冒険Bリーグ  vol. 11

Column

チームの苦境は飛躍のチャンスか? 熊谷尚也が大阪カムバックの鍵を握る

チームの苦境は飛躍のチャンスか? 熊谷尚也が大阪カムバックの鍵を握る

『冒険Bリーグ』第11回は大阪エヴェッサ(以下、大阪)の熊谷(くまがえ)尚也が主役。大阪は主力の相次ぐ負傷などにより苦しい状況だが、熊谷がチームをよく支えている。1月26日と27日のアルバルク東京(以下、A東京)戦では、日本最高レベルの守備力を持つ相手に見ごたえのあるバトルも披露した。

大阪は主力ガードの合田怜、木下博之が負傷で欠場中。若手の注目選手だった橋本拓哉も8月の日本代表遠征で起こった規律違反問題により実戦から外れている。そのような状況下、チームは昨季のB1王者・A東京に連敗を喫した。

連敗はしたものの、大阪の光明は熊谷尚也の奮闘だった。彼は26日に16得点を挙げると、27日は22得点とチームの稼ぎ頭になった。27日の試合後に、穂坂健祐ヘッドコーチはこう語っている。

「負けは負けですけれど、いいゲームができたと思います。収穫も沢山ありました。昨日はトレバー(ムバクウェ)とジョシュ(ハレルソン)で大量得点を取りましたけれど、今日はふたりで合計13点。誰がカバーするかとなったとき、日本人選手がしっかりステップアップして分散して点を取れた。熊谷選手の22点も大きな収穫だった」

A東京のルカ・パヴィチェヴィッチHCも、こう口にしていた。
「今日のキーポイントはディフェンスでした。一つだけ反省点を挙げるなら、熊谷選手の外、もしくはドライブから点数を取られてしまったことです。もちろん彼はいい選手だし、金丸(晃輔/三河)、辻(直人/川崎)、古川(孝敏/琉球)と同じレベル。我々は菊地(祥平)、馬場(雄大)、バランスキーとマッチアップさせてオープンな3ポイントシュート、イージーなレイアップを打たせないように対応した。しかし3ポイントを4本決められ、熊谷を抑えられなかったことで接戦になってしまった」

熊谷は両チームの指揮官が認める活躍を見せたが、本人は冷静にこう述べていた。
「アウトサイドもそうですし、リングにしっかりアタックできたのは良かったところです。しかしそれが全くできない日もあるので、今日の出来をスタンダードにしなければいけない」

熊谷はスモールフォワードを主戦場とする選手で、195センチ・90キロの体格はウイングプレイヤーとして考えるとかなりの大型。大阪ではジョシュ・ハレルソンとともに外角からのシュートを任され、相手に隙があればドライブから切れ込むプレーも見せている。

栃木ブレックスに所属していた2016-17シーズンはベンチからスタートするシックスマンとして、チームのB1制覇に大きく貢献した。17年夏の大阪移籍後はチームのエースとして責任を負う立場になった。アウトサイドの人材が負傷などで複数離脱している今季は、彼の役割がより大きくなっている。

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熊谷は自身の立場をこう受け止める。
「責任感は去年より大きくなっていますが、それをプレッシャーと考えずに、任せられているプレーをするだけだと思っている。重圧は感じていないですし、やりがいがすごくある」

熊谷は力強く正確なプレーを見せる一方で、どちらかと言えば寡黙で職人肌なタイプだ。ただ28歳の彼は大阪で一回り成長し、幅を広げたようにも見える。昨年は日本代表からの招集も受けていて、2月のW杯2次予選に参加する可能性もあるだろう。A東京戦でマッチアップしたのは日本代表の馬場も含めたBリーグのトップ選手だったが、それについて彼はこう振り返る。

「素晴らしい選手とマッチアップしましたが、めちゃくちゃやられたという感じはないですし、マッチアップされてもやり返すことができた。シンプルにやっていて楽しかったですし、そういう選手たちよりも上に行かなければいけないなと改めて思いました」

チームの苦境は、考え方を変えれば熊谷のポテンシャルをさらに引き出すチャンスにもなる。2018-19シーズンは後半戦に入ったが、熊谷に引っ張られる大阪のカムバックに期待したい。

取材・文 / 大島和人 写真提供 / B.LEAGUE

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著者プロフィール:大島和人

1976年に神奈川県で出生し、育ちは埼玉。現在は東京都町田市に在住する。大学在学中にテレビ局の海外スポーツのリサーチャーとして報道の現場に足を踏み入れ、アメリカの四大スポーツに接していた。損害保険会社、調査会社などの勤務を経て、2010年から「球技ライター」として取材活動を開始。バスケの取材は2014年からと新参だが、試合はもちろんリーグの運営、クラブ経営といったディープな取材から、ファン目線のライトなネタまで、幅広い取材活動を行っている。

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