Interview

オリジナル・ラブ 多彩なゲストが参加した力作『bless You!』のアップデイトされた音楽の現在地

オリジナル・ラブ 多彩なゲストが参加した力作『bless You!』のアップデイトされた音楽の現在地

オリジナル・ラブが4年ぶり、18枚目となるニューアルバム 『bless You!』をリリースする。先行配信された「グッディガールfeat. PUNPEE」が話題を呼び、期待が高まる中届いた新作は、これぞ、オリジナル・ラブの最新型! と呼ぶにふさわしいフレッシュにアップデイトされた音が横溢。90年代からジャズ、ロック、ファンク、ヒップホップを巧みに昇華し、グルーヴ感溢れる音楽を探究してきたオリジナル・ラブが、鍛え抜かれた実力で一気に勝負に出たと言ってもいい力作になっている。レコーディングには現行のライブメンバーと、1994年の名盤『風の歌を聴け』に参加した名うてミュージシャンが参加。さらに渡辺香津美、長岡亮介(ペトロールズ)、PUNPEEといった多彩なゲストを迎え、今のシーンに鮮やかに鳴り響く音をつくりあげている。そこに至るまでの過程と心境の変化、アルバムに込めた“人生讃歌”の意図を田島貴男が語る。

取材・文 / 佐野郷子 撮影 / 板橋淳一

オリジナル・ラブがやらなきゃ誰がやる! という音楽を突き詰めた新作

オリジナルアルバムとしては4年ぶりになりますが、この数年はバンド編成だけでなく、弾き語りツアー、「ひとりソウル・ツアー」など精力的にライブを続けていましたね。

一人で始めてもう8年くらいになるんですが、そこから随分変わりましたね。音楽的なテクニックもついたし、ステージングに関してもバンドでは気づかなかったことを発見して、ミュージシャンとしての実力、ギターも歌も体力もついて、かなり鍛えられました。

ライブを重ねることで血肉化したものが、アルバムbless You!』に反映されている?

そうですね。前作『ラヴァーマン』で始まった路線、それを何と言っていいのか分からないんだけど、オリジナル・ラブがやらなきゃ誰がやる! というような音楽をさらに突き詰めて、今回は何曲か一発録りにチャレンジして、1曲目の「アクロバットたちよ」からそうです。

木暮晋也さんや真城めぐみさんを含む現在のバンドメンバーとの息の合ったプレイなくしては成し得ない曲になっていますね。

僕もギターを弾きながら歌って、誰も一回も直してないんですよ。それがやりたいがために、去年のツアーでレコーディングする前の新曲を演奏したんです。ワンツアーやれば何とか出来るようになるかと思って。ギターが難しくて、自信はなかったんだけど、結果的にすごく良いテイクが録れました。長い付き合いになる真城や木暮もすごく良い味を出してくれて、真城は歌いながらめっちゃ踊ってましたね。「アクロバットたちよ」、「ゼロセット」、「AIジョーのブルース」は先にライブで披露してからレコーディングに入りました。

一発録りにこだわった理由は?

何年、何十年も聴いて飽きない音楽って、歌と演奏を同時に録っているからだと思うんですよ。だから、1970年くらいまでの音楽は耐久性が高いんじゃないかと。アルバム全曲とはいかないまでも、何曲かはそうしたかった。

20代の奴らに負けないカッコいい曲をつくり続けていきたい。

アルバム用の曲作りはいつから始めたんですか?

2、3年前から始めていましたね。曲の断片ができていく中から大まかな方向性を探ってゆくんだけど、最初にできた「ゼロセット」は自分でも久しぶりにポップで良い曲ができたなと思って、2年前にレコーディングしたんですが、歌詞がなかなかできなくてね。けっこう自信のある曲だったんで、歌詞を2、3回書き直して、時間をかけて完成に近づけていった。

「ゼロセット」の軽快なサウンドとポップなメロディーに絡むストリングスは、確かにオリジナル・ラブならではですね。

そうそう。そこは思いきりやりましたね。去年のツアーでも初めて聴く曲なのにお客さんが盛り上がってくれたんですよ。

〈ビギナーもベテランも同じラインに並ぶトラック〉で、〈一度きりの人生を 最後まで攻めよう〉という歌詞も田島さんのエネルギーを感じます。

それは自分がいつも思っていることなんですよ。経歴やイメージではなく、音楽そのものを聴いてほしいし、「オリジナル・ラブって『接吻』の人でしょ?」という人もいるかもしれないけど、そこは切り離して新人だと思って聴いてもらってもいいなと。キャリアにあぐらをかきたくないんですよ。20代の奴らに負けないカッコいい曲をつくり続けていきたいと思っているし、それが今回のアルバムではかなりいいセンいけたのではないかと。

音楽はベテランも新人も同じ土俵にいるわけですもんね。

そうそう。50代に入っても枯れることなく、攻めましたね。制作に関してはギリギリまでやったから体力的にはヘロヘロになったけど、それくらいハードに頑張りましたね。

ギター・ソロを聴かせてくれる長岡亮介さんとはペトロールズのカバーアルバムへの参加や田島貴男&長岡亮介名義の『SESSIONS』のリリースもありましたね。

 長岡くんのギター、いいでしょ? 彼は日本のカントリー界のギタリストとして最若手でもあり、オルタナティブ・ロックやヒップホップにも通じていて、「ゼロセット」ではカントリー・スタイルのギターをソウルフルに弾いてくれました。フィリーソウルみたいな曲でそういうハズしがあるのも面白い。今回のアルバムは、PUNPEEや渡辺香津美さんまでゲストも多彩で、濃い音楽汁が出ちゃいましたね。

若い世代の活躍でオリジナル・ラブらしい音楽がやりやすい状況になってきた。

2016年から主宰されているイベント「Love Jam」』で、ペトロールズ、cero、never young beachなど田島さんより下の世代と対バンしていますが、彼らから刺激を受けたことは?

めちゃくちゃありますね。「Love Jam」』は自分が好きな若い世代と対バンしたいと思って始めた企画で、そこで知り合ったバンドやミュージシャンには刺激されました。彼らの感性は面白いし、僕自身も若い世代のつくる音楽を聴くのが楽しくなってきた。そのせいもあって、以前よりオリジナル・ラブらしい音楽がやりやすい状況になってきたんですよ。

ロック、ソウル、ジャズなど様々な音楽を交配させながら、今のポップに昇華してゆくという点では、オリジナル・ラブはその先駆的存在でもある。

だから、やりやすくなってきたんですよ。「あっ、そうか。俺、普通にやればいいんだ」って(笑)。自分もずっと音楽的にいいもの目指してやってきたので、そこに意識的なクリエイティブな若い世代が増えてきた状況で、俺も今、カッコいい音楽つくらないとマズいと思ったしね。あと、自分の音楽を若い世代が反応してくれるのも嬉しくて、ここに来て、自分でも「ノってるな」と思うことが増えてきたというのはありますね。

1 2 >