるシングル「No.999」がリリースされたわけですが、この作品がレコーディングされた2018年のgo!go!vanillasの足跡を振り返っていただけますか?

2018年はツアーをやりながら、2作のシングル(配信限定シングル含む)を出して。それ以前の作品では僕が自宅で作った詳細なデモを元にレコーディングをしていて、そのやり方は自分の頭の中にある完成形に近づけていくうえではベストなやり方なんですけど、5月に出した「SUMMER BREEZE / スタンドバイミー」ではデモ制作の初期段階からみんなに自宅に来てもらって、みんなのアイデアを入れて曲を作っていくことでのバンドマジックを求めたんです。そうやって新たな曲作りを実践してみたことで、バンドとしては曲作りの幅が広がったと思いますね。

「いいものはいいんだ!」と思えたことが、曲作りの広がり

ライヴ面ではいかがですか?

春と秋に対バンツアーをやったんですけど、春は昔から一緒にやってきたフレデリック、フレンズ、KANA-BOON、04 Limited Sazabys、My Hair is Bad、BLUE ENCOUNTとライヴをして、彼らが築き上げてきたものを肌で感じながら、自分たちのライヴに向き合うことができました。秋はオーバーグラウンド、アンダーグラウンド、シーンや音楽性の違いを超えて、最高な音楽をやっているENTH、DATS、HAPPY、GLIM SPANKYを呼んでライヴをすることで、フラットな視点で音楽を捉えて「違いはあったとしても、いいものはいいんだ!」と思えたことが、曲作りにおける広がりにも繋がりましたし、その気持ちが彼らにも伝わったことで、バンド同士の関係性もいい感じで広がったんですよね。

音楽制作では新しい曲作りにトライする一方、ライヴにおいて、旧知のバンドを迎えた春の対バンで、go!go!vanillasのルーツを地固めをして、音楽性の異なるバンドを迎えた秋の対バンで、現在・未来のgo!go!vanillasの方向性を指し示した2018年を経て、アニメ「ゲゲゲの鬼太郎」エンディング主題歌に起用された今回のシングル「No.999」はどのように制作を進めていったんですか?

主題歌のお話は曲と歌詞が出来たあとでいただいたんです。そこで「主題歌にふさわしい曲は?」と考えたら、すでに手元にあったという(笑)。

オファーに応えて書いた曲ではなかったんですね。

そうなんですよ。作り始めたのは、昨年、「SUMMER BREEZE」を録り終えたあとでした。この曲は……実は何も考えてなかったというか、歌詞も含めて、自然に出てきたものなんです。春のツアーのリハーサルでなんとなくギターを弾いていたら、ニルヴァーナのようなオルタナロックを思わせるAメロのコード進行が出てきて、「あ、これは面白いかもしれない」って。そこから曲を作り始めたら、展開が多い曲のアイデアが出てきたんです。90年代のオルタナロックっぽいセクションがあるなら、セクションごとに60年代、70年代、80年代のロックの美味しいところを凝縮させていったら楽しいんじゃないかなって。そこから展開が次から次にスムーズに思い浮かんで、それに合わせてリズムパターンを変化させていくことで曲が完成したんです。

牧くんなりにロックの歴史を凝縮させたわけですね。

そうですね。歌詞に関しては、曲を繰り返し聴きながら考えることが多いんですけど、この曲では、作詞作業とは別に自分の思いを書き留めておいたものがあって、それがこの曲にハマったんですよ。内容的には毒を吐いたものになっているんですけど、ロックのいいところは言葉だけだと重くなるメッセージが、音を伴うことによって聴く人にすっと入ってくるところだと思うんですね。だから、今回はロックの力を借りながら、みんなが気づいていてもなかなか言えないことを発してみようと思ったんです。

距離が縮まったところでもっと踏み込んだ話をしようよと

どうして、そういう心境になったんだと思いますか?

自然にそうなったんですけど、時代の流れもあるのかもしれないなって。今の時代、何かもの申すことを避けているというか。表現できることはたくさんあるのに、なぜか楽しいことばかりを抽出してしまいがちで、みんなもそういうものしか見ないようにしている風潮があるように思いますし、そのことに対してずっと違和感があったんですよ。一方でgo!go!vanillasは、「ヒンキーディンキーパーティークルー」や「おはようカルチャー」、「平成ペイン」だったり、ファンとの信頼関係を深めるための楽曲を多く作ってきたんですけど、去年9月に日比谷野音でライヴをやったときに「あ、もう大丈夫なんだな」という確かな手応えを感じたので、ファンとの距離が縮まったところでもっと踏み込んだ話をしようよって思えたというか。平成が終わろうとしている年、オリンピックを目前に控えて日本が変わろうとしている状況下で、そういう心境の変化が今回のシングルには自然と反映されたのが、自分としても興味深くもあるなって思います。

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