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『賭ケグルイ』W夢子インタビューが実現!? 早見沙織、浜辺美波、原作・河本ほむらが考える夢子像とは

『賭ケグルイ』W夢子インタビューが実現!? 早見沙織、浜辺美波、原作・河本ほむらが考える夢子像とは

月刊『ガンガンJOKER』(スクウェア・エニックス)にて2014年から連載中の『賭ケグルイ』。1月からはアニメ第2章『賭ケグルイ××』が放送されているだけでなく、3月31日(日)に実写ドラマの『season2』、5月3日(金)には実写劇場版『映画 賭ケグルイ』も公開されるなど、その人気はとどまる所を知らない。

そして今回、本作の原作者・河本ほむらに加え、アニメ版と実写版それぞれで蛇喰夢子役を演じる早見沙織、浜辺美波による“夢子×夢子”インタビューが実現。ここでしか聞けない裏話などを聞くことができた。本稿ではその模様をお届けする。

取材・文 / 古瀬敏之 撮影 / 荻原大志


早見「(夢子は)「どんな人なんだろ?」って考えれば考えるほどわからなくなるんです」

現在『賭ケグルイ××』が放送中ですが、河本先生はアフレコ現場を見学されましたか?

河本ほむら アフレコは全部見学しました。

早見沙織 キャスト陣はびっくりしていました!

河本 ガヤ(学校内の環境音など)で出演もしています(笑)。

実際に見学されていかがでしたか?

河本 やっぱり、いいですよねぇ……。自分が書いたセリフが声優さんの声にのってアニメになるのは感動しかないです。

春からは『賭ケグルイ season2』と『映画 賭ケグルイ』も公開されますが、こちらは見学されましたか?

河本 ドラマのseason1と映画で2回見学しました。浜辺さんの演技はもちろん最高だったんですが、ちょうど木渡 潤君(矢本悠馬)が心の声をしゃべる回(ドラマ第7話)で面白すぎるだろと! 木渡コールもよかったですね。

そもそも、河本先生はどのような思いで蛇喰夢子というキャラを作ったのでしょうか?

河本 もうギャップが一番です。お淑やかそうな子が「賭け狂いましょう!」って言ったら面白いなっていう。

河本先生から見た夢子ってどんな子なんでしょうか?

河本 ラスボスですね。

ラスボスですか! では、浜辺さんと早見さんにとって夢子はどんなキャラクターに感じられましたか?

早見 私は底無しな感じがするなと思いました。先ほど浜辺さんとも「演じる時にあまり考えすぎないようにしている」というお話をさせていただいたんですけれども、「どんな人なんだろう?」って考えれば考えるほどわからなくなるんです。

浜辺美波 河本先生は夢子の生い立ちだったり今は謎めいている部分を決めていらっしゃると思うのですが、我々演者には明かされていない秘密の部分が多いので、その状態で考えてもどうしようもないですし、逆にそういう部分をわからないで演じる方が夢子のミステリアスな部分や危なっかしさが出るのかなと思います。

河本 まだ明かされていない設定は確かにあります。それに、おふたりが仰ったことはまさにその通りで、夢子と生徒会長の桃喰綺羅莉だけモノローグが無いんですよね。原作もそんなに意識して書いていたわけではなかったんですが、後で読み返してみたら「あ、無い!」って。だから本当に何を考えているかは誰にもわからないんです。

対して、鈴井涼太君の方はドラマ版でもアニメ版でもモノローグ駄々洩れでしたね。

浜辺 でも、あれはあれで楽しそうです! 私には無いものなので羨ましかったですね。でも、ドラマだとセリフを全部覚えなきゃいけないので、無くてよかったなと思います!

夢子は「何を考えているのかわからない」とのことですが、浜辺さん、早見さんはそんな夢子を演じる際に苦労されましたか?

浜辺 カメラマンの方にも言われたんですけれど、夢子はシーン毎の心の繋がりが殆ど無いんです。なので、シーンごとに人格が変わるくらいの勢いで演じていました。

早見 アニメの現場でも結構情緒の高低が激しいですね。1カット前ではあんなに人を追い詰めていた人が次のカットで天使のような笑みを浮かべているみたいな。でも、それが当たり前にあるのが『賭ケグルイ』だし、それがこの作品の面白さでもあるんです。

河本 まさかそこまで苦労なさっているとは思いませんでした。自分はむしろ、夢子が「次に何を言うのかな?」っていうのは考えなくても自然に出てきます。結局は“ギャンブルがしたい”、“リスクを負いたい”ということしかないので、全部そこから導き出せるんです。

ちなみに役作りの際、おふたりはスタッフや監督と相談はされましたか?

浜辺 コスプレになってイタくなってしまうということを考えすぎないで、とにかく毎回全力でやって欲しい、というのはすごく言われましたね。あと、「出し惜しまないで!」とも。

早見 私もまさに浜辺さんと同じ感じでした。1話から出し切る、毎回すべて出し切るみたいなところはありましたね。監督からのディレクションもありますが、音響監督の藤田亜紀子さんのディレクションで、更に皆さんの演技がどんどん変わっていくんです。アニメ第1章の時は「今日は天使モード」とか。

面白い例え方をしますね。

早見 あと、皇伊月ちゃんと生爪をお互いに賭け合おうと提案するときは「お祭りモードで」と言われたので、私の中では完全に北島三郎さんの「まつり」がかかっていましたね。反対に、「ここをもっと明るく読み上げてください」とか「ここを笑顔で言ってください」みたいな、細かい具体的なディレクションはほとんど無かったです。

河本 いつも後ろで聞いているとテイクを重ねるごとに演技がどんどん変わっていくので、役者さんってすごいなって思っていました(笑)。

早見 ある種自由なのかもしれないですね。表現の比喩の中の解釈は広いというか。でも、監督もピンポイントの像は持っていらっしゃるので、そこに全然はまらないと10回、20回リテイクしたこともあります。

浜辺 えー!

ドラマではそこまでのリテイクはないのですか?

浜辺 撮影までにみんな作りこんでいくので、現場でのリテイクは少ない方だと思います。10回とかはないですね。

早見 アニメのアフレコでもレアケースです。ほかの現場ではそうそうないですし、『賭ケグルイ』の現場が相当な熱量なんです!

浜辺「こんなに頭に血が上るくらい興奮したのはあの時が初めて」

河本先生がおっしゃった“夢子のギャップ”が最初に感じられた出来事は、早乙女芽亜里とのギャンブル「投票ジャンケン」(アニメ、ドラマ第1話)だったと思うのですが、このお話はどのように作られたのでしょうか?

河本 やっぱり、調子に乗っている芽亜里が絶望に叩き落されるっていうのがまず面白いなって思ったのと、夢子のせいで自分が思いもよらないリスクに乗ってしまうっていうところが描きたかったんです。あとは担当さんの指示ですね(笑)。

このギャンブルで、夢子の作品を象徴する「さァ賭け狂いましょう!」というセリフも出てきますが、浜辺さんと早見さんはこのセリフを言った時、どんなお気持ちだったのでしょうか?

早見 普段はさすがに言わないですもんねぇ……。やはり決め台詞で、ある程度「バンッ!」と入ってくるシーンだと思うので、大事にしたいと思いました。でも、夢子にとっては別に決め台詞ではないんですよね。100%楽しくて、純粋な楽しさから来た「一緒にやりましょうよぉ!」っていう気持ちから来ているのかなと。

浜辺 私は、私生活でもお芝居でもあそこまで高揚することは一度もなかったので、自分自身このお芝居をできるのかわからなくて、未知の体験でした。ただ、気持ちとしてはとにかく全力で、「どうなってしまうかわからないくらい、想像以上のことができたらな」と思いながら演じました。こんなに頭に血が上るくらい興奮したのはあの時が初めてで、今でも鮮明に覚えています。感情のリミッターを振り切るということを自分はできない人間だと思っていたので、夢子はそれを打ち破ってくれたキャラクターでもあるんです。

では、河本先生はおふたりの「さァ賭け狂いましょう!」というセリフを聞いて、どのようなお気持ちでしたか?

河本 正直、もうちょっとお淑やかさを残しつつ言っているのかなと思っていたのですが、おふたりとも凄まじい迫力で演じてくださって「これじゃん!」ってなりましたね。僕の想像を超えた領域に持っていってくださったなと思っています。

浜辺&早見 ありがとうございます!

浜辺 ただ、私はモニターを見ないで演じていたので、「あ、想像以上にすごい顔をしているな」とは思いました(笑)。

早見 ご自身の表情が映りますもんね。私の場合、アフレコ現場では120%モリモリで演じたのに、アニメの映像になるとちょっと足りなかったなってなることがあります。でも、この現場ではみんなが150%の力で臨んでいて、映像も150%、音楽も150%でした。なので、その全部の要素が合わさってすごくインパクトのある作品になったと感じました。

河本 そもそもこの「さァ賭け狂いましょう!」っていうセリフを考えたのは僕の弟(武野 光先生)なんです。もつ焼きを食いながら「『賭け狂いましょう!』でいいんじゃない?」って言われて、「それやん!」って。セリフを言うタイミング的には、盛り上げて盛り上げて……そして決めるみたいな。出しどころは狙いましたよね。

なるほど。さきほど、浜辺さんが自身の演技を見て「想像以上にすごい顔をしていた」と仰っていましたが、早見さんから見た浜辺さんの夢子、浜辺さんから見た早見さんの夢子の印象はいかがだったでしょうか。

早見 浜辺さんが演じられる夢子は本当に原作で見たイメージのまんまというか、もうそのまま飛び出してきたんじゃないかと思う様な美麗さがあって、すごく美しいと思いました。夢子のキュートさと可憐さが滲み出ていて、視聴者としても非常に楽しめましたね。

浜辺 私はもともと原作が好きで読んでいたんですけれど、アニメになったときに本当にぴったりのお声だなと感じました。それだけにドラマ版で夢子を演じると聞いた時はすごくプレッシャーでしたね。それに、昔から早見さんが大好きなので、早見さんが演じたキャラクターをやるんだ! というのが嬉しくて、リスペクトして演じられたらなというのはありました。

では、3人の好きな夢子のシーンはございますか?

早見 アニメの第2章で夢子が豆生田 楓に「お前はお前が破滅させた相手に良心の呵責を覚えるのか?」と問われるシーンです。夢子はそういうことについて思うところがある人なんだなと。自身の倫理観が欠如していることをある程度理解しているんだなと知って、強烈なインパクトを覚えましたね。

浜辺 私は初めて芽亜里とタッグを組んだ「二枚インディアンポーカー」が印象的です(ドラマ第7話)。木渡はやればやるだけ反応してくれて。あと、最後にタネ明かしをしたときに漫画の絵を再現したポーズをしたんですけど、顔のドヤァ感がキメキメで楽しかったです。

河本 自分はアニメだと、第1章の最終話で鈴井くんの後ろに夢子が蛇のように現れて、「さあ、是非とも適当に賭けましょう」って言うところですね(アニメ第12話)。ドラマは西洞院百合子と「生か死か」のギャンブルをしたとき、夢子が「さあさあさあ!」って言ったら西洞院さんや鈴井くんが「ひいいいい!」ってみんなで後ずさっていたところです(ドラマ第5話)。「これが僕の言いたかったラスボス感なんだ!」って感じですごくよかったなと。

浜辺 あそこは現場でも笑いましたね。西洞院さん達もいろんなところで面白い反応をしているんですよ。だから私も楽しかったですし、気に入っていただけて嬉しいです。

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