Interview

CHEMISTRYが「もしも / 夜行バス」に投影した想い。ふたりの“もしもあのとき”とは?

CHEMISTRYが「もしも / 夜行バス」に投影した想い。ふたりの“もしもあのとき”とは?

全国ツアー真っ只中のCHEMISTRYが、再始動第3弾(通算37枚目)となるシングル「もしも / 夜行バス」と、入門編のようなベストアルバム『はじめてのCHEMISTRY』(期間限定盤)を同時リリースした。前2作の「Windy / ユメノツヅキ」、「Heaven Only Knows / 13ヶ月」は再始動したふたりの心境やこれまでの道のりを想起させる部分もあったが、本作からはR&Bシンガーであるふたりのストーリテラーとしてのしっかりとした説得力や匂い立つ色気を感じつつも、聴き手が感情移入し、自身の個人的な思い出を投影できる、より間口のある楽曲となっている。どんな主人公で、どんなストーリーで、どんな思い出が甦ってきたのか。歌の演じ手であるふたりにも自身の個人的な思い出を聞いた。

取材・文 / 永堀アツオ

歌っていて自然に場面が見えてくる。想像を掻き立ててくれる

年をまたいだ全国ホールツアー〈CHEMISTRY LIVE TOUR 2018-2019 “Gravity”〉中にニューシングルがリリースされます。3曲入りの両A面仕様になっていますが、まず、松尾 潔さん作詞の「もしも」を最初に受け取ったときにどう感じましたか?

堂珍嘉邦 CHEMISTRYにはデビューのときから“R&B”という要素があって、基本的にはメロディアスで、サウンドの中のトラックやキックの部分、曲のタイトルとかにブラックミュージックをブレンドしているっていう感じだと思うんですけど、今回は、ちょうど自分たちが10代の頃に感じていた、90年代の海外のR&Bに似ているような気がしていて。若い頃はおそらく技量が足りなくて歌えなかった色気のある曲だっていうのが、まず嬉しかったですね。松尾さんも、まな板に乗った素材を料理するという意味では、その素材が、成長して熟成してきたから、そろそろこういうナンバーをCHEMISTRYでやれるのではないかと思ったというか。こういうR&Bの曲を持ってきてもらえたのはすごく嬉しかったですし、歌ってても気持ちいいですね。

川畑 要 僕は、もともとあったCHEMISTRYの素直な部分が出せるんじゃないかって思いましたね。もう一曲の「夜行バス」は「13ヶ月」にも続くようなピアノと歌声しかないバラードですけど、今回の両方の曲に共通してるのは、歌がより前面にグッと出てるっていうことで。だからこそ、ここでまた勢いをつけて次に繋げていけたらなっていう思いで歌いましたね。

「もしも」は失恋ソングになっていますよね。

川畑 ひとつの大きなテーマが見えているので、歌詞の内容はわかりやすいんじゃないかなと思います。曲ともすごく合っていたし、歌っていて自然に場面が見えてきて、歌詞のはめ方も想像を掻き立ててくれるものだったので、いちいち考えないでもいいというか。もちろん捉えようはいっぱいあると思うんですけど、歌とちゃんと重なってきてくれる松尾さんの言葉たちは、改めてさすがだなと思いましたね。

堂珍 失恋って歳をとっていけば減るかもしれないけど、誰にでもあるもので。けど、若い世代に聴いて欲しいな。こういうことにビンビンくる年頃の子に(笑)。すごく響くと思うので。

たしかに、別れを切り出された場面からストーリーがすごく思い浮かぶ曲になっていますよね。レコーディングはいかがでしたか。聴いていても、とにかくハモが気持ちよくて。特にDメロがたまらないですね。

川畑 むちゃくちゃ楽しかったですね。やっぱり歌のスキルが問われる曲なので、そこらへんのニュアンスはだいぶ意識しました。ちょっとレイドバックするところだったりはいろいろ当ててみたり、ここはビブラートは使わないようにしようとか、結構細かく意識しながらやりました。あとは、やっぱりDメロは、僕も一番力を入れたところで。R&Bサウンドの中のあのメロディラインはパンチのある部分だったので、ここで持っていかないとなっていう気持ちもなりましたし、聴いている人がワッとつかまれる感じになるようにしたいなと思って歌いましたね。

堂珍 レコーディングはタイトなスケジュールだったので、コンディション管理が難しかったっていうのを覚えてますね。その中でも自分が目指すところに歌を持っていくことを気をつけてました。

先にリリックビデオが上がっていましたが、MVはどんな映像になっていますか。

堂珍 恋愛の中でのいい時期とよくない時期みたいなものがストーリー仕立てになっていて、R&Bならではの後悔や女々しさみたいなところが出ている曲なので、そういう仕上がりになっていると思います。面白いかなと思うシーンは、男女の俳優さんが止まっている中で僕らだけが動いて……。

川畑 ふたりの物語の世界に僕たちが登場する感じですね。

堂珍 ジョジョ(『ジョジョの奇妙な冒険』)でいうスタンドみたいな?(笑)

川畑 あはは。違うと思う(笑)。わりとシンプルな作りにはなってますよ。

堂珍 最後に僕らが手を差し伸べると……というオチがあるので、ぜひ観て欲しいですね。

“もしもあのとき”、ふたりとも遅刻していたら!?

では、「もしも」というタイトルにかけて、これまでの人生の中で“もしもあのとき”って思うような出来事はありますか。

川畑 やっぱりオーディションに行ってなかったらっていうことしか浮かばないかな。オーディションに行ってなかったらここにはいなかったし、この質問もされてなかったなっていう(笑)。“もしもあのとき”、自分の中で歌しかないと思って動いてなければ、オーディションを受けなければ、人生どうなっていたかわかんないですね。たぶん、やばかったと思う(笑)。想像は全然つかないですけど、おそらく地元にはいて、きっとろくでもない人間になってたと思います。想像すると、自分が怖い!(苦笑)

堂珍 “もしもあのとき”は、辿ればキリがないですよね。そもそも両親が結婚しなければ自分は生まれてないわけで。中学受験するために小学生の頃から塾に行ってたんですけど、塾に行ってなかったら、新庄高校に入れてなかったら……たぶん違う趣味を見つけて、普通に社会人になっていたかもしれない。僕、その高校で出会った先輩たちの影響で音楽をやろうって決めたので。それに、アメリカのホームステイにも行かなかったら、ずっとモジモジしたままで音楽なんてやってなかったかもしれないし。あと、オーディションの日、あの新幹線に間に合わなかったら遅刻してたし。飛び乗ったらギリギリでシューって扉が閉まったんですよね。それも九州方面か東京方面かもわからずに勢いで飛び込んだんで、危なかった(笑)。

(笑)。九州方面に乗っていたらCHEMISTRYは始まりませんでしたね。

堂珍 ほんと、オーディション受けられてないですよね(苦笑)。

川畑 そういえば、俺も友達に叩き起こされたんですよ。駅まで走らなかったら間に合ってなかった(笑)。

堂珍 初めて『Mステ』に出たときも、要が起こしてくれなかったら遅刻してたことがあったよね? 1階に住んでたから、窓をガンガンガンってされて、それで起きたんですよ(苦笑)。

川畑 あったよね、そういうこと(笑)。許されるなら窓ガラスを割ろうかなって思いましたから。

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