Interview

Chageが込めた『風化してはいけないものは音楽のなかに残しておきたい』という想い

Chageが込めた『風化してはいけないものは音楽のなかに残しておきたい』という想い
 先日も歌番組で、夏の定番ソング「ふたりの愛ランド」をノリノリで歌うChageの姿を見たが、基本、この人はポジティヴな性格でサービス精神旺盛、ライブを観に行けば「音楽を極める」ことを第一義としつつも、それだけに留まらず、トークは芸人さんレベルであり大喝采が止まない。つまりみんなをハッピーにすることが天命であるのがChageなのである。 でも今回の6曲入りミニ・アルバム『Another Love Song』に関しては、誰かのため、という前に、アーティストである自分自身のため、ということも念頭に作られたのではと思っている。とはいえChageが最終的に考えているのはこんなことだろう。まずは自分自身の新たな充実を図り、そしてそれを惜しみなくファンにお裾分けする…。それでは彼の話を、たっぷり1万字のインタビューで。

取材・文 / 小貫信昭 撮影 / 森崎純子


新曲「もうひとつのLOVE SONG」はパッと聴いてすぐに「こりゃ~イイ曲だ!」と思いましたよ。

Chage でしょ(笑)。ちょうど僕なんかが若い頃に聴いてたオリヴィア・ニュートン=ジョンとELOの「ザナドゥ」(同名映画の主題歌)とか、ああいうキラキラしたPOPを頭のなかでは思い浮かべてたんだけどね。

それはまさに音に表われてましたね。レコーディングは大変だったんじゃないですか。

Chage ELOのようなサウンドを出そうということで、苦労しましたけどね。例えばアコギを三人で三回弾いて、計9本分を重ねて“音の壁”にしてみたりとか…。これって、誰か一人が間違えると最初からやり直しだし、その緊張感たるやもう…。でも面白かったですけど。

自分の好きなことを100パーセント、“純血”でやらさせて頂きました。

他にもChageさんが好きそうな音楽的な要素が、様々な場所に散りばめられた作品集ですよね。

Chage そうだね。なにしろ今回、完全にセルフ・プロデュースですから、自分の好きなことを100パーセント、“純血”でやらさせて頂きました。

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最初からセルフで、という考え方だったんですか。

Chage 実は作り終えたあとで分かったの(笑)。

作り終えて気づくというのが凄い(笑)。

Chage 前もあったような気がしたけど、よく考えたら、それでも誰かしらが少し絡んでたんだよね。でー、そもそも自分が好きなこと、6曲やらせてもらおうかなぁって作り出したのが、今回なんですよ。あと、60歳を前に音の身辺整理ではないですけど、「自分の音楽、振り返ってみるのもいいのかなぁ?」って思ってね。そしたらこういうアルバムが出来ちゃったというか。

程良い曲数というのは前回同様ですが。

Chage そうですね。前回『hurray!』という6曲入りのアルバムを出して、そのあとのライブがすごく楽しかったし、ライブやれば必ず次の楽曲に反映されるんですよ。その時、ステージから客席のお客さんの笑顔を見てたら、今回の表題曲の「もうひとつのLOVE SONG」のアイデアが浮かんでね。これをなんとか形に…、ということで、お鍋に色々なエッセンスを入れてかき混ぜて作っていったのがこの曲でした。あと、“もうひとつの”ということだとね、つい僕がセルフ・プロデュースとかいうと、イギリス方面の四人組とかに行きがちじゃないですか?

四人組といえば、もちろんビートルズ!

Chage そう。でもそれはチャゲトルズや前のマルチ(・マックス)でもやってきたから、“もうひとつの”ということを“もうひとりのChage”と捉えてみるのはどうかなって思って…。

他にも自分には様々な面がある、と。

Chage そう。さっきオリヴィア・ニュートン=ジョンとELOとか言ったけど、チャゲアスでデビューする前、いやデビューした後も(笑)、ホント、ディスコが好きでよ~く行ってましたから。しかも自分達のライブがハネた後とかに。

その当時、ディスコで接した音楽も、Chageさんのルーツであるわけですね。

Chage で、ディスコといえば天井にミラーボール。今回この曲では、ミラーボールで人生観を表そうとしたところもあった。

といいますと?

Chage あれはキラキラしてるけど、実は光と影の二色しかなくて、それで人生観を表わせないかなぁ、ということで、この歌詞を書いていったわけなんですよ。

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キラキラの裏側には…、みたいなモノの見方というわけですかね。

Chage そう。今はカラーのミラーボールもあるけど、僕がディスコ行ってた当時はモノクロでしたからね。そしてあれが回り始めたら興奮したし…。

最終的に自分はなにを一番したかったのかというと、それは「ラブ・ソングを歌いたい」ということなんですけど。

チーク・タイムの始まり(笑)。気になる女の子とも、より接近できるチャンスだったわけですよね。

Chage その興奮も含め、ミラーボールのなかの人生観というものを、なんとか“作家”である自分に、歌を書くテーマとしてあてがうことは出来ないのかなぁ、ということで、知恵を絞った結果だった。具体的な歌詞でいうと“巡る季節よ”とか“雲の隙間に”とか、実はこれらって、あの光になぞらえてもいるんですけど。

なるほど…。

Chage でも最終的に自分はなにを一番したかったのかというと、それは「ラブ・ソングを歌いたい」ということなんです。

Chageさんの根本にずっとあることのようですね。

Chage 実は今回、自分でプロデュースするにあたって、自分のこと俯瞰で眺めるじゃないけど、改めて「Chageというものを調べなあかんな」って、これまでレコーディングしたものやライブで歌ってきたものを調べたら、結局全部、ラブ・ソングなのよ。「あ、ならば60歳手前で、“もうひとつの”ラブ・ソングを作ろうかな…」という、それがそもそもの発端でもありますね。

でも集大成とは違うわけですよね。

Chage そうそう。だから“もうひとつの”という、この言葉の括りが非常にいいエッセンスをもっているんです。英語だと“Another”ですけど、「さまざまに受け取れる、いい言い回しだなぁ」と、自分でも腑に落ちたというか。しかもこれ、「もうひとつのLOVE SONG」以外の5曲にも、それぞれに当てはまってね。チャゲアスの「NとLの野球帽」や「夏の終わり」のセルフ・カバーにしても、“もうひとつの”になるわけだし、非常にポジティヴな言葉です、僕のなかでは。