小田和正『あの日 あの時』特集  vol. 11

Interview

KAZUMASA ODA TOUR 2016 “君住む街へ” バンドメンバーインタビューPart.7:徳高真奈美

KAZUMASA ODA TOUR 2016 “君住む街へ” バンドメンバーインタビューPart.7:徳高真奈美

あれは小田が最初の監督作品『いつか どこかで』の制作に入った頃だったと思うが、事務所のプライベート・スタジオを訪ねると、壁に小さなポスターのようなものが貼ってあることに気づいた。近づいて見てみると、それはオーケストラの各楽器のイラストが左端に並んだ音域表だった。学校の音楽室ならまだしも、なぜここに…、とも思ったが、実は映画の音楽も手がけていたこともあり、小田は連日、劇伴のスコアと格闘する日々でもあったわけだ。もちろん、だからってコレをいちいち眺めつつ弦のアレンジをしていたわけじゃないだろうし、そもそも単なる“壁のインテリア”として貼ってあっただけかもしれないのだが…。
さて、今回登場するのは徳高真奈美。彼女が担当するのはその音域表でいうところのバイオリンとチェロの間にある楽器、ビオラである。

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徳高さんのご担当はビオラということですが、この楽器を演奏する醍醐味といいますと…。

徳高 弦のカルテットの中でこのパートは“内声”と呼ぶんですけど、その良し悪しで全体の印象も変わってしまうので、そのプレッシャーは感じつつ演奏しています。大切なのはバランス…、あと音色…、もちろん小田さんの歌に合ったものにしていく上での音程の感覚とかも重要なことですが…。でも、“内声”の醍醐味が何かを言葉で説明するのって、難しいです(笑)。

例えば自分より上のほうでバイオリン二人がお喋りしてたとしたら、どう加わるんでしょうか…。

徳高 二人がお喋りしてたら、それを暖かく見守り支える感じですかね(笑)。とはいえお父さん役ほどではない。一番下にはチェロがいるので。でもだいたいビオラっていうと、そんなイメージでしょうか。

今回のツアーのなかで、「ここは自分としては集中してやらねば…」、みたいな場面があるとするなら、具体的にどのあたりでしょうか?

徳高 自分の中でプレッシャーなのは、「言葉にできない」の一番最後で、私がメロディを弾くところでしょうか。ほかにも小田さんの歌と同じフレーズを一瞬弾く、みたいな曲もあるので、その時も緊張しますけど。

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前にグッと出るというより、一歩下がって支える役がビオラ、ではありつつ、時には前に出るというか、でも聴いてる方としては、そのほうが新鮮ですよね。

徳高 仰るように、確かにそうかもしれないです。バイオリンがほとんどメロディ・ラインを弾いてるんですけど、ビオラもちゃんと積極性を持ってないと…、というのは、このカルテットでやらせていただいて強く感じています。ただ下から見ているだけじゃなく、ビオラとしての意思表示もしていかないと弦カルとしてのバランスも悪くなるんだな、というか。カルテットの他の三人の方々から、ものすごく刺激を受けてます。

ところで徳高さんが初めて小田さんと仕事したのはけっこう前なんですよね。

徳高 確か『緑の街』(1998年に公開された小田の2作目の監督作品)のレコーディングの時、金原さんのセクションで参加させて頂いたのが最初です。ただ、だいぶ前のことなので、きちんとしたことは覚えてないんですけど。

ちなみに学生時代はオフコースのファンだったとか?

徳高 うちの父親はポール・モーリアとか、あとタンゴとか、他にも色々な音楽が好きで、家ではずっと流れてましたし、私も聴く音楽は、クラシック一辺倒というわけではなかったんですよ。でもオフコースは、中学の頃の私の青春でした(笑)。

ずっと一途に…。

徳高 非常に失礼ながら、そのあともずっと継続してオフコースを聴いてたわけではないんですが、中学の頃はともかく大好きで、アルバムでいうと『We are』とか『over』とか、当時はカセット・テープでしたが、よく聴いてましたね。そのカセットは、今でも大切に持ってますけど(笑)。

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当時のオフコースは、徳高さんの耳にどう聞こえたのでしょうか。

徳高 一番衝撃的だったのは、『over』の1曲目に入っていたオーケストラだけの「心はなれて」のオケなんですよ。それまで弦楽器がメインのものというと、バイオリンを習っていたこともあり、どうしてもクライスラーのバイオリン曲とかモーツァルトとか、そうしたものが頭にあったのですが、あのアルバムを聴いたら、いきなり小田さんの曲がオーケストラで流れてきて、「こんな曲もあるんだ」と、凄く感動したんですよ。

『あの日 あの時』のベストの時、「心はなれて」を再度レコーディングしてますけど、徳高さんも参加されているんですよね。

徳高 はい。参加させて頂きましたけど、さきほどの中学のころの想い出もいろいろ蘇りつつ、すごく緊張しましたね。

ツアーも後半からそろそろ終盤へと向かっていますけど、今回のセットリストは実際に演奏していてどんな手応えでしょうか。

徳高 コンサートは3時間くらいあるのに、あっという間に終わってしまう感覚です。メリハリある構成だから、よけい早く感じるんでしょうけど…。私、今回のプログラムは本当に大好きですね。

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ステージ上のメンバーの、一体感にも圧倒されます。

徳高 ステージに居るのは小田さんと、あとバンドと弦カルの8人ですが、とても8人とは思えないような全体の音の造りというか、観てくださった人からもそれは言ってもらいましたし、それは一人一人の音楽に対する技術と個性において、全員が重要な役割を果たすからこそ表現出来るものなんでしょうし、そんな場所に私も居られて、本当に幸せに思ってます。

最後に小田さんと共演しつつ、垣間見られたあの方の人間性といいますか、ぶっちゃけ小田さんは「どんな人」だとお感じになられているのでしょうか?

徳高 音楽が素晴らしいのはもちろんですが、「男らしいなぁ」とは、色々なことで思いますね。

どんなところでしょうか?

徳高 上手く言えないかもしれないですけど、例えば“人のせいにしない”というか…。ツアーを通じて何回も演奏していくと、ちょっとしたことは起こるわけで、でもそんな時も、“人のせい”とは思わず、まずは“自分が悪かったのでは”と感じるのが小田さんという人なのではないか…、というあたりとか、すごく“男らしいなぁ”と思いますね。

それは他人に気を遣って、ということではなくて…。

徳高 はい。ではなくね。

取材・文 / 小貫信昭 撮影 / 菊地英二

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「バンドメンバーインタビューPart.1:栗尾直樹」はこちら

「バンドメンバーインタビューPart.2:木村万作」はこちら

「バンドメンバーインタビューPart.3:有賀啓雄」はこちら

「バンドメンバーインタビューPart.4:稲葉政裕」はこちら

「バンドメンバーインタビューPart.5:金原千恵子」はこちら

「バンドメンバーインタビューPart.6:吉田翔平」はこちら

徳高真奈美 Manami Tokutaka(Viola)

東京音楽大学卒業。
卒業後はオーケストラ、室内楽、金原千恵子ストリングス、芝居(兵庫舞台芸術『エヴァ、帰りのない旅』、新国立劇場『涙の谷、銀河の丘』『母、肝っ玉とその子供たち』、こまつ座『水の手紙』、こまつ座&ホリプロ『木の上の軍隊』、いずれも演出:栗山民也、音楽:久米大作)に演奏参加などフリーランスとして活動中。
金原千恵子カルテットメンバーとして、2014年、小田和正ツアー、ストリングスメンバーとして2015年、サザンオールスターズツアーに参加。

All Time Best Album
あの日 あの時

あの日 あの時

FHCL-3005~FHCL-3007
¥3,611+税

【初回仕様限定盤】
・デジパック仕様
・特製ギターピック封入(2種(「あの日あの時ver.」or「君住む街へver.」)から1種ランダム封入)
*本人直筆のタイトル「あの日あの時」or「君住む街へ」がピックに印刷されています。

日本人に長き渡り親しまれ、J-POPシーンのトップとしてそれぞれの時代を駆け抜け数々の記録を打ち立ててきた小田和正。1969年オフコースを結成し、翌70年プロとして音楽活動を開始、「さよなら」「言葉にできない」などのヒット曲を発表、今作にはオフコース時代のセルフカバー作品に手を加え多数収録。89年2月オフコースを解散後、ソロアーティスト活動を再開。1991年270万枚を超える大ヒット作となった「ラブ・ストーリーは突然に」明治安田生命CM曲でのヒット曲「たしかなこと」「今日もどこかで」やSUBARU ブランドCM タイアップソング「wonderful life」や、5月から全国東宝系にてロードショー公開される映画『64-ロクヨン-前編/後編』の主題歌「風は止んだ」も初CD化。まさに43年に渡る小田和正の創作活動の軌跡をたどった、珠玉の50曲を収録。

収録曲

【DISC 1】

  1. 01. 僕の贈りもの
  2. 02. 眠れぬ夜
  3. 03. 秋の気配
  4. 04. 夏の終り
  5. 05. 愛を止めないで
  6. 06. さよなら
  7. 07. 生まれ来る子供たちのために
  8. 08. Yes-No
  9. 09. 時に愛は
  10. 10. 心はなれて
  11. 11. 言葉にできない
  12. 12. I LOVE YOU
  13. 13. YES-YES-YES
  14. 14. 緑の日々
  15. 15. たそがれ
  16. 16. 君住む街へ

【DISC 2】

  1. 01. 哀しみを、そのまゝ
  2. 02. between the word & the heart-言葉と心-
  3. 03. 恋は大騒ぎ
  4. 04. ラブ・ストーリーは突然に
  5. 05. Oh! Yeah!
  6. 06. そのままの 君が好き
  7. 07. いつか どこかで
  8. 08. 風と君を待つだけ
  9. 09. 風の坂道
  10. 10. それとも二人
  11. 11. my home town
  12. 12. 真夏の恋
  13. 13. 伝えたいことがあるんだ
  14. 14. 緑の街
  15. 15. woh woh
  16. 16. the flag
  17. 17. キラキラ

【DISC 3】

  1. 01. たしかなこと
  2. 02. 大好きな君に
  3. 03. 明日
  4. 04. 風のようにうたが流れていた
  5. 05. ダイジョウブ
  6. 06. こころ
  7. 07. 今日も どこかで
  8. 08. さよならは 言わない
  9. 09. グッバイ
  10. 10. やさしい雨
  11. 11. 東京の空
  12. 12. その日が来るまで
  13. 13. 愛になる
  14. 14. そんなことより 幸せになろう
  15. 15. やさしい夜
  16. 16. wonderful life
  17. 17. 風は止んだ

小田和正スペシャルサイト
http://www.kazumasaoda.com/

オフィシャルサイト
https://www.fareastcafe.co.jp/

小田 和正 (おだ かずまさ)

1947年9月20日生 神奈川県横浜市出身
東北大学工学部、早稲田大学理工学部建築科修士課程卒業
1969年オフコース結成。翌70年プロとして音楽活動を開始、「愛を止めないで」「さよなら」「Yes-No」などのヒット曲を発表する。
82年には日本武道館連続10日間公演を実施、それまでの記録を塗り替えた。日本の音楽シーンに様々な記録を残しつつ、89年2月、東京ドーム公演を最後にオフコース解散。その後、プロデュース活動を経てソロとしてアーティスト活動を再開。91年に発表したシングル「ラブ・ストーリーは突然に」は270万枚を超える大ヒット作となった。また映画やテレビの特別番組など映像監督としても活躍し、これまでに「いつか どこかで」(92年)、「緑の街」(98年)の2本の映画監督作品を発表している。2001年からは毎年12月に「クリスマスの約束」と題した音楽特番を放映(TBS)、好評を博している。
2008年4月5日を皮切りにスタートした全国ツア―「今日もどこかで」は、ドーム4公演を含め、全国で53万人を動員する記録的なものとなった。そして、2011年4月20日6年ぶりのオリジナル・アルバム『どーも』発表。業界紙オリコンにてチャート1位を記録。5作連続、通算9作目のアルバム首位を獲得し、自身の持つアルバム最年長1位記録を更新した。同年5月7日長野BIG HATを皮切りに、5大ドーム8公演を含む全国31会場59公演総動員74万人、1年に及ぶ全国ツアーを実施した。
2013年4月24日に約2年5カ月ぶりのニューシングル「その日が来るまで / やさしい風が吹いたら」の両A面シングル発売。さくらの植樹活動を通じて震災を風化させないように取り組む「東北さくらライブプロジェクト」の活動を支援するコンサートは、今後も継続的に実施してゆく。同時期ベストアルバム「自己ベスト」が発売から足掛け11年で500週目のランクイン(=TOP300入り)を果たす史上初の快挙を成し遂げた。
7月2日9枚目のオリジナル・アルバム『小田日和』リリース。同年25会場50公演の37万人動員の全国ツアーを実施。
2016年ベスト・アルバム『あの日あの時』を発売。また、全国ツアー『明治安田生命Presents KAZUMASA ODA TOUR2016「君住む街へ」』を2016年4月30日(土)の静岡エコパアリーナからスタートさせた。

ツアースケジュール

【明治安田生命Presents 「KAZUMASA ODA TOUR2016 君住む街へ」】
4/30(土)・5/01(日)静岡エコパアリーナ
5/07(土)・5/08(日)四日市ドーム
5/14(土)・5/15(日)別府ビーコンプラザ
5/21(土)・5/22(日)函館アリーナ
5/28(土)・5/29(日)富山市総合体育館 第一アリーナ
6/07(火)・6/08(水)神戸・ワールド記念ホール
6/14(火)・6/15(水)さいたまスーパーアリーナ
6/21(火)・6/22(水)朱鷺メッセ・新潟コンベンションセンター
6/30(木)・7/01(金)東京体育館
7/06(水)・7/07(木)盛岡市アイスアリーナ
7/13(水)・7/14(木)北海道立総合体育センター 北海きたえーる
7/23(土)・7/24(日)さぬき市野外音楽広場テアトロン
7/30(土)・7/31(日)宮城セキスイハイムスーパーアリーナ
8/05(金)・8/06(土)ビックパレットふくしま
8/11(木・祝)・8/12(金)出雲ドーム
8/17(水)・8/18(木)マリンメッセ福岡
8/24(水)・8/25(木)大阪市中央体育館
8/30(火)・8/31(水)名古屋・日本ガイシホール
9/6(火)・9/7(水)大阪城ホール
9/17(土)・9/18(日)広島グリーンアリーナ
9/27(火)・9/28(水)国立代々木競技場第一体育館
10/09(日)・10/10(月・祝)高知県立県民体育館
10/18(火)・10/19(水)横浜アリーナ
10/29(土)・10/30(日)宜野湾海浜公園屋外劇場

小田和正が語るベスト・アルバム『あの日 あの時』に込めた想い

ファー・イースト・クラブ吉田雅道氏へ訊く
今、ベスト・アルバムを発売する“真意”とは。

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