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橋本祥平や伊万里 有らが、ガンダムに演劇で立ち向かう。舞台『機動戦士ガンダム00 -破壊による再生-Re:Build』開幕。

橋本祥平や伊万里 有らが、ガンダムに演劇で立ち向かう。舞台『機動戦士ガンダム00 -破壊による再生-Re:Build』開幕。

舞台『機動戦士ガンダム00 -破壊による再生-Re:Build』が2月15日(金)、東京・日本青年館ホールにて公演初日を迎えた。
アニメ『機動戦士ダンダム』シリーズの中でも人気の高い『機動戦士ガンダム00』を初舞台化! 舞台ならではの手法でガンダム戦を再現。世界観とキャラクターの心情をステージに描き出す。刹那・F・セイエイ 役の橋本祥平、ロックオン・ストラトス 役の伊万里 有、アレルヤ・ハプティズム 役の鮎川太陽、ティエリア・アーデ 役の永田聖一朗、グラハム・エーカー 役の前山剛久、リボンズ・アルマーク 役の赤澤 燈、アリー・アル・サーシェス 役の窪寺 昭が登壇した初日挨拶の模様と、ゲネプロでの熱演をレポートする。

取材・文・撮影(初日挨拶)/ 片桐ユウ

僕らが一番『ガンダム00』について考えて熱く語って立ち向かい、戦い続けてきました

『機動戦士ガンダム』は1979年に放送開始以来、そのリアルな戦争描写や緻密な科学考証、複雑に織りなす深い人間ドラマが話題を呼び、一大ブームを巻き起こした作品。
以降、TVアニメーション20作品という歴史を重ね、劇場作品やOVAなどを合わせ全63作品が制作されており、今なお根強い支持を得ているシリーズである。

舞台化は今作が初めて。2019年4月に40周年を迎えることを記念した「機動戦士ガンダム40周年プロジェクト」の一環として行われる、ガンダムシリーズ初の試みだ。
原作は2007年10月~2008年3月にファーストシーズンが放送された『機動戦士ガンダム00』。アニメーション監督・水島精二が監修を務め、松崎史也が演出・脚本を担当している。

ゲネプロ前にステージ上で行われた初日挨拶には、刹那・F・セイエイ 役の橋本祥平、ロックオン・ストラトス 役の伊万里 有、アレルヤ・ハプティズム 役の鮎川太陽、ティエリア・アーデ 役の永田聖一朗、グラハム・エーカー 役の前山剛久、リボンズ・アルマーク 役の赤澤 燈、アリー・アル・サーシェス 役の窪寺 昭が登壇。
“ガンダム初舞台化”を知ったときの驚きや、演じるキャラクターについて。そして本作への意気込みをそれぞれが熱く語った。

刹那・F・セイエイ 役の橋本祥平は「刹那は幼い頃、洗脳されて少年兵として生きてきた壮絶な過去を持っています。窮地でガンダムに救われたことをキッカケにソレスタルビーイングに入りますが、人との接し方に慣れていない部分がある。ですがその後に起こる様々な事柄を通して成長していく役どころです」とキャラクターの背景を紹介。続けて「ガンダムを舞台化する、と誰が思っていたでしょうか?」と周りを見回し、「僕も“まさか”という印象を持っていたのですが、舞台上でガンダムもできるのだ、という表現の幅が広がったことが嬉しくもあり、演劇の可能性は無限大だとさらに強く感じることができました」と、今作への自信を覗かせる。

そして「この稽古期間中は間違いなく僕らが一番『ガンダム00』について考えて熱く語って立ち向かい、戦い続けてきました。その努力の結晶を見届けていただきたいと思います。僕らはプレッシャーを与え続けます! なので皆さんもぜひ、覚悟して見ていただけたらと思います」と、強い決意を語った。

ロックオン・ストラトス 役の伊万里 有は「明るくてガンダムマイスターの中ではお兄ちゃん的存在。ですが過去にはテロリストによって家族を失う悲しい出来事を持っている。僕も稽古場では明るく振る舞っていましたが、家に帰ってから悩みに悩んで、夢にもガンダムが出てくるくらい、24時間ガンダム体制でした(苦笑)。そのぶん、自分が成長できた役になったのではないかと思います」と明かし、「アンサンブルのメンバーが本当に頑張っている。彼らなくしては成り立たない舞台です。彼らの奮闘もしっかり見ていただけたら嬉しいです」と、カンパニーの絆について言及した。

アレルヤ・ハプティズム 役の鮎川太陽は「アレルヤ、ハレルヤという二面性を持った人物です。アニメ同様、キャラクターの良いところが舞台でも出せると思います。今回の舞台化に関しては、ご覧になる方々“どうなんだろう?”と思っていらっしゃると思います。新しいものにチャレンジすることに僕たちも最初は期待と不安がありました。でも昨日の夜中まで、橋本くんを中心にみんなで“ああしていこう、こうしていこう”と話し合っていて。ゼロをイチにするのは本当に大変なことですが、全力で稽古をしてきましたので、それをお届けできたらと思います!」と熱い意気込みを見せた。

ティエリア・アーデ 役の永田聖一朗は「クールでプライドが高くて完璧主義の人間。でも何かに依存していないと怖いと思う、精神的に未熟な面もあり、そこが自分とは共通しているなと感じています。舞台上でティエリアの成長を等身大に演じていけたらと思います」と微笑み。

リボンズ・アルマーク 役の赤澤 燈は「演劇でガンダムを作品にすることによって、新しいリボンズ・アルマークが見えるのではないかと思っています。座長の橋本祥平がグループLINEで“ガンダムという作品に、演劇の力で武力介入しましょう”とコメントしていて。そのときはスベっていたのですが(笑)、本当にそのとおりだと思っています。“ガンダム”という強い4文字に立ち向かうには“演劇”という4文字しかない。この4文字でガンダムに立ち向かいたいなと思っています」と宣言して、周囲から「座長より良いこと言っていない?」とツッコまれていた。

グラハム・エーカー 役の前山剛久は「僕自身『ガンダム00』が大好きで、親友の俳優と一緒に観ていたことを思い出します。グラハム・エーカーは名言オンパレードのキャラクターなので、楽しく演じさせていただいています。僕も“愛”がモットーなので、ガンダムに対する愛を語るグラハムにはシンパシーも感じています。仕事も共演者も、この作品が舞台化していること自体も“愛”がなくては実現しなかったこと。その“愛”に感謝して本作に臨みたいなと思っております。この作品で伝えたいことは“相互理解”だと思いますので、人間ドラマを大切にして“愛”を掲げて頑張りたいです」と、“愛”たっぷりに語った。

アリー・アル・サーシェス 役の窪寺 昭は「アリー・アル・サーシェスはシリーズ史上、類を見ないほどの残忍な男だと思っています。ただ文明が発達していくなかで原始的な部分を唯一貫いていく男として見ていただけると、少しは同情していただけるのかなと。ガンダムシリーズは小学生の頃から大好きで、プラモデルを作って育ってきた人間です。ただ、知らない人から見ると“ロボットがカッコいいから好きなんでしょ”と言われがちですが、大概は人間ドラマや物語に入り込んでから、モビルスーツに行くもの。今回の舞台化ではドラマにフィーチャーして勝負できることをありがたく思っておりますし、ガンダムに出たかったので夢のような舞台です。先程もありましたが、アンサンブルの子たちが重要な役割を果たしております。カンパニー一丸となってやっている舞台をぜひ認めていただければと思います」とコメント。

それぞれが世代やガンダムファンの目線から、本作にかける想いと愛を語ってくれた。
このあとはゲネプロの模様をレポートする。

生身の役者たちが命を預け合って奮闘する熱を間近で感じる

冒頭は、西暦2302年のクルジス共和国での紛争シーン。刹那・F・セイエイ(橋本祥平)のモノローグによって、「戦争とは何か?」を突き付けられる始まりだ。

「ガンダムたちによる“モビルスーツ戦(ロボット対戦)”をどうやってステージ上で再現するのか?」ということが舞台化発表当初から話題を集めていたが、それ以前に「これは正義を問いかける物語である」のだと伝わってくる。

『機動戦士ガンダム00』は、『機動戦士ガンダム』シリーズの中では初めて西暦を採用して、現実世界から300年後の世界を想定して作られた作品。
化石燃料の枯渇によってエネルギー危機を迎えた人類はそれに代わるエネルギー源として、宇宙空間での太陽光発電を実用化し、軌道エネルギーを使って地上に供給するシステムを稼働させていた。
だが、このシステムの恩恵を受けていたのは超大国の「ユニオン」「AEU」「人類革新連盟」のみ。この三大国家群が軍事開発競争による冷戦状態を継続する一方、そこに属さない小国は貧困による紛争、内戦に苦しんでいる……。

約10年前に制作された原作アニメが踏まえた情勢と、世界の現状がほぼ変わっていないことへの失望は脇に置くとして、この非常にリアルかつ、複雑とも見える設定を最低限の説明だけでわかりやすく伝えてくれる脚本・演出の整備力にまず驚く。

原作アニメ未見の観客も取り残されるようなことはないだろう。来場者には「イオリア・シュヘンベルグから皆様へ」と題した解説書も配布されるため、事前に目を通しておけばよりストレスなく舞台に入り込むことができる。

終わりのない戦いが続く世界に現れたのが、“武力による戦争根絶”を掲げる私設武装組織「ソレスタルビーイング」。彼らはモビルスーツ「ガンダム」を用い、すべての戦争行為に対して武力介入を開始する……。

ここから注目のモビルスーツ戦が繰り広げられる。舞台演出ではパイロットを演じるキャストが搭乗したコックピットを模した装置が、アンサンブルの手によってステージ上を駆け巡る。バトルシーンはプロジェクションマッピングによる映像ではなく照明を駆使。パイロットたちは時に操縦席から立ち上がり、武器を手にする。

ロボット戦の俯瞰図、コックピット部分を透明化して見ているよう、と言えばいいだろうか。攻撃の反動や衝撃を食らうパイロットたちのリアクションにも生々しさがあり、モビルスーツの枠を超えてパイロットたちが接近し睨み合う場面は、まさしく舞台ならではの緊迫感に満ちている。

このぶつかり合いの中、「俺が、俺たちが、ガンダムだ!」「抱きしめたいなぁ、ガンダム!」といった名台詞が飛び出す。実に高揚感のある演出だ。

壮大なテーマのもと、刹那を始めとするガンダムマイスター=ソレスタルビーイング内のガンダム搭乗者たちをはじめとするパイロットたちの葛藤や成長もフォーカスされ、クライマックスまで絡み合っていく。

アニメを通して見たことがなくとも、名台詞やキャラクターを知っている、という人も多い人気原作だが、俳優陣はそのプレッシャーを押し返す熱演を見せている。

新しい表現方法によって『ガンダム00』の世界を舞台上に映し出すためには、キャラクターからはみ出さないようにただコピーするだけでは、太刀打ちできない。
刹那・F・セイエイを演じる橋本祥平をはじめ、伊万里 有(ロックオン・ストラトス 役)、鮎川太陽(アレルヤ・ハプティズム 役)、永田聖一朗(ティエリア・アーデ 役)、2.5次元舞台を中心に活躍する彼らは、そのあたりのバランス感に長けている。
それぞれが慎重に模索したうえで、キャラクターの過去、それによって芽生えた信念を自身に取り込んでいることが、迫真の演技から伝わってきた。

ガンダムに対峙するポジションでありながら、同時に限りない愛を寄せるグラハム・エーカー 役の前山剛久や、コミカルなポジションで場を和ませるパトリック・コーラサワー 役の瀬戸祐介、稀代の悪を体現するアリー・アル・サーシェス 役の窪寺 昭、すべてを後ろで操るリボンズ・アルマーク 役の赤澤 燈らも、テンションマックスで真っ向から役を受け止めている。
各自がそれぞれのポジションをしっかり務め上げることで、壮大な物語を高くしっかりと積み上げていくチーム力を見た気がした。

初日挨拶で言及されていたアンサンブルの活躍も同じ。「モビルスーツ」の機動力となる彼らと、そこに自らを預けるキャストたちの信頼関係もまた滲み出ていた。

生身の役者たちが命を預け合って奮闘する熱を間近で感じることで、物語のメッセージもまた、まっすぐに刺さってくるだろう。
「ガンダムを舞台化するとこうなるんだ」という感心だけでは終わらないステージ。
彼らが、彼らもまた、ガンダムだ。

少し乱暴な言い方をすれば、「ガンダム」は諸々の兵器と同様、純粋な“力”に過ぎない。要は、使う者次第。それは舞台化における“人気タイトル”と似たようなものでもあると感じた。
その意味でも、この舞台『機動戦士ガンダム00 -破壊による再生-Re:Build』は、“愛”のあるカンパニーの手によって形づくられていることが随所から伝わってくる作品だった。

東京公演は2月15日(金)~18日(月)日本青年館ホールにて、大阪公演は2月23日(土)~24日(日)森ノ宮ピロティホールにて上演。大千穐楽回はライブビューイングも実施される。

舞台『機動戦士ガンダム00 -破壊による再生-Re:Build』

東京公演:2019年2月15日(金)~2月18日(月)日本青年館ホール
大阪公演:2019年2月23日(土)~2月24日(日)森ノ宮ピロティホール
ライブビューイング:2月24日(日)16:30開演回

原作:『機動戦士ガンダム00』(『機動戦士ガンダム』シリーズより)
脚本・演出:松崎史也
監修:水島精二

出演:
刹那・F・セイエイ 役:橋本祥平
ロックオン・ストラトス 役:伊万里有
アレルヤ・ハプティズム 役:鮎川太陽
ティエリア・アーデ 役:永田聖一朗
グラハム・エーカー 役:前山剛久
ビリー・カタギリ 役:一内 侑
スメラギ・李・ノリエガ 役:立道梨緒奈
フェルト・グレイス 役:松村芽久未
ラッセ・アイオン 役:澤田拓郎
リヒテンダール・ツエーリ 役:阿瀬川健太
クリスティナ・シエラ 役:小林末往
セルゲイ・スミルノフ 役:加藤靖久
ソーマ・ピーリス 役:希代彩カティ
マネキン 役:平湯樹里
パトリック・コーラサワー 役:瀬戸祐介
アリー・アル・サーシェス 役:窪寺 昭
リボンズ・アルマーク 役:赤澤 燈
ヨハン・トリニティ 役:坂垣怜次
ミハエル・トリニティ 役:船木政秀

オフィシャルサイト
Twitter(@stage_g00)

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