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『ACE COMBAT(エースコンバット) 7』初のVRモードで圧倒されるドッグファイト

『ACE COMBAT(エースコンバット) 7』初のVRモードで圧倒されるドッグファイト

「なんでこんなことになってしまったんだろう……」 私は、戦闘機のコックピットに座りガタガタと震えている。ほんの数分まえまで、夕食を食べたあとの食器を洗い、子供を風呂に入れ寝かしつけ、一日の終わりに欠かせないコーヒーを飲んで一息ついていたのに。ギュンギュンと音を立てているのは、エンジン音だろうか? いったい何を表しているのかまるで読み取ることができない計器がたくさんある。私に向かって何か言っている男性の声がする。「えっ、今から飛ぶって? ちょっと待ってください。だって私、戦闘機なんて……全く操縦したことがないんですよ!」 訴えはまるで聞き入れられず、今すぐに戦闘機を発進させよとの命令が下る。どこをどう動かしたらいいんだろう。私は、戦闘機のことなんてなにも知らないのに。ああ、どうしよう!

……なーんて、緊迫感を演出しつつ始めてみましたが、この記事は“『エースコンバット』シリーズを今まで遊んだことのなかった筆者が、初めてプレイしてみた”という記録なのです。この『ACE COMBAT™ 7: SKIES UNKNOWN(エースコンバットセブン スカイズ・アンノウン)』、ナンバリングタイトルとしては実に12年ぶりとなる、ファン待望の最新作です。シナリオは、過去シリーズから手掛けており、『この世界の片隅に』のヒットが記憶に新しい、片渕須直氏。シリーズを通し、積み重ねて深みを増した架空世界“ストレンジリアル”で繰り広げられる迫力のドッグファイトは、最新作でどう進化しているのか注目が集まるところですが、特に今回はVRモード専用に制作されたミッションの導入が大きなポイントのひとつ。シリーズに初めて触れるプレイヤーの目を通し、その驚きの内容を紹介します。エンタメステーションのいくつかの記事で行っている、新ジャンルを自分の趣味に加える提案を私のリポートでご覧ください。

文 / 内藤ハサミ


VRで実現した、広い大空を翔るリアルな快感と恐怖!

そもそも冒頭のような状態になってしまったのも、筆者が戦闘機の世界に疎すぎるからで、シリーズのファンにとっては「戦闘機での出撃? そんなもの朝飯まえだし、取り立てて騒ぐことはない」かもしれません。ですが、ひとたびVRモードをプレイすれば、古参パイロットも大きな驚きを隠せなくなるに違いないのです。

▲ヘルメット内のディスプレイに表示される緑色の字に、ときめかない人っています? いないんですよ!(断定)

あまりにVRモードが楽しすぎて、真っ先に体験しようとキャンペーンモード(ストーリーモード)よりも先にこちらを選択し、操作方法すら確認せずコックピットに飛び込みました。ヘルメットに内蔵されているシステムを起動し、VRハンガー画面で出撃準備を行ったのち、離陸・発艦画面に移るというロマンがこれでもかと詰まった演出。

▲わっ、私……本当にコクピットのなかにいる!

そこで感じたのは、圧倒的なリアリティの“プレッシャー”です。VRヘッドセットとイヤフォンを着けると、360度に開けた世界から押し寄せてくる情報の数々。戦闘機が格納されている基地の緊張感、計器がギュっと詰まったコックピットの閉塞感、体に響くエンジン音、キャノピー(天蓋)を通して見える景色。当然ながら平面の画面とは違い、自分が首を回せば、コックピットから機体の側面や背面までも自由に見ることができます。

▲うわ! 機体が突然落ちてきました!

キョロキョロしているうちに、滑走路に引っ張り出される筆者の乗った機体。すると既にそこは戦場となっていて、目のまえに戦闘機が墜落してきました。VRで感じるドッグファイトの半端ない迫力の一端と、しくじってしまったパイロットの末路を同時に見せつけられ、足がすくみます。それでも出撃しなければならないのです。R2ボタンをしっかり押し込んでスピードを上げ、滑走路を走り、離陸!

▲ミサイルが飛び交うなか、なんとか離陸成功です。空に放たれた解放感と恐怖が同時に襲ってきます

▲初めて敵機を撃ち落としました。爆発の臨場感が何しろすごいんです

△ボタンで目標をロック、〇ボタンでミサイル発射、□ボタンで特殊兵装切り替え。操作自体はわりとシンプルで、キャンペーンモードとVRモードどちらも共通です。話には聞いていたものの、実際に体験してびっくりしたのが、天候の表現です。雨や雲のなかを飛んでいるとき、キャノピーに張り付いた水滴が風圧でスッと流れていく様子のリアルさには、思わず見とれてしまうほど。

▲外側に張り付く水滴の美しさ……雲って、そういえば水なんだ、と再認識しました

本作では、旅客機などは絶対に通り抜けないような危ない積乱雲などにも突入していくことができます。また、悪天候のなかを飛行していると“アイシング”と呼ばれる、機体に張り付いた水滴が凍ってしまう現象が起こり、視界が悪くなるばかりか、機体性能まで落ちてしまうことも。それなら雲のなかを飛ばなければ万事解決……と思いきや、そうも言っていられない場合も多いですし、雲に紛れることを利用したミッションもあるのです。また、機体に落雷すると、ヘッドアップディスプレイの表示が乱れたり、機体の制御が利かなくなることもあるため、天候や雲を把握した飛びかたを覚えるのは重要です。

▲こちらはVRモードではなく、通常のキャンペーンモードのフライト画面。コックピットからではない、いつもの見慣れた視点ですね

正直なところ、通常のキャンペーンモードに比べてヘッドセット導入のコストも含め、ハードルの高さは否めません。それに、すべてのステージをVRモードで遊べるわけではなく、PlayStation®VR専用の数ステージのシナリオが用意されているのみです。しかし、「私こそが“パイロット”である!」と強烈に実感でき、“ゲームをプレイしている”という日常から、一気に“戦闘機でのドッグファイト”という緊迫した世界にワープしたかのような体験ができるVRモードは、『エースコンバット』シリーズの“未来”をプレゼンテーションする、というプロデューサーメッセージのとおり、次回作以降の期待と面白さをしっかりと予感させるもので、「今すぐにでも体験してみて!」と誰かれ構わず勧めたくなってしまうくらいのすさまじい引力があります。そしてこのコンテンツを家庭用のゲーム機で今すぐプレイできるというのはとても重要なことであると感じます。門外漢にもほどがある筆者のような新参プレイヤーにもかなりのアピール力があるVRモード、ファンであればなおさら体験しない手はありません!

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