Interview

荒牧慶彦が役者として大切にしている存在とは? 恋を読む『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』開幕直前!

荒牧慶彦が役者として大切にしている存在とは? 恋を読む『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』開幕直前!

初演が大ヒットし、わずか半年ほどでオルタナティブシアターにて3月12日(火)より再演される恋を読む『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』。京都の美大に通う大学生・南山高寿と、とある秘密を抱えた女性・福寿愛美のふたりが織りなす悲恋の物語なのだが、その根底に流れているのは人を愛することの素晴らしさ。
今回、初参戦になる荒牧慶彦に「役者として何を大切にしているのか?」を問う。心の底からいろいろと語ってくれたインタビューとなった。

取材・文 / 竹下力 撮影 / 増田慶


「荒牧慶彦が高寿だったらどうする?」と考えながら等身大のお芝居をしたい

原作の映画を実際にご覧になったそうですね。

たまたま映画館で上映している時期に観ることができました。とある舞台の地方公演で空き時間があったので、『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』という面白そうなタイトルだけで観ようと決めたんです。男性3人で観たのですが、映画館から出てくるときには、みんな泣いていましたね(笑)。

主人公の高寿はどんな人物だと思いますか。

純粋ですね。一目惚れをしてその子に一直線に向かっていく。光と闇でいったら、光のような存在だと思います。演じ方としては、「荒牧慶彦が高寿だったらどうする?」と考えながら等身大のお芝居をしたいですね。ただ、愛美の現実を受け入れる前と受け入れたあとの差を出そうと思っています。受け入れる前は単純に恋を楽しんでいる大学生の男の子で、受け入れたあとは、運命に立ち向かって成長する男性をイメージして演じたいです。

実は、初演のときに鈴木拡樹さん三浦宏規さん、今回の再演では、木村達成さんにお話をお伺いしたのですが、皆さん一目惚れをして愛美にアタックをする高寿に驚いて敬意を抱いていました。

本当ですか! 僕は一目惚れしましたよ(笑)。小学校3年生になったとき。クラス替えというタイミングで同じクラスになった女の子でした。一目惚れのパワーってすごくて、相手を一瞬でも見ただけで、どうしていいのかわからないぐらい混乱してドキドキするんです。それは今作の役づくりにも活かせそうですね。とはいえ、僕もシャイでアタックはできなかったから、みんなと一緒かも(笑)。高寿は、運命の人だからこそできたのだろうと思います。

愛美も印象的なキャラクターですね。

過去に遡ることでしか生きられなくて、それを受け入れたうえで、高寿との歴史を大切にする優しい人だと思います。この作品は、ある意味、悲恋ですよね。ふたりの年齢が唯一重なり合う30日間は楽しいけれど、やがてすれ違って消えてしまう。それでも、自分の人生に真摯に向き合う強い女性だと思います。

ファーストインプレッションを大切にしながら、お互いのフィーリングで

今回ペアになる三森すずこさんの印象を聞かせてください。

アニメが好きで、憧れの声優として勝手に存じ上げていて、ご一緒することになったときは素直に喜んでしまって(笑)。第一印象は、スマートな方で、稽古場では三森さんから優しく話しかけてくださいました。なので、ファーストインプレッションを大切にしながら、お互いのフィーリングで朗読をしてみたいですね。

荒牧さんは、初演が大ヒットしてわずか半年で決まった再演から出演されます。

とてつもないプレッシャーです(笑)。しかもトップバッターで一回しか公演がないので。ただ、この作品は映画から好きだったので、機会があったらどんな形でもいいから挑戦したいと思っていましたし、僕が感じた感動をお客様に伝えてみたいですね。日替わりの朗読劇の醍醐味は、同じ話でも読み手が異なれば違った印象に見えることなので、気負わずに僕らなりの“ぼく明日”を届けたいです。

すでに極上文學『草迷宮』(15)で朗読劇を経験されていますが、心がけていることはありますか。

朗読劇は楽しいですね。おそらく2つのパターンに分かれていて、お芝居のように朗読しながら体を動かす場合と、本だけを手にして直立して動かない場合がありますが、今回は前者の朗読劇だと思います。それでも、朗読劇は難しいところがたくさんあって、役者の習性で台詞を覚えたくなるんですけど、脚本をインプットすると本を読むのではなく喋ってしまう癖が出て、それでは朗読劇でなくなってしまうので、好きな人に話をするように一言一言を大切にしながら、本を読みたいと思います。

初朗読劇のときの感想はいかがですか。

『草迷宮』のときは、男性役と女性役を演じたのですが、主役で重圧もありましたね。ただ、僕は学校の国語の教科書の朗読が好きで、本を声に出して読むのが好きなんです。授業で朗読を発表するときは僕に当ててくれと思っていたほどで(笑)。ありがたいことに声が通るので、先生に褒められて朗読が好きになったんですけど。

そして今回は二人芝居というところも特徴だと思います。

二人芝居の経験はあるのですが、三森さんという尊敬する方と共演するのは光栄なので、足を引っ張らないようにしたいです。やはり、大所帯のカンパニーと違って、とにかく喋る量が多いので、お客様に飽きられないようにメリハリをつけて台詞を言いたいです。

荒牧さんは、ありとあらゆるジャンルの舞台を経験されている印象があるのですが、やはり歌うときや朗読するときの声の使い方は違いますか。

違うというより変わってしまいますね。今作は描写が繊細なので、高寿の心の機微を優しい言葉にしたり、一目惚れをしたときにアタックをするところは若さ溢れる大学生の声にしたいと思っています。

三浦直之さんは物腰の柔らかい方で、僕たちと同じ目線で見てくださる

演出は前作から引き続きロロの三浦直之さんです。

物腰が柔らかくて、僕たちと同じ目線で見てくださる方です。「演出をつけるのは簡単だけれど、高寿や愛美が抱いた心情のような行動をしないと嘘になってしまうから、立ち位置は指示するけれど、朗読については言わないつもり」とおっしゃっていました。

やはり演出家によって演技の当て方は明確に違うんですね。

ええ。僕の場合は、どの舞台もそうですが、皆さん頭が切れるし、うまい演出をされる方ばかりで恵まれていると思います。もちろん、三浦さんは、僕が出演している舞台『刀剣乱舞』の末満健一さんや、『A3!(エースリー)』の松崎史也さんとも違う演出をされて、三浦さんにしかつくれない“ぼく明日”になるはずなので、ここでも貴重な経験をさせていただきたいです。

気になるペアはいらっしゃいますか。

共演者のほとんどを知っているのですが、アニメ『進撃の巨人』が好きなので、エレン・イェーガーを担当された梶 裕貴さんの声が聞きたいですね(笑)。ただ、僕は日替わりの場合は共演者の前情報をできるだけ入れないようにしています。「この読み方がいいな」と思ったらマネしたくなってしまうし、マネをしてしまえば僕のいる意味がなくなってしまうので。

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