ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』特集  vol. 4

Interview

古川雄大が“愛”にまっすぐ生きる。ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』いよいよ開幕!

古川雄大が“愛”にまっすぐ生きる。ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』いよいよ開幕!

ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』が、2月23日(土)から東京国際フォーラム ホールCにて上演される。シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』の物語を主軸に、ロックミュージックやアクロバティックなダンスを盛り込んだスペクタクル性の高いミュージカルで、潤色・演出は、2010年の宝塚歌劇団による初演から、2011年のオリジナル版、2013年の再演、2017年の新演出版を手がけた小池修一郎。そして、2013年以降、ロミオを務めるのが、古川雄大だ。
彼が、最も大切にしている座組みのことや、“ロミジュリ”から現代の人たちに伝えたい大切なことまでを語ってくれた。

取材・文 / 竹下力 撮影 / 増田慶


『ロミオ&ジュリエット』の座組みはとにかく落ち着く場所

2013年版、2017年版と経て3度目のミュージカル『ロミオ&ジュリエット』へのご出演となりますね。

ありがたいことに再演の舞台に出演させていただく機会は多くなってきましたが、その中でも『ロミオ&ジュリエット』の座組みはとにかく気持ちが落ち着くんです。スタッフも前作から同じで、キャストも半分以上残っています。去年の制作発表のときに、「出演することになるとは思っていなかった」とお話ししたように、前回は最後のつもりで挑んだので、帰ってこられてとても嬉しいです。

すでに立ち稽古に入られていると聞きました。ここまでの稽古の手応えはいかがですか。

僕が稽古場に入って3日目で、すでに1幕を通すという奇跡的すぎるほど順調な稽古です(笑)。やはり、再演ならではの良さが出ていて、骨組みがしっかり出来上がっています。おそらく2幕を通すと、作品の全体像がより克明になりますし、演出の小池修一郎先生は気になったポイントをどんな些細なことでも修正してくださるので、これからどんどん緻密な作業になっていくと思います。

初参加組の方と、再演組の方では稽古の進み具合の感覚は異なるものでしょうか。

もちろん、初参加のキャストは初めてのことが多いので大変だと思いますが、前回から続投の出演者と支え合って稽古をしています。続投組には前回の記憶がありつつ、稽古場でも全力で演じています。この段階でここまで仕上がっているので初日が待ち遠しいです。

3度目の出演ですが、稽古場に入る前に事前に準備をしていたり、心がけていることはあったりしますか。

僕の場合は、前作の記憶が残っていると思って稽古に臨んだのですが、あまり残っていなかったですね(苦笑)。結果的にイチから取り組んでいますが、とはいえ基礎的な部分は覚えているので、それを踏まえて、今作でも小池先生の目指している舞台を一緒につくっていきたいと思います。

初出演の13年版が悔しかった

前作と比べて役づくりのスタンスやモチベーションは変わりましたか。

初出演の13年版では悔しい思いをしたんです。歌や芝居でできないことが多すぎて……。再演のときは努力して、自分なりに克服できたと思っていたのですが、今度は譜面を追いすぎて、歌が丁寧になりすぎてしまったということがありました。今回は、音が多少ブレたとしても、あくまでロミオの感情が見えるように、音楽にとらわれずに歌うことを目標にしています。

前回の上演を拝見させていただいたのですが、そのときから完成された舞台だと思ったので、古川さんにそんな葛藤があったとは、意外なお言葉だと思います。

おっしゃるように、作品としては皆さんに満足していただいて千秋楽を迎えられたんじゃないかな。今回は、前回の公演をご覧になった方からはもっと高いレベルを求められるだろうし、初めてご覧になる方もその評判を聞いていらっしゃると思うので、最初からハードルが高いと思いますが、絶対にそれを超えたいですね。

具体的に何か変化が見えたりしていますか。

新しいキャストが加わって起きた化学反応で、よりリアリティのあるお芝居になりました。初ミュージカルのジュリエット役の葵わかなさんは、試行錯誤しながら懸命にお芝居をしていて「リアルなジュリエットだな」と思う瞬間があるし、三浦涼介くんのベンヴォーリオもそう見えるので、今作はミュージカルという冠を取り払ったら、とてもリアリティのある舞台になると思います。

ロミオはピュアな心を持ったまま、愛にまっすぐ生きる男性

古川さんにとって3回目のロミオはどんな役になっていますか。

ピュアな心を持ったまま、“愛”にまっすぐ生きる男性です。彼の“ピュア”な部分がこの作品の核であり、現代に生きる人にとっても必要な要素だと思っています。ロミオはまさに、作品を背負っている役。運命の人のジュリエットに出会い、愛のために生きようと人生が180度変わってしまう。ただ、若さゆえに無知で、神父や乳母といった多くの人に頼りながらも、間違った道を歩んでしまう。けれど、誰かへの“愛”が心に残る作品だと思うので、それを伝えられるようにピュアでまっすぐなロミオを演じたいです。

どのように演じていこうと思いますか。

“若さ”を出して演じたいですね。前回、小池先生に「若い年齢の役だと心に据えて演じて欲しい」と言われたのですが、“若さ”といってもどのように出せばいいのかわからなかったんです。最初は声のトーンやテンションを変えながら役づくりをしたのですが、自分の中で釈然としなくて、途中から変えたり試行錯誤したところがありました。今回は1幕を通した段階で、周りから「前回よりも若返った」とおっしゃっていただけたので、小池先生たちと一緒につくってきて、3度目にしてようやく“若さ”を出せる役者になったのかなと(笑)。なので今後は、その“若さ”をどれほど自然に見せられるかを意識して役づくりしたいと思います。実際、僕以外の役者も若くなっていますから、バランスを考えながら違和感なく演じたいです。

若さ以外にも小池さんがおっしゃられるロミオ像はあるのですか。

陰があるけれど、どこか突き抜けた明るさがあるとおっしゃっていました。「綺麗だけれど霧がかかっているような空」とイメージを伝えられるんですけど、そこからはっきりとしたキャラクターを捉えるのは難しいです。“若さ”という課題はクリアしつつあるので、小池先生のおっしゃるロミオをどう表現しようか格闘しています。

小池修一郎の演出はどのシーンにも無駄な空間がない

小池先生は古川さんをどのように引っ張っていくのですか。

前作の稽古よりもダメ出しをもらっています。厳しく見てくださってありがたいですし、それをどう自分に汲み取ってお芝居をしていくのか。僕の演じたいロミオ像もありますから、先生と話し合いながらつくっていきたいです。

小池さんの演出の特徴はありますか。

どのシーンにも無駄な空間がないです。先生の演出は、稽古をして埋まっていない場所を見つけて、それを役者や装置などで埋めていく作業を細かくします。結果として隙がなくムラのない舞台に仕上がるんです。それから、“美しさ”という感性がずば抜けているんです。例えばナイフの角度を1時間演出に当てたりもするんですけど、それだけこだわり抜いているからこそ、幕が開けば「感動的だった」とお客様を唸らせてしまう。間違いないセンスを持っていらっしゃるし、新しい要素を柔軟に取り入れられる方でもあります。前回では携帯電話でLINEを取り入れましたし、ミュージカルをいかに若い人に観てもらおうか挑戦心がある方です。

小池さんの演出で驚いた瞬間はありますか。

7割の力で稽古をするとすぐに見抜かれてしまいます。とあるシーンで、3回ほど連続で稽古をしたのですが、1、2回目はフルパワーで演じて、3回目は歌を入れて稽古をすることになったので、歌の処理の仕方を考えてしまって、少し悩みながら演じたら、即座にダメ出しをいただいて驚きました。

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