Interview

櫻井圭登&村田 恒らが究極のエロスを見せるエンターテインメント舞台、浪漫活劇譚『艶漢』第三夜

櫻井圭登&村田 恒らが究極のエロスを見せるエンターテインメント舞台、浪漫活劇譚『艶漢』第三夜

2016年の初演の浪漫活劇譚『艶漢』、2017年の浪漫活劇譚『艶漢』第二夜と、舞台版“艶漢”の最大の魅力は、“漢”たちの極限状態の肉体が発するエロスにあるだろう。そんな“艶漢”シリーズの最新作の3作目にあたる、浪漫活劇譚『艶漢』第三夜が4月20日(土)からシアターサンモールにて上演される。今作でもそんなエロスが垣間見えるに違いないはず。ノーフンがち(フンドシをはいていない)な柳腰の美少年で傘職人の吉原詩郎と、熱血正義感に満ちた巡査・山田光路郎、そして詩郎の兄貴分にあたる吉原安里を軸とした物語だ。

そこで、三作品とも座長を務める吉原詩郎を演じる櫻井圭登と、前作でも重要な位置付けのキャラクターだった佐倉春澄 役の村田 恒に話を聞いた。確固たる信念を持ったふたりの“漢”から漂うほのかな色気がこの作品の面白さを余すことなく語ってくれた。

取材・文 / 竹下力 撮影 / 増田慶


僕らしい座長でいればいい

櫻井さんは浪漫活劇譚『艶漢』第二夜(以下“第二夜”)のインタビューの時に、初演は悔しかったとおっしゃっていました。そこから“第二夜”の本番を終えて心境はいかがだったのでしょう。

櫻井圭登

櫻井圭登 初演はとにかく何もできなくて……(苦笑)。共演者の方々に助けられてようやく座長になることができました。なので、“第二夜”では座長として真ん中にしっかり立ちたくて、肝を据えて挑ませていただいたんです。ただ、千秋楽が終わってみると、やはりいろいろな人に助けられたと実感しましたね(笑)。そこから「僕らしい座長になればいいんだ」と学びました。

村田さんは“第二夜”からの参加になります。

村田 恒

村田 恒 新しい風を吹かせてカンパニーに良い刺激を与えられればと思いながら(櫻井)圭登くんと共演しました。圭登くんは歳がほぼ違わないのですが、僕に寄り添って親身に支えてくれたし、チーム一丸となって作ったのが“第二夜”だったと思います。

たしかに素晴らしい舞台でした。では、今作でも、櫻井圭登さんは吉原詩郎、村田 恒さんは佐倉春澄(さくらはるずみ)を演じます。それぞれどのような役だと思いますか。

櫻井 実は役どころを説明するのが難しいです(笑)。“艶漢”は言葉で説明できないところが面白いですね。あえていうとすると……詩郎がとりあえず脱ぎます。

村田 あはは。

櫻井 初演、“第二夜”と演じさせていただいて、僕は服を脱ぐのが当たり前のように感じてしまうのですが、初めてのお客様が観ると衝撃的だと思います。“第三夜”でも、お客様をドキっとさせられる脱ぎ方をしたいです。

村田 僕らの役どころは敵対しているのですが、お互い芯があり、貫きたい正義があってぶつかり合います。春澄でいえば、組の北座長・東雲(八神 蓮)のためならなんでもする。そんな彼に尽くす忠義をお見せしたいです。

桜井さんは、今作で三回目、村田さんは二回目の役となります。詩郎と春澄は、おふたりにとってどのような存在になっているのでしょう。

櫻井 詩郎は、今まで演じてきた役の中で、最も繊細ですね。“艶漢”は、ひとりひとりの緻密な感情で人物が動きますが、それが混じり合うがゆえに、噛み合わない時が生まれます。ただ、うまくいかないなりに“絆”を求め合う人間の生きる姿が大好きですし、詩郎は“艶漢”において希望の“光”だとさえ思うんです。現実の僕でさえ、詩郎に助けられている部分があるほどで。今後も詩郎と一緒に生き抜いていこうと誓っています。

村田 春澄はコンプレックスがあるんです。といっても、現実の世界では誰しも知られたくないことがありますよね。ただ、春澄は、他の人から見ると良くない方向に進んだとしても、彼からしたら、当たり前のことだとコンプレックスを受け入れる強い覚悟があります。

“艶漢”は共演者に恵まれるから、役者の生き方さえ変わってしまう

これまで演じてきて同じ役でも心境は変化していくものですか。

櫻井 普通では経験しないことを経験させていただいて、役者として一皮剥けました。原作には美しい絵があるので、そこへ向かってどう表現するのか自分自身の挑戦にしています。吉原安里 役の三上 俊さんも、原作に忠実であろうと体を絞っていた。“艶漢”は共演者に恵まれるから、役者の生き方さえ変わってしまうんです。

村田 この舞台は“艶漢”色に染まっていくというか、僕の知らない僕を見つけることができる。僕は貴族という役どころなので、演じ続けていると貴族としての振る舞いに敏感になりました。

今作では、どのように演じていこうと思っていますか。

櫻井 前作から1年ぶりですから、色々な作品を経てこの座組みに戻ってきたので、成長した自分の色を出したいです。もちろん、共演者の方にもそれぞれの色を出してもらって、3回目だからこそできるアプローチをしていきたいと思います。

村田 今作は、満を持して、春澄が崇拝する東雲が出てきます。といっても、前作の良い部分を“第三夜”に引き継ぐのも大事で、前回のことを思い出しながら稽古をしつつ、新しいキャストとセッションできたらいいですね。初演から“第三夜”が連綿と繋がっているという意識で演じていくことが大切ですし、だからこそお客様に作品の良さが伝わると思っています。

そうなると、原作があるシリーズものとオリジナルの舞台の違いはありますか。

櫻井 どちらにも良さがありますが、やはり感覚が違いますね。シリーズであれば、1度演じればその記憶が強く残っています。シリーズものは経験したお芝居を何回も自由に引き出すことができることが強みになります。

村田 “艶漢”の面白いところは、1年おきに続いていることです。その間に、役者として吸収してきたものがあるから、作品ごとに所作の見せ方や殺陣がレベルアップしていくんです。

「たくさんの答えがあっていいな」と思っていただきたい

“第三夜”までたどり着いて、原作の魅力はどんなところにあると思いますか。

櫻井 それぞれのキャラクターの繊細な心情の変化が“艶漢”の魅力です。あえて回りくどい言い方をすることで、見え方がまるで違ってくる。ひとつの台詞に3通りぐらいの意味を捉えられるので、今作でもたくさんの方に様々な角度から解釈できるようにしたいです。作品を観終わっても、お客様が「たくさんの答えがあっていいな」と思っていただきたいです。

村田 僕は、題名の通り、“艶やかな漢”が醍醐味だと思います。たとえば、肌を露出して醸し出すエロスも見どころです。当然、緻密な人間模様が前提にあるから生きてくるのですが、初見の方は、その印象が強く残るのではないでしょうか。それを圭登くんが証明してみせた。所作は艶やかに見えるし、それをどう表現するか、いつも演出家と話し合っていましたね。

エロスというテーマを支えるほさかよう(空想組曲)さんの演出も見どころですね。

村田 原作の世界観を「こんな演出にするのか」という驚きがありました。襖を動かして開けたら奥にいた人が消えていたり、傘を広げてクルクル回して舞台を彩っていく絵作りが綺麗です。

櫻井 ほさかさんは、いつも正解を導き出してくれるから、僕らはそこに演技を落とし込めばいい。それから、声の出し方ひとつでお芝居がガラリと変わることも教えていただきました。自分たちの演じるものをちゃんと料理してくれるから信頼しかないです。

村田 迷いがないよね。ほさかさんの演出で他の役者が演じるのを観ているのが面白いほどだから。

具体的にどのような演出をされるのですか。

櫻井 指揮棒を持って演出されますね。

村田 譜面台に脚本を置いて、リズムを取りながら、ほさかさんの脳内で音を鳴らしながらタクトを振って演出されました。

それはなかなか聞いたことのない演出方法だと思います。役者の提案を受けいれてくれたりするのでしょうか。

村田 ご自身のプランを無理やり押し付けはしないし、聞いてくださるところは聞いてくださいます。

櫻井 自分の世界観が確固としてありながら、僕たちの意見にも耳を傾けてくださいますね。

村田 ほさかさんはAルートを示すけれど、僕らがBルートを提案するとそちらも入念に検討してくださいます。

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