Interview

CHEMISTRYが「もしも / 夜行バス」に投影した想い。ふたりの“もしもあのとき”とは?

CHEMISTRYが「もしも / 夜行バス」に投影した想い。ふたりの“もしもあのとき”とは?

そういう思い出が、僕にもあった。歌う際の着火剤に

「夜行バス」は先程、要さんが言ってたようにピアノと歌のみのバラードになっていて。

川畑 これは結構前にプリプロしていた曲で、スタッフの間でも人気が高かったんですよね。

堂珍 わかりやすいデュオ像みたいな成り立ちも浮いて見えてくる曲なので。シンプルな引きの強さがありますよね。もちろん歌詞とかメロディがあってこそのことなんですけど。僕も10代の頃、広島から東京に夜行バスで遊びに行ったことがありましたし、夜行バスって何かしらいろんなことを連想できる。夢を叶えようとしに行く人もいれば、夢破れて田舎に帰る人もいる。親の死に目に会おうと帰る人もいるし。

川畑 これはまさにそうですね。

堂珍 そういう一個一個の思い出が僕にもあったので、歌う際に着火剤にすごくなりました。

川畑 僕は逆に夜行バスの思い出がないんだよね。だから、この主人公が何を見ているのか、どこに向かっているのかを作家さんに聞いたりしました。夢を追って来る人と、親を亡くして戻る人って、想いが全然違うじゃないですか。自分にはそういう身近な経験がなかったんですが、2〜3年前に亡くなったばあちゃんのことを思い出しながら歌わせてもらいました。ばあちゃんは新潟の人だったんで、彼女が東京に来るときに持ってきた気持ちとか、きっとこういう報せもあったんだろうなとか、いろんなものを想像しながら歌いましたね。

「空に浮かぶあなたの笑顔」のところで、この主人公は大切な人を亡くしたんだってハッとしました。

堂珍 僕はまさかそういう重みはないだろうって思いながら、歌詞についてあえて聞かずにいたんですけど、僕自身、親父が死んだ直後のプリプロだったので、リアルで、いろいろ重なりながら歌っていましたね。

川畑 レコーディングでは歌い方についてのやりとりは結構しましたね。僕、わりとビブラートをつけてしまうクセがついてしまっているので、そういうところをなくしながら言葉を置いていったり、ビブラートを使わずにストレートに伸ばしたり。この曲のいい部分をどれだけ引き出せるだろうって考えながら歌いました。最後の「深夜0時すぎの~」って頭の歌詞に戻るところとか、「また走り出す」っていうところも、その思いを胸にまた帰っていくのかといろいろ考えてしまって、ちょっとこねくりまわして歌ったりもしたんですけど、合わなくて。結果、素直に歌ったテイクが残ってますね。

ストレートに歌っているぶん、より聴き手が自分を重ねる隙間があるんじゃないかと思います。この曲の主人公は夜行バスで地元に帰ってますが、お二方のふるさとの自慢を聞かせてもらってもいいですか。

川畑 僕は葛飾の観光大使をやってますんで(笑)、地元愛の塊でしかありません! 自分の生まれた場所は亀有で、形はいろいろと変わっていったりもしますけど、自分の地元であるっていうところは何も変わらないですね。そんな亀有にみんなが来てくれたときにいいところだって思ってもらえるようにできたらいいし、だからこそ大使として活性化したいというか、夢を持ってもらえるような場所にしたいと思ってます。とにもかくにも、あったかい街ですよっていうことだけは伝えたい! けど、僕なんかの前に、『こち亀』(『こちら葛飾区公園前派出所』)の両さんがいるんでね(笑)。

堂珍 広島自慢は、原爆ドーム、広島カープ、厳島神社、もみじ饅頭、牡蠣、お好み焼き、レモン、つけ麺、瀬戸内海の魚、うどん……とかですかね。広島県民としては、被ばくされた方もどんどん減っているからこそ、風化しないようにしないといけないと思いますし、そこで自分ができることがあるのかなって考えたりもしています。あと、宮島には鹿ばっかりっていうイメージだったんですけど(笑)、仕事で初めて泊まりで行って宿でお昼ご飯を食べたときに、箱根や熱海にも負けない良さがあるのを感じて。地元でもまだまだ全然開拓してない場所があるって思ったので、ちょくちょく帰りたいなって思ってます。

この3曲の並びで筋が通っている。ストーリーの流れがある

ありがとうございます。そして、もう一曲、今回通常盤には松任谷由実「夕闇をひとり」のカバーが収録されています。

川畑 今回の選曲も松尾さんに託しました。今までも松尾さんが選曲をしてくれてるんですけど、すごく信頼してて。そこで知れる新たな名曲も多いんですよね。僕はこの曲をフルでちゃんと聴いたことがなかったんですけど、曲を聴かせてもらったときに、「いいかも!」「僕らに合ってるかも」って思いましたね。

堂珍 この3曲の並びが自分の中では筋が通っていて。「夕闇をひとり」が入ることによってうまくまとまってるなと思うんです。「もしも」で恋愛に傷ついたり後悔をして、「夜行バス」で実家に戻って行くんだけど、「夕闇をひとり」で相手のことをうまく笑えるような感じで東京に帰ってくる。自分がまたひとつ強くなっているっていう流れが綺麗だなって。

主人公やストーリー、情景が目に浮かんでくる3曲になっていますね。

川畑 どの曲もわかりやすい物語だと思うんですけど、聴き手によってもいろんな想像ができる感じもあって。「夜行バス」もこの主人公は独り身だって思う人もいるだろうけど、僕はあんまりひとりって感じはしてなくて。家族を持っている人が実家に帰っていく、友達や大切な人が待ってくれている中で帰る夜行バスっていう感じもあるんですね。そういう意味では、自分のいろんな経験を重ねやすい曲が揃ってるんじゃないかなって思うんですよ。「もしも」は誰もが経験した恋愛を思い出すだろうし、それぞれ自分の角度で聴いてもらえたら嬉しいなって思います。

堂珍 CHEMISTRYとしてはR&B的なサウンドっていう部分では原点回帰でありつつ、実はチャレンジなんだっていう要素もあるんですけど、やっぱりこの3曲を並びで聴いて欲しいなって思いますね。ストーリーの流れがあるので、ループ、ループで聴いて欲しいなって思います。

また、同時に入門ベストアルバム『はじめてのCHEMISTRY』が発売されますね。どんな思いで制作されましたか。

川畑 ソロ活動をやっている5年間、その前にやっていた10年があって。15年も経てば昔の曲を知らない世代も多いと思うんで、そういった人たちに対して、一枚である程度CHEMISTRYのことがわかってもらえる入門的なベストアルバムが出せたらいいなってことで期間限定で出すことになりました。ボーナストラックには、ツアーでやっている曲のライヴ音源が2曲入っています。「白の吐息」は、今回のライヴで久しぶりに歌わせてもらっているんですけど、今、歌うとすごくこの曲の良さというか、深みを感じながら歌えてるのが自分でもわかりますし、アレンジもちょっと変えていて。そのあとの「13ヶ月」も最新の曲として知ってもらえたらなっていう気持ちで入れました。

堂珍 今回はファンの人たちの投票で曲を決めたんですが、ジャケットも何気にファンとコラボっているんですよ。そういった意味ではCHEMISTRYファンの愛もめっちゃこもった作品なので、ファンじゃない方たちにもぜひ聴いて欲しいですし、ファンの方ともその愛を共有できたらと思っています。みんなにやさしいベストアルバムになっております。

要さんは1月28日に誕生日を迎えて、ふたりとも40代に突入しました。

川畑 40になれるのはちょっと嬉しいです。30歳になったときより感慨深い。「半分来たな、大人になったなあ、俺も」みたいな(笑)。でも、まだまだ突き抜けていきますよ!

堂珍 40歳って何かしら重みはありますよね。それが心地いいときもあれば、心地よくないときもあるけど、まだまだいろんなことにチャレンジしなきゃって思ってますね。

CHMISTRY(ケミストリー)

堂珍嘉邦、川畑 要。『ASAYAN超男子。オーディション』で約2万人の中から選ばれ、ヴォーカルデュオとして2001年にシングル「PIECES OF A DREAM」でデビュー。多数の作品でミリオンヒットを記録。2012年よりそれぞれのソロ活動に専念。2017年3月に東京・国際フォーラムにて開催された〈CHEMISTRY LIVE 2017-18 –TWO-〉からグループの活動を再開、11月にシングル「Windy / ユメノツヅキ」を発表。2018年6月にシングル「Heaven Only Knows / 13ヶ月」をリリース。本作「もしも / 夜行バス」発表後、2月16日(土)埼玉、17日(日)大阪・愛知にてリリース記念フリーライブを開催。

CHEMISTRYオフィシャルサイト

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