LIVE SHUTTLE  vol. 333

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レキシが横浜アリーナで、ビッグ門左衛門(三浦大知)とエキサイト!? 〈TOUR 2018-2019 まんま日本ムキシばなし〉レポート

レキシが横浜アリーナで、ビッグ門左衛門(三浦大知)とエキサイト!? 〈TOUR 2018-2019 まんま日本ムキシばなし〉レポート

日本史をテーマにしたファンクバンドのライヴの感想としては正しいのかどうかはわからないが、1月23日(水)に横浜アリーナで開催された〈レキシ TOUR 2018-2019 まんま日本ムキシばなし〉は、最初から最後まで爆笑しっぱなしだった。会場の外に設置されていたペリーと西郷どんから届いていた花輪ですでにひと笑いしていたので、正しくは入場前から笑っていたことになる。

取材・文 / 永堀アツオ 撮影 / 田中聖太郎

レキシの醍醐味を味わうためには、生のライヴに行くしかない

オープニング映像は、ツアーのタイトルから想像していた方も多いと思うが、『まんが日本昔ばなし』のパロディとなっていた。干ばつによって米が収穫できなくなった農民役のレキシが、ロバート秋山竜次扮する稲穂の神様にお参り。「神様を喜ばせるためには歌と踊りと祭り。そうだ、みんなでライヴで盛り上がろう!」と思いつく。場内は秋山の登場でかなり沸いていた。そして、レキシが龍に乗ったアニメーションに合わせて『まんが日本昔ばなし』のオープニングテーマが流れ、アウトロでバンドが演奏を重ねて、ライヴがスタート。

ミラーボールがきらびやかに回るなかで、レキシが「〈まんま日本ムキシばなし〉、始まるよ〜」と高らかに声を発し、いきなり軽快なナンバー「SEGODON」のコール&レスポンスで盛り上げる。続く、ソウルコーラスグループ風の「なごん」ではステージを左へ右へと動きながら手拍子を煽り、最後はビブラストラップをしつこいくらい何度も鳴らし、「後ろの方はまったく見えておりません、遠すぎて。いるんですか? 人が。……どーも、ケビン・コスナーです!」と、いつもどおりの笑い溢れる挨拶を。

続く、「年貢 for you」の終盤には、俵ポーチ(グッズ)の中から出した“横アリくん”と“横アリアフロくん”をモニター横に飾りながら、「今回は、レキシの昔を思い出してっていうツアーなんです」とコメント。数々の脱線を経て再び「年貢 for you」にカムバックし、客席に向けて俵クッションを投げ込むと、場内には5つの俵が舞った。

本人がMCで話していたとおり、〈まんま日本ムキシばなし〉は、『まんが日本昔ばなし』のパロディに見せながら、レキシのこれまでの歴史を知るツアーになっていた。

「自分を見張っていた忍者に恋をしてしまったアンジェリーナ・ジョリー(以前はウーピー・ゴールドバーグだった)の実話です」と解説したメロウファンク「Let’s 忍者」では観客とのコール&レスポンスでアリーナならではの「時差スティックマイヤー」を楽しみ、「横浜、開国して欲しいー!」と叫んだディスコナンバー「ペリーダンシング」では、ギターソロ、ベースソロに続いて、「武富士」ジャズダンスなども飛び出し、20頭のイルカの浮き輪が人波を飛び跳ねた「KMTR645」から、キーボードの元気出せ!遣唐使こと渡(和久)くんとのイチャイチャタイムによる数曲のメドレーを経て、ふたりでビッグバラード「墾田永年私財法」をエモーショナルに歌い上げ、十二単を羽織って、「どんだけ〜」と叫びながら、「SHIKIBU」を歌唱。

『レキシ』『レキツ』『レキミ』『レシキ』『Vシキ』と過去にリリースした5枚のアルバムからの楽曲を満遍なくピックアップするとともに、懐かしの小ネタも復活させ、2007年のデビューから現在に至る11年のヒストリーを一気に振り返ってみせた。

バンドメンバーが見えない力に手を揺らされたファンクロック「GET A NOTE」で、目玉のおやじの被り物を装着しタオルを回してフロアの熱気を上げたところで、後半戦に突入。映像による「鶴の恩返し」を経て、スイングするブルーズ「SAKOKU」では、美空ひばりのような羽根衣裳と挨拶にドスの効いた歌唱を響かせ、“N・A・R・A”の人文字で遊んだソウルナンバー「奈良に大きな仏像」では遣唐使による締まりの悪いずっごけ芸で失笑を誘い、「一度潰したアフロは二度と戻らない。それだけは覚えて帰ってください」という名言が誕生した「KATOKU」から、金と銀のテープが発射された「きらきら武士」で本編は締め括られた。

そして、アンコールの1曲目「GOEMON」で、ビッグ門左衛門こと三浦大知がサプライズゲストとして登場すると、場内はこの日一番の大歓声が沸き起こった。大知のソロダンスでは甘い吐息のような感嘆の声がそこかしこから漏れ聞こえる。そんななか、ふたりでフリを合わせて踊り、最後は歌舞伎のポーズで華麗に締め括った。さらに、観客が稲穂を振るライヴの定番曲「狩りから稲作へ」にも参加し、レキシの「やっぱりEXCITEしたいな〜」というリクエストに答え、自身の代表曲「EXCITE」をパフォーマンス。恒例の「キャッツ!」を満員御礼のオーディエンスとともに決め、なぜか山口百恵の名曲から「Thank you for your kindness」と語り、ステージをあとにした。

その後、ステージ上の巨大スクリーンに『まんが日本昔ばなし』のエンディングテーマ「にんげんっていいな」のパロディ映像(秋山&レキシ出演)が流れ、「いいないいな」というフレーズがやがて「稲」から「I.N.A.」へとチェンジし、DA PUMP風のスタイルに着替えたバンドメンバーがひとりずつ踊りながら再登壇。「JOMON BABY AMERICAT’S〜」「YAYOI BABY AMERICAT’S〜」と歌いながら踊り、そのままの姿で感涙バラード「マイ会津」を高らかに歌い上げ、3時間のライヴは大団円を迎えた。

照明や舞台美術、映像などは豪華になり、キャパシティもツアーをやるごとに拡大しているが、ステージに立っているレキシがやっていることは、2011年に開催した初のワンマンライヴ、300人キャパの新代田FEVERの頃から何ひとつ変わっていない。ファンクやソウルが好きで、日本史が好きで、それ以上にくだらないユーモアが大好きで、何をやりだすかわからないドキドキ感もある。また、絶対に映像化できないネタも多いから、レキシの醍醐味を味わうためには、生のライヴに行くしかない。会場がどれだけ大きくなっても変わらないその姿勢こそが、レキシが多くの人に愛され、「バカだな〜」と苦笑いしながらもついついグッズの稲穂を買ってしまう理由なのではないかと思う。

レキシ TOUR 2018-2019 まんま日本ムキシばなし 2019.1.23@横浜アリーナ SET LIST

M01. SEGODON
M02. なごん
M03. 年貢 for you
M04. Let’s 忍者
M05. ペリーダンシング
M06. KMTR645
M07. 墾田永年私財法
M08. SHIKIBU
M09. GET A NOTE
M10. SAKOKU
M11. 奈良に大きな仏像
M12. KATOKU
M13. きらきら武士
〈ENCORE〉
M14. GOEMON
M15. 狩りから稲作へ
M16. マイ会津

レキシ

1997年にSUPER BUTTER DOGのキーボーディストとしてメジャーデビュー。2004年より中村一義らと共にバンド100sのキーボーディストとして活動。日本の歴史に造詣が深く、ソロプロジェクト“レキシ”として2007年にアルバム『レキシ』でソロデビュー。さらに、他アーティストのプロデュース、サポート・キーボーディストとしても活躍。また、映画『海街diary』、ドラマ『99.9-刑事専門弁護士-』などに出演、俳優としても活動している。

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