Interview

吉田山田 “孤独”をテーマに仕上げた最新作と目前に控えた2度目の47都道府県ツアーへの想いを訊く。

吉田山田 “孤独”をテーマに仕上げた最新作と目前に控えた2度目の47都道府県ツアーへの想いを訊く。

今年の10月にデビュー満10周年を迎える吉田山田。そこへ向けた2度目の47都道府県ツアーを目前に控えた2人が、13枚目のシングルをリリースする。冬の間じっと力をためて暖かな春に花を咲かせる桜に、孤独な時間を耐えたからこそ花開く願いや希望を重ねたタイトルチューン『桜咲け』。そしてカップリングには前回の47都道府県ツアーのタイミングで出された4thアルバム『47【ヨンナナ】』の収録曲『押し出せ』の振り切ったリミックス『O・SHI・DA・SE-Remixed by Charisma.com-』。吉田山田のスタンダードな曲と吉田山田の思い切った遊び心ある曲、それが1枚に収められた10周年ならではの作品だ。

取材・文 / 前原雅子 撮影 / 大庭元


この曲で僕がテーマにしたかったのは孤独なんです。励ますわけでもなく、ただ孤独を歌にしたかったというか(吉田)

「桜咲け」はTVアニメ『火ノ丸相撲』のエンディングテーマ曲として書かれた曲ですか。

吉田 そうですね。もともと桜をテーマにして作っていた曲をアニメ制作の方が気に入ってくださって、そこから『火ノ丸相撲』の作品を見て新たに歌詞を書きました。だから僕にとっては、いい刺激をいただけたおかげで、やっと完成させられた曲なんですよね。

すると曲作りはメロディーから。

吉田 そうです。実家の近くの裏道沿いに昭和な感じの古いアパートがあって、その前に1本だけある桜の木になぜかめちゃくちゃ惹かれてて。そのまままっすぐ行けば山ほど桜が咲いてる公園があるのに、わざわざ車を停めて見に戻るくらい惹かれてるんですね(笑)。で、ある冬の日の深夜、まだ花も咲いてない桜の木を見て「この木をテーマに曲を作れないかな」と思って、家に着いて、ものの15分くらいで大枠のメロディーを作りました。

なんとなくの歌詞のテーマのようなものも、その時に浮かんでいたのですか。

吉田 その時は古いアパートに住んでる青年のストーリーを桜をテーマに書こうと思ってました。学生や、ここから頑張っていこうっていう人の傍らに咲いてる桜というか。たぶん自分と重ねてたんだと思うんですよね。もし僕がここに住んでたらとか。でもなんだかもう一味足りなくて。自分のなかでまとまってない感情の曖昧さが歌詞に出ちゃって、納得がいかなかったんだと思うんです。ところが『火ノ丸相撲』を見せてもらったら、すぐ歌詞が浮かんで。だから嬉しかったですね、長いこと形にしたかったものが、こういうふうに光を当ててもらって完成できた気がして。

とてもいいきっかけをもらえたという。

吉田 タイアップっていうと商業的なイメージがあるかもしれないですけど、僕らはことごとく刺激を受けて作らせてもらった曲ばかりで。その刺激がなければできなかった曲というか。

山田 たとえ制約があっても、そのせいで作るものが狭くなるんじゃなくて、むしろ刺激として楽しんで作ったような感じですね。

この曲でいうと、その刺激は具体的にどんなことでしたか。

吉田 実は、この曲で僕がテーマにしたかったのは孤独なんです。励ますわけでもなく、ただ孤独を歌にしたかったというか。そう思いはするものの、どうも納得いく形で歌詞にできなかったんですね。でも『火ノ丸相撲』を見て曖昧だった自分の気持ちがハッキリしていって。『火ノ丸相撲』の主人公も明るいんだけど孤独感を持っているし、孤独な時にしか本当の戦いは訪れないし、誰にも頼れないし。でもそのなかで戦わなければ次のステップには進めない。それって何にでも、誰にでも言えることだと思うんですね。そういう気持ちが『火ノ丸相撲』を見て、すっと書くことができたんですよね。

山田 そういうところを感じたせいか歌もちょっと違ったというか。「桜咲け」は戦ってる人の背中を押すような曲なんですけど、レコーディングのスタジオに入る前は桜が舞い散るようなイメージで、笑顔で歌いたいと思ってたんです。あんまり力を入れすぎて暑苦しくなるのもイヤだと思ったし。だけど、いざ歌うとなったら微笑んで歌う曲じゃなくて、もっと強い気持ちが出るように歌いたいって思ったんですよね。

2人で「この場所に立ちたい」っていう目標を立てて、それを10周年の間に叶えたいって期限を設けて。なんかそういう自分の心境が「桜咲け」に重なったんでしょうね(山田)

曲の解釈が変わってきたということですか。

山田 なんか桜っていうと春を思い出すし、そこから受験をイメージして。僕、受験っていうものを経験したことがないんですよ、高校も受験をせずに推薦だったので。でも受験って本当に大変な戦いだなって思うんですね。だって期限付きで戦いの答えが出てしまうじゃないですか。そういう戦いってこれまでしたことがなかったんですけど、10周年というタイミングで初めて受験生に通じるような経験をすることになって。自分たちで決めたことですけど、初めて2人で「この場所に立ちたい」っていう目標を立てて、それを10周年の間に叶えたいって期限を設けて。なんかそういう自分の心境が「桜咲け」に重なったんでしょうね。もっとグッとくる感じで歌いたくなったのは。だから自分自身にも言い聞かせるような気持ちで歌ってます。

吉田 僕も、高校も大学も推薦で行ってるんで受験は経験してないんですけど。山田が言うように期限付の戦いって、たしかに今の僕たちにも通じるものがあるような気もしますね。親がいくら助けてあげたいと思っても、子どもに脳みそは貸せないし。まぁ貸されても困るだろうけど(笑)。僕らもそうなんですよ。例えばお互い「もっとこうしたらいいのに」って相手に対して思うことがあっても、見守るしかないから。それに気づいて戦うのは本人だから、何を言ってもアドバイスの域を絶対に超えられない。そういう意味ではお互いに孤独な戦いをしてるとも言えるんですよね。今もそうです、このあと2人一丸となって頑張んなきゃいけないんですけど、一人の人間としても魅力的になっていかないと吉田山田として成り立たないと思うんで。やっぱり孤独な戦いではあるんですよね。

ところでサウンドのスタイルですが、「桜咲け」はピアノバージョンもあるんですね。(吉田山田盤にのみ収録)

吉田 最初にこの曲のアレンジが上がってきた時は、けっこうテンポの遅いバラードな感じで。少しずつテンポを上げて試すなかで、今のテンポに決まったんですけど。最初の雰囲気もよかったのでピアノバージョンも作ることにしました。あとサウンド面では和楽器ですかね。「桜咲け」だし、ぜひ和楽器を入れてくださいってリクエストしました。

山田 今まで和楽器は使ったことがなかったので、ぜひ、ということで。何の楽器を使うかは、お任せしましたけど。もともとこの曲はメロディー自体に和の雰囲気が含まれてるから、和楽器が合うんじゃないかなってことで。

それは桜がきっかけで生まれた曲だったからでしょうか。

吉田 そうだと思います。その時に見た景色や想いがメロディーになるので。特に僕の場合、最初に浮かんだフィーリングみたいなものはメロディーが表してるような気がします。だから曲作りを進めていくなかでメロディーを変えるっていうことは、ほぼないですね。たとえ「これ、どうしようかな……」っていうことがあっても、メロディーは変えたり整えたりしないほうがいいみたいです。だからこの曲も自然と和の雰囲気が出ていたので、和楽器を入れようと思って。しかも和楽器が前面に出るんじゃなくて、サブリミナル狙い(笑)。よく聴くとわかるくらいにしてくださいって。

ああいう音が入ってくると、歌う時も気分が違うものですか。

吉田 違いますね。

山田 和楽器ってちょっと背筋がピンとなるというか。なんでしょうね、独特な響きなのか、音階なのかわからないですけど。

そしてカップリング曲は『O・SHI・DA・SE-Remixed by Charisma.com-』。この曲、すごく面白いですね。

山田 相撲のアニメだし、これ入れたいねって話になり(笑)。

吉田 すでに一度出している曲なので、そのまま入れるのもと思って、リミックスにしようかっていう話になったんです。僕らテレビで「吉田山田のドレミファイル♪」っていう番組やらせてもらってるんですけど、その番組をきっかけにCharisma.comと仲良くなって。MCのいつかちゃんと一緒にライブをやったり、仕事をしたいねーなんて言ってたんですよ。それで今回、リミックスをやろうと思った時「あ、いつかちゃん!」と思って。連絡を取ってみたら、やりたいと言ってくれて実現しました。

いつかさんに、2人から何かリクエストはしました?

吉田 まずはお任せして、それから微調整させてもらおうと思ってました。じゃないとリミックスする意味がないから。だから「とにかく遊んでみて。合格ライン狙ってこないで」って頼んだんです。そしたら案の定、「いつかちゃん、超いいんだけど、もうちょっと短くしようか」と(笑)。だって最初、6分くらいあったよね?

山田 うん。あったあった(笑)。

吉田 いつかちゃんもそのつもりで作ったみたいで。そのなかから僕らにいいと思う部分を言ってもらって調整しよう、って。そのあとはもうパパッとできましたね。ホントさすがでした。

1 2 >