Interview

パノラマパナマタウンの『情熱とユーモア』。“めちゃめちゃ生きてる”と高らかに宣言する岩渕想太の熱い気持ち

パノラマパナマタウンの『情熱とユーモア』。“めちゃめちゃ生きてる”と高らかに宣言する岩渕想太の熱い気持ち

考えすぎちゃうタチだからこそ、考えずにやりたい

「Top of the Head」はどうして1曲目に置いたの?

明確にアルバムの入り口になるものが作りたいという意思がありました。テーマがガッシリしていて、そこについてはいくらでも書けるし語れるんですけど、考えすぎてるなという感覚も自分の中にあって。“生きることへの実感”と言いながら、考えることでそこから離れていってるような気がしたので。
“Top of the Head”って、ヒップホップ用語で“完全即興”という意味で、考えて準備した台詞じゃなく、その場で思いついた言葉でラップをするということなんです。そういう生き方にすごく憧れる。考えすぎちゃうからこそ、ヤンキーに憧れるみたいな(笑)。
そういう意味で、考えたくないな、ポロっと出たもので作りたいと思っていたし、それがこのアルバムの入り口になるんじゃないかと思ったんですよね。わかって欲しいことはここにあって、それを考えてる途中でポロっと出たものは、ライトだけど純度が高いものなんじゃないかと。だから「Top of the Head」は、曲も歌詞も時間をかけずに、歌詞は1時間くらいで書きました。

考えすぎて出てくるものが今のロックバンドの歌詞なのかもしれないね。すでにあるものを洗練させていくから、どんどん実感から離れていってしまう。

なるほど。

「Top of the Head」は、衝動を止めないままに、練り込まないでやろうと。

考えずにやってやろうと。僕は考えすぎちゃうタチだからこそ、考えずにやりたいという気持ちでしたね。

自分の中の気持ち悪さを研ぎ澄ませたら、それはそれでポップなんじゃないか

7曲目「真夜中の虹」は「ラプチャー」に近いけど、この曲はどういう成り立ちなの?

昔からある曲なんです。たしか2015年の冬くらいに出来て、2016年の〈VIVA LA ROCK〉に出たときも、最初にやった曲で。自分らのかっこよさの核みたいな曲で、出来たときに4人ともかっこいいと思ったし、「これは来た!」って思ったからフェスでも1曲目にやっていたんですけど、音源にはなってなくて。それくらいかっこよさが肝にある曲ですね。

自信がある曲なのに、これまでレコーディングしてこなかったのはどうして?

このぐらい濃くて核になるもの、ゴツゴツしているものが、リスナーに受け入れられる自信がなかったんですよ。メジャー1stのタイミングでも、その前のインディーズでの作品のときにも、自信がなかった。もっとマスに届くものをやりたいという気持ちでいたので、こういう曲を入れても受け入れてもらえないと勝手に思っていたから。だから、候補にはあるけど、ずっとはずしてきた。だけど、『Hello Chaos!!!!』というアルバムですごくポップな「リバティーリバティー」という曲を作って、そのあとに『PANORAMADDICTION』を作って、だんだんポップになっていくというか……言い方が難しいんですけど、開かれていく、普遍的になっていくという流れがあって。その中で、自分の中の気持ち悪さを研ぎ澄ませたら、それはそれでポップなんじゃないかっていう考えに至るんですよね。
というのも、「フカンショウ」の歌詞ってすごく個人的なことを歌った歌詞なのに、いろんな人の人生にハマる曲になったということがあって。「フカンショウ」は本当に1年経ってすごく育った曲だと思うんですよ、みんなの曲になった。自分ひとりの曲がたくさんの人の曲になったという実感があった。だから、あんだけゴツゴツしたものがウケていくのであれば、気持ち悪いものをほじくり出してもポップになり得るんじゃないかって、一周回って自信が持てたんです。このアルバムは、ある意味、揺り戻しなんじゃないかって思ってます。

今までやってきたことを揺り戻したところに、今回のアルバムがあるという感じ?

そうですね。揺り戻してる途中という意味なんですけど、僕の中では。

だからこそ、今まで出せなかったものも出せた。

やっと出せたというイメージです。「真夜中の虹」も北九州の街の歌なので、すごくパーソナルなんですよ。シャッター街って美しい。それが自分のかっこよさの原点。東京の洗練された感じは、ちょっと嘘をついてるというか、気取って歩かなきゃいけないので、自分にとっては気持ち悪くて。僕がシャッター街をなんで好きなのかって言うと、リアルだからなんです。スーパーとかコンビニみたいなものに抵抗があって。どこに行っても同じものしか置いてないのが気持ち悪いなって思う。とはいえ、自分の家のそばの商店街も、近くに大型ショッピングセンターが出来てシャッター街になった。商店街で遊んでいた自分たちも、ショッピングセンターで遊ぶようになっていくんですが(笑)。でも、そのことに違和感があって。そこに僕自身の源流があるから、そういうことへの反発心があるんですよね。だからこそ、シャッター商店街が好きだし。

その中で「めちゃめちゃ生きてる」って叫ぶのは、大変なことだよね?

今は東京にいるけど、原点はそこにあるし、めちゃめちゃ生きようとしないと、生きられないと思うから。

このアルバムについて、メンバーはどんな感想を持っているの?

タノ(アキヒコ)は、「すごく自信ができた」と言ってましたね。タノが作った曲も入っているし、今までで一番いいのはもちろん、「集大成みたいな作品が出来た」と言ってました。

今の自分たちをしっかりと出せていると。

はい。(田村)夢希は「いいものが出来たから広めたい」という気持ちですかね。

このアルバムのツアーで広めていく。

今回のツアーは“HUMAN PARTY”と名付けているんです。人間が集まる場、各々の人間を肯定する場所を作りたいなと思ったので。アルバムと同じく、“生の肯定”から生まれたメッセージですね。

このバンドは情熱とユーモアでやりたい

アルバムタイトルの『情熱とユーモア』は?

自分の中にはずっと“情熱とユーモア”という言葉があって。一種、人生のテーマでもあり、バンドのテーマでもあったんですよ。メンバーとも「このバンドは情熱とユーモアでやりたいね」って話してた。でも、表には出ていなくて。
ツアータイトルの“HUMAN PARTY”にも通じるんですけど、『PANORAMADDICTION』を出して以降、すごく自分の想いにピュアになれたという嬉しさから、熱くやり続けることの面白さにハマって。自分が熱く出して、お客さんもそこについてくるという関係性とか、そこで起こることに面白味を感じていたんですけど、そうすることで伝わらなくなっていく部分、熱さ一辺倒ではなかなか届かないところがわかり出して、情熱だけじゃダメで、ユーモアがないと物事は伝わらないなと。それは生きていくうえでも必要なことだし、バンドを進めていくうえでも必要なことだなと思ったんですよ。
ただ、“情熱とユーモア”をアルバムタイトルにする気は全然なかったんです。だけど、タイトルに3ヵ月くらい悩んで、考え続けても出てこなくて。ある日、タノから「“情熱とユーモア”って言い続けてるんだから、それがいいんじゃない?」とポッと言われた瞬間に、「その手があったか!」と(笑)。

そこはメンバー全員一致。

そうですね、それしかないだろうと。僕が思う“ユーモア”は、ヤバいものに対する面白さ。タランティーノの映画で耳を切ったときの面白さというか、やりすぎた“ユーモア”でもありますね。
ジャケットも自分なりにこだわっていて、写真を組み合わせたコラージュなんですけど、北九州のシャッター街のモチーフも入れ込みつつ、今の東京も入っていて、自分が虚しさを感じるものがいっぱいあって、この街で俺たちは生きていくというようなジャケットになっているんです。

日本で一番正統派なロックバンド。なんだけど、正統派に見られない(笑)

『情熱とユーモア』を聴いていて、日本の過去のバンドが悩んできたことを、パノラマパナマタウンが追体験している感じがした。だから、日本のバンドの進化の過程のようなものが見えてくるアルバムだなと思った。

そうかもしれないです。今日話しながら、ロックの歴史とか、これまでのバンドがやってきたことの揺り戻しみたいなものを、このバンドで経験してるような気がします。

バンドがぶち当たる壁に、パノラマパナマタウンはいちいちぶち当たっている。だけど、それをやらないと生まれないものがある。アルバムの作り方も正攻法でやっていて、とても正統派のバンドだと思う。

自分らも、日本で一番正統派なロックバンドだと思うんですよ。なんだけど、正統派に見られない(笑)。このぐらいメンバー同士でぶつかったり、試行錯誤したり、「それはなんでだろう?」って思わないと、自分の歌詞とか表現ってできないと思うんですよね。

それは正しいけど、ある意味、ものすごく効率が悪いのかも。

あはは。

でも、そこがいい。これからも期待しています。どうも、ありがとう!

ありがとうございました。

ライブ情報

パナフェス2019

2019年2月17日(日)神戸ライブハウス3箇所(CHICKEN GEORGE / VARIT. / MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎)

1st full album “情熱とユーモア” release tour「HUMAN PARTY」

2019年3月21日(木・祝)千葉 LOOK
2019年3月28日(木)宮城 仙台MACANA
2019年3月30日(土)北海道 札幌SPIRITUAL LOUNGE
2019年4月5日(金)福岡 DRUM SON
2019年4月6日(土)広島 Cave Be
2019年4月13日(土)新潟 CLUB RIVERST
2019年4月20日(土)大阪 梅田CLUB QUATTRO
2019年4月21日(日)愛知 名古屋CLUB QUATTRO
2019年5月18日(土)東京 恵比寿LIQUIDROOM

パノラマパナマタウン

岩渕想太(vocal, guitar)、浪越康平(guitar)、タノアキヒコ(bass)、田村夢希(drums)。 2013年、神戸大学の軽音楽部で集まり、結成。2015年に〈RO69JACK〉、〈MASH FIGHT〉でグランプリを獲得。2016年3月に初の全国流通盤となる『SHINKAICHI』をリリース。2017年には2月にAge Factory、PELICAN FANCLUBとの同世代全国ツアー〈GREAT TRIANGLE TOUR 2017〉、4月にはメンバー全員の大学卒業を機に上京、活動の拠点を神戸から東京へと移し、初のワンマンツアー〈リバティー vs. リバティー〉を開催。6月に3rdミニアルバム『Hello Chaos!!!!』を発表し、キャリア最大規模のワンマンツアーを開催した。2018年1月にアルバム『PANORAMADDICTION』にてメジャーデビュー。同年6月に「$UJI」、10月に「くだらnation」のデジタルシングルを発表している。

オフィシャルサイト

< 1 2