LIVE SHUTTLE  vol. 55

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Every Little Thing 20th Anniversary LIVE “THE PREMIUM NIGHT“ ARIGATO @国立代々木競技場第二体育館 2016.8.7

Every Little Thing 20th Anniversary LIVE “THE PREMIUM NIGHT“ ARIGATO @国立代々木競技場第二体育館 2016.8.7

8月7日、午後5時。国立競技場第二体育館には、あのホイップクリームのようにクルンととんがった屋根の天窓から、明るい光が差し込んでいた。思った以上にすり鉢状の席。床板がカラフルなパネルになっているステージの左には猫、右には木の書き割り。万国旗のように小さな旗がたくさんつるされているのが、垢抜けない昔の遊園地のようで、ほっこりする。今日の主役ふたりのキャラにも通じる無駄にデコラティブでない空間。それを共有するうちに、会場の親密さが増していったような気がした。Every Little Thing 20th Anniversary LIVE “THE PREMIUM NIGHT” ARIGATO。公演2日目のこの日は、ドンピシャのデビュー記念日だ。
まず登場したのは、12名ほどのストリングス奏者と指揮者だった。静かに演奏が始まると、白いベールをかぶったシスターのようないでたちの持田が下手からゆっくりと現れ、クラシック会場のような拍手。持田はヘッドセットでおもむろにポエムを朗読し始めた。手元のセットリストには「恋文」とあったが、実際は「恋文」の続きの夏物語に思える内容だったと思う。「日々を抱きしめてゆくのだ」という持田の声が、やけに耳に残った。

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気づけば、5名の豪華なブラス・セクションも含めてサポート陣もスタンバイ完了。ランダムに置かれたコロコロのフロア・ライトがやらかな光をを放つなか、持田がベールをとると、伊藤は白いジャケットに真っ赤なギターを下げて上手から悠々と登場。ミディアム・スローの名曲「Over and Over」が始まった。言葉一つひとつを噛みしめるように歌う持田。ブラス・アレンジでビートルズ風のドラマチックさが加わり、素敵だった。手拍子が起こり、伊藤の艶やかなソロが炸裂した「まさかのTelepathy」。「キラメキアワー」では、左右に揺れて踊るバンドにつられて観客はみな笑顔になった。

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ここで伊藤は、「(僕がしゃべるのが)早いでしょ?」とちょっと照れつつ、珍しくマイクを握った。20年続けられていることの喜びと感謝を語り、「まだまだ青二才ですが、キャリアにあぐらをかくことなく頑張りたい」と、今後への決意表明も。その語り口にクスクス笑いが起こるなか、白いフワッとしたワンピースに着替えた持田が戻ってきて、何事もなかったようにライブを進行するのがまた可笑しい。息が合ってるのか合ってないのか。このふたりのいつものちぐはぐとしたノリが、長年のファンにはたまらないのだ。

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カントリー・サウンドで新境地を開いた「ハリネズミの恋」からは、しばしアンプラグド。フロア・ライトがリズムに合わせてカラフルに光り、フィドル・ソロに心が弾んだ。続いて、持田もアコギを抱えて、「country road」。「一朗さんが作った曲。いい曲ですよね」という持田の言葉に伊藤はうれしくなったのか、再びマイクを握り、「この曲はポップスのABCにこだわらないで作ったので、そりゃシングルでは売れねーなと(笑)」と、制作秘話を披露した。たしかにELTのイメージにはないファンキーかつブルージィな曲。ELTのライブには多数足を運んできたはずだが、この曲を聴くのはこの日が初めてだった。毎度思うが、伊藤はアコギも達人。歌の合間に入るちょっとしたフレーズも、実はテクニックがなければできないワザだなと、手元に目が釘づけとなった。
次もまた珍しい「今でも・・・あなたが好きだから」。伊藤がELTに加入する前、五十嵐充から聴かされたデモテープの最初に入っていた曲だという。これまでも伊藤は毎回のようにライブの候補曲として挙げていたそうだが、持田は「またまた冗談言っちゃって(笑)」となかなかとりあわなかったのだとか。「イケイケのエイベックスにしては、やけに昭和歌謡の匂い。なんか純喫茶の感じなんですよ」という伊藤の言葉を受けて、「じゃあ、純喫茶風に」と、まるでエプロンをつけるかのように花柄のワンピースをスルッと着た持田。ポップスの王道を爽やかに、そして、転調の激しい難曲「キヲク」をひときわドラマチックに聴かせてくれた。

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スクリーンにELTの歩みを遡る映像が流れ、1996.8.7という数字が現れると、会場は堰を切ったようにお祭りムードとなった。そこに、赤いブラウスにメタリックなミニ・スカート姿の持田が、力強く拳を上げて再登場。「90年代、ありがとう! エイベックスありがとう! 松浦さんありがとう! いい曲書いてくれた五十嵐さん、今日まで応援してくれたみなさん、どうもありがとう!」とひと叫び。そして、「ホントにいい大人がね、ごめんなさいね。でも、これがないと始まらないんですよね」と、しばしオバチャン口調で前置きしたあと、いつものあれ。「アホになる気はあんのか、おまえらー!」と、超男前の声を張り上げて、デビュー曲「Feel My Heart」になだれこんだ。派手なライトが光るなか、観客も一斉に手を前に振り上げて声を合わせる。「Dear My Friend」、「Shape Of Love」と、音にもあのバブリーな時代が甦り、みんな持田と一緒に定番のフリをめいっぱい楽しんだ。

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その熱を逃すものかと、ブラス・セクションをしたがえてセンターに躍り出た伊藤。プログレ感も漂うヘヴィなインスト「SWEET EMERGENCY」で、これでもかとギターを弾きたおし始めた。トランペットとのソロ・バトルも最高。巧さでも、センスでも、さらに音楽的蓄積が豊富という意味でも、本当にスケールの大きいギタリストだと思う。その技量を、伊藤は大好きなポップスにギュッと凝縮して落としこんでいる。続く「ANATA TO」もそう。持田の声の魅力が際立つこういうスウェディッシュ・ポップ的な曲は、それこそ90年代のELTでは考えられなかった。が、今やELTならではの味。持ち味の探求をしながら、じわじわと進化してきたんだなと感動しつつ、持田自身の作詞、作曲でひとつのターニング・ポイントとなった「jump」にしみじみと聴き入った。
20周年を祝う巨大ケーキが登場し、記念写真撮影をするなど、しばし会場とお祝い気分を分け合ったあとは、新曲「ブルースター」。これがまたフィリー・ソウル系のお洒落な曲。ELTの進化の現在進行形に驚かされた。「みなさんと歌いたい曲があります。たぶん歌えるんじゃないかな。♪トゥートゥルトゥットゥットゥ」と、持田がさりげなくアカペラで歌うと、会場は「オーッ!」と沸いて「スイミー」に。たしか10周年記念のシングルだったなと、聴きながら思い出す。あれからさらに10年かと、しばし感慨にふけった。

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「ELTでいさせてもらえる環境を守り続けてくれて、ありがとうございました」と、あらためて心から感謝を述べる持田。何度も何度も拍手の波が、ステージのふたりを包みこんだ。本編ラストは「Time goes by」。新曲、10年前の曲という流れで聴くと、またなんとも味わい深い。真摯に歌い、弾くふたりの姿は、いつも通りだ。何一つ無駄にはしゃぐことなく、日々の営みのひとつとして音楽がある。そんなふたりの佇まいに、続けていくこととは? の、答えを見た気がした。
アンコール、ひとりポツンと出てきた持田は、「ひとりで弾きます」とギターを抱えた。ちゃんと練習してELTの曲の弾き語りに挑戦したかったのだという。「アラニスに憧れてギターを買ったわりにはFで挫折。一朗さんに聞いても、そういうのは独学でやるんだよと言われ、20年経っちゃいました(苦笑)。図々しいですが、失礼します」と言って、「ソラアイ」を披露した。といっても、練習の成果がこの日は思うように出てくれず、「あれ、どうして? もう一度やらしてください」と焦る場面が何回か。耳を傾けたいという気持ちが全然萎えなかったのは、「ごめんね」と言いながら、諦めずに目標を完遂しようとする姿に、ちゃんと持田の音楽が見えていたからだ。
最後は「限りある過ぎゆく季節の中で 君が負けないように今日も 私は歌ってゆく」という「旅旅」に涙。「出逢った頃のように」で「季節が変わってもホントに色褪せないね」とふたりにつぶやきながら、改修前はこれが最後かもしれないなと、夕闇の降りた「第二」の天窓を見上げた。「日々を抱きしめてゆくのだ」という朗読の言葉が、せつなく、たくましく、胸に甦った。

取材・文 / 藤井美保 撮影 / 田中聖太郎

Every Little Thing 20th Anniversary LIVE “THE PREMIUM NIGHT” ARIGATO @国立代々木競技場第二体育館 2016.8.7 セットリスト

01.Over and Over
02.まさかのTelepathy
03.キラメキアワー
04.ハリネズミの恋
05.country road
06.今でも…あなたが好きだから
07.キヲク
08.Feel My Heart
09.Dear My Friend
10.Shapes Of Love
11.SWEET EMERGENCY(Instrumental)
12.ANATA TO
13.jump
14.ブルースター
15.スイミー
16.Time goes by
EC01.ソラアイ
EC02.旅旅
EC03.出逢った頃のように

リリース情報

ELT_KIRA_cd_dvdJK

『KIRA KIRA / AKARI』(CDシングル+DVD)

AVCD-83389/B ¥2,000+税

【収録曲】
01.KIRA KIRA
「Go!プリンセスプリキュア Go!Go!!豪華3本立て!!!パンプキン王国のたからもの」 主題歌
02.AKARI 「ホシザキ」CMソング
03.KIRA KIRA(instrumental)
04.AKARI(instrumental)
【DVD収録内容】
01.KIRA KIRA Music Video
「Go!プリンセスプリキュア Go!Go!!豪華3本立て!!!パンプキン王国のたからもの」 主題歌
「KIRA KIRA / AKARI」

ELT_KIRA_cdJK

『KIRA KIRA / AKARI』(CDシングル)

AVCD-83390 ¥1,200+税

Disc 1
01.KIRA KIRA
「Go!プリンセスプリキュア Go!Go!!豪華3本立て!!!パンプキン王国のたからもの」 主題歌
02.AKARI 「ホシザキ」CMソング
03.KIRA KIRA(instrumental)
04.AKARI(instrumental)


ELT_TabitabiJK

Album『Tabitabi』

AVCD-93229 ¥3,000+税

【収録曲】
01.MY LIFE
02.ANATA TO
03.さよなら
04.Everything
05.レインボー
06.いいかえれば
07.Phone jamming (Instrumental)
08.Little Dancer
09.Best Boyfriend
10.このは
11.下町
12.旅旅

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