Interview

クリープハイプのシングル「鬼」。ドラマ主題歌への思いを語る

クリープハイプのシングル「鬼」。ドラマ主題歌への思いを語る
クリープハイプが、藤原竜也主演ドラマ『そして、誰もいなくなった』の主題歌として書き下ろした「鬼」を通算10枚目のシングルとしてリリースした。バンドにとっては初となるドラマ主題歌が決まった際、尾崎世界観は「今まで散々待ち焦がれて、待ち焦げて、決まった時は嬉しいを通り越して、世の中に復讐するような気持ちで作りました」というコメントを発表した。バンドにとっては念願だったドラマ主題歌に対してメンバーはどんな思いで臨んだのか? 4人揃ってのインタビューで、その制作過程について聞いた。

取材・文 / 永堀アツオ 撮影 / 関 信行
ヘアメイク / 杉本和弘

代表曲になるようなものにしたいなと思って作りました

改めて、ドラマ『そして、誰もいなくなった』の主題歌のオファーがきたときの心境から聞いてもいいですか? 過激なコメントを発表しましたが、実際はどんな気持ちだったのか、と。

尾崎世界観(vo,g) やっぱり素直に嬉しかったですね。ドラマ・タイアップというのは、ずっと辿り着けなかったところだったので。タイアップというもので考えると、ひとつのゴールだという気もしていました。

長谷川カオナシ(b) 初めてで、大きなドラマのお話だったので嬉しかったですね。みんなに好きになってもらえたらいいなと思います。

小川幸慈(g) 昔、ドラマを観てたときに流れる主題歌って印象的だったりしたのが……。

尾崎 (いきなり歌い出す)懐かしいにおいがした〜。

小川 あ、大黒摩季さん!(笑)

長谷川 何の主題歌でしたっけ?

尾崎 『味いちもんめ』。

一同 あははは!

小川くん、今、浮かんでたドラマは同じでした?

小川 いえ違います!(笑)僕は『池袋ウエストゲートパーク』のSADSの「忘却の空」。ドラマが好きで、そこからCDを買ったりして。そういう思いもあったのですごく嬉しかったですね。

cr_21A4140

尾崎 拓さんは『HOTEL』? それとも『男女7人夏物語』?

小川 え!? 古くない? 拓さんいくつ?(笑)

小泉 拓(ds) 俺は『101回目のプロポーズ』かな。あと、『振り返れば奴がいる』とかね。

カオナシくんは何か思い浮かぶドラマはあります?

長谷川 相川七瀬さんの「世界はこの手の中に」という曲があって。

一同 ?……知らないなぁ。

長谷川 『てっぺん』っていう、大企業になぜか田舎の娘が勤めてしまうというドラマですね。

尾崎 僕は『未成年』が好きでしたね。カーペンターズ!

小泉 ドラマ主題歌って、こうして結構、知らないうちにすりこまれたりしてるじゃないですか? 何気なく生活してて一番歌が届くものでもあるので、そういうドラマのタイアップができることがすごい嬉しかったですね。

cr_21A4298

楽曲制作はどのような形で進めていったんですか?

尾崎 最初にプロデューサーの方と監督さんと顔合わせもかねてお話をさせていただいて。そのときに脚本の1話を読ませてもらって、すごく面白いなと思って。そのあと、まとめて4話分をいただいて。そこまで読んで作りました。すごく不思議というか、どんどん振り回される話なので、思ったとおりのことを無茶苦茶に書こうと思って。今までは、例えば映画なら原作や脚本が完成しているものを読んでから作っていたけど、今回は、最後まで読んでいなかったので、まだ自分の中でも完結していなくて。そういうことも含めて、全部、前向きにとらえようと思ったし、代表曲になるようなものにしたいなと思って作りましたね。

長谷川 打ち合わせのあとすぐに、尾崎さんが1コーラス歌詞も込みで作ってきて。そのときに僕も脚本の1話を読んでいて。主人公の葛藤や疑いが強いドラマだったので、シンクロを感じましたね。

小川 スタジオで演奏してるときに歌い回しがドラマのようにスリリングな感じがして。なおかつ今までにない感じがして、すごくドキドキしましたね。こういうチャンスのときに、バンドとして、これまでにない新しい曲ができるかもしれないって思って。

小泉 曲がかっこいいものだったので、ドラマの話と歌詞が重なって、曲になったときにドラマにもバッチリ合うし、すげえいいのが出来たなって。いろんなものがハマった印象がありましたね。

自分が今書きたいものとドラマの内容とはどのくらい重ねようと思ってました?

尾崎 うーん……本当に頑張ってやっても100パーセント寄り添えるわけではないので、あんまり考えてなかったかもしれないですね。脚本も読んだし、イメージもしたけれど、自然とどんなにドラマのことを意識しても自分たちの形にはなるから。だからあまり細かくは考えてなかったですね。

長谷川 音だけで入られる方、つまり、ドラマを観ずにこの曲を知る方も、ドラマに寄ってる曲というよりは、クリープハイプの曲として聴いていただけると思いますね。

cr_21A3995

歌詞はどのようなことを歌っていますか?

尾崎 人との関係性というか、自分と他人や、人が見ている自分と自分が思う自分とのズレだったりとか。自分のことと人のことですね。いつもやってることは変わらないんですけど、今回はそれをかくれんぼとか鬼ごっこというテーマにして書いていて。曲が強いというか、音に引っ張られるところもあったので、サビは記号的な、リズムを出すための言葉にしようっていう感覚で作りましたね。

主観や視点も固定したりせずに?

尾崎 そうですね。そこもあまり気にせずに、ぐちゃぐちゃに入り乱れてもいい方向にいくだろうと思って、感覚でバッて書きましたね。

長谷川 言葉は詰まってますけど、曲の持っている妖しい雰囲気が強いと思うんですよね。サビで印象的な反復っていうクリープハイプ的な方法論で持っていけるものもあって。

小泉 クリープハイプらしい曲でもあるし、新しい曲でもあるんですよね。Aメロの歌い回しとか、サビのコーラスの感じは今までにあるようでなかったから。

小川 僕も1話の脚本を読ませてもらってから歌詞を見たんですけど、ドラマの不穏な空気が溶け込んでいるなという感じがして。最初のギターのコードは普段あまり使わないようなもので、その怪しい雰囲気を醸し出せてもいるし、最後に「鬼」っていう、音はちょっと黒っぽいんですけど、響きだったり、モチーフが和な感じがして、クリープハイプらしさに繋がるなって思いましたね。

1 2 >