連続テレビ小説『なつぞら』冬季・十勝ロケ特集  vol. 1

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朝ドラ『なつぞら』極寒の十勝ロケに臨む広瀬すず。ヒロインに備わる包容力をみた撮影現場とは

朝ドラ『なつぞら』極寒の十勝ロケに臨む広瀬すず。ヒロインに備わる包容力をみた撮影現場とは

2019年度前期、本年4月より放送される通算100作目の連続テレビ小説『なつぞら』の冬季ロケが、報道関係者に公開された。

『なつぞら』は、戦後の1946年が舞台。戦災孤児になった広瀬すず演じる“奥原なつ”を受け入れたのは酪農一家・柴田家。北海道・十勝の広大な大自然と、開拓精神にあふれた強く、優しい大人たちの中で、たくましく成長していく。やがてなつは、十勝で育まれた豊かな想像力と根性を生かして、アニメーションの世界にチャレンジする物語だ。

冬季ロケは1月22日(火)よりスタートし、26日(土)に報道陣に撮影の模様が公開された。その撮影現場をレポートする。

撮影の舞台となった陸別の牧場

撮影が行われたのは、帯広から車で2時間弱かかる十勝・陸別町。広大な自然は真っ白に染まり、最低気温がマイナス30℃にも及ぶという、日本一寒い町といわれる厳しい場所。 連日厳しい環境で撮影が行われている牧場に到着すると、スタッフがせわしなく撮影準備に取り掛かっていた。自然に積もった雪もセットの一部に使用されるため、足あとをつけてはならず、取材陣は歩く場所にも気をつけながら現場に入った。

昭和20年代からスタートするドラマということで、舞台となる牧場選定にもかなりの時間をかけたようだ。十勝は時代に沿って進化する農法や酪農法を積極的に取り入れる傾向にあるため、新たに母屋を立て直して農場、牧場を営んでいるケースも多いという。そのため、十勝観光連盟をはじめとする『なつぞら』応援推進協議会の全面的な協力のもと、十勝全域にわたって100ヶ所近くでロケハンを敢行、その結果、陸別の牧場に決まったとのことだ。
主演の広瀬すず本人からは「吹雪いた日は目が開けられなかった」との話も出るほどの環境下、キャスト、スタッフ一丸となって、撮影に挑んでいた現場だが、地元の熱意に満ちたバックアップもあり、ホットミルク(これが無糖なのに甘くて美味しい!)や地物の野菜を使った中華スープなども用意され、寒さを和らげる温かみに満ちた雰囲気を作りあげ、盛り上げているのも印象的だった。

ホットミルク、中華スープ以外にもこんなチョコレートも

今回の冬季ロケに臨んだのは、ヒロイン・奥原なつを演じる広瀬すず、なつの養母・柴田富士子役の松嶋菜々子、養父・柴田剛男役の藤木直人、なつの幼馴染・山田天陽役・吉沢亮、柴田家の長男・柴田照男役の清原翔、柴田牧場の従業員・戸村悠吉役の小林隆、戸村菊介役の音尾琢磨、そして富士子の父・柴田泰樹役の草刈正雄という柴田家メインの8名。

吹雪で家に帰れなくなっていたなつが、一夜明けて無事に家族の元に戻ってくる撮影シーン

見学できた撮影は、吹雪で家に帰れなくなっていたなつが、一夜明けて無事に家族の元に戻ってくる第37~38回の放送予定のシーン。
木製のスキー板とストックで懸命に家族の待つ家に向かうなつ。雪も深く、現代のスキー板とは比べられないくらい重いスキーを履き、当然踏み跡のない場所を、なつ自身の力強い歩みで一歩一歩前に進む姿が心を打つ。

実際使用された木製のスキー

撮影の合間に、広瀬が笑顔でキャスト、スタッフと談笑していた。タイミング良く、エンタメステーション・チームも少しばかり雑談をさせてもらったが、「木のスキーですか? 重かったですけど、その分からだを動かすと暖かくなるので、ちょうど良かったかも。というか、衣装の下にたくさんカイロを貼っているので、実は今けっこう暑いです(笑)」と、自然体のコメントを。また、待機中には炊き出しの中華スープに顔をほころばせ、湯気をくゆらせながら暖をとる。その間、スタッフと目が合うと自分の出番と勘違いして、カメラ前へと走り出す。「あ、なっちゃんはまだです!」というスタッフの慌てた声にすかさず立ち止まり、「そうですよね、まだ早いと思ったんですけど、目が合ったから出番かと思っちゃいました(笑)」と、おどけてみせた。こんな感じで、連日続く撮影の疲れを見せることなく、自然とその場をやわらかい雰囲気にしてしまう。その立ち振る舞いはヒロインという重圧をも巨大な包容力に変えてしまう魔法を持っているのではと思うほど。もうすでに無意識でも現場では“ヒロイン”になっているのだろう。

家族が集まれば、撮影準備中のなつ(広瀬すず)も笑顔に

続いて、そのシーンを受ける撮影へ。柴田家一同と幼馴染の山田(吉沢)が、戻ってくるなつを出迎えるシーン。家族の元へ帰ってこられたなつ、そして心配で眠れない一夜を過ごしたであろう家族が再会する。「なっちゃーん!」と叫ぶ悠吉(小林)、「いがった、いがった(よかったよかった)」と、照男に声をかける菊介(音尾)と、ほっとした表情を浮かべる家族。

無事に帰ってきたなつを出迎える

昨年6月8日(金)にクランクインし、わずか半年の時間でできたようには見えない家族として、血のつながり以上の絆がそこにはあった。俳優同士が醸し出す空気感は、現場スタッフの力も大きく作用するのではないだろうか。いい作品を届けたいというキャスト、スタッフの想いが現場に満ち溢れていたからこそ、そのシーンにはリアリティが生まれるのだろう。

なつを出迎えるシーンの撮影

冬の十勝、大自然の雄大さをバックに過酷と思われる環境に改めて身をおいてみて感じたことを最後に記して、レポートのまとめとしたい。
そこには環境に屈しない役者魂が存在した。過酷な環境自体を取り込み、魂のこもったシーンを積み上げていた。それはきっと、当時開拓者精神をもってこの地を踏みしめ、広大な大地に根をはる決意と覚悟をもって挑んできた人々の想いに応えようとするものに違いない。
十勝の大地が放つ匂いと恵みを全身で受け止め、前に進もうとするなつとその家族、仲間たち。躍動感のある撮影の一部を見学し、100作目にふさわしい作品の息吹を感じた。

シーンの確認をする様子

エンタメステーションの本特集では今後、キャストの方々からうかがった十勝ロケのことを中心としたインタビューの模様を4回に分けて、お届けします。
次回は、広瀬すずと吉沢亮が登場。公開をお楽しみに。

取材・文 / エンタメステーション編集部、平田真人
撮影 / 荻原大志

2019年度前期 連続テレビ小説『なつぞら』

©NHK

放送予定:4月1日(月)〜全156回
作:大森寿美男
語り:内村光良
出演:広瀬すず、松嶋菜々子、藤木直人 /
岡田将生、吉沢 亮 /
安田 顕、音尾琢真 /
小林綾子、高畑淳子、草刈正雄 ほか

制作統括:磯 智明、福岡利武
演出:木村隆文、田中 正、渡辺哲也 ほか

Twitter(@asadora_nhk)
Instagram(@natsuzora_nhk)

©NHK

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