Interview

UVERworld ニューシングル「Touch off」でTAKUYA∞が提言する“自由”という言葉のとらえ方

UVERworld ニューシングル「Touch off」でTAKUYA∞が提言する“自由”という言葉のとらえ方

新しく、それでいて実にUVERworldらしい。2月27日リリースの2019年の第1弾シングル「Touch off」に込められているのは自由を求めて諦めない、不屈の闘志とメッセージだ。TVアニメ化で大きな話題を呼んでいる『約束のネバーランド』のオープニングテーマともなっているこの曲、バンドアンサンブルを前面に押し出したサウンドからも彼らの根本に根ざした揺るぎない意志がビシビシと伝わってくる。一方、カップリングの「ConneQt」は想い合っているからこそ成就しない恋愛のやるせなさを切々と描き出した待望の名バラード。彼らの新たなスタンダードとなりつつあるポストEDM的音像もいっそう切なさを掻き立てる。果たして自由とは、ラブソングとは、この先にUVERworldが目指すサウンドとは──この2曲を軸に、様々な角度からボーカル・TAKUYA∞に聞いてみた。

取材・文 / 本間夕子 撮影 / 荻原大志


僕らはロックバンドという道を選んで、この先あとどれだけの自由をつかみ取っていけるのか

2月からスタートしたライブハウスツアーでもすでに「Touch off」は披露されてるんですよね。

やってます。お客さんの反応もわりといいなと思ってますけど、何より僕ら自身に手応えがあるんですよ。カッコいい曲ができたな〜!と思って。

制作はいつ頃されていたんですか。

実は2018年の一番最初に作り始めた曲で。そこからコロコロと右に左に転がしながら、やっと完成しました。最初はもっとヒップホップな感じのものをアコースティックギターとドラムだけで作ってたんです。ただ、僕ら、いつも3曲ぐらい並行して作るんですよね。そのときも途中から「ODD FUTURE」と「ConneQt」の作業をやり始めたので、これはいったん、寝かしておいたっていう。「Touch off」を作り始めたあとに合宿に行って、そこで「ODD FUTURE」と「ConneQt」の制作に入ったんです。

じゃあ「Touch off」が今の形になったのは?

去年の12月ぐらい。結構、寝かしてましたね。『約束のネバーランド』のオープニングテーマという話をいただいて、この曲を膨らませたらカッコよさそうだなと思ったんですよ。まだ歌詞も全然乗ってなかったし、これは自由度高く作れそうやな、と。そこからは早かったです。原作の単行本を読ませてもらったら、もう激ハマりして全巻読破して。きっとこの作品ファンの人も、聴いたらかなり物語との整合性を感じてもらえるんじゃないかな。自分でもそう思えるくらい歌詞ではいろんな場面を切り取ってます。

アニメの物語自体は相当にヘヴィじゃないですか。TAKUYA∞さん自身にも何かリンクするものが?

孤児院で育った主人公が、自分たちが実は鬼に食べられるための家畜として育てられていることに気づいて、そこから抜け出して自由をつかみにいくっていうストーリーなんですけど、僕らもね、社畜として……(一同爆笑)。

いやいやいや(笑)。

それは冗談ですけど(笑)。でも自由を求めるというところで……僕らはロックバンドという道を選んで、この先あとどれだけの自由をつかみ取っていけるのか。そういう自分たちの根本にあるテーマと繋がるものは感じましたね。だから、こういう歌詞になったと思うんですよ。

もっと自由になりたいですか。

今だってもう充分に自由なんですけど、このまま自由でい続けたいなって。今のこの自由を守るために闘っていかなければならないことはいろいろあるんだろうなとも思うし。

自由って人によっていろんな形があると思うので。むしろこんな生き方、絶対マネしたらあかん(笑)

でも“自由”ってテーマとしてすごく大きいですよね。TAKUYA∞さんにとっての自由ってどういうものなんでしょう。

僕はたぶん限りなく、すべてにおいて自由を求めてるんです。何事にもとらわれたくないし、だからこそロックバンドっていう職業が一番性に合ってると思うんですよ。べつに頭下げなあかん上司や先輩がいるわけでもないし、例えば世間からちょっと逸脱していてもロックバンドのアーティストならば、かえってそこを認めてもらえたりもしますしね。この世の中、何かに屈していかなきゃいけない生き方もあるじゃないですか。でも、それはその人が自分で選んだ道だったら、僕は全然いいと思うんです。ただ、僕自身は自分を曲げずに進んでいける自由、そういう強さが欲しい。それだけの腹は括ってますし、強くなければ僕が求める自由には飛び込めないと思っているので。

よくMCでもおっしゃってますけど、聴いてくれる人たちにもそういう生き方をして欲しい?

いや、それぞれでいいです。自由って人によっていろんな形があると思うので。むしろこんな生き方、絶対マネしたらあかん(笑)。

でも、その生き方が良かったわけでしょう?

僕はね。やっぱり責任と覚悟は必要やし、それに対して自分が納得できているかどうか。僕はちゃんと納得できるところに進めている気はしてますから。

自分たち自身もどんどんマイナスの美学、引き算の美学みたいなものに面白さを見い出し始めて

サウンドに関して言うと、かなりゴリゴリにバンドサウンドに寄せてますよね。「ODD FUTURE」や「EDENへ」のアプローチとは違う、ある意味、UVERworldらしい楽曲に仕上がっています。

「ODD FUTURE」とか「EDENへ」を作ってたときもそうですけど、やっぱり僕たちもファンの人たちの声は敏感に受け取るし、そこでまた一喜一憂するわけですよ。なかには“UVERworldは変わった”とか“前のほうが良かった”っていう声もあったりして、聞くたびに“1枚2枚、そういう曲を出したからってそんなこと言うなよ、あれだけ楽しい時間を一緒に過ごしてきたじゃないか”って思うんですけど(笑)。みんなが求めてくれるようなバンドサウンドの曲を作るなんてことはすぐできるんだよ、って心の中で。メンバーとも“あそこに戻ろうと思ったらいつでも簡単に戻れるもんな”って話してますし。

ただ、今やりたいことはそっちではないんだ、と。

そう。べつに時代の流れを追いかけるつもりはないんですけど、自分たちが普段好きで聴いている海外の音楽とかがたまたま時代の最先端と呼ばれるところにあって、自分たち自身もどんどんマイナスの美学、引き算の美学みたいなものに面白さを見い出し始めて。そういう意味では「EDENへ」はひとつ、自分たちの中でも辿り着けた気がしてるんです。あの曲は6つぐらいの音で構成されているんですよ。今までは12個ぐらいの音で作ってたものが、「EDENへ」では6個で作れたっていう。そしたら今回の「Touch off」も8個ぐらいの音で作れたんです。ちょっと戻っちゃいましたけどね(笑)。

それでも充分、少ないです。EDMならまだわかるけど、UVERworldらしさを踏襲したバンドサウンドですしね。しかも聴いていて全然物足りなさがない、むしろすごく厚みを感じる音で。

インストで聴いたらわかりますよ、だいぶ音が少ないことは。でも、まだまだ行けると思ってますけどね。行きつ戻りつしながら、グラデーションで進化できてる実感もありますし。いきなり飛び級で進化するのではなくて、いろいろ試行錯誤しつつ進んでこれたからこそ、いわゆる“らしさ”みたいなものもしっかりエッセンスとして加えながら新しい切り口で曲を作れたんじゃないかなって。

僕、わりと語りって好きなんですよ。語りだけの曲を作りたいくらい(笑)

ちなみにアニメ制作サイドから何かオーダーはあったんでしょうか。

特にはなかったかな。“スピード感のあるものを”ぐらいで。

たしかにスピード感はすごく感じました。サウンドだけじゃなく、歌詞の面でもそう。Aメロで使われている言葉のアタック感とか。

僕、わりと歌詞の無駄遣いみたいなことをしがちなんですよ。

無駄遣い?

僕の携帯の中に歌詞にしたい言葉とか、いいなと思った言葉とかをめちゃくちゃ書き溜めていて。今回のAメロもそういう格言的ないい言葉で固めようと思えばできたんですけど、この曲の場合はそれをすると、ちょっともっさりしちゃう気がしたんですよね。リズム感とか発音したときの圧とか、そういう言葉を使うことで、サビとのバランスを取ったほうがいいなって思ったんです。例えば「ALL ALONE」とか「7日目の決意」とかは僕、すべての行が気に入ってるんですよ。全部が秀逸だと思ってて。でも曲調によっては、そうじゃないほうが活きてくるものもある。この曲に関しては意味合いを持たせる歌詞はBメロとサビにギュッと凝縮して、Aメロでは音感的に響く言葉にしよう、と。

“FIRE”という単語が随所に使われていますが。火のイメージは作品から?

そうですね。結構、メインになるんですよ。火とか導火線みたいなものがイメージとして出てきたときに、ふとアニメのストーリーを思い出して“あ、あそこにも出てきたな”“これは重要なポイントとして持ってきてもいいな”って。そう思って全面に出していった感じです。

だからタイトルが「Touch off」(“点火する”“口火を切る”などの意)なんですね。あと、かなり新しいなと思ったのが、ラストに入ってくる語りのパートで。

ここは最後まで迷ったところなんですよ。なくすとスッキリしすぎてイヤだし、でも、あると自分がちょっと照れるというか。なのでその部分は3〜4回、なくしたり入れたりしてたんですけど、結局、完成する2日くらい前、MVを撮らなきゃいけないっていう日の2日前くらいに“やっぱり入れよう”と思って2テイクほどレコーディングして。直前すぎてMVでは唇の動きを合わせるのがめっちゃ大変でした(笑)。

入れようと思った理由は?

曲にもっと重さを持たせたかったんです。詞の内容、意味合いにおいての重厚感が欲しかった。

歌ではなく、語りじゃなければダメだったんですね。

歌でこれだけの言葉を入れようと思ったら、もっと曲を長くしないといけないし、あとはやっぱり語りならではの表情っていうものがあるので。それが最後にだけ出てくることで曲全体がズシッとするかな、と。

今後もこういう語りの入った曲は作られますか。

作ると思います。僕、わりと語りって好きなんですよ。語りだけの曲を作りたいくらい(笑)。ただ、それはまだちょっと照れくさいですけど。

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