Interview

特撮俳優物語:地球と呼ばれる光の巨人を演じた「吉岡 毅志」の真実

特撮俳優物語:地球と呼ばれる光の巨人を演じた「吉岡 毅志」の真実

デビューへの紆余曲折、そしてウルトラマンとの意外な再会

あとは、役者や芸能を目指そうというきっかけになったエンタテインメントって何かありますか。

吉岡 芸能というくくりでは、「光GENJI」ですね。僕らがちょうどルックスを意識しだした時期に、みんな床屋に行ったら「内海くんにしてくれ」とか「諸星くんにしてくれ」とか言っていて、髪型をマネして。あと当時聴いてた音楽、ミュージシャンを思い出すと、とにかく髪の毛を立ててる人たちがたくさんいましたよね。「X」とか、「カブキロックス」とか、「BUCK-TICK」とか。

懐かしいですね。芸能活動を始めるのはおいくつぐらいからになるんでしょう?

吉岡 16歳ぐらい、高校1~2年のときですね。当時、東京の高校生の間で「東京ストリートニュース!」って雑誌が流行ってて。渋谷、池袋、新宿あたりの高校生がモデルみたいな、何か芸能に片足つっこんだような活動をやってたんですよ。妻夫木聡くんですとか、特撮界隈でいうと弓削っち(注8)とか。僕らも色んなところで声をかけられたりするようになって。

注8:弓削智久。『仮面ライダー龍騎』(2002~2003)、『仮面ライダーカブト』(2006~2007)、『仮面ライダー鎧武/ガイム』(2013~2014)などのレギュラー出演で知られる俳優。

芸能界との接点はそこで生まれたんですか?

高校時代 吉岡さん曰く結構遊び呆けていたとか…

吉岡 「東京ストリートニュース!」に関しては、何回か取材を受けたぐらいでした。本格的な接点としては……新宿の歌舞伎町あたりでストリートミュージシャンを僕が聴いていたとき、横にいた人が「音楽とか興味あるの?」って聞いてきたんです。で、「あ、文化祭でボーカルやります!」って言ったら、じゃあ観に行くよと。学校の文化祭に来てくれたんですよ。

おお。スカウトマンですね。

文化祭ではボーカルを担当した

吉岡 ただ、それは完全に即席で作ったバンドで、かなりクオリティも低かったので……(笑)。「う~ん、音楽はちょっとアレだね!」という感想でした。でも、その人の紹介から最初の事務所に入ることが決まったんです。役者やタレントを扱ってる芸能事務所で、17歳ぐらいに仮契約という感じで。美容院の専門誌に1年間モデルとして出たり。舞台の手伝いをしたりしてましたね。

役者としてのデビューは……

吉岡 細かいところから言うと、一番最初はNHK大河ドラマの『徳川慶喜』(1998年)でした。ただここでは、名前こそクレジットされたんですけど、どこにいたのかって目視できないくらいのチョイ役で(笑)。次がネプチューンさんの『ネプやり』っていうバラエティ番組なんですが、ここにドラマ仕立ての企画があって、オーディションで役をつかんで出させてもらっています。

そのあとは、映画『友情 Friendship』(1998年)。これは白血病の友人のために、みんな丸坊主にした学生たちが修学旅行の旅行先で待っているっていう、実話をもとにした作品でした。学園ものなんですけど、出演者は坊主頭にできることが条件で。僕はオーディションで学級委員長役に選ばれました。これが東映さんの映画だったので、実は円谷作品より先に東映作品のほうに出てることになります。

まさに、このあたりで円谷プロダクションと『ウルトラマンガイア』のオーディションのお話につながってくるんでしょうか。

映画『友情 Friendship』坊主頭にして…

吉岡 その前にもうひとつ、『うしろの百太郎』(1997~98年)っていうTVドラマがあって、ゲスト主役で2話にわたって出させてもらいました。坊主頭にした髪の毛も伸びかけの頃でしたね。そのときに共演した、当時ジャニーズJr.の古屋暢一くんにすごく刺激をもらったんです。古屋くんは『ウルトラマンティガ』(注9)にレギュラー出演した経験もありましたし。

注9:『ウルトラマンティガ』。1996年~1997年にTV放送された平成ウルトラマンシリーズ第1作で、長野博(V6)が主演を務めた。シリーズは本作を皮切りに、『ウルトラマンダイナ』、『ウルトラマンガイア』という3作が連続で制作されている。

なるほど。縁を感じますね。

吉岡 それらを経てようやく、円谷さんのオーディションですね。書類審査が通って、オーディションに行って……最終的には、当時つるの(剛士)くんのマネージャーだった方が後押ししてくれたらしいんですけど。プロダクションに「決まりました」という電話がかかってきました。ただ、ウチのスタッフは誰も信用してなかったんですよ(笑)。「ウソだろ?」「あんなアホみたいなヤツでいいのか?」と。

高校の授業中の写真 勉強に興味がない様子が…

アハハ!

吉岡 そんな状況で、まずは「頭のサイズを教えてください」と聞かれるんですよ。「なんだろうな?」と思って、僕はとりあえずマネージャーに頭のサイズを測ってもらうわけです。何日か経ってから……最初に電話をもらったのはデスクの女性の方だったんですけど、「あんなぁ、ホンマかどうかわからへんけど。主演に決まったらしいで、毅志くん」って。「え!?」って、驚きというか、もう意味がわからなかったです。そのあと、頭のサイズのことも、主役のヘルメットを作るために測ってたんだと判明しましたが。

いや~、そういう感じだったんですね。

吉岡 小っちゃい事務所だったので、社長室に呼ばれ。まだヒーローブームも来てなかったので、「吉岡、特撮番組をやるということは一生付きまとうぞ。それでもお前はやる意識はあるか」みたいな話をされて。でも僕としては、「この人は何を言ってるんだろう、受かったんだからやるに決まってるでしょう!」と思いながら(笑)。しかも、小っちゃい頃に憧れてたウルトラマンです。友達とかに言っても、「あ、ついに気がふれたか」みたいな扱いを受ける状態でしたし。

(笑)。いきなり、ウルトラマンに変身する主役ですもんね。

吉岡 そうなんです。ただ、もともとウルトラマンを演じようと芸能界に入ったわけではなかったので……昭和のウルトラマンは観ていても、先代の『ティガ』も『ダイナ』もチェックしてなかったんです。だから当時にどういう流れがあるのかもぜんぜんわからず。そんな、自分自身でも理解できないような状況の中で……マネージャーにしても、大人たちの対応がどんどん変わっていったんですよ。現場に入ったら、19歳の僕が「吉岡さん入りまーす!」とか言われるようになって。見える景色がガラッと変わりました。

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