LIVE SHUTTLE  vol. 50

Report

石崎ひゅーい TOUR2016「花瓶の花」 @東京キネマ倶楽部 2016.7.28

石崎ひゅーい TOUR2016「花瓶の花」 @東京キネマ倶楽部 2016.7.28

取材・文 / 小貫信昭  撮影 / 上飯坂 一


鶯谷駅から「東京・キネマ倶楽部」へ向かう途中に目にしたものは、オシャレに記号化された都市というより、もっと未分割で人間くさく、バイタリティ溢れた風景だった。ある意味血が脈打つようなこの雰囲気は、石崎ひゅーいの歌に似合う気がした。 やがて会場へ。ビロードの緞帳が似合う昭和レトロ・ロマンな内装。時間軸をちょっと歪ませるようなワルツのBGMに導かれ、開演時間を少し遅れてメンバーが登場する。オープニングは「トラガリ」。ツアー・タイトルでもあるセカンド・アルバム『花瓶の花』からの1曲だ。溢れかえる満員の客達に、バンドが手拍子で参加を求める。ひゅーいがアコギを持ち、キレのいいストロークを放ち、キレのいい詞の世界観をロスなく運ぶ手立てをする。「メーデーメーデー」では“SOS SOS”のサビを観客が高らかにコーラスし、早くも場内はヒートアップ。スタンドマイクに体重を託し歌い始めた「オタマジャクシ」の“僕のことが好きだと 言ってくれ”の絶唱が心の奥底へ刻まれる。絶唱・熱唱というのは、時として胃にもたれる印象のものもあるが、もちろん彼のは違う。ありふれた感情を磨き直し、特別なものにしてくれるかのような歌声。ぐっとくる、の、さらにその先のぐぐっとくる、そんな情熱の放出を気持ちよく浴びた。
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“コンバンワー”など挨拶を挟みつつも音楽は淀みなく繋いでいき、最初のまとまったMCで「今日、このステージにはピカチュウがいるらしい」と時流ネタを切り出す。しかしピカチュウではなく「全力で僕の歌をつかみに来てください」と話をまとめ、会場は笑顔、そしてやんやの拍手に包まれる。「僕だけの楽園」ではピース・サインのまま両手を広げていき、「シンデレラへの伝言」は十字を切る仕草、さらに「夜間飛行」のマイクを包んだ左手をさらに右手で包み歌う仕草など、パフォーマンスの隅々にも神経が行き届いている印象だ。 ls_ishizakihuwie_94659683 「デビュー曲を歌わせて」と「第三惑星交響曲」を。バイオリンの響きも効果的に、イマジネーション豊かな世界へ誘う。さらにアニメ『NARUTO-ナルト-疾風伝』の新エンディングテーマで新曲の「ピノとアメリ」を披露する。これがとてつもなく名曲だった。ムリのないメロディには授かり物のような自然な説得力があり、『NARUTO-ナルト-疾風伝』という物語から“呼ばれる”ようにインスパイアされ書かれた歌詞は感情移入し易い。この曲を生で聴けて本当に良かったと思った。 ls_ishizakihuwie_2273 新曲だと紹介して「カカオ」を。ステージ前でVTR収録していたスタッフから一台を借り受け自ら手に持ち、バンドを、そしてお客さんの笑顔を自ら撮影する。さらに歌う姿を至近距離で“自撮り”する場面もあった(この映像が編集され、どんな仕上がりを見せるのだろうか)。「ファンタジックレディオ」では「僕といっしょに踊りたいヒトいますか~」と客席に呼び掛け、すると前方のひとりの男子がステージへ引き上げられる。最初はよそよそしく手をつなぎ二人で踊り、エスカレートし組んず解れつじゃれ合い状態。何かひゅーいが男子に耳打ちし、するとなんと“あー君のことが好き!”のサビを、彼も一緒に熱唱し始めるではないか。しかも、さっきステージに引き上げられたとは思えないほどの大熱唱。恐れ入りました。 ls_ishizakihuwie_2645 「シーベルト」では言葉を超えた心の声としてハープの切ない音色が響き、「ピーナッツバター」は歌詞のイマジネーションの飛躍が心地良い作品である。ここにも“花瓶の花”という文字が出てくるが、花瓶なのに“ジョーロでお水を”と続く表現となっているあたりも興味深い。でも、歌いきった次の瞬間、“ハイ、という感じで”みたいな呟きを加えたのは“照れ”からだったのだろうか…。 「星をつかまえて」ではステージから客席に降りて、ふれ合いつつの熱唱だ。中央のひゅーいにファンたちが近づこうとするが、大混乱には至らず、ライヴの楽しみ方をよく知っているオーディエンスである。そしてあの曲、そう、「花瓶の花」。ふと店で食事していると有線でこの歌が流れ、自ら涙した話や、ひゅーいが震災後に東京を離れ、滞在していた島で知り合った原発作業員のおじさんがこの歌を褒めてくれた話…。そして自分で歌うのではなく「みんなの歌が聴きたい」と、アコギで彼が伴奏し、全員に歌ってもらう。その見事に揃った歌声にまず心を動かされ、そしてバンドも入り彼が歌い出したらもう感涙だった。改めてこの歌を聴くと、花瓶の花という、つまり“限りある時間”こそがテーマであり、でもサビの“何年も何十年も”というのは、それでも永遠へ辿り着かんとする意志の表われに思えて、聴く度に心が締め付けられるのだった。 ls_ishizakihuwie_2727 最後はアルバム『花瓶の花』でもラストを飾った「天国電話」。石崎ひゅーいの歌には、自伝的と受け取れるものもあるし、この歌もそうなのかもしれない。会場のレトロ・モダンな雰囲気も手伝って、まるでシャンソンのようにも聞こえたのだった。 「花瓶の花」で上昇を示した機首が、「ピノとアメリ」でさらなる高みへと彼を導くことを祈りつつ、いや確信しつつ、会場をあとにした。 ls_ishizakihuwie_3053

TOUR2016「花瓶の花」 @東京キネマ倶楽部 2016.7.28 セットリスト

01.トラガリ 02.メーデーメーデーー 03.オタマジャクシ 04.僕だけの楽園 05.シンデレラへの伝言 06.夜間飛行 07.第三惑星交響曲 08.ピノとアメリ 09.カカオ
10.ファンタジックレディオ 11.シーベルト 12.泣き虫ハッチ 13.ピーナッツバター 14.僕がいるぞ! 15.星をつかまえて 16.花瓶の花 17.天国電話

リリース情報

【初回限定盤】

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【通常盤】

【通常盤】

New Sigle 『ピノとアメリ』

2016年8月24日発売 ■初回生産限定盤(CD+DVD) ESCL-4685 ¥1,667+税 ■通常盤(CD) ESCL-4687 ¥1,111+税

【収録曲】 Disc-1(CD) 01.ピノとアメリ(TVアニメ「NARUTO-ナルト- 疾風伝」エンディング・テーマ) 他、未定

Disc-2(DVD)※初回生産限定盤のみ ・Document(ドキュメント映像)「石崎ひゅーい500日の記録」 ・LIVE(ライブ映像) From石崎ひゅーいが誕生日に全曲歌うライブ2016. 3.7@CHELSEA HOTEL 「星をつかまえて(全曲ライブVer.)」 「母子手帳」

【初回限定盤】

【初回限定盤】

【通常盤】

【通常盤】

New Album 『花瓶の花』

発売中 ■初回生産限定盤(CD+DVD) ESCL-4614 ¥4,167+税 ■通常盤(CD) ESCL-4616 ¥2,963+税

【収録曲】 Disc-1(CD) 01.ピーナッツバター 02.星をつかまえて 03.メーデーメーデー 04.僕がいるぞ! 05.トラガリ 06.カカオ 07.花瓶の花 08.泣き虫ハッチ 09.オタマジャクシ 10.天国電話

Disc-2(DVD)※初回生産限定盤のみ MUSIC VIDEO 01.第三惑星交響曲 Director:箭内道彦 02.ファンタジックレディオ Director:箭内道彦 03.夜間飛行 Director:中井篤志 04.僕だけの楽園 Director:箭内道彦 05.ピーナッツバター Director:石崎ひゅーい&中井篤志 06.僕がいるぞ! Director:フカツマサカズ 07.花瓶の花 Director:松居大悟

短編映画 08. 「花瓶に花」 監督・脚本・編集:松居大悟 出演:蒼井優・村上虹郎

プロフィール

石崎ひゅーい

本名。母親がDavid Bowieのファンで、その息子がZowie(ゾーイ)という名前だったことから、もじって、Huwie(ひゅーい)と名付けた。 2012年7月25日にミニアルバム「第三惑星交響曲」でデビュー。 感情のままに歌うまっすぐな声と全てのエネルギーを爆発させるライブパフォーマンス。 ソロアーティストとしてのスケールを無視する規格外なシンガーソングライター。 公式サイト:http://www.ishizakihuwie.com/

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