Interview

「ピノとアメリ」リリース、『NARUTO』EDを歌う石崎ひゅーいに訊く

「ピノとアメリ」リリース、『NARUTO』EDを歌う石崎ひゅーいに訊く
アニメ『NARUTO─ナルト─疾風伝』のエンディングテーマ「ピノとアメリ」をシングルとしてリリースする石崎ひゅーい。彼には、出会った人を“石崎ひゅーい応援団”の一員にしてしまうような不思議な吸引力がある。彼の存在感を「出現!」と表現したクリエイティブ・ディレクターの箭内道彦をはじめ、ドラマ『みんな!エスパーだよ!』のエンディングテーマ(「夜間飛行」)に起用した映画監督の園 子温とは対バン・ライブも開催。今年5月には、彼が出演している12月公開映画『アズミ・ハルコは行方不明』の監督・松居大悟が新曲「花瓶の花」のMVと短編映画を手がけ、映画の主演である蒼井 優に加え、クリープハイプの尾崎世界観も友情出演。同曲が収録されたアルバム『花瓶の花』の特設サイトには、菅田将暉や剛力彩芽らからの絶賛コメントが届いた。アーティスト、クリエイターたちに愛され、誰もが放っておけない魅力を放っている彼は、現在の自分を取り巻く状況をどう捉えているのだろうか。

取材・文 / 永堀アツオ 撮影 / 関 信行


ちっちゃい部屋に閉じこもっているような曲ばかり歌ってないで、ちょっと外に出たらいいんじゃないの?って思っていて(笑)

 5月にリリースした2ndフル・アルバム『花瓶の花』のリード曲「花瓶の花」が様々なメディアでニュースとして取り上げられていました。世に出る順番としては逆になりますが、ひゅーいくんが出演している映画『アズミ・ハルコは行方不明』の主演女優である蒼井 優さんと松居大悟監督とのコラボレーションがMVや短編映画でも実現していて。そこでどんなことを感じていましたか?

もう一生懸命でしたね。レコード会社のみなさんには申し訳ないんですけど、これまで自分のレコードを売ろうとあんまり頑張ったことがなくて(苦笑)。けど、「花瓶の花」に対するモチベーションは最初から違っていて。「この曲は絶対に広めなくてはいけない」という思いが強かったんですよね。だから、MVはどんなものを作りたいとか、そういうところに関しても頭から携わったし。最終的にどんどん仲間が増えていきましたね。

蒼井 優さんはライブにもちょくちょくこられていて、「親衛隊だ」って公言されてますね。

あー言ってましたねー。大女優がちっちゃなライブハウスのお客さんに混じって2列目くらいで叫んでるんですよ。「それはちょっとヤバいんじゃないの?」って一応注意するんですけど、「楽しんでるんだからいいじゃない!」って怒られるんです(笑)。そういうところも面白いなって思いますね。ザキくん(尾崎世界観)もレーベルが違うのにMVにちょこっとだけ出てくれたりとかして。みんなそういう感じで集まってくれるんです。たぶん、僕が頑張ってるということに対して、「この人、普段は頑張らないんだけど、このためには頑張ってるんだな。じゃあ、私たちも僕たちも頑張らなくちゃ」って思わせたのかなと思って。そういう意味では、頑張るのっていいことなんだなって思います(笑)。だから、頑張って『花瓶の花』を売りたいんだっていう、すごくシンプルな考え方になれたのはものすごく良かったなと思っています。それで仲間も増えて、僕にとってはすごくいいことでした。

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 「花瓶の花」という楽曲に対して、そこまで「広めたい」「伝えたい」と強く思っていたのはどうしてですか?

僕がこれまでに出してきた曲は、わりとアップ・テンポなものが多かったんですけど、「花瓶の花」はいままでの中でも一番大きな曲だなと思っていたんですよね。実際、ツアー・ファイナル(石崎ひゅーいTOUR 2016「花瓶の花」)をやったときに、みんなで一緒に歌えるような広い曲というか、ポピュラリティを持った曲なんだなということを実感して。最初は「かもしれない」くらいに思っていたのが、ツアー・ファイナルにかけて、だんだん「やっぱりそうなんだ」というふうに思えて。この曲のおかげで出会えた人たちもいるし、このあともずっと自分の核みたいなものになっていくような、力のある曲だなって思いますね。

 そして、アルバムからは3ヵ月ぶりとなるニュー・シングル「ピノとアメリ」ですが、「花瓶の花」に続くピアノ・バラードになっています。アニメ『NARUTO─ナルト─疾風伝』のエンディングテーマとして書き下ろされた楽曲ということですが、バラードでというリクエストがありましたか?

いえ。そこは僕の中で、シングルでもバラードを出したいというのがあって。石崎ひゅーいというものはバラードでバンと出してという売り方をしてなかったんですけど、結構、バラードが得意なんですよ、僕(笑)。好きっていうか、自分の長所であると思っているので、バラードで勝負したいみたいなところは昔からあって。でも、なかなかそういうタイミングがなかったので、『花瓶の花』を出したときに「次もバラードにしたいね」という話はチームですでにしていたんです。そういう流れはTomi(Yo)さんも理解してくれてて。

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 作曲と編曲がデビュー前から制作を共にしているTomi Yo(トオミ・ヨウ)さん、作詞がひゅーいくんになってます。

いつも曲は僕とTomiさんと二人で作ってるんですけど、この曲はTomiさんがメロディを持ってきて、僕が歌詞を書いて歌うっていう作り方で。いままでも何曲かあるんですけど、そういう作り方をするのは久しぶりだったので新鮮でしたね。ただ、アニメのタイアップをやらしていただくのは2個目なんですけど、アニメに寄せすぎてしまったりすると良くないというのはわかっていたので、そういうバランスを考えながら作るのが結構難しかったです。でも、僕の中でテーマがひとつあって。音楽的な、シンガー・ソングライターとしての大きなテーマが今、あるんですね。

 曲や作品に対するテーマではなく、音楽家としてのテーマ、姿勢ということですよね。

そうですね。僕はずっと個人的なことを歌ってきて。それはそれでいいことなんですけど、そればっかりだと、縮こまっていってしまうような気がしていて。なんか……もうちょっと自分の視野がでっかくならないかな、と。ちっちゃい部屋に閉じこもっているような曲ばかり歌ってないで、ちょっと外に出たらいいんじゃないの?って思っていて(笑)。それが、今の僕の目標なんです。「普遍的なものを作る」っていう僕自身のテーマと、『NARUTO』の制作の方からいただいた“痛み”というワードを合わせて作れたらなって思ってました。

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パーソナルな心情を具体的に歌うのではなく、もっと広く捉えられるような楽曲をということですよね。そのうえで、アニメとも合うような世界観を作るっていう。

はい。アニメは(うずまき)ナルトと(うちは)サスケの友情や絆の話なので、二人の関係性を色濃く出してあげることができればアニメに寄り添えるかなと思ってましたし、二人や2つの世界というのを大事にすれば、広く捉えられるかなと思って。

楽曲の中の二人の関係性を友情だけに限定せず、恋愛や家族愛にも捉えられるように?

あまり括りなくいけたらいいかなというふうには思ってます。だから、ラブ・ソングといえば、ラブ・ソングですし、友情とかにも感じられたらいいなっていう感じですかね。

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