冒険Bリーグ  vol. 13

Column

下位に沈む滋賀で奮闘。ガニ・ラワルは「旅するスーパーアスリート」

下位に沈む滋賀で奮闘。ガニ・ラワルは「旅するスーパーアスリート」

『冒険Bリーグ』第13回は、滋賀レイクスターズ(以下、滋賀)のビッグマンが主人公。ガニ・ラワルは最下位に沈むチームでプレーしつつ、リバウンドと得点でB1屈指のスタッツを残している。超人的な運動能力を武器に、2月9日のアルバルク東京(以下、A東京)戦で1試合6ダンクも記録した。今回はそんな「旅するスーパーアスリート」を皆さんに紹介しよう。

ガニ・ラワルは典型的な「ジャーニーマン」だ。アメリカで育った彼は2010年にNBAフェニックス・サンズからドラフト2巡目(46位)で指名され、NBAでのプレー経験も持っている。その後はポーランド、中国、フランス、イタリア、ラトビア、トルコ、アラブ首長国連邦、ギリシャ、イラン、アルゼンチン、ドミニカ共和国と世界中のリーグを転々。まだ30歳とキャリアの半ばだが、日本は13ヵ国目の仕事場だ。2018-19シーズンからB1の滋賀でプレーしている。

滋賀は現在8勝32敗でB1リーグの最下位に沈んでいる。ただデータを見れば分かるように、ラワルは間違いなくこのリーグのトッププレイヤーだ。1試合平均のリバウンドは「12.3」で、20試合出場している選手の中ではB1のトップ。平均得点も「20.9」で7位につけている。

206センチ・106キロの体格は、外国籍選手だと中型。しかも彼は現代バスケだと珍しい3ポイントシュートをほとんど打たない「純インサイドプレイヤー」だ。一方でラワルは跳躍力に優れ、位置取りや身体の使い方、駆け引きも抜群。自分より大きい選手と対峙してもゴール下を支配、制圧できるのがこの男の頼もしさだ。

滋賀は2月9日、10日に、昨季のBリーグ王者のA東京と対戦した。ラワルがマッチアップしたアレックス・カークは213センチと長身で、やはりスピードや跳躍力にも恵まれたアスリート。しかし彼はそんな相手に対しても互角以上のプレーを見せていた。カークはシュートブロックの名手だが、ラワルは相手の動きを見極めて逆を取るボクサーのようなムーブを使って、マークを巧みに外していた。

数字を挙げると9日は33得点14リバウンド、10日も19得点18リバウンドを記録している。加えて9日の試合は1試合6ダンクも記録。これは3シーズン目のB1でも4人目となる最多タイの本数だ。

【滋賀レイクスターズ|ガニ・ラワル ダンク集】

熟練のインサイドプレイヤーはこう強調する。
「自分のエリアでは相手を負かすというところが自分の仕事。ハイエナジーなプレーを続けること、一貫してプレーすること、走り続けることにフォーカスしている」

残留争いに巻き込まれるチームについては、“自信”の重要性を強調していた。
「自信は試合の結果、パフォーマンスのほとんどすべて、90%を占める。どういった状況でも、自信をもってプレーすることが重要だと思っている」

守備面を見ると、滋賀は悪くない戦いをしている。9日、10日は連敗こそしたが、10日は失点を「70」に抑えた。ラワルはそんなチーム状況についてこう述べる。

「少しアジャストするところはあるけれど、守備はソリッドだし良いと思う。特にここ10試合ほどは良くなっている。あとは攻撃で焦らずに落ち着いてしっかりチャンスをものにすることが大事。チームとして何があろうともシーズンをしっかりと力強く戦い抜くことが重要だと思う」

数ヵ月単位でクラブや国を移動して来た旅するビッグマンは、日本をエンジョイしている様子だ。

「とてもいい印象を持っているし、次の12年間もここでプレーしたいと思っている。このリーグはとてもプロフェッショナルだし、日本食も大好きでいろいろ試している」

なぜ12年なのかよく分からないが、彼は真顔で「Twelve years」と口にしていた。好きな日本食を尋ねると「ご飯と一緒に食べる……、いろんなコンビネーションが……」と語り始め、しばらくして「COCO壱番屋」という固有名詞を思い出していた。京都の「スパイシーホットヌードルの店」もお気に入りで、夫婦でよく足を運んでいるという。

滋賀は2月に入って陣容のテコ入れを図り、外国籍選手を二人放出している。ラワルはチーム再建の軸として、今まで以上に重要な役割を果たすことになるだろう。

チームの結果がどうあろうと、自分の仕事はしっかり全うして結果を出す。どんなときも自信を失わずに力強く戦い続ける――。言葉にすれば簡単だが、それは彼が国やリーグを転々とする中で高いパフォーマンスレベルを保ち、必要とされ続けている理由なのだろう。ラワルのような渋くて経験豊富なプロフェッショナルが、社交辞令でなく本当にこの国へ根を下ろしてくれたらうれしい。

取材・文 / 大島和人 写真提供 / B.LEAGUE

B.LEAGUE(Bリーグ)オフィシャルサイト
https://www.bleague.jp/

著者プロフィール:大島和人

1976年に神奈川県で出生し、育ちは埼玉。現在は東京都町田市に在住する。大学在学中にテレビ局の海外スポーツのリサーチャーとして報道の現場に足を踏み入れ、アメリカの四大スポーツに接していた。損害保険会社、調査会社などの勤務を経て、2010年から「球技ライター」として取材活動を開始。バスケの取材は2014年からと新参だが、試合はもちろんリーグの運営、クラブ経営といったディープな取材から、ファン目線のライトなネタまで、幅広い取材活動を行っている。

vol.12
vol.13
vol.14