Interview

Hilcrhymeとは違った音楽スタイルを極めたTOCソロプロジェクトとは?

Hilcrhymeとは違った音楽スタイルを極めたTOCソロプロジェクトとは?
2016年10周年を迎えたHilcrhymeで、ヒップホップアーティストとして確固たる実績と地位を獲得しているTOCのソロ活動は、2013年にインディーズでスタートした。自身で主宰したレーベル“DRESS RECORDS”を立ち上げ、アーティストとしての活動みならず、レーベルヘッドまで務め、多方面で才能を発揮している。インディーズでの活動は、メジャーでは気にしなければならない規制を取っ払ったところで自己表現を模索、探求し、発表してきた。その規制されない表現方法から進化を遂げた上で、いよいよメジャーへ進出する。そんなTOC(ティーオーシー)は音楽シーンと真摯に向き合っていた。

取材・文 / 大窪由香 撮影 / 荻原大志


2013年にソロ活動を開始したTOC(読み:ティーオーシー)さんが、今回のシングル『過呼吸』でメジャーデビューされるわけですが、そもそもソロを始めたきっかけ、そしてご自身のレーベルを作ったいきさつを教えてください。

TOC(ティーオーシー)っていう名前でインディーズでシングルを出したのが2013年10月で。それは自分一人でイチから音を決める、Hilcrhymeとは違う音楽スタイルをやりたいと思ったのがきっかけでした。レーベル“DRESS RECORDS”に関しては、自分の今の立ち位置だったり経験を踏まえたうえで、もう少しこういうアーティストが世に出てほしいっていうものの間口になりたかったっていうのが一番大きかったですね。レーベルを作って同じ目的や感覚を持った仲間と一緒にやっていきたいなと思って。そう思えるヤツが一人いるんですよ。そのレーベルのヘッドになって、ユニバーサルミュージックっていうメジャーメーカーと契約することで……メジャーデビューってすごく夢のあることだと思うから、ラップっていうアンダーグラウンドなものとメジャーとの架け橋になれればいいなと思って立ち上げたんです。

メジャーフィールドに夢があると。

思いますね。俺はロックとかバンドのシーンじゃないから尚更そう思うんですよ。そっちは次々とメジャーデビューしている新人がいて、俺がいる新潟でもどんどんそういう人がいるんですね。そういうバンドの人たちっていうのは、メジャーがベーシックになってると思うんですよ。でも、ヒップホップやラップに関してはまだまだベーシックじゃないんです。こういう世界があるっていうのを知らない人が9割。それを知らせたいですね。自分も経験したことだし、今真っ最中のことでもあるから、自分の楽曲にお金を出してくれる人がいるっていう感覚、ビジネスとして音楽をみる感覚を意識づけないとダメというか。俺自身、もっといろんなラップをこの世で見たいし聴きたいので。

2ndアルバム『SAFARI PARK』を出された時に、インディーズではリリックの制約もないのがいい、というお話をされていたので、あえてインディーズを選ばれているのかと思っていました。

環境はすごく大事で、自分自身環境に良くも悪くも流される人間なんですよ。自分の身をおく場所があまりにも規制のあるところだと、自分で無意識に自主規制してしまっていて、それをまず直したかったから規制のない世界で作ってみた。そこである程度自分の中で修正ができて、またこの世界に戻ってきた時に、いい塩梅で自主規制はしてないけど、かといってこのフィールドに乗せられないほどのものを書いても意味がない。やっぱりキャッチーさっていうのは自分の中ですごく武器だと思うから、インディーズでやった検閲のない世界も意味があったし、規制のある世界ももちろん意味があるし、両方知ったうえで、そんなに言っちゃいけないことを連発したみたいな曲を作りたい人間でもないので、十分この世界で自分を表現できるなと思ったんです。たくさんの人に聴いてもらいたいっていう思いが一番ですね。

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なるほど。一枚目でヒップホップのコアなところ、二枚目でご自身のコアなところを打ち出していたと思うんですが、ソロの音楽の方向性については当初どんなふうに考えてたんですか?

やっぱりヒップホップビート、一聴してラップ、ヒップホップって分かるものを求めて最初はやってましたね。そういうのをやりたいと思って始めたし、ある程度そういうのをまとめてやった時に、自分の中で感情がフラットになって、次何やりたい?って時にできた曲が『過呼吸』だったんです。ラップもやるんだけど、万人に聴かれるラップが自分の武器だと思ったから、その武器を全面に出したものをメジャーデビューシングルにしたいって、そういう思いは明確にありました。

ではこの『過呼吸』はメジャーデビューするにあたって、意識して作ったものだと。

そうです。前作『SAFARI PARK』のリリース後ぐらいから、そういう思いはありましたね。

『過呼吸』はドラマ「脚本家と女刑事」の主題歌に決まってますが、タイアップありきで制作を始めたんですか?

いや、楽曲が先にあって、ドラマが決まったんですよ。これって初めてなんですよ、書き下ろし以外でタイアップがつくのって。すごく新鮮です。だいたい何かタイアップっていったら、まず題材を見てリリックを書くっていうのが自分の中でもベーシックだったんですけど、全く逆の順序だから、すごい楽でしたね(笑)。それほど書き下ろしって体力を使うことなんで。

リリックはかなり女性に振り回されてますが、何かモチーフになるようなことがあったんでしょうか?

少し怖い先輩から電話がかかってきた時に、『……よしっ……もしもし?』って感じで出るじゃないですか。それがきっかけでしたね(笑)。怖いんだけど好きな先輩で、話しててもちょっと息があがってします、過呼吸になってしまう。そんな時に、“あ、これだ!”と思って(笑)。それを恋愛に例えてみて。恋愛でもそういう感じってあるじゃないですか。そこから溺れてるっていうキーワードが出てきて、過呼吸になりそうなぐらい溺れちゃってるっていう。きっかけはそういう先輩からの電話です(笑)。

面白いきっかけですね(笑)。

そうですね。狙って作ると得てしてよくない結果が待ってて(笑)。そういう何かのきっかけがあって、かといってそれを全部そのまま書くんじゃなくて、恋愛っていうファクターを足したりしてアートになるっていうのが、今までの経験上一番いい形なんですよね。だからこの『過呼吸』はすごく自信がありますね。

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メロディもちょっと中毒性のある曲ですよね。曲とリリックができたのは同時ですか?

全部同時ですね。ベースからギターからエレピから全部。楽器が全部絡み合うのが一番楽曲として理想なんですけど、それでいったらすごくうまく絡んだ楽曲になりましたね。

ギターのカッティングは心地いいんだけど、歌ってる内容がハラハラする感じで。

そうそう(笑)。そのアンバランスさもすごく気に入ってますね。基本的にちょっと昔の踊れるナンバーな方向にもっていったんですけど、でもカラオケで歌える曲にしたかった。よくできたなあと思いますね。

ミュージックビデオも拝見したんですが、とても美しい映像でした。

今回は水がテーマになっていて。ディレクターさんからの提案だったんですけど、すごく自分の中でしっくりきて。女性のディレクターさんなんですけど、中性的で、こうなってほしいなと思っていた通りの映像になっていてよかったです。あと、偶然金魚を飼い始めた時だったので、何か縁があるなって感じもしたし。

背景の黒の世界と鮮やかな金魚との対比がよかったです。

本当にね。いいディレクター、いいアートワークチームに出会いました。

で、金魚を飼い始めたんですか?

そうなんですよ。祭りの金魚すくいで(笑)。水槽買ったり、水草を植えたりするのが面白くて。

あと気になったのが、過去のTOCのPVではサングラスを外したシーンも多かったんですけど、今回はなかったですね。

もう外さないと思いますね。TOCでもHilcrhymeでも、もう外さないんじゃないかな。ライブでは外すんですけどね、汗もすごいし。でも、作品ではもう外さないと思います。たぶんこれは変わんないんじゃないかなと思います。

そうですか。そしてカップリングの『Shepherd』はかなり毒の強い楽曲ですが、この曲の制作はいつ頃ですか?

これはつい最近、二日で書いたみたいな感じの曲で。

ということは、本当に最新曲。

そうですね。『過呼吸』よりは熱量が少ないですけど、ちゃんと書きたいことを書けてるし、DRESS RECORDSの所信表明的な楽曲になったので、いいカップリングになったと思いますね。

だいたいこういうところでは、“負け犬の遠吠え”みたいな、犬に例われることが多いと思うんですけど、それが羊なのが面白いなと。

DRESS RECORDSの第二弾で考えてる男とよく話するんですけど、ラッパーっていうのは群れをなすものではなくて、孤高の存在、オオカミ的な存在であってほしい、反骨精神をもっていて、ブレない芯をもっていて、群れるものじゃないなと。でも最近群れている人多いよねっていう話をしてて。それはオオカミどころか羊やん!みたいな話が最初で。で、羊が一匹羊が二匹、三匹四匹……いっぱいいるな、眠くなっちゃう。そんなふうにラップとして面白くアートできそうだったから羊にしたんです。

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では、DRESS RECORDSの今後としては、第一弾としてTOCさんがデビューして、第二弾の構想もあると。

ありますね。まずはこのTOCの『過呼吸』でしっかり形にして。DRESS RECORDSの基盤作りみたいな覚悟も自分の中であるので、次に繋がるものにしたいなと思います。

大阪でのワンマンが決まってますね。

タイトルが『過呼吸』なので、過呼吸が起きるようなほど盛り上がるライブにしたいなと思うのと。今回が自分のワンマンの中で最大キャパなんですよ。まずそれがすごく楽しみ。1000人近いお客さんとTOCで遊ぶっていうのは本当に楽しみだし。あと大阪っていうところも大きいんですよ。この『過呼吸』のタイアップも関西圏の放送だし、何かと大阪に縁があるなと思って組んだのがこの大阪でのワンマンライブrなので、何かそこでお礼がしたいなと。

なるほど。なぜ大阪だけ?と思ったんですが、そういうことなんですね。東京でも見たい!という人はどうしましょう?

そういう方達は『過呼吸』のリリースにあわせて、あちこちイベントに出るので、そういうところで楽しんでもらえたらと思います。発売日の8月31日にもお台場でありますし。なかなかポップなステージですごく楽しみですよ。暑いでしょうけどね(笑)。夏は本当に体力勝負なので、ライブは。

リリース情報

【初回限定盤】

【初回限定盤】

【通常盤】

【通常盤】

シングル「過呼吸」

読売テレビ「脚本家と女刑事」主題歌
2016年8月31日(水)発売
【初回盤(CD+DVD)】
UPCH-7175 ¥1,700+税
【通常盤(CD)】
UPCH-5884 ¥1,100+税

【収録曲】
Disc-1(CD)

01.過呼吸
02.Shepherd
Disc-2(DVD) ※初回盤のみ
01.過呼吸 (Music Video)

ライブ情報

TOC One Man LIVE大阪「過呼吸」

2016年9月10 日(土)大阪BIG CAT  開場16:45/開演17:00

プロフィール

TOC

BirthDay:1981.10.4
BloodType:A

Hilcrhymeのメンバーとして、ソロMCとして、そして自らが立ち上げたレーベル「DRESS RECORDS」のレーベル・ヘッドとしてなど、多角的な活動を展開。TOC名義で、自身のレーベルDRESS RECORDSからシングル1枚、配信1曲、アルバム2枚をインディーズでリリース。ヒップホップアーティストとしの自意識を強く打ち出したインディーズでの活動を経て、「過呼吸」でメジャーフィールドへ。

公式サイト:http://toc-dress.com/