Weekly モバイルエンタメステーション  vol. 26

Column

75歳の老婦人、BLに目覚める! 「このマンガがすごい!2019」オンナ編第1位『メタモルフォーゼの縁側』は男子が読んでも面白い

75歳の老婦人、BLに目覚める! 「このマンガがすごい!2019」オンナ編第1位『メタモルフォーゼの縁側』は男子が読んでも面白い

映画、漫画、アニメ、音楽のオススメを毎週紹介していく「Weeklyモバイルエンタメステーション」。連載26回目は、電子書籍(漫画)3作品を紹介する。

BLに目覚めた老“腐”人と腐女子のキズナに癒される『メタモルフォーゼの縁側』。ポップでキュートな剣豪女子が婚活に復讐と大忙しな『別式』。一途で優しい鬼・プリン(男子)と理詰めで超面倒くさい金剛寺(女子)の恋愛を描いた『金剛寺さんは面倒臭い』。どれも、斬新な設定などが魅力的な今注目の作品ばかりだ。

気になった方は、ぜひダウンロードして読んでみてほしい。

セレクト・文 / エンタメステーション編集部

メタモルフォーゼの縁側/鶴谷香央理

BLがつなぐ尊い友情。半世紀以上の年齢差を超えて……

75歳の老婦人、市野井雪(いちのい・ゆき)がたまたま立ち寄った書店で、たまたま手に取った1冊はなんとBL(ボーイズラブ)。その世界に引き込まれた雪は、続きを求めて書店員のバイトをする17歳の高校生、佐山うらら(さやま・うらら)と親しくなっていきます。丁寧な暮らしを送る老婦人と、非コミュ気味な女子高生との間の、半世紀以上の年の差がある「友情」。その交流を中心に、うららの戸惑いながらの成長、雪に静かに近づく死の気配、そして彼女たちを取り巻く人々の姿が穏やかに暖かく描かれます。

偶然の出会いによって、少しずつ深まっていく雪とうららの交流がとにかく、もう、「尊い」の一言に尽きます! 良きものへのときめきは、ジェネレーションギャップを超える。うららの不器用だけどまっすぐな、そしてまっすぐだからこそぎこちない気づかいと戸惑い、雪の上品で芯の強い性格ゆえのブレなさ、すべてが愛おしい。読みながら心が優しさに満たされていくのを感じます。

階段を昇り降りする時の足首、ふとした時に腰に手をやる姿、三年前に死別した夫の遺影など、雪の世界には確実に「老い」があり、しっかりしているのと同時に、うららとはまた違ったフラジャイルなところが伺えます。うららも、単に不器用に生きているのではなく、幼なじみの紡(つむぎ)やその彼女の英莉たち同世代の関係、別居している両親との関係の中で懸命に生きている。雪とうらら、それぞれがそれぞれなりに真摯に日々の暮らしを生きていて、そのふたりの世界が幸せに結びつく様子は奇跡としか言いようがありません。

漫画『メタモルフォーゼの縁側』

1〜2巻
著:鶴谷香央理 出版社:KADOKAWA/角川書店

ふと立ち寄った書店で老婦人が手にしたのは1冊のBLコミックス。75歳にしてBLを知った老婦人と書店員の女子高生が織りなすのは穏やかで優しい、しかし心がさざめく日々でした。『このマンガがすごい!2019』(宝島社)にて、オンナ編第1位に輝く注目作!

©鶴谷香央理/KADOKAWA


別式/TAGRO

鬼才が描く、ポップでキュートでエモくて切ない新感覚時代劇

『変ゼミ』や『宇宙賃貸サルガッ荘』などの作者が描く、江戸を舞台にした新感覚時代劇。「別式」と呼ばれる女性剣士たちが、婚活のため、親の仇を討つため、仲間の無念を晴らすために剣をとるという物語です。類は、古河藩武芸指南役の娘でありながら自分より強い男以外は婿にしないと決めているため、お家断絶の危機に瀕していました。

類の婚活を軸にしたポップでキュートな剣客アクション? かと思いきや、鬼才TAGRO先生、そんな甘い展開を許しません。類はひょんなことから切鵺(りや)というキャラクターと知り合います。切鵺は少女の姿をしていますが、女性を愛せない男性。切鵺は幼い頃に母親を目の前で犯され、父親をその狐目の男「源内」に殺されていたのです。

源内をともに追うことになる類と切鵺ですが、何故か本作の冒頭で、このふたりが戦う場面が描かれています。どんな運命のいたずらが、ふたりをそんな悲しい殺し合いに導くのでしょうか。完成された漫画力とストーリーテリングに定評のある作者ならではの、濃く深みのあるキャラ造形と切なすぎる悲劇の積み重ね。優しくほがらかなエピソードで類や切鵺の前に現れては、苦い去り方をしていく仲間たちが、やがて訪れるふたりの決闘へと運命を推し進めていきます。エモい、つらい、かわいい、カッコいい、あらゆる感情を掻き立てられる本作、類と切鵺はどうなってしまうのか、そして錯綜する仲間たちと源内の想いはどう決着するのでしょうか。目が離せません。

漫画『別式』

1~4巻
著:TAGRO 出版社:講談社

江戸時代、武芸で身を立てていた女性剣士「別式(べつしき)」。江戸に道場を開く別式の佐々木類(ささき・るい)は、今まさに、婿探しの真っただ中にあった! 「自分より弱い男に家督を継がせるわけにはいかない」「ただしイケメンに限る!」と理想を高く掲げ、苛烈なる婿探しは続く。個性豊かな別式仲間との出会い、婚活、合コン、コミケに出没、そして別れ。お江戸ガールズコメディ、堂々開幕!!

©TAGRO/講談社


金剛寺さんは面倒臭い/とよ田みのる

話が長い真面目で文武両道な彼女が面倒臭くてかわいすぎる!

地獄と日本国が直結してしまった世界で、文武両道で品行方正きわまりない先輩こと金剛寺金剛(こんごうじ・こんごう)に恋してしまった樺山プリン(かばやま・ぷりん)、プリンのひたむきさにほだされた金剛はプリンの求愛にこたえ、ふたりは付き合いはじめることになるのですが……。もう、金剛の面倒くささ、すごいです。

タイトルの通りだとか、女の子なのにすごい名前になってるだけある、とかそういう次元じゃない。ひとたびスイッチが入ればまるでスゴロクのように「START!」って書いてないとどこから話し始めたのかわからないくらい長くかつ論理的な語りが始まってしまう。それも単なるウンチクであるというだけなら聞き流せるけど、金剛の場合はいちいち常識に疑問を抱き、それを批判するので根が深い。

金剛も金剛で面倒くさいのですが、彼女に恋してしまうだけあってプリンの方も大概。そもそも地獄からやってきた鬼であるというだけでもクセ者感がすごいのに、金剛の並外れた品行方正さ、感情よりも正義で動く姿に感動し、持ち前の体力と底抜けの優しさでまっすぐにアタックする。このド直球が面倒くささを覆し、傍目には変人なふたりが恋を成就、そして必死にそれを守っていく物語です。

作品がハッピーエンドになることは作中でなぜか力強く断言されてたり、地獄に金剛が攫われてしまってふたりが地獄を彷徨う場面と、ふたりがデートで動物園でイチャイチャする様子が背景を変えて交互に表現されたり、千兆回も輪廻転生を繰り返した果てに地獄に鬼として生まれ落ちたプリンの転生の日々を黒背景で下段に、地獄から逃げ出して人間界で暮らすようになったプリンの日々を白背景で上段に、それぞれ並べて描くなど、実験小説『トリストラム・シャンディ』をちょっと思い出してしまう工夫もあちこちに仕込まれています。

漫画『金剛寺さんは面倒臭い』

1~3巻
著:とよ田みのる 出版社:小学館

口を開けば正論!正論!正論!
金剛寺さんはいつも正しい!
おまけに学業優秀&柔道の名手!
隙などまったくない彼女に、
樺山くんは……よりによって恋をした!
彼の運命やいかに!?

ちなみに本編とは大きく関わりのないことだがッ!!
この世界は地獄と繋がっているッ!!

『ラブロマ』『友達100人できるかな』『タケヲちゃん物怪録』の
とよ田みのるが贈るロジカルピュアラブストーリー!!
『このマンガがすごい!2019』(宝島社)オトコ編第2位!

©とよ田みのる/小学館


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