Interview

「リスクを含めた上で付き合う」。本郷奏多、独特な思考回路で又吉直樹原作・脚本映画『凜‐りん‐』のテーマ“友情”ついて考える

「リスクを含めた上で付き合う」。本郷奏多、独特な思考回路で又吉直樹原作・脚本映画『凜‐りん‐』のテーマ“友情”ついて考える

芥川賞作家となった又吉直樹が2007年に12月に上演された舞台のために書き下ろした戯曲を原作にした映画『凜‐りん‐』。100年に一度、子供が5人消えるという神隠しの伝説が残る村を舞台にした青春ミステリーで、佐野勇斗とW主演を務める本郷奏多。季節はずれの時期に突然、東京から転校してきた少年を演じた彼に、本作のテーマである“友情”についての独特の価値観を聞いた。

取材・文 / 永堀アツオ 撮影 / 増永彩子


現在28歳の本郷奏多が演じる高校生役に違和感ナシ!「いつまでやるんだろうな~(笑)」

まず、原作と脚本が又吉直樹さんということに関してはどう感じました?

すごい才能がある方ですよね。又吉さん原作だって聞いたら、その脚本が一気に読みたくなるし、「又吉さん原作で映画の話があるけど」って言われたら、それだけで、「面白そうだな」って感じさせてしまう力がある方だなと思うくらい魅力のある方なので、又吉さんの作品に出られて嬉しいなって感じました。そのあとで、脚本を読んで、すごく不思議な話だなって思いました。先が読めないから、「なんだ? なんだ?」って思ってるうちにあっという間に読み進めることができて。すごく面白かったです。

ご自身が演じた天童という転校生の役柄はどう捉えました?

すごく難しかったです。正直、よくわからないやつなんですよね。物語をミスリードする役割でもあるので、「なんでこんな行動とってるんだろう」って思うところもあったんですけど、その都度、監督に相談して。「こういう考え方ならありえるんじゃないかな」っていうアドバイスをもらいながら進めていきました。

例えば、どんなシーン?

例えば、友達と大きくぶつかった後でも普通にみんなと一緒に行動してたりするんですよね。でも、それは、若さとも捉えることができるし、捉えどころがない人だと言われたら納得もできる。一貫した考え方がまだないっていうことなんですよね。意外といろんな感情に行ったり来たりする。だから、28歳の僕からすると、「なんだこいつ!」って思うところもあるんですけど(笑)。監督と話し合いながら1つ1つの行動や感情を組み立てていって、最後に天童とはどんな人物であるかがが描かれるので、そこに集約できればいいかなって思ってました。まだ子供だから考え方がブレるのは当たり前だし、不器用でもあるので、いろんなことを考えて、いろんな行動をしちゃうのもありかなって、割と固めずに、監督に頼りながら演じていました。

いま、年齢の話がありましたが、高校2年生役という点に関してはどう考えてましたか。観ている方としては全く違和感がありませんでしたが。

「いつまでやってるんだろうな〜」って、いつも思います(笑)。これが最後だろうなって思って、毎回、制服を着るんですけど。もう5・6回は「これが最後だろうな」と思っているので、もしかしたらまだやるかもしれないですね(笑)。でも、佐野くんが二十歳で一番若くて、僕が一番上だったんですけど、いつもだいたい、うまくグラデーションをかけてくれるんですよね。今回であれば、僕と佐野くんの間に24歳の須賀健太がいた(笑)。それで、高校生に見えるのであればいいかなって。

佐野勇斗のまっすぐなお芝居は、こなれてしまった僕と須賀健太にはできない(笑)

野田耕太を演じた事務所の後輩である佐野くんと、ナゾナゾ好きの大仏役の須賀くんの印象を教えてください。

佐野くんは初めてお会いしたんですけど、すごくいい子でした。まっすぐで若いなっていう印象ですね。いい意味でこなれてない、まっすぐなお芝居は、僕にはもうできなくなってしまったものなので、すごく羨ましいなって思う部分もありしました。

本郷さんは12歳で映画『リターナー』に出演し、14歳の時に映画『HINOKIO』で初主演を果たしてますからね。

様々なことに対してこなれてしまったなって思いますね(笑)。だから、僕は、何かを演じるにあたって、その人物になりきるっていうメンタルではなくて。こいつはこの作品でどういうことが求められてるキャラクターだろうとか、このシーンでは誰がどういう風に見えるように動くのが最善だろうっていう視点で組み立てていくんですね。

作品を俯瞰で見るようになってるんですね。

どっちが正解ということはないと思うんですけど……いや、むしろ、役者という意味ではキャラクターになりきる方が正解だと思うけど、僕は引いた視点で見て演じてしまいますね。だから、佐野くんは眩しく見えたし、いい目をしてるなって思いました。須賀健太は完全に僕と同じでこなれてます(笑)。でも、すごい高い技術力を持ってらっしゃるなって思って見てました。

須賀くんに至っては4歳で子役デビューしてますもんね。でも、あの義母に嫌われないようにわざとバカのふりをしている役柄をわざとらしくなく、自然とできるのはすごい。

そう思いますね。自分には絶対にできない役なので、やっぱりさすがだなって思うのと、経験値が多い分の技術力を使いつつも、お芝居で見せる熱いものも持ってる。いいバランスの素敵な役者さんだと思います。

さらに亀田侑樹くん、櫻井圭佑くんを加えた5人で仲間を形成していましたが、仲良くなるために何か特別なことをしましたか?

あえて何かしたっていうことはなかったです。ただ、5人でのシーンが多かったので、待ち時間に同じベンチでずっと喋ったりできたので、自然と仲良くなりましたね。しかも、僕に関しては、転校生という距離感で良かったので。

同じ場所にいてもあえて会話の輪に入って行かなかったりした?

そこは普通に会話しました(笑)。僕はカメラの外と内側は独立したものとして考えていて。作品の中の空気感を良くするために皆で仲良くしようっていうことはあまりしないタイプなんです。体調を整えるために一人で車に帰って寝たいなっていう考え方なので、別物として考えてますね。でも、今回は割とみんなと一緒にいました。

では、例えば、親友の距離感を作るためにカラオケ行こうぜ!っていう人がいるときはどうするんですか?

行きます。その人のやり方を否定したくはなくて。全体として最大多数の最大幸福を願うというか。それでその人が気持ちよくなるんだったら、断って与えてしまうストレスよりも、ついていった方が、自分として後に楽だしっていう考え方ですね。目先のことだけを考えたら、行きたくないし、休みたいけどなって思ったとしても、今後の関係性が数週間続くことまで考えたらどっちかいいかなっていうところまで考えますね。

あははは。合理的な考え方ですね。そこにご自身のストレスは?

ないんですよ。長い視点で見て最善だって、自分で考えて出してる答えだから、ストレスにはならないです。

友情は変わっていく。そういうものでいいんじゃないかなって思う。

そんな本郷さんにとって「信じられるのは友達だけだ」っていう本作のキャッチコピーに関してはどう感じました? ちなみに友達はいますか?

友達いますよ(笑)。友達と遊ぶのも楽しいです。

失礼な聴き方をしてすみません。以前、映画『闇金ウシジマくん』のインタビューの際にお金しか信じられないとおっしゃってたので。

信じられないというか、裏切らないっていうことですね。人間ってすごく難しいんですよ。他者の脳内で考えていることを100%理解することって不可能なので、どんなに親友だと思っていても、血の繋がった家族や肉親でも、相手が自分じゃない限り、コントロールすることはできないから、様々なリスクがあると思うんです。でも、物やお金は、そいつ自身に考えを持っていないから、裏切らないし、コントロールできる。ただ、友達はいます。その友達が、マックスここまで最悪な人間かもしれないっていうリスクを含めた上で付き合ってます。

マイナス部分も想定し、覚悟した上で付き合ってる。

そうです。最悪な人間かもしれないという可能性の低さ高さ、一緒にいる楽しさのバランスを考えて、一緒にいた方がいいと思えばいる。ただ、0.00001パーセントくらい、めちゃくちゃヤバいやつだった場合もあるかもしれないけど、それでも、自分が納得して付き合ってるのでしょうがないっていう感じですかね。

劇中の5人の友情はどう感じました?

若いな、青春だなって思いました。彼らはみんなまだ高校二年生で、天童は長い年月一緒にいたわけでもない。それでも、ただ、一緒にいろんなことを体験して、それぞれのキャラクターが抱えていた問題や困難を乗り越えていったことで育まれていく感情があるなんじゃないかなって思います。

本郷さん自身の青春時代はもう過ぎ去ってますか?

過ぎ去ってます! 余裕で終わってますね(笑)。僕にとっての青春はやっぱり、高校生の時かな。いつも同じメンバーで、何をするわけでもないけどずっと一緒にいて、すごく楽しかったから。物語の最後に耕太君が、「唯一変わらないものがある。それは僕たちの友情だ」って言ってますけど、それは変わるんですよ、多分…。別に耕太君も本当に一生変わらないと思って言ってないと思う。でも、そういうものでいいんじゃないかなって思います。若い時ってなんでもないことが楽しいなっていうことなんだなって思いましたね。

一方で天童は大仏に向かって「全力で正直で生きろ」と言ってました。

大仏に対して大声で言った瞬間に関しては、大仏の気持ちになって、友達に対して心から言ってあげた言葉だと思います。と、同時に、自分ができてない苛立ちから言ってる部分もあると思う。あの場面では友達が天童の写し鏡のようなになってると思います。

撮影で特に印象的だったのは?

結構ハードな撮影でした。山奥の杉の森にポツンと佇む学校で、春先だったので、めちゃめちゃ花粉が飛んでて。みんな、鼻水垂らしながら頑張ってました(笑)。

釣りをしたり、滝に飛び込んだりもしてました。

普段、しないことなので楽しかったですね。僕が魚を釣って、針を外すっていうのが台本に書いてあって。「ちょっと魚を手で触るのは怖いな。できるかな?」って思ってたんですけど、案外できたんで、自分に感動しました。「できんじゃん!」って(笑)。

あははは。そこも不思議なんですよね。極度の潔癖症なのに役になるとできるっていう。

仕事ではそんなこと言うべきじゃないので。私情を挟むべきではないし、越権行為もしたくないし、普通の人ができることは絶対にしたい。でも、バラエティーでそう言う部分がクローズアップされてしまってからはスタッフさんも気を遣ってくれるようになってしまって。「これ、大丈夫?」「いえ、大丈夫です! すみません、逆に気を遣わせてしまって」って言うやり取りが頻繁に行われるようになってて申し訳ない気持ちでいっぱいです。

(笑)。全体としては、サスペンスであり、高校生の青春ストーリーでもあって。ひとくくりにできない作品になってますよね。

そうなんですよね。だから、ひと言で「こういう作品です!」っていうPRがしずらいというか、いろんな見え方のある作品になったなと思いますね。ただ、しっかりとしたお芝居を見せられている部分もあるし、出演キャストのみなさんの演技も素晴らしいし、又吉さんの脚本も素敵だと思う。こういう映画だから、ここを楽しんでくださいとは言えないけど、それぞれが観て、何かを感じ取ってもらえるような映画になっていると思うので、ぜひ映画館に足を運んで観ていただけたら嬉しいです。

スタイリスト / 川地大介


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本郷奏多

1990年、宮城県生まれ。2002年に映画『リターナー』で俳優デビュー。その後、映画「GANTZ」シリーズ(11)「進撃の巨人」シリーズ(15)『鋼の錬金術師』(17)『いぬやしき』(18)などの話題作に次々出演。2019年は本作のほか、4月19日公開予定の『キングダム』、7月5日公開予定の『Diner ダイナー』に出演している。

オフィシャルサイト
http://official.stardust.co.jp/kanata/

フォトギャラリー

映画『凜-りん-』

2月22日(金)公開

【STORY】
「それでも誰かを信じられますか?」
僕たちの村にはある伝説があった。「100年に⼀度、村から⼦供が消える」 東京から来た転校⽣と、僕らは友達になった。くだらない事でふざけあいながら過ごす⻘ 春の⽇々。 するとある⽇、僕たちの友達が消えた。混乱する⼩さな村。伝説の存在が頭をよぎる。 そして、また⼀⼈と消えていく友達。 親友である転校⽣に向く疑いの⽬。それでも僕たちは信じたかった。⾃分たちの仲間を。 あなたは、あの⽇あの時にしか存在しなかった友情、恋愛、恐怖、 そして勇気を⽬の当たりにすることになる。 不思議な転校⽣と村の伝説、隠された仲間の秘密、 そして犯⼈は誰なのか!? 芥川賞作家・⼜吉直樹が書き下ろした衝撃の舞台が、10年の時を経て映画化!

出演:佐野勇斗 本郷奏多
須賀健太 亀田侑樹 櫻井圭佑 大沢ひかる 平 祐奈
椿鬼奴 須田邦裕 金田 哲(はんにゃ) 好井まさお(井下好井) 片桐 仁 堀部圭亮
勝村政信 石田ひかり(友情出演) 山口紗弥加
原作・脚本監修:又吉直樹
監督:池田克彦
主題歌:「ヨーロービル、朝」/ハルカミライ
挿入歌:「俺達を待っている」/ハルカミライ
製作:吉本興業
©2018 吉本興業

映画『凜-りん-』オフィシャルサイト
http://rin.official-movie.com/