Interview

土屋太鳳、映画『青空エール』インタビュー。女優を続ける決意の瞬間

土屋太鳳、映画『青空エール』インタビュー。女優を続ける決意の瞬間
連続テレビ小説『まれ』や映画『orange-オレンジ-』などの話題作で主役を演じ、世代を問わず愛されている女優・土屋太鳳。彼女が主演を務める映画『青空エール』が8月20日(土)に公開される。
野球部員の山田大介(竹内涼真)と励まし合いながら成長していく吹奏楽部所属ながらトランペット初心者のヒロイン・小野つばさ役を演じた土屋太鳳に、映画の魅力や撮影時のエピソード、自身の高校時代の思い出などを聞いた。

取材・文 / 左藤 豊 撮影 / 森崎純子


まず、映画『青空エール』に出演することが決まった時の気持ちは?

すごくうれしかったです! 私は野球と音楽がすごく好きなんです。弟はずっと野球をやっていましたし、姉は大学の応援団に入っていたので、私もよく球場に応援に行っていました。スポーツと音楽、両方の素晴らしさを実感していたので、それを今度は自分が女優として表現できるんだと思って、「女優をやってきてよかった!」と思いました。

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主人公のつばさを、どのようなキャラクターとして捉えていましたか?

つばさちゃんは自分に自信がなくてすぐにうつむいてしまう癖があるんですけど、私自身はうつむかずに、いつも前を向こうと意識しているので、最初は「どうしてそんなにすぐ下を向いちゃうんだろう?」って疑問だったんです。でも、つばさちゃんを演じていくうちに、下を向くのは自分の弱さやコンプレックスに向き合おうとしているからなんだと気付いたんです。自分と正直に向き合う強さを持っていたからこそ、高校1年生の時は大介くんに向かって一人でトランペットを吹いてしまったけど、2年後のつばさちゃんはちゃんと吹奏楽部全員で大介君にエールを送ることができる人間に成長できたんだと思います。

つばさは吹奏楽部でトランペットの担当ですが、土屋さんはトランペット初挑戦だったんですよね?

はい、難しかったです…。トランペットは指使いも音を出すことも難しいので、5か月間とにかく練習の日々でした。トランペットに触れる時は常に触ってましたし、触れない時はイメージトレーニングをしていました。

他のお仕事もある中で、合間を縫っての練習は大変だったと思います。

つばさちゃんの学校の吹奏楽部は、ヒットを打ったら「智弁ファンファーレ」という曲を吹くんですけど、ある日テレビをつけたらちょうどその曲が聞こえてきたんです。春のセンバツの決勝戦、智弁学園と高松商の試合でした。私もその頃にはちょっとずつ吹けるようになってたので、一緒に合わせてみようと思って吹いてみたんですけど、感情が入れば入るほど指が動かなくなっていくんです。「頑張れ!」という気持ちが強くなればなるほど、テンポも音も合わなくなってしまって…。このままの状態ではとても撮影にも挑めないし、たとえ倒れても指が動くくらいじゃないとダメだと痛感して、そこからさらに練習をしました。

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球場での試合のシーンには、大勢のエキストラも参加して大掛かりな撮影になったそうですね。

平日の撮影も多かったんですけど、1000人以上の方が集まってくださったのは本当にうれしかったです。応援歌を覚えてもらって撮影をしたんですが、皆さんお芝居が上手でしたし、撮影中じゃない時も「太鳳ちゃ~ん!」って声をたくさん掛けていただいて、私がエールをもらっていると感じました。皆さんのエールがあったからこそ、私はつばさちゃんとして大介くんに気持ちを伝えることに集中できたし、皆さんのおかげで『青空エール』が完成したと思います。

つばさと大介はお互い想いを寄せながらもすれ違う“両片想い”という関係ですが、そのもどかしさや切なさの表現は難しくありませんでしたか?

「両片想いの恋愛」と考えるとすごく大変なんでしょうけど、私はつばさちゃんと大介くんの間には「恋愛」の前に「信頼関係」があると思うんです。つばさちゃんが大介くんを応援して、その大介くんが頑張っているからつばさちゃんも頑張ることができる。だから、あまり恋愛という意識はせず、大介くんへの信頼や友情を大事にしていたら、結果的に恋愛だったというスタンスで演じました。

土屋さんから見て、2人の関係はどう映りましたか?

うらやましいなぁ、って(笑)。ずっと一緒にいることが恋愛ではないと思うし、恋愛より別の何かを優先しなければならない時があることを2人とも分かっていて、お互いを尊重し合っている姿がとても素敵だなと思いました。

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土屋さん自身も高校時代は部活動に励んでいたそうですが。

はい。ダンスの強豪校で部活動をしていて、朝は5時半に集合、夜は19時半まで練習をして、家に帰ったらすぐ寝るという毎日を送っていました。だから、私の場合は女子校だったこともあるんですけど、部活動と恋愛は両立できないものだと思っていたんです。だけど、つばさちゃんを見て、「両立できるんだ!」って(笑)。つばさちゃんの部活動と恋愛に対する積極的な姿勢はすごくうらやましいし、私とは似ていない部分だなと思いました。

同世代の共演者が多く、撮影の現場はとても明るい雰囲気だったと聞いています。

みんな仲が良かったですね。それに私はトランペット、(竹内)涼真くんだったら野球というように、みんなそれぞれ切磋琢磨して、全力で戦いながら青春を送っていました。あと、(葉山)奨之くんは『まれ』(’15年)で私の弟役だったので最初はすごく不思議な感じがしたんですけど、高校3年時のつばさちゃんと水島くんの信頼関係は、『まれ』で姉弟として一緒に頑張ってきた信頼関係と通じる部分があったと思います。

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この作品のタイトルに「エール」が入っていますが、土屋さんがこれまで受けたエールの中で印象深いものは?

『まれ』の撮影の時に、草笛光子さんからいただいた言葉です。草笛さん演じるおばあちゃんがパティシエを目指す希(土屋)に対して「この道は険しい道よ、でも素晴らしい道。まだまだこれからよ、待ってるわ」と言うセリフがあったんですけど、本番後に草笛さんが「私は今日、このセリフを希に言いに来たんじゃないの。あなたに言いに来たのよ」と言ってくださったのがすごくうれしかったですね。

草笛さんのその言葉で、女優としてこれからも頑張ろうという決意ができた。

はい。今はお芝居をすることに対して「難しいな」「つらいな」と思う部分もあるんです。でも、女優というお仕事は続けていきたいですし、そのために苦しむことは大事で、つらさを乗り越えることで観ている方々に伝わる気持ちもあると思うので、草笛さんの言葉を信じて進んでいこうと思っています。

では最後に、改めて『青空エール』の魅力や読者へのメッセージをお願いします。

つばさちゃんは大介くんと出会うことで成長していくんですが、人が人と出会って成長していく楽しさやつらさがすごく詰まっているので、たくさんの方に共感していただける映画になっていると思います。「青春」って、ただ学生だから青春なんじゃなくて、人と出会って心が成長していくことが「青春」だと私は思うんです。なので、この映画を見てくださる方がこれからもいろんな方と出会って「青春」を送っていただけたらいいなと思います。

フォトギャラリー

映画『青空エール』

2016年8月20日ロードショー

累計発行部数390万部を突破した青春マンガを実写映画化。吹奏楽の名門・白翔高校に入学したトランペット初心者の小野つばさ(土屋太鳳)は、レベルの高い練習についていけず何度も挫折しそうになる。そんな彼女を勇気づけてくれるクラスメートの山田大介(竹内涼真)。お互い夢に向かって励まし合ううちに、つばさにはほのかな想いが芽生えていた。1年の夏、地区予選の決勝まで勝ち進んだ野球部を吹奏楽部が応援するが、大介のミスでチームは敗退してしまう。グラウンドで立ち尽くす大介のためにつばさは1人でトランペットを吹き、謹慎処分に。心配して訪ねてきた大介につばさは想いを告白するが、フラれてしまう。大介は、仲間の夢を潰してしまった自分が許せないでいた。2人は“両片想い”のままそれぞれの夢を追いかけ、やがて最後の夏が来る…。

【監督】三木孝浩
【原作】「青空エール」河原和音(集英社マーガレットコミックス刊)
【脚本】持地佑季子
【音楽】林ゆうき

【出演】
土屋太鳳(小野つばさ)
竹内涼真(山田大介)
葉山奨之(水島亜希)
堀井新太(城戸保志)
小島藤子(春日瞳)
松井愛莉(脇田陽万里)
平 祐奈(澤あかね)
山田裕貴(碓井航太)
志田未来(森優花)
上野樹里(杉村容子)

【主題歌】whiteeeen「キセキ〜未来へ〜」(UNIVERSAL J)
2016年8月17日発売

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【配給】東宝

公式サイト
http://aozorayell-movie.jp/

©2016 映画「青空エール」製作委員会
©河原和音/集英社